レビュー
MTもCVTも、軽やかで運転が楽しくなる

走りのよさは「N-BOX」を超える! ホンダ 新型「N-ONE」に試乗

2020年11月20日に発売された、ホンダ 新型「N-ONE」。フルモデルチェンジではあるのだが、これほど外観が変わらないクルマも珍しい。

新型N-ONEは、ボディパネルの基本部分が先代と共通なので、外観はほとんど変わっていない。その理由として、開発者は「開発当初は、外観を変えることを前提にしていたが、N-ONEらしさを守ると小手先だけの変更になってしまう。手を加えていくほど、N-ONEのイメージから離れていってしまう。お客様も、先代に対する愛着が強いため、変える必要はないと判断した」。

新型「N-ONE」のフロントエクステリアとリアエクステリア。外観は、細部を除けば、先代モデルとほとんど変わっていない

新型「N-ONE」のフロントエクステリアとリアエクステリア。外観は、細部を除けば、先代モデルとほとんど変わっていない

N-ONEの製品画像
ホンダ
4.23
(レビュー189人・クチコミ6239件)
新車価格:159〜202万円 (中古車:7〜233万円

N-ONEは、1967年に発売された「N360」をモチーフにデザインされている。モチーフがしっかりと定まっているので、よほど先代から変更しなければならない点が見つからないかぎり、新型も変える必要はないだろう。なお、エンジンやプラットフォームなどの中身については、現行型の「N-BOX」や「N-WGN」などと共通の、新しいものへと一新されている。

新型N-ONEのボディサイズは、全長や全幅はほかの軽自動車と同じく、軽自動車規格で定められたぎりぎりのサイズ(全長3,395mm、全幅1,475mm)だ。ホイールベースも2,520mmと、先代と変わらない。全高は、先代N-ONEのローダウン仕様と同じ1,545mmになり、立体駐車場を利用できる高さになった。

上が新型「N-ONE」のインパネで、下が先代「N-ONE」のインパネ

上が新型「N-ONE」のインパネで、下が先代「N-ONE」のインパネ

前述のとおり、外観はほとんど変わらない新型N-ONEだが、内装についてはインパネデザインを中心に大きく刷新されている。先代は2012年に発売されており、いままでのマイナーチェンジでも内装はほとんど変わっていない。そのため、先代はそれなりに古さを感じさせる内装だったが、新型はN-BOXやN-WGNなどと共通性を持つ新しいインパネデザインが採用されている。インパネの刷新によって、横方向に対して広さを感じさせるような、開放感のある室内空間になった。内装の質感は、軽自動車としては高い部類に入るだろう。

新型「N-ONE」に採用されている「異形2眼コンビネーションメーター」

新型「N-ONE」に採用されている「異形2眼コンビネーションメーター」

そのほか、2つのアナログメーターにTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを組み合わせた、2眼コンビネーションメーターの視認性は良好だ。また、運転席回りのスイッチなどの操作性については、エアコンスイッチの左端は運転席からやや遠く感じるものの、大きな不満は感じない。

新型「N-ONE」へ、新たに採用された6速MT(「RS」グレードに設定)。シフトフィールは、軽自動車らしからぬズッシリとした重みを感じるものだ

新型「N-ONE」へ、新たに採用された6速MT(「RS」グレードに設定)。シフトフィールは、軽自動車らしからぬズッシリとした重みを感じるものだ

注目したいのが、RSの6速MTモデルに採用されているマニュアルシフトレバーだ。爽快なシフトフィールを目指して、「S660」に使われているダブルコーンシンクロとカーボンシンクロが採用されている。ストロークはショートタイプで、少しズシリとした重さを感じるものの、適度な操作感と重さによってスポーツカーのようなシフトフィールを味わえる。

先代のベンチシートから、新型ではセパレートシートへと変更された「N-ONE」のフロントシート

先代のベンチシートから、新型ではセパレートシートへと変更された「N-ONE」のフロントシート

注意したいのは、前席のシートタイプについてだ。先代は、座面が大きな「ベンチシート」だったが、新型では「セパレートシート」に変更されている。そのため、先代から新型に乗り替える予定のユーザーなどは、前席の座り心地に問題がないか確認したい。セパレートシートは、ベンチシートのようなリラックス感覚には乏しいが、サポート性そのものはよく、カーブなどでも姿勢が乱れにくい。

軽自動車としてはなかなかの広さを持つ、新型「N-ONE」のリアシート

軽自動車としてはなかなかの広さを持つ、新型「N-ONE」のリアシート

N-ONEは、前席を優先して開発されている軽自動車だが、後席がそれなりに広いことにも注目したい。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先は握りコブシ2つ分の余裕がある。広々というほどではないが、大人4名が乗車して快適に移動することができるだろう。

スクエアなフォルムの「N-ONE」は、先代、新型ともに視界がとてもよく、運転しやすい

スクエアなフォルムの「N-ONE」は、先代、新型ともに視界がとてもよく、運転しやすい

視界については、ヘッドランプが高い位置に装着されているので、軽自動車では珍しくフェンダーやボンネットが視野に入り、ボディの先端がわかりやすい。また、ボディ側面は水平基調なので、側方や後方の視界もいい。最小回転半径は4.5〜4.8mと小回りがきき、すぐれた視界と相まって、軽自動車の中でも特に運転しやすい部類だ。

グレードラインアップは、NA(自然吸気)エンジンを搭載する「Original」と「Premium」、ターボエンジンを搭載する「Premium Tourer」と「RS」の4種類が用意されている。今回、試乗したのはNAエンジンのOriginal(CVT)とターボエンジンのRS(CVT/MT)で、駆動方式はどちらも2WD(FF)だ。

新型「N-ONE」NAエンジン搭載車(Original)の試乗イメージ

新型「N-ONE」NAエンジン搭載車(Original)の試乗イメージ

新型N-ONEのエンジン性能は、基本的にN-BOXやN-WGNと共通だ。OriginalのNAエンジン搭載車は、車重が840kgとN-WGNよりも若干軽い。そのため、実用回転域に余裕があって運転しやすく感じた。

新型「N-ONE」ターボエンジン搭載車(RS)の試乗イメージ

新型「N-ONE」ターボエンジン搭載車(RS)の試乗イメージ

いっぽう、ターボエンジンを搭載するRSは、最大トルクが10.6kg-m(2,600rpm)と、NAエンジンの1.6倍に達する。実用域の2,600rpmで1Lエンジンに相当する駆動力を発生させるので、走っていると軽自動車であることを意識させない。たとえば、高速道路の登坂路に差しかかっても、アクセルペダルを軽く踏み増すだけで必要な加速力がすぐに得られるほどにパワフルだ。

新型「N-ONE」ターボエンジン搭載車(RS)の試乗イメージ

新型「N-ONE」ターボエンジン搭載車(RS)の試乗イメージ

N-ONEの製品画像
ホンダ
4.23
(レビュー189人・クチコミ6239件)
新車価格:159〜202万円 (中古車:7〜233万円

N-ONEは、スペシャルティ指向の軽自動車なので、遮音対策も入念に行われている。エンジン音も基本的には静かなのだが、ターボエンジンの2,000rpm付近のみ、少し粗いエンジンノイズが聞こえてくる。だが、これは静かな夜中に時計の音が耳障りに感じるのと同じで、さまざまなノイズを抑えた結果として、従来は消されていたターボの音が目立っているように感じる。もし、ターボエンジン搭載車を検討されている方は、低速域でエンジンノイズが気にならないかを確認してほしい。

新型「N-ONE」NAエンジン搭載車(Original)の試乗イメージ

新型「N-ONE」NAエンジン搭載車(Original)の試乗イメージ

走行安定性は、軽自動車としては良好だ。設計が新しいこともあって、後輪の接地性にすぐれ、下り坂のカーブを曲がるようなときにも不安定になりにくい。また、直進安定性もよく、スクエアなボディでありながら、高速道路で横風にあおられても進路が乱れにくい。

だが、後輪の接地性が高いために、峠道などを元気よく走ると操舵に対する反応が相対的に鈍く、やや曲がりにくく感じることもあった。スポーティーなRSは、もう少し機敏に内側を向いてもいいと思うのだが、全高に対して全幅が狭い軽自動車なので、安定性を優先させているのは仕方ないところかもしれない。

新型「N-ONE」Originalに装着されている、14インチタイヤ(155/65R14)

新型「N-ONE」Originalに装着されている、14インチタイヤ(155/65R14)

乗り心地は、快適だ。Originalのタイヤサイズは14インチ(155/65R14)で、指定空気圧は前輪が240kPa、後輪が230kPaになる。転がり抵抗を抑えて燃費を向上させているため、14インチの指定空気圧は若干高い。その影響で、低速域では少し硬めに感じたのだが、不快になるような粗さではない。

新型「N-ONE」RSに装着されている、15インチタイヤ(165/55R15)

新型「N-ONE」RSに装着されている、15インチタイヤ(165/55R15)

いっぽう、RSのタイヤは15インチ(165/55R15)で、指定空気圧は前後輪ともに210kPaに抑えられている。乗り心地は硬めながら、適度な引き締まり感があり、走りのフィーリングは重厚な印象を受ける。スポーツカーなど、走りが好きなユーザーであれば、RSの上質な乗り心地は好みのはずだ。なお、OriginalとRSでは、足まわりの設定も異なっている。ショックアブソーバーの減衰力やスタビライザーの径も違うので、走りを重視するユーザーはグレード選びに注意したい。

価格(2WD)は、Originalが1,599,400円、Premiumが1,779,800円、Premium Tourerが1,889,800円、RSが1,999,800円(いずれも税込)だ。Originalの装備内容は、N-WGNでいえば、標準ボディの「L HondaSENSING」にLEDヘッドランプをオプション装着したときと同様だが、N-WGNの合計額は1,435,500円だ。価格を比べると、新型N-ONEのOriginalはN-WGNのL HondaSENSINGに比べて約16万円高くなる。新型N-ONEの価格は、N-WGNではなく、どちらかというとN-BOXに近い。N-BOXは、「L」の1,559,800円が最も近い価格になる。

新型「N-ONE」RSのフロントフェイス

新型「N-ONE」RSのフロントフェイス

また、新型N-ONEで最上級のRSは1,999,800円だが、この価格はN-BOXの上級グレードであるカスタムの「EX ターボ」の2,019,600円に近い。つまり、新型N-ONEはスライドドアなどを装備しないことなどを含めると、スペシャルティカーとして高額な価格設定になっていると言える。ほかの軽自動車は、いずれもライバル車を想定して価格競争力を高めているが、N-ONEはそのあたりのライバル車との争いには無関心なように思える。ほかの軽自動車を相手に、機能や装備と価格のバランスを競えば、明らかに負けてしまうからだろう。

だが、新型N-ONEには個性的な外観や上質な内装、快適な乗り心地、6速MTの設定など、独自の魅力を多く備えている。N-BOXやN-WGNなどと比較しても、走行性能や運転の楽しさは、明らかに新型N-ONEのほうが上回っているだろう。

いわゆる、買い得かどうかをあまり問わない車種であるとすると、新型N-ONEで最も魅力的なグレードはRSの6速MTだ。執筆時点(2020年12月下旬)の納期は2〜3か月とのことなので、大幅に長期化している印象もなさそうである。新型N-ONEは、まさに今が買い時ということになりそうだ。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
N-ONEの製品画像
ホンダ
4.23
(レビュー189人・クチコミ6239件)
新車価格:159〜202万円 (中古車:7〜233万円
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る