レビュー
PHEVにも、ジープの個性があふれている

ジープ初のPHEVが日本で発売! 「レネゲード4xe」に試乗

2020年10月21日、ジープのコンパクトSUV「レネゲード」のプラグインハイブリッド車、「4xe(フォー・バイ・イー)」の日本導入が発表された。

2020年10月21日、ジープのコンパクトSUV「レネゲード」に、同ブランド初となるPHEVモデル「4xe」の日本導入が発表された

2020年10月21日、ジープのコンパクトSUV「レネゲード」に、同ブランド初となるPHEVモデル「4xe」の日本導入が発表された

レネゲード4xeは、ジープ初となるPHEVで、発売日は11月28日、価格は498万円からになる。今回、発売を前にレネゲード4xeの試乗会が催されたのでレポートしたい。

ジープならではのドライブモードをいくつも備える

まずは、レネゲード4xeの概要からお伝えしよう。1.3リッターガソリンターボエンジンと2基の電気モーター、6速オートマチックトランスミッション、リチウムイオンバッテリーを使ったプラグインハイブリッドシステムを搭載している。家庭用200V充電器や公共の充電設備などの外部電源から充電でき、モーターのみで最長48kmの走行が可能という。

1.3リッターガソリンターボエンジンは前輪を駆動し、リアには独立したモーター(定格出力60ps、最大トルク250Nm)を備え、状況に応じて後輪を駆動する。また、本格的なオフロード路を走行する場合には、パワーループを採用した2基の電気モーターによって、eAWDトラクション(四輪駆動)で走行することができる。

「レネゲード 4xe」には、エンジンとモーターの作動を制御する「HYBRID」「ELECTRIC」「E-SAVE」の3つのモードが備えられている

「レネゲード 4xe」には、エンジンとモーターの作動を制御する「HYBRID」「ELECTRIC」「E-SAVE」の3つのモードが備えられている

ハイブリッドシステムの作動状況は、3つのモードから選択することができる。「HYBRID」モードは、走行状況に応じて自動的にエンジンとモーターをもっとも効率のいい状態で使いわけ、「ELECTRIC」モードでは、モーターを最大限に活用して最長48kmまでEV走行することができる。ちなみに、EV走行における最高速度は130km/hだ。そして、「E-SAVE」モードでは、バッテリーの消費を抑えるためにエンジンを活用して走行する。

「セレクテレイン回転スイッチ」は、スイッチ中央のボタンを押すことで、「4WD LOCK」「4WD LOW」「ヒルディセントコントロール」を作動させることができ、スイッチを回すことで、「AUTO」「SPORT」「SNOW」「MUD&SAND」「ROCK」の各ドライブモードを選ぶことができる(画像はリミテッドのため、「ROCK」モードはなし)

「セレクテレイン回転スイッチ」は、スイッチ中央のボタンを押すことで、「4WD LOCK」「4WD LOW」「ヒルディセントコントロール」を作動させることができ、スイッチを回すことで、「AUTO」「SPORT」「SNOW」「MUD&SAND」「ROCK」の各ドライブモードを選ぶことができる(画像はリミテッドのため、「ROCK」モードはなし)

レネゲード4xeには、改良型の「セレクテレイン回転スイッチ」によって、悪路などにおける走破性を高めてくれる「4WD LOCK」「4WD LOW」の2つのeAWDモードに加えて、急な下り坂などでも安全に下ることができる「ヒルディセントコントロール」を選択することができる。

さらに、前述の2つのeAWDモードは、「AUTO」「SPORT」「SNOW」「MUD&SAND」「ROCK」の5つのトラクションコントロールシステム「Jeepセレクテレインシステム」と組み合わせることで、さまざまな路面に対応できるのもJeepならではだろう(「ROCK」モードはトレイルホークのみに採用)。

ちなみに、スロットルレスポンスとステアリングをシャープにしてくれる「SPORT」モードは、レネゲード4xe専用モードとして、今回新たに追加された。

日本に導入されるレネゲード4xeには、「リミテッド」と「トレイルホーク」の2モデルがラインアップされている。その違いは、おもにエンジンチューニングの差で、リミテッド4xeが191ps(131ps+モーターの60ps)、トレイルホーク4xeは239ps(179ps+モーターの60ps)だ。いっぽう、燃費性能(WLTCモード)はリミテッドが17.3km/L、トレイルホークは16.0km/Lとなっている。

「レネゲード4xe」のラゲッジルーム

「レネゲード4xe」のラゲッジルーム

ちなみに、バッテリーを床下に収納している関係で、荷室容量とガソリンタンクは若干(それぞれ30リッターと12リッター)少なくなっている。

お得なオーナープログラムで、さらなるロイヤリティ向上を目指すジープ

また、今回は日本のジープブランド全車種に対して、グローバルなオーナーロイヤリティ向上プログラムである「Jeep Wave(ジープ・ウェイブ)」が導入されることが発表された。同プログラムは、2020年11月2日以降に販売されるジープ全車種が対象となる。日本におけるプログラムの内容は、オーナー向けの特別待遇やサービスの提供で、ジープ全車種に3年間のメンテナンスが標準付帯される。ちなみに、レネゲード4xeの価格はこのプログラムが含まれた価格である。

Jeep Waveは、米国では2015年に試験的に開始され、すでに54万人のアクティブオーナーが存在する。日本への導入は、米国以外の海外市場としては初という。日本は、ブランドロイヤリティが高い(たとえば、100人のジープユーザーのうち52人が次もジープにしたい、と答えているなど)ことから、優先的に導入が決定されたとのことだ。

同プログラムには、従来からあった新車購入後3年間、法定点検およびメーカー指定部品交換をともなうメンテナンスプログラム(法定点検およびメーカー指定部品交換で、車検は含まれない)の「メンテナンス フォー・ユー」が含まれている。これは、メンテナンスについてオーナーが費用を心配せずに利用できるものだ。さらに2020年10月21日には、ジープオフィシャルウェブサイト内にオーナー限定会員サイトをオープンした。ジープでは、これを通じてオーナーコミュニティ向けの特別イベントや優遇キャンペーンなどをいち早く情報発信し、オーナーロイヤリティのさらなる向上に取り組むとしている。

積極的に活用したいカーリース

さらに、ジープの購入施策についても、新たな取り組みが開始された。それは、ジープ初の個人向けカーリース商品「Jeep Flat Ride」で、FCAジャパンとジャックスグループが共同開発したリース期間5年の個人向けカーリース商品だ。対象車種は、ジープブランドで主力のコンパクトSUV「レネゲード」で、近年のサブスクリプション需要の高まりを背景に、幅広いユーザー、特にクルマのランニングコストが気になる方に、レネゲードを気軽に、そして安心して長く乗ってもらいたいという思いから開発された。

このプログラムのメリットは、毎月の支払いリース料に、車両価格や登録諸費用のほか、期間中の自動車税環境性能割、自動車重量税、自賠責保険料、自動車税種別割、ジープフラットライドメンテナンスプログラム代金、および通常保証3年+延長保証2年が含まれているということだ。また、お気に入りのアクセサリーなどの支払いを月額リース代にプラスすることも可能となっている。

つまり、クルマの維持費や費用などを毎月定額で支払うことができ、自動車税や3年目の車検の費用の捻出を心配する必要がなくなる。さらに、クルマの点検や整備も、全国のディーラーで受けることができる5年間保証とメンテナンスがパッケージされている。FCA自動車保険プラン(任意保険)の追加も可能だ。また、普通に購入した際にはPHEVなどの補助金申請はみずから行わなければならないのに対し、同プログラムを利用すると初めからその金額が引かれた形の料金設定となるため、手続きの煩わしさもない。

たとえば、リミテッド4xeを残価設定ありの5年リースにした場合、2回目以降は月々4万2千円、ボーナス時加算が11万円となる。残価は202万円で設定されているが、ジープの残価率は比較的高いことから、この価格が実現できているという。

そして5年経過後は、車両返却後に新しいクルマへと乗り換え、残価と諸費用を支払い買い取り、再リース、そのまま返却して終了という選択肢から選べばいい。

もちろん、過走行(月間走行距離平均1,000km以上)や事故などで車両の損傷が認められた場合、残価は減ることになるが、これは通常の下取りの場合でも同様のことが考えられるので、大きなデメリットにはならないだろう。

詳細は、ジープのホームページやディーラーで確認していただきたいが、残価率の高いジープだからこそできた、ユーザーにとってメリットの高いプログラムであると言える。

街を軽快に駆けるリミテッド

「レネゲード 4xe リミテッド」のフロントエクステリアとリアエクステリア

「レネゲード 4xe リミテッド」のフロントエクステリアとリアエクステリア

では、まずはメインモデルとなるリミテッドから乗り出してみよう。シートに座り、ドアを閉めた瞬間にボディ剛性の高さを感じた。それは、ドアの閉まり音やドアハンドルを引っ張ったときの音などで感じたのだ。それは、走り始めてからの印象と一致するもので、多少の段差や踏切をななめに超えたとしても、ボディがミシリとも言わないのはさすがだ。

「レネゲード 4xe リミテッド」の走行イメージ

「レネゲード 4xe リミテッド」の走行イメージ

走行モードを「HYBRIDモード」に設定して、ゆっくりとアクセルを踏み込んでいくと、EVらしく静かで滑らかな加速が味わえる。乗り出したときの充電量が半分以上あったためか、かなり(ほぼ全開くらいまで)アクセルを踏み込まないとエンジンは始動しない。つまり、HYBRIDモードであっても積極的に電気を利用して走るタイプということだ。

車重が1,790kgと、ガソリンモデルよりも300kgほど重くなっているが、走りについて非力さは感じない。いっぽう、乗り心地に関してはかなり硬めで、その重さ分の重厚さとはほど遠かった。だが、これはもしかしたらテスト車両が500kmに満たない走行距離であったため、足回りの慣らしが済んでいなかった可能性もある。というのも、速度を40km/h以上に上げていくと、徐々にサスペンションストロークを感じることができたためだ。

「レネゲード 4xe リミテッド」の走行イメージ

「レネゲード 4xe リミテッド」の走行イメージ

市街地を走らせていると、リミテッドは非常に軽快だ。特にステアリングが軽く、かつレスポンスよくクルマが反応してくれるので、ワインディングも得意なのではないかと思わせてくれる。また、前後トルク配分は適切で違和感もなく、高速域でのコーナーも気持ちよく、安定して曲がることができる。さらに、車高が高いにもかかわらず上屋の重さが感じられないのは、バッテリーが床下に収納されているからにほかならない。

「レネゲード 4xe リミテッド」の走行イメージ

「レネゲード 4xe リミテッド」の走行イメージ

ブレーキ性能も市街地ではまったく問題なく、回生ブレーキが介入しても踏力の変化はほとんどない。ガソリン車と同じように、コントロールすることが可能だ。

その回生ブレーキは、標準と強めの2種類が選べる。回生ブレーキを強めにすると、ワンペダルフィーリングとまではいかないが、通常のエンジンブレーキよりは強い減速力が得られるようになる。

「レネゲード 4xe リミテッド」のレザーシート

「レネゲード 4xe リミテッド」のレザーシート

リミテッドのレザーシートは若干硬めで、革をパンと張ったイメージだ。したがって、悪路を走破するような際のホールド性は少々心もとなく感じた。また、前述のとおりステアリングが軽いので、実際の悪路ではもう少し手ごたえが欲しくなるかもしれない。いずれにせよ、ステアリングはもう少し重めのほうが安心感はあるだろう。

ジープらしさあふれるトレイルホーク

「レネゲード 4xe トレイルホーク」のエクステリアイメージ

「レネゲード 4xe トレイルホーク」のエクステリアイメージ

次に、トレイルホークを試す。リミテッドの498万円に対して、トレイルホークは503万円なので、装備などが充実した上級仕様……と思いきや、実はそうではない。このあたりがジープらしいところで、その名のとおり悪路走破性を重視した仕様だ。

前述のとおり、エンジンパワーはリミテッドを上回り(トルクは共通で270Nm/1,850rpm)、タイヤはマッド&スノー(テスト車はグッドイヤー「VECTOR 4Seasons」を装着)。サスペンションにも手が入れられ、最低地上高は40mmアップ。同時に、下回りの保護のために主要部位にスキッドプレートが装備されている。さらに、走行モードに「ROCKモード」(岩場モード)が追加されている。そのいっぽうで、シートはファブリックになり、電動調整機能なども付かず、クルーズコントロールがアダプティブではないので前車追従機能がないなど、一部装備が省かれている。

「レネゲード 4xe トレイルホーク」の走行イメージ

「レネゲード 4xe トレイルホーク」の走行イメージ

乗り出してみると、トレイルホークのほうが乗り心地ははるかにしなやかだ。それはタイヤの影響が大きそうで、ステアリングフィールはやはり軽いものの、シャープさは薄れ、どちらかというとSUVらしい穏やかな印象を受ける。ファブリックシートも、レザーよりもソフトでショックもより吸収してくれることも乗り心地に影響している。

エンジンパワーが向上してはいるものの、普通に市街地を走っている限りではその差は感じられない。だが、試しにアクセルペダルを全開にしてみると、そこで初めて高回転域での伸びと、それにともなうパワーが感じられた。

また、これはトレイルホークだからなのか、リミテッドも同じなのかは検証しきれなかったのだが、トレイルホークに試乗中、電池残量が2%まで減ってしまっていた。この状態で、信号停止から勢いよくスタートすると、最初はモーターのみで走行し、そのあとにエンジンが始動するのだが、そのときにあまり出来のよくないATの変速ショックのようなギクシャクとした動きになることがあった。特に、アクセルを強めに踏んで負荷をかけると、よりその動きが強調されたので、システムの癖でエンジンが動力として介入した際のショックではないかと思われる。念のために記しておくと、一定速度でエンジンが始動した場合には、ショックはおろか音もそれほど気にならなかったことを付け加えておきたい。

悪路走破性に関しては、今回は試す機会がなかったので保留としたい。ただし、ジープが作ったからには、下手なSUV顔負けの性能を備えているはずである。

ジープライフを始めてみよう

リミテッド、トレイルホークの2台を連続して乗り比べた結果は明確だった。街乗り主体であればリミテッド、積極的に悪路も走破するのであればトレイルホークをおすすめする。本音を言えば、リミテッドの装備内容のままエンジンとタイヤをトレイルホークから移植したい。リミテッドほどきびきびとしたハンドリングはそれほど必要なく、いっぽうでタイヤの影響による少ししなやかな乗り心地、そしてアダプティブクルーズコントロールは長距離移動では欠かせない装備なので、これを活用しながら疲れなく高速でキャンプ場に向かう。そして、現地に着いたらセレクトスイッチをELECTRICにしてモーター走行で場内を進むというのは、このクルマがもっとも輝くシーンだと思うからだ。

レネゲード4xeは、プラグインハイブリッドなので、家庭用充電器による充電も可能だ。3kwモデル(満充電までおよそ3時間半)であれば9万円から用意され、6kwモデル(満充電までおよそ2時間)では、さまざまなオプションがあり最高30万円ほどだという。また、各ディーラーでは充電器を随時設置していく予定という。

絶対額だけを見ると、たしかにこのセグメントのガソリン車と比べれば少々割高に感じられるかもしれない。しかし、さまざまな優遇制度を利用すれば、その差は縮まってくる。さらに、前述したFCAジャパンが積極的に展開する個人リースを利用すれば諸費用はおろか、初回車検も含まれるというメリットは大きい。FCAジャパンとしてもかなり力を入れているプログラムなので、興味があればぜひホームページで確認するか、ディーラーで話を聞いてみてほしい。手元に現金を残しながら、ジープライフを簡単に楽しめるきっかけになると思う。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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