レビュー
アウトランダーPHEVと同じ、2.4L 直4+ツインモーターを搭載!

2020年12月発売! 新たに追加された三菱「エクリプスクロスPHEV」に試乗

2020年10月15日、三菱自動車はクロスオーバーSUV「エクリプスクロス」のマイナーチェンジモデルの予約受注を開始した。

2020年12月、三菱「エクリプスクロス」のマイナーチェンジモデルが発売される。内外装が変更されるほか、新たにPHEVモデルが追加されるのがトピックのひとつだ

2020年12月、三菱「エクリプスクロス」のマイナーチェンジモデルが発売される。内外装が変更されるほか、新たにPHEVモデルが追加されるのがトピックのひとつだ

発売は、2020年12月が予定されている。新型エクリプスクロスにおける最大のニュースは、“待望”と言えるPHEV(プラグインハイブリッド車)が追加設定されたことだ。今回、新型エクリプスクロスのPHEVモデルをショートサーキットで試乗することができたので、その実力を探ってみよう。

クーペとSUVの融合を目指した、ユニークなモデル

エクリプスクロスは、2018年3月から日本での発売を開始した。カテゴリーとしては、Cセグメントに位置する流行のクロスオーバーSUVである。

画像は、マイナーチェンジ前の「エクリプスクロス」

画像は、マイナーチェンジ前の「エクリプスクロス」

惜しまれながら生産を終える名車「パジェロ」を筆頭に、クロカンやSUV、そして4WD技術に関して、三菱は世界に誇る自動車メーカーであった。エクリプスクロスのようなクロスオーバーSUVは後発だが、そのぶんSUVとクーペの融合といった斬新なデザインや独自の4WDシステム、そしてすぐれたハンドリングなどを有することで、一定のポジショニングを維持してきた。

これほど待ち焦がれたクルマも、めずらしい

PHEVに関して、三菱ではすでに「アウトランダーPHEV」がラインアップされていたが、発売開始は2013年1月なので、ビッグマイナーチェンジによる性能向上やデザイン変更は行われているものの、時間としてはかなり経過していた。ゆえに、エクリプスクロスの発表時に、当時の益子修社長が「このクルマも電動化する」と明言したことから、その動きには注目が集まっていた。そして今回、新型エクリプスクロスでは待ちに待ったPHEVモデルが追加されただけでなく、内外装を含めた大幅な変更が施されて商品力を強化。同社が持つコアバリューをひっさげて、登場したのである。

え、クリーンディーゼルは廃止?

今回のビッグマイナーチェンジでは、2.2Lクリーンディーゼル車がラインアップから落ちていることがわかった。1.5Lガソリンターボ、2.2Lクリーンディーゼルターボ、そして今回の2.4L PHEVの3本立てによる豊富な選択肢を期待していたのだが、PHEVとの入れ替えになった。正直、残念ではあるが、これに関しては2020年7月27日に同社が発表した「中期経営計画」において、国内事業は「PHEVを軸とした環境車販売強化」を宣言しており、そこからも「選択と集中」であることが理解できる。それだけに、エクリプスクロスはPHEVも含め、同社の経営を左右する重要なモデルであることは間違いないはず。それだけの重圧の中で登場する以上は、並みの変更では顧客も満足しないだろう。期待を胸に、実車が待つFSW(富士スピードウェイ)のショートサーキットへと乗り込んだ。

エクステリアの変更は「ここまでやるか!」

三菱 新型「エクリプスクロス」のフロントエクステリア

三菱 新型「エクリプスクロス」のフロントエクステリア

三菱 新型「エクリプスクロス」のリアエクステリア

三菱 新型「エクリプスクロス」のリアエクステリア

現地に到着し、実車と対面した瞬間に「何か違うな」と感じた理由は、わずか数秒で理解できた。新型エクリプスクロスでは、リアゲートに組み付けられたダブルウィンドウが廃止され、テールゲート周りを改良することでシングルウィンドウへと変更されている。

画像は、上がマイナーチェンジ前、下がマイナーチェンジ後の「エクリプスクロス」のリアイメージ。リアガラスやテールランプなどに、改良が施されている

画像は、上がマイナーチェンジ前、下がマイナーチェンジ後の「エクリプスクロス」のリアイメージ。リアガラスやテールランプなどに、改良が施されている

これまでのエクリプスクロスは、クーペのようなスタイリッシュな造形が特徴的だったが、新型ではSUV色がより強められている印象を受けた。リア周辺はワイド感が強調され、ここだけ見れば「まったくの新型車ではないか」と思えるほどの変更が施されている。

新型「エクリプスクロス」のフロントフェイス。マイナーチェンジ後は、ヘッドライトの位置が「デリカD:5」や「eKクロス」などと同様、通常はフォグランプが存在する中央サイドの位置へと変更されている

新型「エクリプスクロス」のフロントフェイス。マイナーチェンジ後は、ヘッドライトの位置が「デリカD:5」や「eKクロス」などと同様、通常はフォグランプが存在する中央サイドの位置へと変更されている

また、全体を見ても、前後のオーバーハングが140mm拡大され、フロント周りは現在の三菱のデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」に基づき、文字通りダイナミックかつ滑らかな造形へと仕上げられている。写真よりも、実車のほうがライト周りなどに彫刻のようなエッジが効いているのがわかる。

外板色に関しては、7色が設定されている。エクリプスクロスと言えば、有償色と言うイメージが強い。サッカーファンならば「おお」と思ってしまう、鮮やかな「レッドダイヤモンド」と言うボディカラーがイメージ訴求色だったのだが、同カラーの好調を受け、今回「ホワイトダイヤモンド」という新色が設定された(有償色)。

新型「エクリプスクロス」のサイドイメージ

新型「エクリプスクロス」のサイドイメージ

試乗当日はあいにくの悪天候だったのだが、それでもボディサイドの造形、言い換えればフロントからリアフェンダーにかけてのハイライトが強調される点など、ホワイトダイヤモンドは、従来とはひと味違って見える。三菱では、この2色を「ダイヤモンドカラーシリーズ」として訴求していくのだそうだ。

インテリアは小変更だが、見どころ多し

新型「エクリプスクロス」のエクステリアと、シフトノブ周り

新型「エクリプスクロス」のエクステリアと、シフトノブ周り

インテリアに関しては、基本造形に大きな変更は施されていない。しかし、PHEV化によって専用コンビネーションメーターやシフト設定のほか、エアコンのスイッチ類などが刷新されている。そして、今では当たり前になりつつあるスマートフォンを接続してカーナビや各種アプリを使いこなせる同社独自の「SDA」(スマートフォン連携ディスプレイオーディオ)も、従来の7インチから8インチへとサイズアップされた。短時間の試乗だったので多くは試せなかったが、トップ画面が刷新されておりUI(ユーザーインターフェース)も改善されている。

新型「エクリプスクロス」のフロントシートと、リアシート [ライトグレーの本革シート仕様]

新型「エクリプスクロス」のフロントシートと、リアシート [ライトグレーの本革シート仕様]

シートに関しては、スポーティーなイメージのインテリアを目指してバリエーションが拡充されている。グレードにもよるが、新たにスエード調素材と合成皮革を組み合わせたコンビネーションシートや、本革シートに関しては従来までのブラックにプラスして、ライトグレーが新設定されている。

特に、このライトグレーは、シートだけでなく、ドアトリム周辺も同色でコーディネートされ、車内の印象が明るくなる。このあたりは好みになるが、選択の幅が増えたことは歓迎したい。

待望のPHEVに試乗!

そして、いよいよ待望のエクリプスクロスPHEVの試乗である。実は、今回の試乗では詳細なスペックが公開されていない。わかっているのは、アウトランダーPHEVと同様の2.4L直4+ツインモーターによる方式ということくらいだ。

新型「エクリプスクロスPHEV」の試乗イメージ

新型「エクリプスクロスPHEV」の試乗イメージ

もともと、このシステム自体は前後2つのモーターを搭載することで、純粋なEVモードのほか、シリーズとパラレル、2つのハイブリッドモードによる走りが楽しめる点が大きな魅力なのだが、担当者によると基本設計に関しては大きな変更はないとのことだ。

ただ、そこでキモとなるのが「制御」の部分だろう。アウトランダーPHEVとエクリプスクロスPHEVでは、車重はもちろんクルマの性格も異なる。アウトランダーが、使い勝手も含めて実用性を重視するのに対し、エクリプスクロスPHEVは走りの部分を無視することはできない。

参考までに、アウトランダーPHEVのエンジンスペックは、搭載エンジンが2.4L直4ガソリンで、最高出力は94kW(128ps)/4,500rpm、最大トルクは199N・m(20.3kg-m)/4,500rpm。エクリプスクロスPHEVは、前述のとおりスペックは公表されていないが、エンジンの出力値などに関してはほぼ変わらないはずだ。

いっぽう、モーターに関しては、アウトランダーPHEVは最高出力が前後ともに60kW(82ps)/70kW(95ps)、最大トルクは前後で137N・m(14.0kg-m)/195N・m(19.9kg-m)。エクリプスクロスPHEVも、アウトランダーPHEVのこのスペックを中心に数値を固めてくるはずだ。

また、気になるEVの航続距離に関しては、アウトランダーPHEVは57.6km(WLTCモード)だが、エクリプスクロスPHEVも「ほぼ同等」になるとのこと。さらに、CHAdeMOによる急速充電を標準装備し、200Vの普通充電であれば満充電まで約4.5時間、急速充電の場合は約80%までは約25分という点も、アウトランダーPHEVと同等だ。

出だしの滑らかさに進化を感じる

新型「エクリプスクロスPHEV」の試乗イメージ

新型「エクリプスクロスPHEV」の試乗イメージ

エクリプスクロスPHEVの基本システムは、アウトランダーPHEVと大きな変更はなさそうだが、実際にサーキットへコースインする瞬間に感じたのが、走りの「滑らかさ」だ。バッテリーの残量は十分だったので、最初はEVモードで走り始めたのだが、車速ゼロからアクセルを軽く踏み込んだ際のフィーリングが、非常にていねいな印象を受けた。もちろん、後述するタイヤの性能や車重差なども考慮する必要はあるが、クルマがスッと前に出る感じに、躾け(しつけ)のよさを少し感じた。

新型「エクリプスクロスPHEV」の試乗イメージ

新型「エクリプスクロスPHEV」の試乗イメージ

もちろん、モーターならではの加速フィーリングに関しては、レスポンスのよさが大きな魅力だ。三菱によれば、30-50km/h時の全開時の追い越し加速などは、1.5Lターボ車を大きくしのぎ、さらに0-5mの全開加速ではあの「ランエボX」と同様とのこと。0-5mというのは走り出した瞬間のことだから、要は「瞬発力は、ランエボ並みですよ」ということなのだろう。

今回のPHEVには、1.5Lガソリンターボ車にはない、4WDのドライブモードが追加されている。三菱と言えば、S-AWCと呼ばれる「車両運動統合制御システム」が売りのひとつ。路面状況に応じて、常に最適に4輪を制御する独自技術だが、実際のドライブモードに関しては、ガソリン車が「ノーマル(エコ含む)」「スノー」「グラベル」だったのに対し、PHEVには乾燥舗装路に最適化した「ターマック」モードが追加されている。ちなみに、試乗当時はあいにくの悪天候だったので、このモードは使わずエンジニアおすすめの「スノー」や「グラベル」などを切り替えて試乗した。なお、切り替えスイッチも従来とは形状や設置位置を若干変更することで、アプローチしやすくなっている。

エコ性能に振りすぎている装着タイヤ

ドライブモードによる走りの変化は、コーナーリング時に車両のグリップも含めて追い込んでいくことで、姿勢変化なども感じることができたが、多くの場合は「ノーマル」で十分だろう。接地感があり、乗り心地も良好だ。操縦安定性も含め、基本性能の高さを十分に感じ取ることができた。

しかし、である。装着されているタイヤが、正直に言うと少しエコ性能に振りすぎているのではないか、と感じた。実は今回、比較車両としてアウトランダーPHEVにも試乗できたのだが、コース内に設置されているパイロンスラロームを通過する際、ハイスペックタイヤを履くアウトランダーPHEVのほうが、ロール感がともないつつもスムーズな転舵だった点が気になったのだ。

新型「エクリプスクロスPHEV」の試乗イメージ

新型「エクリプスクロスPHEV」の試乗イメージ

エクリプスクロスPHEVの場合、軽快感はあるのだが、リアモーターがしっかりと駆動力を出すのに対し、アンダーがどうしても出てしまった。筆者の運転スキルが低いと言われればそれまでだが、せっかくのシステムを生かすためには、もう少し操縦安定性に振ったタイヤのほうがいいと感じた。もし、筆者がこのクルマを購入したら、最初に行うのはタイヤ交換かもしれない。

PHEVのSUVを2モデル持っている強みを生かしたい

いよいよ予約が始まった新型エクリプスクロスだが、三菱によればガソリンモデルの価格は約255万円〜約335万円、そして注目のPHEVは約385万円〜約450万円(いずれも消費税込み)と言う。

アウトランダーPHEVは、最も高額な「S Edition」が5,294,300円になるが、このグレードはスペシャルモデルなので、装備面などで比較すると「G プレミアムパッケージ」の4,991,800円が近く、エクリプスクロスPHEVの最上位モデルとの価格差は45万円前後となる。

システムの共有化も含め、価格としては頑張ったほうだと思う。アウトランダーは、2022年度中にはフルモデルチェンジされると言われているが、今回エクリプスクロスを投入したことで、少なくとも国産メーカーではSUVとして2種類のPHEVを持つ独自の商品ラインアップになった。

両車とも、乗り味や利用目的などユーザーの嗜好に応じるポジションをしっかりと築き上げているが、何よりも「PHEVが欲しい」と思っている顧客に対し、人気のSUVカテゴリーの中から選択ができるという強みはしばらく続きそうだ。単純にエクリプスクロスを売るというよりは、「SUVのPHEVなら三菱」といった戦略で双方のシナジー効果を上げることで、販売やブランドイメージ向上にも寄与していくのではないだろうか。

高山正寛

高山正寛

ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ会員/20-21日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。1959年生まれ。リクルートで中古車情報誌「カーセンサー」の新車&カーAV記事を担当しフリーランスへ。ITSや先進技術、そしてカーナビ伝道師として純正/市販/スマホアプリなどを日々テストし布教(普及)活動を続ける。

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