レビュー
運転が楽しく疲れも少ない自動車で車中泊って最高じゃない?

たまたま寝転んでみたら車中泊向きだった! プジョー「308SW」はSUV以上に快適!!

車中泊に向いている普通の自動車を1車種ずつ取り上げて実際に1泊するこの企画の影響か、別の仕事で自動車に試乗する機会があると、つい、寝転んで、車中泊できるかを確かめるようになってしまった筆者。いくつか試す中、これは! という車種を発見した。それが、プジョー「308SW」だ。輸入車ではあるが、同じ車格の国産車と比べても価格はほとんど変わらず、走行性能や燃費も申し分ないのでステーションワゴンやSUVの購入を検討しているならチェックしておく価値はある。なお、車中泊したのは夏であったため、季節に適さない格好で寝ているが、そこはご了承いただきたい。

【この記事も見ておきたい!】
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スペース効率が高く、超フラットな荷室空間

今回紹介する308SWは、車体後部が長いステーションワゴンにカテゴライズされる。近年はSUVの人気もあり、このジャンルの国産車は減少傾向にあるが、同じくらいの車体サイズで比較した場合、形的にはSUVより車中泊しやすい車種が多い。輸入車は国産車より大柄なものが多いので、余裕で車中泊できると思われるかもしれないが、スペース効率を重視して設計されていない場合、タイヤハウスがかなり出っ張っているなどのさまざまな理由により、車体サイズのわりに荷物が積めないことがある。もちろん、リアシートを倒して荷室とつなげたスペースが十分広かったとしても、凸凹していたり、大きな隙間があったり、傾斜がきつかったりすると、それは車中泊に適しているとは言いづらい。このような点をすべてクリアしているのが、308SWなのだ。

サイズは4,600(全長)×1,475(全高)×1,805(全幅)mm。SUVのように車高は高くないが、その分、重心が低く、コーナーリングなど走りの性能は期待できる

308SWの荷室容量は、通常時でもこのクラスではトップレベルとなる610L。さらに、リアシートを前に倒せば1,160Lにまで拡大し、ゲートからフロントシートバックまでの長さは約1.8mになる。だが、長さや広さが十分だからと安心してはいけない。車中泊では、床面のフラットさも重要だ。一般的に、座り心地のいいシートは肉厚なため、シートを倒しても荷室と平面にはならず、段差ができたり、フロント側に向けて高くなる傾斜がつきやすい。308SWのリアシートは、実に座り心地がいい。ということは、フラットにならないのか……と思いきや、シートバックを前側に倒すと座面が少し沈み込む「マジックフラット」機構により、平面なスペースができるのだ。

リアシートを立てた通常の状態でも荷室は広い。キャンプなどのアウトドア道具もたっぷり積めそうだ

リアシートを立てた通常の状態でも荷室は広い。キャンプなどのアウトドア道具もたっぷり積めそうだ

就寝するスペースを作るため、リアシートバックを前に倒すのだが、肉厚で腰があって座り心地がいいシートと背もたれだけに、本当に荷室とフラットにつながるのだろうか

リアゲート側からリアシートを倒す際には、車体後方の両側面にあるレバーを引けばいい

リアゲート側からリアシートを倒す際には、車体後方の両側面にあるレバーを引けばいい

リアシートは6:4の分割可倒式。ひとりで使うなら、片側だけを倒して車中泊してもいい

リアシートは6:4の分割可倒式。ひとりで使うなら、片側だけを倒して車中泊してもいい

リアシートを完全に倒した状態。限りなくフラットに近い広大なスペースが出現する。リアシートのほうが角度が付いているように見えるが……

横になると荷重でほぼフラットになる。フロントシートバックまでの長さが約1.8mであっても、基本的には荷物を積むためのスペースなので、隙間が空いていることも多いのだが、308SWはギリギリまでフラットなスペースが伸びているため、身長175cmの筆者は車体に対してまっすぐ寝っ転がることができた

幅もあるので、大人2人が並んで寝ることもできる

幅もあるので、大人2人が並んで寝ることもできる

筆者はこれまでSUVも含め、さまざまな車種で車中泊してきたが、ここまでフラットなスペースが確保されている自動車はなかなかない。これだけでも、308SWを選ぶ価値はあるといえるだろう。

ただ、ひとつ注意すべき個所を発見した。リアシートバックの部分、ちょうど中央にプラスチックでおおわれたところがあり、ここに手をつくと凹んでしまうのだ。

見えている時は注意できるが、実際に寝る時にマットを敷いてしまうと、うっかり手をついてしまいそう

見えている時は注意できるが、実際に寝る時にマットを敷いてしまうと、うっかり手をついてしまいそう

実は、この部分はリアシートから荷室にアクセスするための穴。プラスチックのパーツはフタのようなものに過ぎないのだ。車中泊をするために設計された自動車ではないので、普通に乗っている時の快適性を優先しているのは仕方ないこと。慣れれば、穴を気にすることなく車中泊できるだろう。

リアシートバックの中央を開くとドリンクホルダーが現れ、その奥にあるフタを取り外すと荷室につながる穴が出現する

実際の寝心地はいかに?

ここからは、実際に車中泊した感想をお伝えしたい。就寝のために用意したのは、キャンプ用のエアマットと寝袋、枕のみだ。

試しに横になった時に感じたとおり、フラットなので寝ている最中の体への負担が少ない印象

試しに横になった時に感じたとおり、フラットなので寝ている最中の体への負担が少ない印象

これまでこの車中泊企画で取り上げてきた車種の中で、もっとも快適といえるほどの寝心地だった。308SWに近いサイズのSUVの多くは、荷室空間に少し角度がついてしまい、さらに車体に対して斜めに横にならなければならない。筆者は何度もそうした自動車で車中泊しているため、そんな状況であっても熟睡できてしまうのだが、気付いてないだけで体に負担がかかっていたのかもしれない。今回、308SWで寝て、翌朝目覚めた際の体の具合がすこぶるよかったことを考えると、フラットであればあるほど、そして車体に対してまっすぐ横になれることは快適に寝るうえでとても重要なのだと痛感した。

リアシートのドアポケットにあるドリンクホルダーへのアクセスもいいので、寝ている合間の水分補給もしやすい

車体後方にもポケットがあり、ペットボトルがすっぽり収まる。こちらに入れておくのもいいだろう

車体後方にもポケットがあり、ペットボトルがすっぽり収まる。こちらに入れておくのもいいだろう

そして、今回借りた広報車にはオプションのサンルーフ(パノラミックガラスルーフ)が装備されていたのだが、これがあることで車中泊が少しリッチなものとなった気がした。

通常はこのような状態。電動で開閉できるシェードが装備されており、開くと天井の広範囲がガラス張りとなる(下の動画参照)

リアシートの頭上は、完全にガラス張りになる。特殊なガラスを採用しており、紫外線や熱線は大幅にカットされるという。このようにシェードを開けたまま走行すれば、かなり開放感があって気持ちいい。ここまで広いサンフールは国産車にはなかなかない

横になっても、もちろん見上げたところはガラス張り。木々の揺らめきを見ながら、日中ゴロゴロするのも気持ちいい。もちろん、夜は星空を眺められる。残念ながら筆者がレビューした日は雨だったため、星を見ることはできなかったが……

ただ、雨が降ったことで気付いたことがある。シェードを開けた状態にしておくと、雨音が大きく響くのだ。試しに、シェードを閉めてみたところ、かなり音が低減した(下の動画参照)。

シェードは閉めた状態でも日光が透けるほど薄手なので、閉め切っていても圧迫感は少ない。

シェードを閉めると外の景色は楽しめないが、木の下に入れば、写真のように影絵のようにシルエットが浮かぶ。風でそよぐ木の影を見ていると、すごく癒された(下の動画参照)

車内で寝るだけが車中泊ではない。天候によっては、車内で食事をすることもあるので、テーブルになりそうな装備があるかも確認してみたところ……、そういったものはないようだ。フロントシートに移動するか、荷室空間で食べるのが基本となりそうだが、天気がいい時はゲートに腰かけて食事してもいいだろう。

ちょっと猫背ぎみの筆者は、あぐらをかけば荷室で座って食事できた。たとえ天井に頭が当たったとしても、シェードは布製なので痛くない

ゆったり食べたいなら、ゲートに腰かけるのがいい。車高が低めなので、足がブラブラし過ぎないのも◎

ゆったり食べたいなら、ゲートに腰かけるのがいい。車高が低めなので、足がブラブラし過ぎないのも◎

感動するほどの走行性能について語らせてくれ!

この企画では、基本的に車中泊での寝心地や使い勝手を中心にレポートしているが、308SWは走行性能についても紹介しておきたい。実際にドライブしていて、欲しくなってしまうほど楽しかったからだ。その最たる理由は、車高が低めで重心位置も低いこと。車高が高めでホイールも大径な近年流行りのSUVとは異なり、308SWの最低地上高さは120mm、ホイール径は16インチと、一般的な乗用車に近い。そのため、路面に吸い付くようなドライブフィールが味わえる。特に、コーナーリングで重心がグラつくような感触がないので、ワインディングなどを走るのが楽しくてたまらない。

そして、エンジンもすばらしい。試乗した「Allure BlueHDi」グレードには、1,498ccの直列4気筒ディーゼルターボエンジンが搭載されている。最高出力は130PSと特筆するほど高出力ではないものの、最大トルクは300Nmあり、それを1,750rpmという極めて低い回転数から発揮するのだ。そのため、どの回転域からでも少しアクセルを踏み込めば俊敏な加速を味わえる。それでいて、ディーゼルエンジンにありがちな回転数の伸びが鈍いということもない。高速道路の追い越し時などに少し大きめにアクセルを踏み込めば、あっという間にほかの自動車を置き去りにできる加速力を持つだけでなく、ガソリンエンジンのような気持ちいい伸びも味わえるのだ。これが楽しくないはずがない。

1.5Lと排気量は小さめだが、想像をはるかに上回る加速を見せる「BlueHDi」のディーゼルターボエンジンを搭載

トランスミッションは8速のオートマチックで、切れ目ない加速に貢献。シフトレバーの形も独特でおもしろい

トランスミッションは8速のオートマチックで、切れ目ない加速に貢献。シフトレバーの形も独特でおもしろい

近年のプジョー車に採用されている小径のステアリングも、ドライビングの楽しさを盛り上げてくれる。初めて乗った際には「こんなに小さくていいのか?」と思うほどだったが、少し切るだけで向きが変わり、操るよろこびを存分に感じることができた。コーナーの入り口でスパッとハンドルを切ると、それ以上切り足したり戻したりすることなくクリアできるのには、感心せざるを得ない。

小径なだけでなく真円でもないステアリングは、初めて見ると驚くが、これだからこそ得られるドライブの楽しさがある

メーターのレイアウトも独特。ハンドルの上からメーターを見るような構造にとまどうかもしれないが、慣れてしまうと視線の移動が少なくて済むので、実はラクだったりする

普及が進んでいる先進安全機能も、もちろん装備。カメラとレーダーで前方を監視し、80km/h以下では停止車両を、60km/h以下では歩行者も検知して自動でブレーキを作動させるアクティブセーフティブレーキに加え、高速道路などで前車を追従するアクティブクルーズコントロール(30〜180km/h)も備えている。

重心が低く、トルクフルなエンジンを搭載した車体にアクティブクルーズコントロールが加わると、高速道路での移動が本当に快適だった

シートの座り心地がいいのも移動の疲れを少なくしてくれるポイント。中央部がやわらかくサイドが硬い構造だ

シートの座り心地がいいのも移動の疲れを少なくしてくれるポイント。中央部がやわらかくサイドが硬い構造だ

サイドの盛り上がっている部分がコーナーなどでしっかり体をホールドしてくれ、体が左右にフラレてしまうこともない

まとめ

人気の高いSUV以上に広くフラットな荷室空間ができる308SWでの車中泊は、これまで快適と思っていた車中泊を上回るほど快適だった。かつ、ドライブフィールも楽しく、走行性能にすぐれる点もポイントが高い。雪山やかなり荒れたオフロードを走るのであれば、4WDのSUVが有利かもしれないが、そこまで激しい道を走行しないのであれば308SWでも十分。オンロードの高速道路やワインディングであれば、むしろ308SWのほうが走行性能は高いくらいだ。特に高速道路を長距離移動するなら、ドライブの疲れも確実に抑えることができる。輸入車は価格が高いイメージがあるが、308SWは308万7000円(税込)〜と、車格が同じくらいのSUVと比べると、むしろ安いくらい。車中泊するにはまったく申し分ない仕様で、走行性能や動力性能も上々なのだから、輸入車だからという理由で選択肢から除外してしまうのはもったいない。

リアシート用のシガーソケットが、リアシート後方にあるのは輸入車らしくユニーク。変換アダプターを用意すれば、USB機器も接続できる

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・どこで泊まれる? キマリはある? 初めて車中泊する前に知っておきたい基本的なこと

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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