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フロントグリルを刷新し、安全性能を大幅に強化!

日産「エルグランド」がマイナーチェンジ!価格やグレードを先取り解説

Lサイズミニバンとして知名度の高い日産「エルグランド」が、マイナーチェンジを実施する。日産の販売店によると「2020年9月下旬には、すでに受注を開始している。正式な発表は、10月12日になる」と言う。

2020年10月12日に正式発表予定の、日産 新型「エルグランド」。マイナーチェンジによって、フロントフェイスなどエクステリアが刷新されるほか、安全性能が大幅に強化される

2020年10月12日に正式発表予定の、日産 新型「エルグランド」。マイナーチェンジによって、フロントフェイスなどエクステリアが刷新されるほか、安全性能が大幅に強化される

エンジンは、従来と同じ2.5L 直列4気筒と3.5L V型6気筒の2種類で、ハイブリッドモデルは設定されない。基本的なメカニズムは、従来のエルグランドを踏襲する。販売店で独自調査した、主なグレードと価格については以下のとおりだ。

■日産 新型「エルグランド」のグレードと価格(2WD)※販売店調べ
-3.5L V型6気筒エンジン搭載車-
・350ハイウェイスタープレミアム(7人乗り):5,054,500円
・350ハイウェイスター(7/8人乗り):4,478,100円

-2.5L 直列4気筒エンジン搭載車-
・250ハイウェイスタープレミアム(7人乗り):4,449,500円
・250ハイウェイスターS(7/8人乗り):3,694,900円

-メーカーオプション-
・右側スライドドアの電動機能(250ハイウェイスターS):77,000円
・リモコンオートバックドア(250ハイウェイスターS):143,000円
・インテリジェントアラウンドビューモニター:66,000円

日産 新型「エルグランド」のフロントエクステリアとリアエクステリア

日産 新型「エルグランド」のフロントエクステリアとリアエクステリア

比較として、日産 現行「エルグランド」のフロントエクステリア(250Highway STAR Premium Urban CHROME 2WD)

比較として、日産 現行「エルグランド」のフロントエクステリア(250Highway STAR Premium Urban CHROME 2WD)

まず、外観の変更点として目立つのは、フロントマスクのデザイン変更だ。メッキタイプのフロントグリルは、トヨタ「アルファード」のようなキメ細かな形状になり、質感を向上させた。

日産 新型「エルグランド」のインテリア

日産 新型「エルグランド」のインテリア

内装は、インパネ中央付近の形状が刷新される。カーナビはすべてディーラーオプションになり、画面サイズを従来の8インチから10インチに拡大。車両の周囲を上空から見たような映像に合成して表示する「インテリジェントアラウンドビューモニター」などは、画面の拡大によって視認性が向上する。

また、カーナビ画面の下側に装着されるATレバーやエアコンのスイッチは、すっきりと洗練されたデザインに変わる。助手席の前側まで伸びる装飾パネルも、現行モデルに比べて光沢が抑えられており、抑制を効かせて質感を高めている。

そして、内外装のデザイン以外で注目したいのが、安全装備の充実だ。衝突被害軽減ブレーキは、ドライバーから見えない2台先を走る車両まで検知して、前方で異常があったときに早期に警報を発する「インテリジェントFCW」(前方衝突予測警報)が加わる。さらに、後方を走る並走車両を知らせたり警報を発する「インテリジェントBSI」(後側方衝突防止支援システム)や「BSW」(後側方車両検知警報)のほか、後退しながら車庫から出るときなどに後方の車両接近を知らせる「RCTA」(後退時車両検知警報)も採用される。「標識検知機能」は、従来の進入禁止に加えて、新たに最高速度と一時停止の検知が可能となった。

日産 新型「エルグランド」の3列シート

日産 新型「エルグランド」の3列シート

半面、2列目シートのシートベルトは、セパレートタイプのキャプテンシートでも従来と同じくピラー(柱)から引き出すタイプだ。2列目シートがキャプテンシートの場合、さまざまな着座姿勢が想定される。3列目シートを使わないときは、スライド位置を後方に寄せて背もたれを倒し、オットマンを持ち上げて寝そべったような姿勢で座ることも考えられる。この状態で衝突しても、シートベルトを乗員に密着させて効果的に作動させるため、キャプテンシートの2列目シートでは、シートベルトをピラーではなく、背もたれの上側から引き出すのがいまは常識だ。しかし、エルグランドの場合、以前と同じくピラーから引き出すタイプで変更されていない点が気になる。

ちなみに、日産「セレナ」はベンチタイプ、キャプテンシートともに、2列目シートのシートベルトは背もたれの上側から引き出すタイプだ。エルグランドは上級SUVなのに、シートベルトの機能がセレナに比べて劣っている。

また、ボディカラーも刷新された。基本色は、ディープクリムゾン(ワインレッド)、ブラック、ホワイトパール、ダークメタルグレーの4色。これに、ディープクリムゾンをベースにして、ルーフがブラックに塗装された2トーンが加わる。

250、350ハイウェイスタープレミアムには本革シートが装着され、装飾がブラックウッドになる。そして、250ハイウェイスターSと350ハイウェイスターは、シート生地が織物で装飾はブラウンウッドだ。なお、特別仕様車としてオーテック仕様も選べる。

価格は、冒頭にも記載しているが、売れ筋の250ハイウェイスターS(7/8人乗り)が3,694,900円、250ハイウェイスタープレミアム(7人乗り)が4,449,500円だ。両グレードともに、従来型に比べて約10万円値上げされている。だが、安全装備が充実したことを考えれば、妥当な金額だろう。

最後に、現行エルグランドは2010年に発売されたので、今年で10年が経過している。それなのにフルモデルチェンジを見送った理由のひとつとして、少子高齢化もあって今後のミニバン市場が見通せないことがあげられる。特に、日産の場合は車種ごとの販売格差が激しい。セレナは、2020年の登録台数がコロナ禍においても1か月平均で6,000台に達したが、エルグランドは300台だ。販売台数はセレナの5%にとどまる。

そして、エルグランドはLサイズミニバンのわりに空間効率が低い。3列目シートに座ると、膝が持ち上がって窮屈だ。いっぽう、セレナはミドルサイズでも自然な姿勢で快適に座れる。さらに、3列目シートのたたみ方も異なる。エルグランドの3列目シートは、床面に向けて倒すので、広げた荷室の床が3列目シートの厚みで持ち上がってしまう。これでは大きな荷物を積みにくいが、セレナは左右に跳ね上げる方式で荷室の床が低いので、荷物が積みやすい。

今の日産のミニバンは、セレナが支えている。セレナはいわば優等生だから、エルグランドにもしフルモデルチェンジが施されても売れ行きを伸ばせるかは、わからない。そうなると、エルグランドを廃止するという選択もあるのだが、ライバル車のアルファードは、2020年に1か月平均でセレナをも上回る6,500台を登録している。最近は、「フーガ」や「シーマ」のようなLサイズセダンから、Lサイズミニバンに乗り替えるユーザーも見られるため、エルグランドを廃止するのは惜しい。こういった思わくがからんだ結果、マイナーチェンジが実施された。

このような迷いは、エルグランドにかぎらず、ミニバン市場全体に当てはまるだろう。環境技術や自動運転への投資で、販売が低調で将来性が危ういミニバンはリストラしたいが、引き際を見極めにくい。最終型のエスティマも、発売から10年が経過してマイナーチェンジが施され、その約3年後には廃止された。エルグランドも、エスティマと同じ道をたどるのは、少しばかり寂しい。上級ミニバンとしての伝統を築き上げたのだから、今後も継承し続けてほしい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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