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RSグレードには新たに「6速MT」を搭載!

2020年秋にフルモデルチェンジ。 新型「N-ONE」の外観が変わらない理由

ホンダが発売している軽自動車、「Nシリーズ」の販売が好調だ。その筆頭となる「N-BOX」は2017年に、「N-WGN」は2019年にフルモデルチェンジされているが、「N-ONE」は2012年に発売されてから約8年もの間フルモデルチェンジされていなかった。だが、そんなN-ONEも新型モデルがいよいよ2020年秋に発表される。

その新型の発売に先駆けてエクステリアやインテリア、装備など一部の情報が2020年9月11日に先行公開されたので、現在わかっている情報や新型の魅力などについてお伝えしよう。

左が新型「N-ONE」で、右が先代「N-ONE」の外観イメージ。ヘッドライトやグリルなど、細かな個所に変更が施されているが、全体的なイメージは変わっていない

まず、公開された新型N-ONEの外観を見て驚いた。ここまで変化の少ないフルモデルチェンジは、今どきめずらしい。エンジンやプラットフォームは、現行型のN-BOXやN-WGNと共通の新しいタイプに刷新されるが、外観はほとんど変わっていない。その理由は、N-ONEの外観が1967年に発売された軽自動車の「N360」をモチーフにしているからだろう。

ホンダ「N360」の外観イメージ

ホンダ「N360」の外観イメージ

N360は、ホンダが4輪車市場へ本格参入することになった最初のクルマで、それまで扱ってきたスポーツカーの「Sシリーズ」とはカテゴリーが異なる。エンジンを横向きに搭載する前輪駆動が採用され、当時の軽自動車としては車内が広くて動力性能もすぐれていた。N360の空間効率や走りのよさは、今のホンダ車にも大切に継承されている。そうなると、「N-ONEの外観を変えたくても、変えられなかった」というのが本音かもしれない。

新型「N-ONE」のサイドイメージ

新型「N-ONE」のサイドイメージ

ホイールベースは、N-BOXやN-WGNを含めて新旧ともに2,520mmと共通だ。現行N-BOXの外観も、標準ボディは先代型に似ており、新型N-ONEではこの傾向がさらに強まった。ちなみに、N-ONEの外観を変化させる方法がひとつだけある。それは、N-ONEの妙に高く見えるボンネット、ルーフ、ウィンドウの位置を下げて、フロントウィンドウの角度を立てることだ。そうすれば、N360のリアルな拡大コピー版になるだろう。N360の2,995(全長)×1,295(全幅)×1,345(全高)mmの小さなボディを、すべて1.13倍すると、3,384×1,463×1,520mmになる。このボディサイズは、ちょうどスズキ「アルトラパン」くらいの全高で、N360にソックリな軽自動車に仕上がり、縦長に見える違和感も解消されるはずだ。

ただし、そのためにはエンジンを新開発せねばならない。Nシリーズのエンジンは、背の高い軽自動車に積むことを前提に開発され、室内長を伸ばすために補機類の配置も含めて縦長になるからだ。したがって、歩行者保護性能も考慮すれば、ボンネットは下げられない。スポーツカーの「S660」も、エンジンを前側に積むことはもともと不可能で、必然的に座席の後部に搭載するミッドシップになった経緯がある。

新型「N-ONE」に採用されている「LEDデイタイムランニングランプ」。外形に沿ったリング型のランプが点灯し、走行時の視認性を高める。また、ターンランプ使用時にはリングがウインカーとして点滅する

このような事情から、新型N-ONEは先代型の外観を踏襲しているのだが、変更点もある。丸型ヘッドランプの周囲には、リング状のLEDデイタイムランニングランプが装着されている。昼間も点灯して他車からの視認性を向上させるとともに、方向指示器を作動させるとリングがオレンジ色に点滅してウインカーとしても動作する。

上から「オリジナル」「プレミアムツアラー」「RS」グレードの外観イメージ

上から「オリジナル」「プレミアムツアラー」「RS」グレードの外観イメージ

新型N-ONEのグレードは、ベーシックな「オリジナル」、上級の「プレミアム」「プレミアムツアラー」、スポーティーな「RS」に分類され、フロントグリルの形状もそれぞれ異なる。プレミアムとプレミアムツアラーは水平基調で質感を高めており、RSはハニカム(蜂の巣)状だ。

ボディ形状は、先代型では全高が1,610mmの標準タイプと、1,545mmのローダウンタイプが用意されていたが、新型の外観を見るかぎりでは、ローダウンタイプに統一されるようだ。ローダウンタイプなら、立体駐車場が使いやすい。N-BOXの全高は1,790mm、N-WGNも1,675mm(数値はすべて2WD)なので立体駐車場は使いにくいのだが、ローダウンされたN-ONEなら1,550mm以下なので、利便性が向上する。都市部では、立体駐車場が使えるかどうかも大事なセールスポイントだ。さらに、全高がN-WGNと比べて100mm以上低ければ、室内高が減る代わりに重心が下がる。これは、走行安定性を確保するうえで有利になる。

エンジンの組み合わせは先代型と同様で、ベーシックとプレミアムはノーマルタイプ、プレミアムツアラーとRSはターボを搭載する。

新型「N-ONE」のRSグレードには6速MTモデルが用意されている。ギア比はクロスレシオ化されている

新型「N-ONE」のRSグレードには6速MTモデルが用意されている。ギア比はクロスレシオ化されている

注目は、RSへ新たに6速MT(マニュアルトランスミッション)が用意されることだ。先代型の時点でも、ホンダカーズ(ホンダの販売店)から「N-ONEのお客様にはクルマ好きが多く、MTを希望されることもある」という話を聞いていた。新型は、このニーズに対応する。先代N-ONEの発売後、S660やN-VANに6速MTが採用されたので、新型N-ONEも搭載可能になったのだろう。

新型「N-ONE」のインパネデザイン

新型「N-ONE」のインパネデザイン

このほか、フロントシートには新たに「セパレートシート」が採用されている。先代N-ONEは、N-BOXやN-WGNと同じくリラックスして座れる幅の広いベンチタイプだったので、新型は左右が分割されるセパレートタイプにして、スポーティー感覚を強めている。

装備面では、安全運転支援システムの「Honda SENSING」が進化する。衝突被害軽減ブレーキは、N-WGNなどと同じく夜間の歩行者や昼間の自転車検知が可能だ。車間距離を自動制御できるクルーズコントロールも、全車速追従型になる。さらに、パーキングブレーキがN-WGNと同じく電動式になるため、前走車に追従して停車するとパーキングブレーキを自動的に作動させ、クルーズコントロールを作動させたまま停車を続けることができる。

グレードごとの装備を見ると、ベーシックグレードのオリジナルでも充実している。Honda SENSINGのほか、フルLEDヘッドライトやナビ装着用スペシャルパッケージなどが標準装備される。

プレミアムとプレミアムツアラーは、プレミアム専用のエクステリアが採用されて質感が高められており、本革巻きのステアリングホイールやアルミホイールなどが標準装備される。アルミホイールのサイズは、ノーマルエンジンが14インチ、ターボのプレミアムツアラーは15インチだ。

RSは、RS専用のエクステリアのほか、本革巻きステアリングホイールなどがスポーティーな専用デザインのものに変更され、15インチのアルミホイールはマットブラックに塗装される。

新型N-ONEは、グレードごとのデザインに特徴を持たせ、ストライプなどの外装ディーラーオプションパーツも豊富に用意されている。その背景にあるのは、先代型の人気低迷だ。先代N-ONEは、2012年の発売直後は堅調に売れていたが、2013年に実用的で割安なN-WGNが加わると、売れ行きが伸び悩んだ。先代N-ONEの発売時に公表されていた販売目標は1か月当たり1万台だったが、2014年は約2,900台にとどまっている。また、2014年にはスズキの軽SUV「ハスラー」が登場して大ヒットしたことも、N-ONEの販売台数に影響した。N-ONEの2019年の販売台数(1か月平均)を見ると1,289台と、N-BOXの21,125台、N-WGNの2,699台と比べて少ない。

実用性の高い軽自動車を求めるのであれば、N-BOXとN-WGNがあればこと足りてしまう。そこへN-ONEを加えるのならば、デザインや質感、装備などにおいて強い個性や魅力が求められる。「N360をモチーフにした、N-WGNよりも少し背の低い軽自動車」というだけでは、ほかのNシリーズに比べてインパクトが不足している。そのために、6速MTなどが採用されたということもあるのだろう。新型N-ONEは、全体的に見ると走りを重視したフルモデルチェンジになりそうだ。細かなスペックや改良個所など、未公表の情報も多いので、正式な発表時にはどんな魅力を身につけているのかに期待したい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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