レビュー
ホンダの矜恃がここに

MT好きがむせび泣く! 「N-ONE RS」は”奇跡の軽”だ

MTの楽しさを求める層を満足させたい!

MT(マニュアルトランスミッション)が大好きな自動車ライター、マリオ高野です。

ホンダは比較的MT車の設定が多いメーカーでしたが、現行型の「フィット」からMTの設定をやめてしまいました。気がつけば、国内のホンダ車でMTが選べるのは「シビック ハッチバック」(タイプRは売り切れ)と「S660」のみとなり、MT好きにとっては寂しい状況です。

しかし、2020年の秋にフルモデルチェンジして登場した2代目モデルの「N-ONE」には「RS」というグレードに6速MTを設定! 注目すべきは、ただ単にMTを載せただけでなく、性能や操作フィーリングを徹底的に煮詰めて「MTの楽しさを求める層を満足させたい!」との熱い思いが込められた奇跡の力作になっているということ!

2代目モデルも往年のホンダ軽自動車の名車「N」シリーズらしさを踏襲。若い女性から中年の男性まで、意外と幅広く違和感なく乗れるデザインです

2代目モデルも往年のホンダ軽自動車の名車「N」シリーズらしさを踏襲。若い女性から中年の男性まで、意外と幅広く違和感なく乗れるデザインです

コンパクトカーのフィットよりも、さらに誰もが買いやすい軽自動車のN-ONEにMTが設定されたことは、MT展開の縮小ではなく、精神的には拡大したと解釈すべきでしょう。

“要望する声は大きいけれども、実際の市場(本当にMT車を買う層)は声ほどに大きくはない細々とした需要”とされるMT市場に対し、「お客様の期待に応えたい」と高い志を掲げて入魂開発したホンダの姿勢には、MT好きとして全面的な賛辞を送らずにはいられません!

きわめて秀逸な基本設計

まず、MTウンヌンの前に、新型N-ONEは基本設計がきわめて秀逸な軽自動車であることを、特筆すべきこととしてお伝えします。ボディやサスペンションの剛性は極めて高く、ステアリングや各ペダル類の操作フィーリングは、これまでの軽自動車とは別次元と言える高みに達しました。「走る・曲がる・止まる」の基本性能の質感が「軽自動車としては」ではなく、軽自動車の枠を超えて評価してもなお秀逸と激賞できるレベルにあるのです。

「N-BOX」や「N-WGN」と比べると室内空間に余裕はありませんが、大人4人が普通に乗れるパッケージングを備えています

「N-BOX」や「N-WGN」と比べると室内空間に余裕はありませんが、大人4人が普通に乗れるパッケージングを備えています

動的質感にホンダの執念を感じる!

N-ONEは、今の軽自動車市場で突出した人気を維持し続ける両側スライドドア付きの超ハイトワゴンではなく、昔ながらのシンプルなハッチバックスタイルを踏襲するベーシックな実用車。販売台数は超ハイトワゴンのN-BOXのように多くを望めない位置付けにありながら、これほどまでに各部の動的な質感を向上させたところに、ホンダの執念を感じました。

出来がいい分、車両本体価格も高く、今回注目したスポーツグレード「RS」で約200万円。より複雑な機構を多数搭載し、明らかにより多くの鉄を使っている超ハイトワゴンのN-ONEとほぼ同じ価格帯だと思うと割高に感じられるでしょうが、出来のよさや質感の高さからすると、すべて納得の適正価格です。100万円以下から買えるほど廉価なこれまでの軽自動車のエントリーモデルの存在は眼中にない、設計思想が根本的に異なるプレミアムなマイクロカーとして認識すべきクルマなのです。

全高は1,500mmを超えますが、今の軽自動車としては比較的重心が低く、横風にも強いので高速ダイナミクス性能も秀逸

全高は1,500mmを超えますが、今の軽自動車としては比較的重心が低く、横風にも強いので高速ダイナミクス性能も秀逸

エコタイヤに分類されるダンロップの「エナセーブ」を装着しますが、サスペンションが秀逸なので接地性が高く、エコタイヤとは思えないグリップ感を発揮します

エコタイヤに分類されるダンロップの「エナセーブ」を装着しますが、サスペンションが秀逸なので接地性が高く、エコタイヤとは思えないグリップ感を発揮します

新型N-ONEの6MTは、ギアレシオをはじめ、シフトやクラッチの操作荷重の適切さといった、MTを操作することの気持ちよさと楽しさを際立たせながら、変速ショックや振動などMTのネガ要素となりえるものを徹底的に軽減するように努めたとメーカーがうたうとおりの力作!

MT好きが最も重視するシフトフィールは、軽自動車63年以上の歴史の中で圧倒的ダントツのナンバーワンだと言える仕上がり。2速にダブルコーンシンクロ、3速にはカーボンシンクロを採用するという、スポーツカーのカタログに書かれる説明のような文面から期待するとおり、1〜3速の使用頻度の高いギア間の操作フィールは特に抜群です。

N-ONE 2020年モデルの製品画像
ホンダ
4.19
(レビュー22人・クチコミ124件)
新車価格:159〜202万円 (中古車:139〜219万円

「S660」のエンジンをFF向けに修正

エンジンはスポーツカー専用チューニングが施されたS660用ユニットを、FFレイアウト向けに修正して搭載。ギアレシオもスポーツカーのS660と同じようにクロスレシオ化し、どのギアでも力強い駆動力を発揮。サウンドもすばらしく、峠道などをドライブすると軽自動車であることを完全に忘れ去ってしまう気持ちよさが得られます。

スポーツカー「S660」用に高トルクチューンがなされたエンジン。車重もS660とほぼ同じにて、加速性能はS660と同等です

スポーツカー「S660」用に高トルクチューンがなされたエンジン。車重もS660とほぼ同じにて、加速性能はS660と同等です

「RS」はGメーターとブースト計を装備。ここでもスポーツカー並みの装備で走り好きの満足度を高める配慮が見られます

「RS」はGメーターとブースト計を装備。ここでもスポーツカー並みの装備で走り好きの満足度を高める配慮が見られます

シフトやクラッチへのこだわりをアピール

ホンダがかなりこだわったというクラッチのフィーリングも期待以上の出来栄え。クラッチの断続フィールにも別格感が得られる点も「奇跡」だと評しましょう。

「S660用エンジンの大トルク対応クラッチを専用チューニング。ピークトルクリミッターを採用したことにより、クラッチペダルを急に操作した際、クラッチ継合速度を低下させ、エンジントルクの急激な伝達を回避。トランスミッションの保護と快適なクラッチフィールを両立させた」

「大トルク対応クラッチに加え、ダンパー機構によりクラッチペダルに伝わる振動を軽減するクラッチダンパーを採用」などと、カタログでクラッチの機能や操作フィーリングについて細かく説明する文面がアツイ!

今のご時世にあって、シフトやクラッチのフィーリングへのこだわりをアピールしてくれるクルマと出会えるとは! 乗れば乗るほど「奇跡!」とむせび泣かずにはいられません!

クラッチは断続の感触がしっかり伝わりながら、余計な振動を排除した力作。発進時の扱いやすさと繋がる瞬間の心地よさはすばらしいのひと言!

クラッチは断続の感触がしっかり伝わりながら、余計な振動を排除した力作。発進時の扱いやすさと繋がる瞬間の心地よさはすばらしいのひと言!

操作のしやすさを追求し、やや高めに位置されるインパネシフト。シフトノブは1999年に発売された傑作スポーツカー、「S2000」ベースの専用デザインで手触りも秀逸

操作のしやすさを追求し、やや高めに位置されるインパネシフト。シフトノブは1999年に発売された傑作スポーツカー、「S2000」ベースの専用デザインで手触りも秀逸

ギアが6速あるので、高速巡航時のエンジン回転は軽自動車としては低めとなることも快適性の高さに貢献します

ギアが6速あるので、高速巡航時のエンジン回転は軽自動車としては低めとなることも快適性の高さに貢献します

「MTの楽しさが極めて高いレベルで満喫できる」軽自動車を生み出してくれたホンダには、ただひたすら敬意を評したい。MT好きなら誰もがそう思える傑作車として、「N-ONE・RS」の6速MTを激推したいと思います!

この試乗の模様は動画でもご覧いただけます。

マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。

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N-ONE 2020年モデルの製品画像
ホンダ
4.19
(レビュー22人・クチコミ124件)
新車価格:159〜202万円 (中古車:139〜219万円
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