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「S660」ベースの6MTが初採用!

外観は同じだけど中身は全面刷新! ホンダ 新型「N-ONE」徹底解説

フルモデルチェンジは、文字通りクルマをすべて作り変えることだから、通常は外観も大きく変化させることが多い。ところが、2020年11月20日に発売されるホンダ 新型「N-ONE」は、2代目にフルモデルチェンジされるのにもかかわらず、外観は先代(初代)とほぼ同じだ。新型N-ONEの中身は、プラットフォームから安全装備まで一新されているので、外観を変えないのはもったいないように思う。

右手前の赤いクルマが2代目のホンダ 新型「N-ONE」、中央の白いクルマが初代「N-ONE」

右手前の赤いクルマが2代目のホンダ 新型「N-ONE」、中央の白いクルマが初代「N-ONE」

「N-ONE」のモチーフになった、ホンダ「N360」

「N-ONE」のモチーフになった、ホンダ「N360」

外観を変えない理由を開発者にたずねると、「タイムレスデザインなので」とのこと。タイムレスデザインとは、時が経過しても価値の変わらないデザインという意味だ。N-ONEは、先代も新型も1967年に発売された「N360」をモチーフにデザインされている。そうなると、実際には「変えられない」のだろう。外観を変化させると、N360から離れてしまうからだ。

上の赤いクルマがホンダ 新型「N-ONE」、下の白いクルマが初代「N-ONE」

上の赤いクルマがホンダ 新型「N-ONE」、下の白いクルマが初代「N-ONE」

上の赤いクルマがホンダ 新型「N-ONE」、下の白いクルマが初代「N-ONE」。フロント、リアともに外観上はほとんど見分けがつかない

上の赤いクルマがホンダ 新型「N-ONE」、下の白いクルマが初代「N-ONE」。フロント、リアともに外観上はほとんど見分けがつかない

さらに、ほかにも外観が変えられない事情がある。先代N-ONEは、先代「N-BOX」のプラットフォームを採用しており、今度の新型N-ONEは現行N-BOXをもとに開発されている。ベースになったN-BOXのホイールベースは、先代型も現行型も2,520mmと共通なので、新型N-ONEも同様に共通化され、変化を表現しにくい。これらの事情によって、N-ONEの「外観が変わらないフルモデルチェンジ」が行われたのだろう。

新型「N-ONE」には、「フルLEDヘッドライト」が採用されている。このフルLEDヘッドライトには、軽自動車初の「デイタイムランニングランプ」にポジションランプ、ターンランプ、ハザードランプを兼ね備えた「マルチファンクション発光リング」が採用されている。画像は、ハザードを点灯させることで、リングがオレンジに光っている状態

新型「N-ONE」には、「フルLEDヘッドライト」が採用されている。このフルLEDヘッドライトには、軽自動車初の「デイタイムランニングランプ」にポジションランプ、ターンランプ、ハザードランプを兼ね備えた「マルチファンクション発光リング」が採用されている。画像は、ハザードを点灯させることで、リングがオレンジに光っている状態

「リアコンビネーションランプ」も、ヘッドライトと同様にフルLED化されている。画像の外側で光っているレッドカラーがテールランプで、内側のオレンジカラーがハザードやターンランプ

「リアコンビネーションランプ」も、ヘッドライトと同様にフルLED化されている。画像の外側で光っているレッドカラーがテールランプで、内側のオレンジカラーがハザードやターンランプ

それでも、フロントマスクやリヤビューの形状は少し異なっている。丸型ヘッドランプの外側にはLEDリングが備わり、軽自動車で初採用の「デイタイムランニングランプ」(昼間点灯して自車の存在を明らかにするランプ)が装備されている。また、リアコンビネーションランプもLED化され、テールランプやブレーキランプなど、さまざまな点灯を兼ね備えている。

新型「N-ONE」のサイドイメージ

新型「N-ONE」のサイドイメージ

新型N-ONEの全高は、先代型のローダウン車に準じた高さだ。前輪駆動の2WDは、全高が1,545mmに抑えられていて、多くの立体駐車場に入れることができる。

新型「N-ONE」のインパネ

新型「N-ONE」のインパネ

内装は、インパネ形状が大きく変更されている。先代型は、前席の足元空間が狭かったので、膝まわりのスペースが広げられた。横長のパネルが装着されたことなどによって、広がり感が強調されている。

新型「N-ONE」のフロントシートは、先代のベンチシートからセパレートシートへと変更されている

新型「N-ONE」のフロントシートは、先代のベンチシートからセパレートシートへと変更されている

さらに、フロントシートの形状も異なっている。先代型は、運転席と助手席がつながっているワイドなベンチシートであったが、新型は乗員のホールド性を高めるために、左右席が分離するセパレートシートになった。この変更によって、前席中央に収納設備が装備された。ただし、プロトタイプ(試作車)の前席に座ると、シートがやや小さく感じた。セパレートタイプなのでシート幅が狭まり、さらに小柄な女性が運転することを考えて座面が短く抑えられているからだ。

新型「N-ONE」のリアシートにも、変更が施されている

新型「N-ONE」のリアシートにも、変更が施されている

後席の印象も、先代型とは異なる。先代型に比べると新型は床が少し持ち上がり、座面を若干下げているので床と座面の間隔が10mm減った。やや、膝が持ち上がる座り方になる。

新型「N-ONE」のエンジンルーム

新型「N-ONE」のエンジンルーム

エンジンやプラットフォームなどのメカニズムは、先にフルモデルチェンジを受けた現行型のN-BOXやN-WGNに準じる。もっとも近いのは、2019年に登場した現行N-WGNだ。エンジンは、NA(自然吸気)とターボの2種類がラインアップされている。NAエンジンの最高出力は58PS(7,300rpm)、最大トルクは6.6kg-m(4,800rpm)。ターボは、64PS(6,000rpm)・10.6kg-m(2,600rpm)になる。

燃費(WLTCモード)は、2WDのCVT車ではNAエンジンが23km/L、ターボは21.8km/Lだ。ちなみに、N-WGNは2WDカスタムの場合で、NAエンジンが23.2km/L、ターボが21.2km/Lなので、ほぼ同じ値になる。

プラットフォームは、N-BOXやN-WGNなどと同じタイプに刷新されている。軽量化が施され、装備を充実させながら車重の増加は抑えられている。さらに、サスペンションも改善され、新たに「横力キャンセルスプリング」も採用された。ショックアブソーバーをよりスムーズに動かせるようになったことから、乗り心地や操舵感も向上している。スタビライザーは、前輪側は全車に標準装備。さらに、前輪駆動の2WD車は後輪側にも装備されている。そのほか、左右のブレーキを独立して電子制御することによってカーブを安定して曲がることができる「アジャイルハンドリングアシスト」機能も採用された。

安全運転支援システムの「HondaSENSING」は、全車に標準装備されている。衝突被害軽減ブレーキは、歩行者、自転車、車両を検知することができ、路側帯を歩く歩行者に衝突する危険が生じたときは、ステアリング制御も含めて回避操作を支援してくれる。さらに、運転支援機能として車間距離を自動制御しながら追従走行できるクルーズコントロールも採用された。パーキングブレーキは電子制御式なので、追従停車時間が長引いたときには、パーキングブレーキが自動的に作動する。

■ホンダ 新型「N-ONE」のグレードラインアップと価格
-NAエンジン搭載車-
Original[CVT]:1,599,400円(FF)/1,732,500円(4WD)
Premium[CVT]:1,779,800円(FF)/1,912,900円(4WD)

-ターボエンジン搭載車-
Premium Tourer[CVT]:1,889,800円(FF)/2,022,900円(4WD)
RS[CVT・6MT]:1,999,800円(FF)

※価格はすべて消費税10%込み

ホンダ 新型「N-ONE」のPremium Tourerグレードには、ターボエンジンが搭載されている

ホンダ 新型「N-ONE」のPremium Tourerグレードには、ターボエンジンが搭載されている

ホンダ 新型「N-ONE」のRSグレードには、6速MTモデルもラインアップされている

ホンダ 新型「N-ONE」のRSグレードには、6速MTモデルもラインアップされている

グレード構成は、NAエンジン搭載車にはベーシックな「Original」グレードと、上級の「Premium」グレードが用意されている。ターボエンジン搭載車は、「Premium Tourer」と「RS」だ。なお、RSのトランスミッションはCVTのほかに「6速MT(マニュアルトランスミッション)」も選べる。価格は、CVTと同じだ。

ベースグレードのOriginalでも、「フルLEDヘッドライト」が標準装備されているなど、装備は相応に充実している。Premiumになると専用のエクステリアが与えられ、フロントウィンドウの遮音機能や14インチアルミホイールなどがプラスされる。Originalに対する価格の上乗せは184,000円と、割安ではないが妥当と言える価格差だろう。Premium Tourerは、ターボが装着されてパドルシフトが備わり、アルミホイールのサイズが15インチに拡大される。価格上昇は11万円だが、装備の上乗せを補正すると、ターボの正味価格は7万円と割安だ。RSは、Premium Tourerに比べて11万円高い。外観が専用デザインになり、6速MTを選べるのが魅力だ。機能と価格のバランスがよく、もっとも割安なグレードはベースグレードのOriginalだ。だが、外観が物足りなければPremiumを、登坂路の多い地域などではターボのPremium Tourerを検討したい。

なお、N-ONE Premium(1,7798,00円)と同等の装備を採用したN-WGNは、Custom L・HondaSENSING(1,617,000円)になる。つまり、N-ONEの価格は、N-WGNに比べてデザインに特徴を持たせた分、約16万円高い。軽自動車では、少し割高だ。

販売店によると、「N-ONEの受注は、2020年11月初旬に開始している。11月中旬に予約受注を受けた場合の納期は、2021年1月頃になる。つまり、納期は約2か月だが、正式に発表されるとRSの6速MTは納期が長引くことも考えられる」と言う。

今の軽自動車の売れ筋は、N-BOXのような全高が1,700mmを超えるスライドドアを備えた車種だ。このタイプが、軽乗用車全体の約半数を占める。N-ONEは、このトレンドに沿っていない個性派という位置づけになる。開発者は、「1か月の届け出台数は、2,000台くらいだろう。台数的には、スズキ『アルトラパン』やダイハツ『ミラココア』がライバル車になる」と言う。最近のホンダの軽自動車の売れ行きは、N-BOXが1か月に約17,000台、N-WGNは約7,000台だ。N-ONEの2,000台は、それらに比べればかなり控えめな数値になる。新型N-ONEは、初代と同様に販売台数ではなく、ホンダの乗用車の原点であるN360を受け継ぐクルマとして、初代のよさがさらに磨き上げられたものだと言えるだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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