レビュー
デザインのよさと実用性の高さの両立を果たす

マツダ 新型「CX-30」ガソリンとディーゼルに試乗!抜群の静粛性と乗り心地のよさが魅力

マツダの新世代商品群の第二弾となるクロスオーバーSUV、「CX-30」に試乗する機会がついにやってきた。

マツダ「CX-30」の走行イメージ

マツダ「CX-30」の走行イメージ

注目を集める新パワートレーン「SKYACTIV-X」の発売はまだ少しばかり先だが、その前に販売の主力になるであろうCX-30の2Lガソリン車と1.8Lクリーンディーゼル車に乗って、その実力を確かめてみた。

高品質なデザインと実用性の高さの両立

今に始まったことではないが、マツダ車のデザインが初代「CX-5」から大きく変化したことは、誰の目にも明らかだろう。2010年から提唱している「魂動(こどう)デザイン」の哲学に乗っ取って生まれたクルマは、高く評価されている。多くの消費者はもちろんのこと、意外と自動車業界以外のプロ、つまりデザイナーにも評判がいい。言い換えると「デザインで飯が食える」ようになったのは、マツダの影響力も大きいと常々感じている。

マツダ「MAZDA3」ファストバック

マツダ「MAZDA3」ファストバック

その中でも、先行する「MAZDA3」ファストバック(ハッチバック)のデザインは、インパクトも含めてカーデザインに一石を投じたモデルと言える。しかし、デザインはよくてもそれに比例して販売台数が増えるわけではない。いい意味でも、MAZDA3(特にファストバック)は、ユーザーを選ぶクルマでもあるわけだ。

マツダ「CX-30」

マツダ「CX-30」

いっぽう、同じくグローバルで販売されるCX-30は、もう少し営業や顧客からの要望が強くなる。高品質なデザインや実用性、特に室内や荷室の広さ、取り回し性などを両立させることがCX-30に求められた。

マツダ「CX-30」のフロントエクステリア

マツダ「CX-30」のフロントエクステリア

マツダ「CX-30」のリアエクステリア

マツダ「CX-30」のリアエクステリア

そのため、CX-30はMAZDA3に比べて、全長はマイナス65mmの4,395mm、ホイールベースはマイナス70mmの2,655mmとなっている。いっぽうで、クロスオーバーSUVでありながら全高は1,540mmに抑えられている。

CX-30の開発を担当した主査の佐賀尚人氏によれば、都市にフィットするボディサイズを考えた場合、全長4,400mmを切ることが重要であるという。さらに、CX-30の1,540mmの全高は、マンションや都市部の立体駐車場への入庫も可能になる寸法とのこと。

そして、CX-30の全高は2WD車でも4WD車でも同じだ。車種によっては4WD車のほうが全高は高くなり、1,550mmを超えてしまうようなものもある。そう考えると、4WD化で腰高に見えることもなく、実用性もキープできたCX-30の設計は、理にかなっていると言っていいだろう。

高品質なインテリア空間はデザイナーの賜物

マツダ「CX-30」のインパネ

マツダ「CX-30」のインパネ

車内に乗り込むと、MAZDA3に続く新しいインテリアの考え方がCX-30にも反映されていることがわかる。そして一瞬、MAZDA3とまったく同じインテリアデザインに見えたのだが、少し見回すとすぐに両車の違いを理解することができた。スイッチ類などは一部共通化しつつも、同セグメントのクルマでありながらしっかりと異なる表現でデザインされている点は、素直にすごいと感じた。

通常、メーカーでは「コストダウン」が重要なテーマのひとつとなっている。たとえば、同セグメントの複数のクルマを世に送り出す場合、エクステリアはカテゴリーによって変えても、インテリアはその反動でコストダウンを余儀なくされて同じインテリアに、といったことは往々にしてある。だが、マツダはデザイナーがしっかりと意志を持ってクルマ作りに参加することで、最終的に「作品としての高い質」を生み出すことができている。このあたりも、今のマツダの強みと言えるだろう。

また、CX-30のインテリアは、見て感じる「視覚」だけではなく、触れて感じる「触覚」まで計算されている印象を受けた。たとえば、センターアームレストやインパネ上部のパッドなどは、見た目のよさだけでなく、実際に触れてみてもその上質さが感じられる。また個人的に気に入ったのは、ドア側のアームレストに“えぐり”を入れることで肘の収まりをよくしていることだ。さらに、そのドアトリムにはインパネ周辺と同じ上質なマテリアルが使われていた。こういった、細部における使い勝手やデザイン面での配慮がなされているところなどが、CX-30の魅力をいっそう後押ししてくれているのだろう。

CX-3と比べて確実にレベルアップしている実用性

マツダ「CX-30」のリアシート

マツダ「CX-30」のリアシート

CX-30のリアシートに関しては、ホイールベースがMAZDA3より短縮されているものの、アップライトに着座させるシート構造や頭上周りの空間確保、視界のよさなど快適性をキープできている。

マツダ「CX-30」のラゲッジルーム

マツダ「CX-30」のラゲッジルーム

マツダ「CX-30」には、電動でリアハッチを開閉できる「パワーリフトゲート」が採用されている(20Sグレードをのぞく)

特に弟分とも言える「CX-3」が、リアシートやラゲッジスペースの広さをしっかりと確保できなかったのに対し、CX-30は5名乗車時で430L(CX-3は350L、サブトランク込みの場合)と実用性も十分に高い。また、最低地上高が高いクロスオーバーSUVでありながら731mmと比較的低い位置にラゲッジルームの最下端が設定されていることや、このクラスとしてはめずらしい「パワーリフトゲート」の採用(20S除く)により、荷物の出し入れも比較的楽に行えるなど、デザインと実用性を高い次元で両立していることがわかる。

インフォテインメント関連も大きくレベルアップ

そのほか、MAZDA3から搭載が開始されている新しい純正オーディオシステム「マツダ・ハーモニック・アコースティックス」や新世代の「マツダコネクト」、そして、同じくMAZDA3から採用されて2019年9月27日からサービスインしている「コネクティッドサービス」など、CX-30はインフォテインメントに関しても新機軸が多い。

コネクティッドサービスについては、基本的な部分はトヨタとの協業で、インフラ自体もトヨタのものを借りることになるが、マツダならではの仕組みが取り入れられている。たとえば、スマートフォンに専用アプリをインストールすることで車両の状態を確認できたり、ドアロックできるなど利便性が高い。また、万が一の事故などの際のオペレーターサービスについても、救急や警察への手配だけでなく、状況に応じてドクターヘリ(D-Call Net)にも対応する。これらが、初年度登録日より3年間無料という点も、大きな魅力と言えるだろう。

静粛性の高さはCX-30の大きなアドバンテージ

ここまで、デザインや機能などに話が集中してしまったが、やはり気になるのはその走りの“質感”である。まず、最初に試乗したCX-30は「SKYACTIV-G2.0」、2リッター直4直噴エンジン搭載車だ。スペックは、最高出力が115kW(156ps)/6,000rpm、最大トルクは199N・m(20.3kg-m)/4,000rpmとパワーは標準的で、カタログ上の燃費も15.4km/L(FF/WLTCモード燃費)と悪くはない。

マツダ「CX-30」に搭載されている2リッター直4直噴エンジン「SKYACTIV-G2.0」

マツダ「CX-30」に搭載されている2リッター直4直噴エンジン「SKYACTIV-G2.0」

このエンジンのよさは、組み合わされる6速ATとの相性で出だしからピックアップがよく、変速時のショックも少ない。何よりも、追い越し加速時などでアクセルを踏み込んだときの反応のよさは、CVTに比べてまだまだアドバンテージがある。市街地などで、併走するクルマの流れに合わせて走る際のバランスもよく、乗り心地もいい。

マツダ「CX-30」SKYACTIV-G2.0搭載車の走行イメージ

マツダ「CX-30」SKYACTIV-G2.0搭載車の走行イメージ

CX-30の静粛性は、後述するクリーンディーゼルも含めてかなり高いレベルにある。助手席はもちろん、後席との会話明瞭度も高い。技術的にも、吸音材などの適切な配置や高遮音ガラスの採用、パネル接合部などゆがみが発生しやすい部分に減衰ボンドを塗布するなど、きめ細かな遮音対策が施されている。また、SUVというボディ形状で発生しやすい、ラゲッジ周辺からのノイズを抑え込んでいる点(ロードノイズやドラミング)などについてもコストがかかっている。

マツダ「CX-30」SKYACTIV-G2.0搭載車の走行イメージ

マツダ「CX-30」SKYACTIV-G2.0搭載車の走行イメージ

だが、ひとつだけ気になる点があった。これはMAZDA3でも同様だったのだが、2,500〜3,000rpmあたりの低〜中回転数で「ヒュー」といった吸気音にも似たような音が発生し、それなりに耳障りに感じたことだ。これが、エンジンの特性というより加速時の“演出”であったとすれば正直なくてもいいし、演出でなければこの音も抑え込んでほしいと感じた。この点について技術者と話したところ、500Hzくらいに発生するであろう共鳴音のような部分は気になるかもしれない、とのことだった。個人的には、低周波も含め250Hzから500Hz辺りのノイズは昔から気になっているので、もう少し改善を望みたいところだ。

1.8L直4クリーンディーゼルのフィーリングも改善!?

もう1台の試乗車は「SKYACTIV-D1.8」、1.8L直4クリーンディーゼル(ターボ)エンジン搭載車である。CX-3から搭載が開始され、新世代商品群でもMAZDA3に搭載済みのユニットで、最高出力85kW(116ps)/4,000rpm、最大トルク270N・m(27.5kg-m)/1,600〜2,600rpmのスペックはMAZDA3と同じ値である。

マツダ「CX-30」SKYACTIV-D1.8搭載車の走行イメージ

マツダ「CX-30」SKYACTIV-D1.8搭載車の走行イメージ

CX-3に搭載されたときには、ドライバビリティの向上に加えて、実燃費もテストで1.5L(当時)のクリーンディーゼル車より高かったこともあって、1.8Lクリーンディーゼルには好印象を持っていた。だが、MAZDA3に搭載されたときは「悪くはない。でも、もう少しパンチが欲しい」と感じていた。言い換えると、MAZDA3の実質的な前モデルである「アクセラ」に設定されていた2.2L直4クリーンディーゼル(ターボ)エンジンのほうが、キャラクターに合っているのではないかと思ったほどだ。

マツダ「CX-30」SKYACTIV-D1.8搭載車の走行イメージ

マツダ「CX-30」SKYACTIV-D1.8搭載車の走行イメージ

しかし、CX-30の1.8Lクリーンディーゼルは、その部分がかなり改善されている印象を受けた。CX-30とMAZDA3の同グレードで車重を比較すると、CX-30のほうが50kgも重いのにも関わらず、である。街中を走っている際、ハーフスロットルから加速したときにMAZDA3は一瞬反応が鈍くなる印象を受けていたが、CX-30は「ツキのよさ」というか緩慢さが少なく感じられたのだ。開発者と話をしても、「セッティング自体は車両に合わせて異なるので、そう感じたかもしれない」とのことだった。

CX-30で感じた、マツダならではの自然なドライブフィール

2台のCX-30を試乗して思ったのは、どこまでも自然なドライブフィールを感じたという点だ。現在のマツダ車はこれが共通のテーマであり、車両の挙動を制御してくれる「GVC Plus(G-ベクタリング コントロール プラス)」も、乗員が気づかない部分で十分に機能しているはずだ。

マツダ「CX-30」のフロントシート

マツダ「CX-30」のフロントシート

また、これもマツダ車では当たり前になっている、ペダルやシートの適正レイアウトなども本当に見事である。フロントシートは、個人的にはもう少し硬めでもいいと感じたが(腰痛持ちなので)、臀部をしっかりと固定させてシートバックで体全体をスッとサポートする構造によって、疲れが少ない。これらは、最終的には安全運転へとつながるはずだ。

ADAS(先進運転支援システム)に関しても十分な内容を持つCX-30だが、特に昨今のマツダ車で多く採用されている「ALH(アダプティブ・LED・ヘッドライト)」の性能は高く評価できる。ALHを簡単に言えば、夜間走行時に対向車の状況に合わせてヘッドランプの照射範囲や明るさを自動調整してくれる機能だが、LEDの数も含めて照射がきめ細かいのが特徴だ。20Sには装着されないが、そのほかの全グレードに標準装備される点も評価したい。

CX-30はスーツのように「まとう」ことが魅力のひとつ

グレード選びに関してはエンジンや駆動方式、さらに言えば2020年1月以降に発売される「SKYACTIV-X」を待ちたいという方もおられるだろうが、今回の試乗で感じたのは「どのパワートレーンでもCX-30の魅力は十分堪能することができる」というところだ。

もちろん人によって用途は異なるし、同グレード比較で若干の装備差はあるものの、ガソリン車とクリーンディーゼル車との価格差は27万5,000円とそれなりにはある。「元を取る」と言ったハナシではなく、高速道路を乗る機会が多い人はやはりクリーンディーゼルには大きな魅力があるし、装備内容から見ればエンジンが異なっても「プロアクティブ ツーリングセレクション」が、価格と装備のバランスが取れているグレードと言えるだろう。

マツダ「CX-30」のフロントエクステリア

マツダ「CX-30」のフロントエクステリア

マツダ「CX-30」のリアエクステリア

マツダ「CX-30」のリアエクステリア

しかし、CX-30の大きな魅力はパッケージも含めたそのデザインにある。余談だが、高級なスーツを販売しているブランドには必ずと言っていいくらい、うしろからスーツを着させるのがうまいセールスパーソンがいる。その際に「フワッとした」感覚の後、スーツが体に吸い付くようになじむのである。スーツとの比較は、ひょっとしたらCX-30に対して失礼なのかもしれないが、CX-30をまとう(乗る)ことは、日常におけるクルマとのフィッティングのよさを堪能できることにあるのではないかと感じている。マツダは、CX-30でデザインと空間、それぞれの満足度をブレークスルーしたと言っているが、それは達成されていると試乗を通じて思えた。

チーフデザイナーの柳澤 亮氏によれば、CX-30のデザイン・コンセプトは「SLEEK and BOLD(流麗・大胆)」。確かに、乗る前にボディに写り込む陰影、前述したように乗ってから感じる室内のクオリティなども含め、五感に訴える部分はこれまでのクロスオーバーSUVを大きく超えるものだ。その点でも、CX-30はこのクラスにおける販売だけでなく、ライフスタイルの活性化に大きく寄与する魅力的なモデルであることは間違いない。

高山正寛

高山正寛

ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ会員/18-19日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。1959年生まれ。自動車専門誌で20年以上にわたり新車記事&カーAVを担当しフリーランスへ。ITSや先進技術、そしてカーナビ伝道師として純正/市販/スマホアプリなどを日々テストし布教(普及)活動を続ける。

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