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「RAV4」のような魅力的な外観のほかにも人気のワケが

ありそうでなかったSUV!? トヨタ「ライズ」の販売が絶好調な理由

2020年に入り、販売台数を急速に伸ばしているクルマがある。トヨタの新型SUV「ライズ」だ。

2020年1月、2月と2か月連続で、小型・普通車の販売ランキング1位を獲得した、トヨタの新型SUV「ライズ」

2020年1月、2月と2か月連続で、小型・普通車の販売ランキング1位を獲得した、トヨタの新型SUV「ライズ」

2019年11月に発売されたライズは、12月には小型・普通車の販売ランキングでトヨタ「カローラ」に次ぐ2位となった。さらに、2020年1月には小型・普通車の販売台数が1万台を超えて1位を獲得し、直近の2月も9,979台の販売台数を記録し、2か月連続で1位となっている。

発売から間もないとはいえ、2020年はほぼ月1万台のペースで売れている。ここまで人気を得たSUVは、2017年に発売直後からヒットを記録したトヨタ「C-HR」か、2014年に発売されたホンダ「ヴェゼル」くらいだろう。

「ライズ」のOEM供給元であるダイハツのSUV「ロッキー」

「ライズ」のOEM供給元であるダイハツのSUV「ロッキー」

ライズの開発や製造はダイハツが受け持っていて、ダイハツブランドとして「ロッキー」という車名で販売されているものを、トヨタへOEM供給している形だ。ダイハツブランドは軽自動車がラインアップの中心で売れ筋でもあるのだが、普通車のロッキーは堅調に売れている。ロッキーが発売される前は、ダイハツブランドの小型車「トール」がもっとも多く売れていた。だが、ロッキーの販売台数はトールの1.5〜2倍の勢いで売れている。

トヨタの販売店へ、ライズの購入ユーザー層についてたずねてみると「ライズのお客様は、年齢層が幅広い。『ヴォクシー』のようなミニバンからのダウンサイジング、あるいは『ヴィッツ』や『ヤリス』のようなコンパクトカーからの乗り替えが目立っている。発売直後でもあるから、グレードは最上級の『Z』が売れ筋になっている」とのことだ。

ありそうで無かった“無骨な外観”と“5ナンバー”“5ドア”の組み合わせ

スタイリッシュな外観が人気のトヨタ「C-HR」

スタイリッシュな外観が人気のトヨタ「C-HR」

近年は、各メーカーがSUVのラインアップを増やしていることもあって、選択肢は豊富だ。そのなかでも、たとえばC-HRやヴェゼルのように、サイドウィンドウの下端をうしろへ持ち上げているタイプのSUVがこれまでは人気だった。スポーティーで躍動感があり、都会的な印象を受ける。「速そうに見える外観」とも言えるだろう。

トヨタ「ライズ」のフロントエクステリアとリアエクステリア

トヨタ「ライズ」のフロントエクステリアとリアエクステリア

その点、ライズのエクステリアは水平基調だ。フロントマスクに厚みがあり、前輪駆動ベースのSUVながら、後輪駆動を基本にした悪路向けオフロードSUVに近いデザインだ。トヨタ「RAV4」に似ていて、外観に力強さがある。ライズは、これまで主流だったSUVとは、外観デザインからかなり異なっている。

さらに、ライズのボディサイズは全長が3,995mm、全幅が1,695mmと5ナンバーサイズで手ごろだ。もし、RAV4がほしいと思ったとしても、4,600(全長)×1,855(全幅)×1,685(全高)mmの大きすぎるボディサイズがネックとなる。実際に、車庫に入らないなどで購入を諦めた方も多いことだろう。また、ヴェゼルやCX-3などのコンパクトなSUVでも、全幅は1,700mmを超える3ナンバー車だ。その点、ライズの5ナンバーというボディサイズは、とくに狭い路地などが多い日本において取り回ししやすいことから、購入の選択肢にも入りやすいはずだ。

スズキ「クロスビー」

スズキ「クロスビー」

スズキ「ジムニーシエラ」

スズキ「ジムニーシエラ」

ライズのような5ナンバーサイズのSUVが、日本にまったく存在しないわけではない。スズキ「クロスビー」や、スズキ「ジムニーシエラ」がそれに当たる。だが、クロスビーの外観は空間効率にすぐれたハイトワゴン風で、ジムニーシエラは3ドアボディだ。5ドアと5ナンバーサイズを両立させている使い勝手のいいSUVは、現時点ではライズ、ロッキーのみだ。

東京モーターショー2019に出展していたダイハツ「ロッキー」(※当時は発売前なので「新型コンパクトSUV」として出展)

開発を担当したダイハツのエンジニアは、「東京モーターショー2019に出展したロッキーの説明をしていたら、多くのお客様から『MT(マニュアルトランスミッション)は選べないのか?』とたずねられた」とコメントしている。ライズやロッキーには、MTで運転したくなるような、いわばスズキ「ジムニー」のような雰囲気があるのだろう。

ライズは、コンパクトSUVという流行に沿ったクルマでありながらも、オフロードの走破性が高そうな力強い外観、全幅を1,695mmに抑えた5ナンバーサイズのボディ、MTと親和性のよさそうなアクティブな雰囲気など、ほかの車種とは異なる個性が備わる。ありそうで無かったクルマ、そこが好調な販売台数へと結び付いているのだろう。

また、ライズはトヨタ4系列の全店(4,900店舗)で販売されていることも好調の理由だ。日産(2,100店舗)やホンダ(2,200店舗)に比べると2倍以上の販売網があり、1店舗が2台売れば9,800台だから、2020年2月の登録台数(9,979台)とほぼ同等になる。

ホンダ「ヴェゼル」の2020年2月の登録台数は3,544台だから、1万台近くに達したライズに比べれば少ない。だが、ホンダの2,200店舗で割ると1店舗平均は1.6台と、決して少ない台数ではない。トヨタ車が売れる背景には、店舗数も影響している。

トヨタ「ライズ」やダイハツ「ロッキー」は外観のよさだけでなく、運転のしやすさや後席、荷室の広さなど、さまざまな面において使いやすい「ちょうどいいSUV」だ

トヨタの販売店によると「ライズを購入するお客様は、これで十分と感じて購入している。全長は約4mと短いが、後席や荷室はさほど狭くない。C-HRと同等の実用性があり、ボディはコンパクトで視界もいいから、運転しやすい。外観はRAV4を小さくした印象で、存在感がある。C-HRを目当てに来店されたお客様が、検討した結果ライズを選ぶことも少なくない」と話す。

2019年のC-HRの販売台数は、ライズの発売前からすでに前年比で30%前後減っていた。そのため、ライズがC-HRの顧客を奪って販売台数を伸ばしているとは言い切れないが、上記のトヨタ販売店の話などもあり、C-HRの販売減少はライズの影響も少なからずありそうだ。

パッケージングやボディデザインのよさから、今後も人気を獲得していきそうなライズ。ライズは、「モデリスタ」や「TRD」などカスタムパーツも豊富に取り揃えている。「ほかのひととは違う、自分だけのクルマを手に入れたい」という人にもマッチすることだろう。

軽ハイトワゴンばかりが売れる昨今としては、ライズやロッキーのような普通車が人気になることは喜ばしいかぎりだ。そして、ライズやロッキーを開発したのがいままで軽を主体に開発したダイハツということから、今後発売される新型車にも期待できそうである。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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