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音声操作&自動運転の覇権争いが加速する自動車業界

Alexa対応ランボルギーニからトヨタの街まで。車の未来をCES 2020で見た

コンシューマエレクトロニクス(家電)の総合見本市から進化し、コンピューターやスマートフォンなどの最新技術が集まるテクノロジーの祭典へと成長した「CES」。昨今は自動車関連の技術や企業の出展も増えており、1月7日〜10日にかけて開催された「CES 2020」では、自動車の未来を垣間見ることができる発表や展示が多く見られました。

Alexa対応ランボルギーニ

Alexa対応ランボルギーニ

音声操作はスポーツカーとの相性がいい?
Amazon「Alexa」対応のランボルギーニ

ランボルギーニは、「ウラカン・エボ(HURACÁN EVO)」を市販のスーパーカーとしては初めてAmazonの音声アシスタント「Alexa」に対応させると発表し、その実車を展示しました。「Alexa」と自動車に話しかけることで、車内オーディオや空調、照明などを音声で操作できるほか、「Alexa」が対応していれば車庫の開け閉めなども行えます。

高速走行が特徴の自動車だけに、一般車にも増してドライバーの注意がそれる危険性が高いため、前方を注視しハンズフリーでさまざまな操作ができるボイスコントロールとの相性がよいとのことです。

「ウラカン・エボ」はV型10気筒エンジンを備え、静止状態から2.9秒で時速100kmに加速可能

「ウラカン・エボ」はV型10気筒エンジンを備え、静止状態から2.9秒で時速100kmに加速可能

運転席右脇にあるコントロールパネルとAmazon「Alexa」が連携

運転席右脇にあるコントロールパネルとAmazon「Alexa」が連携

ちなみに、ランボルギーニのエンジニアに「ボイスアシスタントを搭載しても(運転するのが好きな人ための車だから)自動運転は搭載しませんよね」と聞いたところ、「走りたいサーキットや道に行くまでの退屈な運転の手間をはぶくためなら、将来的に自動運転を搭載する可能性はあります」とのことでした。

Amazonは電動ピックアップトラックの伏兵「RIVIAN」に出資

EVピックアップトラックと言えば、テスラ「Cybertruck(サイバートラック)」が2019年に発表され話題になりましたが、その競合とも言える完全電動のピックアップトラックがRIVIAN(リヴィアン)「R1-T」です。

AmazonはフォードなどとともにRIVIANに出資しているため、「CES 2020」の展示で大きく扱っていました。RIVIANも「Alexa」対応を進めており、デモでは声で窓やトランクを開け閉めする様子が公開されていました。

CES 2020のAmazonはVehicle(乗り物)のエリアに巨大なブースを出展。そこにRIVIAN「R1-T」が展示されていました

完全EV車であるため、いわゆるエンジンルームにエンジンはなく、荷物用のスペースとなっています

完全EV車であるため、いわゆるエンジンルームにエンジンはなく、荷物用のスペースとなっています

テスラ「Cybertruck」と比較すると、フォードなどの伝統的なピックアップトラックに近いデザインです

テスラ「Cybertruck」と比較すると、フォードなどの伝統的なピックアップトラックに近いデザインです

テクノロジーの「The Big 4」ことGAFAのうち、GoogleとAppleは運転中に利用するボイスアシスタントの領域に本格進出をしています。そこに、Amazonも “車内の覇権争い”へ本腰を入れる姿勢を鮮明にしてきた印象です。

中国の電気自動車の雄、BYTONは「M-Byte」の北米向けモデルを初披露

中国のEVメーカー、BYTON(バイトン)は、2021年に北米で出荷開始を予定している「M-Byte」の展示を行いました。同車の販売予定価格は45,000ドル(約495万円)です。

同じ中国のEVメーカーでも、BYD(比亜迪)と比べるとアカ抜けたデザインのBYTONは”中国版テスラ”と言われることもあるとのこと。確かに、価格帯やターゲットとする顧客がテスラ近そうな印象です

「M-Byte」は48インチの巨大ディスプレイを車内に搭載し、自社の車載OSと連携するアプリの開発を一部のサードパーティーにも開放しています。また、ステアリングにも専用のタブレットを装着できるようになっていますが、運転中に使うと、日本で言うところの「ながら運転」に該当しそうな気もします

なお、BYTONはCES 2020 で丸紅との資本提携も発表しており、丸紅は「本提携を通して、BYTON 社の事業成長を支援すると共に、シェアリングや車載サービス等のモビリティ事業や EVバッテリーマネジメント事業を創出することで低環境負荷のモビリティサービスの実現、国際社会のサステナビリティ向上に貢献します」(プレスリリースより)とアナウンスしています。

進撃のソニー。自動車産業に照準

「CES 2020」の大きなサプライズは、ソニーによるコンセプトカー「VISION-S Prototype(ビジョン-エス プロトタイプ)」のお披露目でした。

直近の決算説明資料を見ると、ソニーの成長分野はイメージング&センシングソリューションで、「モバイル機器向けイメージセンサーの大幅な増収」による上方修正が行われていることからも、その領域の好調ぶりがうかがえます。また、音楽と映画事業もセンサーと同様、前年同期比で大きな伸びを見せています。

出典:2019年度 第2四半期連結業績概要

出典:2019年度 第2四半期連結業績概要

これらの成長分野の“伸びしろ”をさらに拡大させるために、ソニーが新たに注力する領域が自動車というわけです。

昨今のスマホにはセンサー(カメラ)が2つ3つと搭載されたモデルも少なくありませんが、「VISION-S Prototype」に搭載されるセンサーの数は33個。もちろん、スマホほど数が出る製品ではないかもしれませんが、自動運転技術の普及とともにセンサーへのニーズが高まれば大きな勝機がありそうです。

発表会で自動車が登場した時の会場のざわめきは、「CES 2020」でも1、2を争うほどの大きさでした

発表会で自動車が登場した時の会場のざわめきは、「CES 2020」でも1、2を争うほどの大きさでした

また、ドライバーが前方を注視する必要がなくステアリングから手を離せる完全自動運転が実現すれば、車内エンタメのニーズが高まることも予想されます。さすがに、ずっと景色を眺めているのもたいくつでしょうから「映画でも見ようか」「音楽を聴こうか」となるのは当然の流れ。そこでもソニーのコンテンツやサウンド機器がいきてくるというわけです。

今すぐ市販できそうに見える完成されたデザイン

今すぐ市販できそうに見える完成されたデザイン

なお、残念ながらこの車両はコンセプトカーであり、一般発売の予定は今のところないとのことです。ソニーがこの車で示したかったのは「テスラやBYTONのようになる」ということではなく、EVや自動運転車に必要なCMOSセンサーなどの開発や車内エンタメを“次の市場”と定めて舵を切ったというアピールです。

フォードは初の完全電気自動車「MUSTANG MACH-E」を展示

フォードは、ロサンゼルスモーターショーでお披露目した「MUSTANG MACH-E(マスタング マッハ イー)」を「CES 2020」で展示しました。静止状態から3.5秒で時速96kmに到達できるという“スポーツカー級”の性能と、40分足らずで80%までバッテリーを充電できる実用性を兼ね備えた自動車で、発売記念モデルはすでに予約で完売しているという人気ぶりです。

SUVタイプのデザイン

SUVタイプのデザイン

テスラのような大型ディスプレイを運転席の右脇に備えています

テスラのような大型ディスプレイを運転席の右脇に備えています

なお、「MUSTANG MACH-E」は、マッハ(音速)での走行はできません。

トヨタが創る街「Woven City」

今回の「CES 2020」でのビッグサプライズは、トヨタによる実験的街づくり「Toyota Woven City」(トヨタ・ウーブン・シティ)」の発表でした。

熱のこもったプレゼンテーションを英語で行った豊田章男代表取締役は「ある時、私は、ふと思いついたことがありました〜(略)〜研究開発を、ひとつの場所で、かつシミュレーションの世界ではなく、リアルな場所で行うことができたらどうなるだろう、と」と語り、東富士にある175エーカーの工場跡地に実証実験のための街を創ると発表しました。

スライドで示されたのは「a living laboratory(生きた実験室)」というコンセプト。テストコースではなく、実際に人が暮らしそこでモビリティを中心とした先端技術の開発、検証が行える場所の創出を目指しています

富士山の下に広がる「Toyota Woven City」(トヨタ・ウーブン・シティ)」の予想図

富士山の下に広がる「Toyota Woven City」(トヨタ・ウーブン・シティ)」の予想図

「Toyota Woven City」は世界的建築デザイナーのビャルケ・インゲルス氏が設計を手がけ、2021年上旬着工予定。トヨタの従業員や家族、各国から集った研究者など約2000人が当初の住人となるそうです。

クアルコムは「Snapdragon Ride」で自動運転車の“頭脳”になる

クアルコムはレベル1〜4の自動運転に対応する車載用SoC「Snapdragon Ride(スナップドラゴン ライド)」を2023年販売の自動車に搭載することを目指し、2020年中にメーカーに出荷すると発表しました。

スマートフォン向けSoCで培った低消費電力技術が強み。今後は5G普及をにらんだ、クラウドサービスとの連携も視野に開発を進めるとしています

Googleは地味な展示の裏で自動運転カーの実績を着実に積む

GoogleはCESのメイン会場のひとつ、LVCC(ラス ベガス コンベンション センター)に巨大なブース、というか2階建てのビルを出展するいっぽうで、自動車に関する展示はボイスアシスタントのデモのみ。昨年は傘下企業、Waymoの展示がありましたが、2020年は展示を見送っています。

しかし、すでにWaymoはアリゾナ州フェニックスの公道で完全無人の自動運転配車サービスを提供しているとのこと。すでにデモンストレーションではなく、淡々と実行を重ねるフェーズに移行しているWaymoは、完全自動運転配車サービスにおいて頭ひとつふたつ抜きんで出た存在と言えそうです。

自動車に関しては、地味な展示だったGoogle

自動車に関しては、地味な展示だったGoogle

ちなみに、筆者はWaymoの自動運転配車サービスを体験するべく、アリゾナに向かおうと思ったのですが、「サービス利用が順番待ち」となっており実現せず。Waymoさん、ちょっと取材させていただけませんかね?

オマケ:ラスベガスでは戦車も見られます

CESとは関係がありませんが、観光客も利用できる射撃場「BATTLEFIELD VEGAS」がラスベガスにあり、こちらでは戦車の展示が見られます。2499.99ドル(約27万円)を払えば、戦車で自動車をひいて破壊するという過激なアクティビティも体験可能。ラスベガスを訪れる際は、戦車に乗ってみてはいかがでしょうか。

本物の戦車が市街地に鎮座するユニークな光景。ここまでは無料で入場でき、写真撮影も可能です

本物の戦車が市街地に鎮座するユニークな光景。ここまでは無料で入場でき、写真撮影も可能です

Mr.TATE(Masahira TATE)

Mr.TATE(Masahira TATE)

世界50カ国以上を旅したバックパッカー。週間アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。

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