レビュー
トヨタ・ガズーレーシング渾身のチューン

スポーツカーへの憧れが現実に… 「コペン GR SPORT」の運動性能にひれ伏す

自動車ライターのマリオ高野です。

今回は、“スポーツカーの魅力”を瞬時に実感させてくれる稀有な軽自動車「コペン GR SPORT」を紹介します。

専用チューニングショックアブソーバー(コイルスプリングはレッド塗装)の装備や車体の補強により、軽自動車らしからぬ硬派な走りが味わえます

専用チューニングショックアブソーバー(コイルスプリングはレッド塗装)の装備や車体の補強により、軽自動車らしからぬ硬派な走りが味わえます

潜在的なスポーツカー需要は相当数

そもそも“スポーツカーの魅力”とは何でしょうか?

ベテランのクルマ好きにとっては釈迦に説法。クルマの初心者にとっては未知の世界かもしれません。「スポーツカー」の定義に明確なものはなく、人によって解釈は多少異なるものの、「運動性能の高さを存分に楽しみ尽くせるクルマ」であることが重要です。

スポーツカーは運転する楽しさを満喫するためのクルマなので、運動性能向上のためなら居住性などの実用性は犠牲とする割り切ったところがあり、万民向けではありません。最近は万能性の高いSUVなどでも、まるでスポーツカーのように運転が楽しめるクルマが増えたこともあり、相対的にスポーツカーの価値が下がったと言えますが、やはり、運動性能の徹底追求を第一としたスポーツカーの走りは別格。スポーツカーに乗れば、自動車の運転の楽しみの根源的な魅力を知ったり、思い出したりできます。

昔に比べるとスポーツカーの種類は減り、市場も縮小しましたが、それでもなお、いまだに世界中の自動車メーカーはスポーツカーを自社ブランドイメージの象徴的存在として大事にしています。その理由は、スポーツカーは自動車メーカーの技術力やデザイン力がよりわかりやすく表現されるから。よいスポーツカーを作るメーカーは、自動車作りの技術力が高いと多くの人が評価するのです。

また、SUVであれ電気自動車であれ、人気モデルはスポーツ性が高い場合が多いという事実が物語っているように、多くの人はクルマにスポーツ性を求めます。本当はスポーツカーに乗りたいのに、さまざまな事情や制約によりスポーツカーを断念している潜在的なスポーツカー好きは相当な数にのぼるはず。実際に買うことはなくても、いつも心のどこかでスポーツカーのある生活に憧れている……そんな人に強くオススメしたいのが、今回紹介するトヨタ「コペン GR SPORT」なのです。

エクステリアは「GR」のエンブレム以外は基本ノーマルと同じ。軽自動車ながら高度なエアロダイナミクス性能が与えられています

エクステリアは「GR」のエンブレム以外は基本ノーマルと同じ。軽自動車ながら高度なエアロダイナミクス性能が与えられています

パワートレーンはノーマルと変わらず。5MTとAT(CVT)が選べ、CVTでもスポーツカーらしさは存分に味わえます

パワートレーンはノーマルと変わらず。5MTとAT(CVT)が選べ、CVTでもスポーツカーらしさは存分に味わえます

ステアリングは昔からの定番スポーツブランド「MOMO」製。握り心地、情報伝達性などに不満はありません

ステアリングは昔からの定番スポーツブランド「MOMO」製。握り心地、情報伝達性などに不満はありません

座り心地やホールド感のよさで定評のあるレカロシートはGRロゴ付きの専用品。コーナーで身体をしっかりサポートする機能のほか、長距離・長時間ドライブでの疲労を軽減する効果も得られます

座り心地やホールド感のよさで定評のあるレカロシートはGRロゴ付きの専用品。コーナーで身体をしっかりサポートする機能のほか、長距離・長時間ドライブでの疲労を軽減する効果も得られます

トヨタのモータースポーツ部門がチューニング

コペンはダイハツ製の軽自動車で、電動開閉式のメタルルーフを備えた2シーターのオープンスポーツカーという稀有な成り立ちです。2代目となる現行型は2014年にデビューし、すでに6年が経過。筆者個人としても久しく乗る機会がなく、イメージが薄れつつありましたが、昨年設定された「GR SPORT」に乗って、あまりの「スポーツカー度の濃さ」に仰天し、いたく感動しました。

ハンドリングは、軽自動車とは思えないほどダイレクトかつソリッド。山道のカーブを駆け抜けるその刹那は、自分の身体とクルマが同化したかのような一体感が得られます。軽自動車だから……FFだから……などといった雑念は消え去り、ただひたすら運動性能を味わい尽くすためだけにクルマを走らせる行為に没頭してしまいました。

コペンは初代モデルも含め、元々いいスポーツカーとして高く評価されていましたが、本モデルは、トヨタのモータースポーツ活動を担うスポーツブランド「GR(TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ ガズーレーシング)」がチューニングを施したことにより、持ち前の運動性能の高さがさらに研ぎ澄まされ、走らせてとんでもなく気持ちいいスポーツカーに仕上がりました。

高性能ホイールブランドBBS製の専用鍛造16インチアルミホイールを装着。軽自動車らしからぬ走りのよさを際立たせます

高性能ホイールブランドBBS製の専用鍛造16インチアルミホイールを装着。軽自動車らしからぬ走りのよさを際立たせます

極めて緻密な動きを見せる電動開閉ルーフ。開けると重心が下がる効果があるので、旋回フィールを楽しみたいときは開けた状態で走ることをオススメします

極めて緻密な動きを見せる電動開閉ルーフ。開けると重心が下がる効果があるので、旋回フィールを楽しみたいときは開けた状態で走ることをオススメします

最大の難点は積載性の低さ。トランクルームは一見広く見えますが、電動の屋根を格納するための空間として使われてしまいます(写真は屋根を上げた状態)

最大の難点は積載性の低さ。トランクルームは一見広く見えますが、電動の屋根を格納するための空間として使われてしまいます(写真は屋根を上げた状態)

屋根を下ろすときには、実質的なカーゴスペースは赤丸で囲ったあたりのみとなります

屋根を下ろすときには、実質的なカーゴスペースは赤丸で囲ったあたりのみとなります

軽自動車ながら空力性能をハイレベルで煮詰めたコペン。ノーマル車でも存外に高い高速安定性を発揮しますが、GRチューンによりさらに底上げされています

軽自動車ながら空力性能をハイレベルで煮詰めたコペン。ノーマル車でも存外に高い高速安定性を発揮しますが、GRチューンによりさらに底上げされています

軽自動車っぽさを払拭した補強

GRが施したチューニングは多岐にわたりますが、とりわけ専用フロントブレース/専用センターブレース/床下スパッツといった車体の補剛パーツの効果が大きいように感じられ、軽自動車っぽさが払拭されています。

エンジンやミッションはノーマルのままなので、動力性能はほかのターボ付き軽自動車と変わりませんが、それゆえにスポーツカーに求められる「速さ」は、エンジンパワーの大きさがもたらす加速力だけではないことを実感させられます。コーナーを俊敏に駆け抜けるシャシー性能の高さが、パワーの物足りなさを忘れさせてくれました。

運転のベテランなら、十分に知っていたはずのスポーツカーの面白さを再認識する感動が味わえ、初心者なら、多少なりとも人生観が変わるほどの衝撃を受けることでしょう。乗れば誰もが気軽にスポーツカーの魅力を満喫することができる稀有な軽自動車。それが「コペン GR SPORT」です。

この試乗の模様は動画でもご覧いただけます。

マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。

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