レビュー
魅力的なSUVだからこそ、しっかりと吟味したい

売れているトヨタ 新型「ハリアー」の「いいところ、悪いところ」

トヨタでSUVと言えば、真っ先に思いつくのが「ハリアー」だろう。2020年6月17日には、4代目の新型モデルも発売された。

4代目のトヨタ 新型「ハリアー」は、トヨタ全ディーラーで購入することが可能となった

4代目のトヨタ 新型「ハリアー」は、トヨタ全ディーラーで購入することが可能となった

以前のハリアーはトヨペット店の専売モデルだったのだが、2020年5月にトヨタが国内全店で全車種販売を開始したことから、今はすべてのトヨタディーラーでハリアーを購入することができるようになった。もともと人気が高かったハリアーだが、全店全車種販売によって販売数は伸びており、新型モデルが発売されたこともあって購入を考えている方も多いことだろう。

そこで、当記事では新型ハリアーの実車に触れ、各グレードに試乗した筆者が感じた○(いいところ)と×(悪いところ)を、それぞれ5つずつピックアップしてみた。とくに、購入を検討されている方は×について確認いただき、できれば販売店の試乗車などに乗ってみて不満を感じないか、しっかりとチェックしてみてほしい。

新型「ハリアー」の○なところ(いいところ)

1.先代に比べて乗り心地が向上

先代(3代目)ハリアーは、発売当初は足まわりが比較的やわらかく設定されており、走行安定性に不満があった。そして、改良によって走行安定性が改善されると、今度は乗り心地が硬めになってしまった。

新型「ハリアー」ハイブリッド車の走行イメージ

新型「ハリアー」ハイブリッド車の走行イメージ

だが、新型ハリアーでは、その欠点が解消されている。時速40km以下では少し硬めに感じるが先代のような粗さはなく、時速50km以上になれば路面の凹凸などの衝撃も少なくなり、快適に走行することができる。

タイヤサイズは、売れ筋グレードのGが18インチ、上級グレードのZでは19インチが装着されている。ボディの軽いNAエンジン車は、18インチと相性がいい。なお、ハイブリッド車は車重が増えるために、18インチでは走行安定性が少し物足りなくなる。19インチなら、乗り心地は18インチよりも少し硬めになるもののグリップ力が高まって安定し、走りが引き締まる。

2.ハイブリッドの加速が滑らかで、ノイズが小さい

新型「ハリアー」ハイブリッド車に搭載されている2.5L直列4気筒エンジン

新型「ハリアー」ハイブリッド車に搭載されている2.5L直列4気筒エンジン

新型ハリアーのエンジンやプラットフォームは、基本的に「RAV4」と共通だ。ハイブリッド車は2.5L直列4気筒エンジンが搭載されていてパワーに余裕があり、モーター駆動との併用によって動力性能は3LのNAエンジンに匹敵する。登坂路でアクセルペダルを深く踏み込めば、わずかに粗いノイズが聞こえるが、走行音は静かで上質感があり、滑らかな加速が味わえる。

3.足まわりが柔軟な割に走行安定性が良好

新型「ハリアー」NAエンジン車の試乗イメージ

新型「ハリアー」NAエンジン車の試乗イメージ

乗り心地に配慮した足まわりのため、コーナーを曲がったり車線変更をするときにはそれなりにボディは傾く。だが、挙動変化は穏やかで唐突感は抑えられているので、走行安定性は納得できる仕上がりになっている。乗り心地を含めて、ボディや足まわりはすぐれていると言えるだろう。

4.ハイブリッド車の後席の座り心地が快適になった

新型「ハリアー」ハイブリッド車のリアシートは、先代に比べて乗り心地が改善されている

新型「ハリアー」ハイブリッド車のリアシートは、先代に比べて乗り心地が改善されている

新型ハリアーのハイブリッド車は、後席の下側に駆動用リチウムイオン電池が収められているが、先代と違って座面の底突き感が抑えられて快適になった。なお、新型ハリアーの後席の足元空間は、身長170cmの大人4名が乗車して膝先に握りコブシが2つ入るくらいだ。LサイズのSUVとしてはそこそこの広さだが、後席に座る乗員の足が前席の下に収まるので窮屈感は覚えない。

5.内装の質感が高い

新型「ハリアー」ハイブリッド車のインテリア

新型「ハリアー」ハイブリッド車のインテリア

売れ筋価格帯が350〜500万円に達することもあって、内装は上質だ。インパネ上面は樹脂を意識させるが、室内側のパネルにはステッチ(縫い目)が入り、ていねいに造り込まれている。前席中央の、コンソールボックス付近の造りも上質に仕上げられている。

新型「ハリアー」の×なところ(悪いところ)

1.NAエンジンはパワー不足で、アイドリングストップも非装着

新型「ハリアー」NAエンジン車の走行イメージ

新型「ハリアー」NAエンジン車の走行イメージ

新型ハリアーのNAエンジン車には、2L直列4気筒エンジンが搭載されている。動力性能と車重のバランスは、ミドルサイズミニバンと同程度だ。したがって、実用的な加速性能に不満はないのだが、300万円を超えるSUVとしては動力性能がやや物足りない。4,500rpm付近から加速が活発になるものの、実用域の駆動力は弱めだ。また、高速道路や峠道などでアクセルペダルを深く踏み込むと、エンジンからのノイズが耳につく。

さらに、NAエンジン車にはアイドリングストップが装着されていない。なぜ、アイドリングストップが装着されないのかという点について、「ひんぱんにアイドリングの停止と再始動を繰り返すと、ノイズがわずらわしいため」と開発者は説明するが、マイルドハイブリッドならモーター機能付き発電機がベルトを介して再始動するので静かだ。今は、この方式が軽自動車にも採用されている。今は、信号停止でのアイドリングを嫌うユーザーも増えているので、オプションでもいいのでアイドリングストップは用意しておいてほしかった。

2.後方視界や小回り性能がよくない

新型「ハリアー」のフロントエクステリアとリアエクステリア

新型「ハリアー」のフロントエクステリアとリアエクステリア

新型ハリアーは、サイドウィンドウの下端が高めでボディ後端のピラーが太いので、後方視界があまりよくない。最小回転半径も、17、18インチタイヤ装着車は5.5m、19インチタイヤは5.7mと大回りだ。ボディサイズも、全長が4,740mm、全幅が1,855mmと上級SUVの中でも大きめだ。購入前に、販売店の試乗車などを使って小回り性能や視界、車庫入れや縦列駐車などを確かめておきたい。

3.リアウインカーの位置が低く、後続車の視認性がよくない

新型「ハリアー」のウインカーは、一般的なウインカーと比べてかなり低い位置に設置されている

新型「ハリアー」のウインカーは、一般的なウインカーと比べてかなり低い位置に設置されている

新型ハリアーのボディ後部は、ウインカーの位置が特徴的だ。リアウィンドウのすぐ下側に装着されるのはブレーキランプだけで、ウインカーはバンパーの両側(リヤゲートよりも下)に装着されている。ブレーキランプが高い位置にあるため、後続車のドライバーはウインカーも同様の位置にあると誤解しやすいだろう。また、渋滞時などで車間距離が短いときなどには、後続車のドライバーの視野からウインカーが外れやすい。このデザインを採用した理由を開発者にたずねると「テールランプを横一文字の形状にしたかった」とのこと。ウインカーの視認性が悪化しているという点において、注意が必要だ。

4.ステアリングヒーターや助手席の電動調節機能が「本革シート車」だけ

上級のZグレードでも、電動調節機能が装着されるのは運転席だけで、助手席は手動調節だ。ステアリングヒーターや快適温熱シートなども備わらない。これらを装着するには、シート生地が本革になる「レザーパッケージ」を選ぶ必要があり、価格は30万円高くなる。Zグレードの価格は、2WDのNAエンジン車で393万円、ハイブリッドで452万円と高めなので、せめて助手席の電動調節機能は標準で装着してほしかった。上級SUVならば、必須の装備だからだ。

5.新型ハリアーは高級だが、価格も高い

新型ハリアーで、最も安価なNAエンジンを搭載したSグレードの2WDは299万円だが、アダプティブハイビーム(ハイビーム状態を保ちながら、対向車や先行車の眩惑を防ぐ機能)や運転席の電動調節機能、リヤゲートの電動機能などが装着されない。上級SUVとしての機能の多くが省かれていることから、Sグレードは選びづらく、G以上のグレードを選択することになるだろう。Gグレードの価格(2WD)は、NAエンジン車が341万円、ハイブリッド車は400万円だ。新型ハリアーは価格が高く、特にNAエンジン車のZレザーパッケージは、4WDになると443万円になる。2LのNAエンジンを搭載した車種としては、価格が際立って高い。

新型ハリアーの価格を、RAV4やマツダ「CX-5」と比較すると、装備の違いを補正しても新型ハリアーが30〜35万円上回る。この金額が、ハリアーの高級感の対価と言えるだろう。

まとめ

以上のように、新型ハリアーは安定感の高い走行性能は魅力的だが、2L NAエンジンの動力性能不足には不満を覚えるかもしれない。また、内装の質感が高く装備も充実しているのだが、価格が相応に高まってしまう。新型ハリアーは、日本のユーザーが意識する“高級感”を研究して開発されたクルマなので、所有すれば“いいクルマ”と感じさせてくれることだろう。だからこそ、新型ハリアーが愛車になったときに前述の弱点が気にならないか、不便を覚えないかをしっかりと吟味しておこう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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