レビュー
動力性能や使い勝手など、各項目を採点。最も点数がいいコンパクトカーは!?

どれが買い!? ノート、ヤリス、フィット、人気のコンパクトカーを徹底比較

2020年12月23日、日産のコンパクトカー「ノート」の新型モデルが発売された。

先代モデルに比べて、内外装の上質さなどが格段にアップしたノートは注目のコンパクトカーだが、2020年はほかにもトヨタ「ヤリス」やホンダ「フィット」といった魅力的な新型モデルが先んじて発売されている。となると、はたしてどのコンパクトカーを買えばいいのだろうか。

そこで今回、ノート、ヤリス、フィットの3車種を、以下の項目ごとに比較しながら、それぞれ5点満点で採点してみたい。

「動力性能・走行安定性」
「乗り心地」
「視界・運転のしやすさ」
「内装・居住空間」
「荷室・シートアレンジ」
「安全装備」
「コストパフォーマンス」
※上記項目について、それぞれ1〜5点の5段階で採点

動力性能・走行安定性比較

ヤリスとフィットのパワートレインは、ハイブリッドとNAエンジンの2種類がラインアップされているが、新型ノートはハイブリッドの「e-POWER」のみだ。そこで、3車種の走行性能をハイブリッド同士で比較してみよう。

まず、動力性能が最も高いのはノートだ。モーター駆動の特性は明確で、アクセルペダルを踏み増すと速度を一気に上昇させる。その加速力は、NAエンジンでたとえれば2.5〜3L並みだ。2位は、フィット。パワフルとまでは言えないのだが、加速感はなめらかでノイズが抑えられており、上質な運転感覚を味わえる。ヤリスは、加速は軽快なのだが、アクセルペダルを踏み増した時などに3気筒エンジン特有のノイズが生じてしまう。

走行安定性も、ノートが優秀だ。乗り心地を重視しているので、カーブを曲がる時などにボディが大きめに傾くのだが、前輪のグリップ力が高いので車両を確実に内側へと向けてくれる。その代わり、後輪の接地性は状況に応じて低下するが、挙動の変化が穏やかなのでコントロールしやすい。また、ノートは意識的にアクセルペダルを戻して、車両を内側に向けることもできる。共通のプラットフォームを使うルノー「ルーテシア」に似たような、楽しい運転感覚を味わえる。

走行安定性の2位は、ヤリスだ。ハイブリッドZでも1,090kgとボディが軽く、ノートXの1,220kg、フィットe:HEVホームの1,180kgを大幅に下回る。軽快感がともなって、よく曲がる印象だ。

3位は、フィットだ。峠道などでは少々曲がりにくく、スポーティーな印象は乏しいのだが、後輪の接地性は十分に高い。ドライバーを不安な気分にさせないような運転感覚が特徴的だ。

以上のように、ノートは動力性能と走行安定性にすぐれている。ヤリスは車重の軽さならではの軽快さを持ち合わせており、ノートはクラス上の上質な運転感覚を味わえる。

【評価】
・ノート:★★★★★(5点)
・ヤリス:★★★★☆(4点)
・フィット:★★★☆☆(3点)

乗り心地比較

乗り心地は、ノートは足回りが柔軟にゆったりと動いて快適だ。さらに、ミドルサイズセダンのような重厚感もともなう。

フィットは、16インチタイヤ装着車であれば相応に快適だ。特に、SUV風のエクステリアを持つ「クロスター」は、16インチタイヤで扁平率は60%なので、55%の「ネス」や「リュクス」よりも乗り心地は柔軟に感じられる。

ヤリスは、15インチはマイルドで、16インチでも粗さは抑えられているが、14インチは低燃費指向タイヤが装着されているために、路上の細かな凸凹が伝わりやすい。

【評価】
・ノート:★★★★★(5点)
・ヤリス:★★★☆☆(3点)
・フィット:★★★★☆(4点)

視界・運転のしやすさ比較

視界のよさや運転のしやすさは、フィットが最もすぐれている。フロントピラーの形状が見やすく工夫されているので、斜め前方の視界がいい。さらに、インパネ上部が平らなので前方も見やすい。また、サイドウィンドウの下端が後方へと水平に伸びているので、側方や斜め後方の視界もすぐれている。最小回転半径は、4.9〜5.2mに収まる。

ノートは、全長が4,045mmとライバルに比べて少し長い。ノートの視界は、コンパクトカーとしては平均水準のものだが、リアウィンドウが狭いので斜め後方の視界は少しそがれる。最小回転半径は4.9mなので、小回りは利く。

ヤリスは、全長が3,940mmと3車種の中では全長が最も短い。最小回転半径は、14インチタイヤ装着車は4.8mで、15、16インチタイヤ装着車は5.1mになる。

小回り性能は3車種ともに同等だが、視界についてはフィットがかなりすぐれている。

【評価】
・ノート:★★★☆☆(3点)
・ヤリス:★★★☆☆(3点)
・フィット:★★★★★(5点)

内装・居住空間比較

ノートは、前述のとおり廉価なガソリンエンジン搭載モデルをラインアップせず、すべてのグレードにハイブリッドの「e-POWER」が採用されている。中〜上級グレードのみで構成されていることもあって、インパネを含めた内装は上質だ。特に、メーターディスプレイとセンターディスプレイが統合された「先進一体型バイザーレスディスプレイ」は高級感があるだけでなく、実際の視認性もいい。

ヤリスの内装の質感は、近年のコンパクトカーとしては平均的なものだ。インパネのデザインはオーソドックスで、ハイブリッドでもシフトレバーは前後に動かす一般的なタイプだが、逆になじみやすいとも言える。

フィットは、2本スポークのステアリングホイールが特徴的だ。シンプルでものたりない印象も受けるが、スッキリしていてメーターなどは見やすい。

居住空間は、フロントシートは3車種ともに座り心地は快適だ。ノートとフィットは、大腿部のサポート性がいまひとつだが、腰の支え方はいい。ヤリスは、座り心地が柔軟に仕上げられている。いずれの車種も、フロントシートに大きな不満はない。

だが、リアシートは車種によって足元空間の広さがかなり異なってくる。最も広いのはフィットで、身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半だ。次に広いのがノートで、後席の膝先空間は握りコブシ2つ分になる。最後のヤリスは握りコブシひとつ少々しか入らない。つまり、居住空間については、フィットは快適な4名乗車が可能で、ノートは平均的、ヤリスは後席がやや狭いということになる。

【評価】
・ノート:★★★★☆(4点)
・ヤリス:★★☆☆☆(2点)
・フィット:★★★★★(5点)

荷室・シートアレンジ比較

荷室が最も広いのは、フィットだ。燃料タンクを前席の下に搭載するホンダ独自の「センタータンクレイアウト」によって、荷室の床が低く抑えられているからだ。全長が4m前後、全高が1,550mm以下で立体駐車場が使えるコンパクトカーの中では、フィットは荷室空間が最も広い。また、フィットはシートアレンジも多彩で、後席の座面を持ち上げれば車内の中央に背の高い荷物を積み込むこともできる。

次に、荷室が広いのがノートだ。後席をたたんだときに荷室の床に段差はできるものの、ディーラーオプションのボードを装着すれば平らになって、使い勝手が高まる。コンパクトカーとしては、広さに不満はないサイズだろう。

3位はヤリスだ。全長が3,940mmと、ノート(4,045mm)やフィット(3,995mm)に比べて短いこともあって、荷室の奥行寸法がやや不足している。さらに、リヤゲートの角度を寝かせているので、背の高い荷物が積みにくい。だが、ヤリスではリヤゲートのヒンジが前寄りに装着されているので、開閉時に後方へ張り出しにくいという工夫も施されている。車両後方の空間が狭い縦列駐車のような状態でも、荷物を出し入れしやすい。

【評価】
・ノート:★★★★☆(4点)
・ヤリス:★★☆☆☆(2点)
・フィット:★★★★★(5点)

安全装備比較

安全装備が最も充実しているのは、ヤリスだ。歩行者や自転車を検知し、右左折時の対向車や歩行者に対しても衝突被害軽減ブレーキを作動させることができる。

2位は、ノートだ。2台先を走る車両を検知して、異常が生じた時には警報を発する。後退時に左右方向から接近してくる車両も検知して、注意を促してくれる機能も搭載されている。3位はフィット。歩行者や自転車を検知できる衝突被害軽減ブレーキが採用され、運転支援機能にも不満はない。

なお、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなどの運転支援機能は、ヤリスとフィットには標準装備されているが、ノートのプロパイロットはXグレードのみにオプション設定される。

【評価】
・ノート:★★★★☆(4点)
・ヤリス:★★★★★(5点)
・フィット:★★★☆☆(3点)

コストパフォーマンス比較

ノートのベストグレードは、X(2,186,800円)だ。FとSでは「プロパイロット」がオプションでも設定することはできないので、必然的にXを選ぶことになる。なお、プロパイロットや「LEDヘッドランプ」はXでも標準装備されず、メーカーオプションになる。セットオプションの価格は、プロパイロット関連が442,200円、LEDヘッドランプが99,000円なので、Xの車両価格とオプション価格を合計すると、2,728,000円にまで高まってしまう。

ヤリスは、ノート e-POWERのライバル車としてハイブリッドの中から選ぶと、ハイブリッドZ(2,295,000円)になる。3灯式フルLEDヘッドランプや衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、ディスプレイオーディオ、専用通信機などが標準装備されている。

フィットは、ハイブリッドのe:HEVホーム(2,068,000円)だ。衝突被害軽減ブレーキなどを含めた安全運転支援機能「Honda SENSING」が標準装備されている。そこへ、ナビ装着用スペシャルパッケージ(49,500円)を加えると2,117,500円になる。

3車種のグレードの中で、最も買い得と言えるのはフィットだろう。コンパクトカーとして居住空間や荷室の広さを備えながら、装備を充実させており価格は抑えられている。

2位はヤリスで、3位がノートになる。ノートは、Xグレードの価格自体は安いのだが、プロパイロットなど必要なオプション装備を加えると総額が高まってしまう。

【評価】
・ノート:★★☆☆☆(2点)
・ヤリス:★★★★☆(4点)
・フィット:★★★★★(5点)

総合評価

ノートは、アクセルペダルの操作によって自由に速度を調節できるe-POWERならではの運転感覚、オプション設定ながら綿密な運転支援を行ってくれるプロパイロットが選べるという2つが大きな魅力だ。さらに、乗り心地も快適なので長距離を移動する機会の多いユーザーに適しているだろう。

ヤリスは、ハイブリッドを搭載するコンパクトカーの中でも、燃費性能が突出してすぐれている。ハイブリッドZのWLTCモード燃費は35.4km/Lなので、ノートXの28.4km/L、フィットe:HEVホームの27.4〜28.8km/Lを大幅に上回っている。さらに、車重が軽いので機敏な運転感覚を味わえる。ヤリスは、燃費と走りのよさが持ち味になるので、2名乗車でスポーティーな運転を楽しみたいユーザーに適しているだろう。

フィットは、3車種の中ではリアシートとラゲッジルームが最も広く、価格が割安だ。実用性にすぐれており、3〜4名で乗車するファミリーユーザーに適している。ライバル車のような趣味性は弱いが、視界や取りまわしなどを含めて実用性が高く、初心者ドライバーなどを含めた幅広いユーザーに推奨できる。そのために、合計点数は最も高くなった。

今回は、フィットの合計点数が最も高い結果となったが、各車種ともに設計が新しく、個性も強いのでそれぞれ異なる魅力を持っている。前述したような特徴を踏まえつつ、用途に応じて選んでほしい。

【各項目の合計点数】
・ノート:27点
・ヤリス:23点
・フィット:30点

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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ノート e-POWERの製品画像
日産
4.05
(レビュー244人・クチコミ16924件)
新車価格:202〜244万円 (中古車:67〜278万円
ヤリスの製品画像
トヨタ
3.72
(レビュー77人・クチコミ2188件)
新車価格:139〜249万円 (中古車:99〜255万円
フィットの製品画像
ホンダ
3.89
(レビュー493人・クチコミ23887件)
新車価格:155〜218万円 (中古車:1〜249万円
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