レビュー
ディーゼルエンジンやアクセルペダルの改良で、走りの質がアップ!

“走る歓び”がさらに高まった! マツダ「CX-5」改良モデルに試乗

マツダは、SUVの「CX-5」の商品改良を、2020年12月に実施した。短時間ながら、CX-5の改良前後の両モデルに比較試乗する機会が得られたので、その印象の違いなどについてレポートしよう。

人間中心の“走る歓び”が、さらに高められた

試乗の前に、簡単にCX-5の紹介と、今回の改良点について触れておこう。CX-5は、2012年に登場して以降、デザインや高い質感、力強い走りを兼ね備えたSUVとして、今やマツダのグローバル販売台数の1/4を占めている基幹車種だ。

2020年12月に改良モデルが発売された、マツダ「CX-5」。今回の改良では、ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」のチューニングなどによる走行性能の向上や、最新の「マツダコネクト」搭載による緊急通報サービスといった、コネクティッドサービスの進化などがあげられる

2020年12月に改良モデルが発売された、マツダ「CX-5」。今回の改良では、ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」のチューニングなどによる走行性能の向上や、最新の「マツダコネクト」搭載による緊急通報サービスといった、コネクティッドサービスの進化などがあげられる

CX-5の製品画像
マツダ
4.54
(レビュー715人・クチコミ60538件)
新車価格:267〜414万円 (中古車:49〜388万円

そして、今回のCX-5の改良においては、走行性能と利便性の向上による “走る歓び”の進化が図られている。マツダ 商品本部主査の松岡英樹さんによると、ポイントは2つ。ひとつは「CASE領域の進化」で、もうひとつは「制御技術の進化」とのことだ。

CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)領域では、新世代の「マツダコネクト」が採用され、車載通信機によるコネクティッドサービスが全グレードに標準搭載されたことが進化としてあげられる。コネクティッドサービスでは、たとえば事故や急病などの際に、クルマとオペレーターがつながることで、迅速に救急車両を手配することができる。また、スマートフォンアプリ「My Mazda(マイ・マツダ)」を利用することで、ドアの閉め忘れをスマートフォンへ通知してくれたり、クルマの停車場所をスマートフォン上の地図で教えてくれたりといった、さまざまなサービスを利用することができる。なお、センターディスプレイのサイズが10.25インチへと拡大されて見やすくなっていることも、見逃せない変更点のひとつだ。

そして、制御技術の領域では、2019年のCX-5の販売において約62%を占めているディーゼルエンジン「SKYACTIV-D2.2」の改良がメインとなっている。SKYACTIV-D2.2は、クルマとドライバーとの一体感をさらに高めることを目的としたエンジンチューニングが施された。3,000rpmから4,500rpmまでの全開トルクを向上させ、最高出力は190psから200psへとアップされている。

また、意のままの走りをさらに洗練させることを目的として、ディーゼルの強力なトルクをドライバーがしっかりとコントロールできるように、アクセルペダルの踏力が最適化された。「ドライバーとクルマとの一体感ある走りを向上させ、人間中心の走る歓びをさらに高めました」と松岡さん。さらに、6速ATの「SKYACTIV-DRIVE」は、高速道路の追い越しなどで素早くアクセルペダルを踏み込んだときに、レスポンスよく変速するように応答性を高める制御が図られている。

松岡さんは、「今回の進化は、『クルマと過ごす時間を、楽しんでもらいたい』というエンジニアのこだわりから、制御領域の進化を織り込んでいます。新型車だけでなく、現行モデルにおいても大事に育てていくといった我々の思いを、少しでも感じてもらえたら」と語った。

変わらない素性のよさ

では、今回の改良がどれほどなのかを味わうべく、さっそく乗り込んでみよう。今回の試乗車は、「SKYACTIV-D2.2」を搭載した「XD Exclusive Mode」の2WD車と、「XD Black Tone Edition」の4WD車。そして、比較として改良前の「XD Silk Beige Selection」の4WD車の、計3台に試乗した。

まず、改良モデルのエクステリアについては、まったく手が加えられていない。現行(2代目)CX-5の販売が開始されたのは2017年2月なので、ちょうど4年がたつ。だが、4年を経過してもそのデザインに古臭さは感じられず、相変わらず質感の高いデザインにハッとさせられる。

室内に乗り込むと、センターディスプレイのサイズが10.25インチに拡大したことによる、画面の大きさが目に入った。マツダ車のセンターディスプレイは、天地方向にもう少し大きいとより好ましいのだが、このように見やすさを追求する姿勢は評価できる。また、内装の質感も変わらず高く、印象はとてもいい。

しばらく、市街地を走らせていて感じたのは、静粛性の高さだった。ディーゼルエンジンにもかかわらず、エンジンノイズがほとんど気にならない。それどころか、横にタンクローリーなどの大型車が止まっていても、その音すらほとんど入ってこないのは見事だ。

アクセルペダルの重さだけで、ここまで変わる

今回の変更点のひとつであるアクセルペダルの踏力については、若干重めの方向にセッティングされている。つまり、よりゆるやかに踏み込むことによって急激な発進を防ぐとともに、むやみに踏んだり離したりといったアクセル調整をしなくても済むようになった。

通常、アクセルペダルは軽めに設定する場合が多い。その理由は、アクセルペダルを軽く踏み込めるので、数値以上のエンジントルクとパワーを感じることができるようになるからだ。それを、あえて重くしたと聞いたときには、難しい判断なのではと感じていた。その重さによって、アクセルペダルを踏み続ける踏力に負荷がかかり、最終的に疲れにつながっては元も子もないからだ。

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マツダ
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だが、CX-5に関して言えば、その懸念はまったくの杞憂だった。改良前と乗り比べると、たしかに重くはなっているが、疲れるほどではない。そして、その重さ以上に、発進時に感じていた違和感がほとんどなくなっていたことに驚いた。もう少し具体的に述べると、改良前の場合、少し乱暴にアクセルペダルを踏み込むと、ワンテンポ遅れてトルクが出るような違和感が生じていた。それが、改良後の新型では感じられなくなったのだ。

この点について、マツダ パワートレイン開発本部 パワートレイン企画部 主幹の山根義昭さんは、次のように話す。「改良前は、アクセルペダルを踏み込んだときに、エンジンのほうで“タメ(大げさにいうと一瞬の遅れ)”があって、その後にポンと加速するようなイメージがありました。その“タメ”があっても、ドライバーはそのまま踏み続けていくので、アクセルペダルを踏みすぎて強く加速します。そして、加速し過ぎたからと、アクセルを戻す操作をしていることがわかりました。今回は、ペダルの踏力を重くすることによって、ドライバーは同じ感覚で踏んでいるつもりでも、ペダルが重たいために踏み込みがゆっくりになります。そうすると、エンジン特性とちょうど一致して、踏み込みながら加速力がそれにともなって出てくるという重さにチューニングしました。つまり、足や体を支える筋肉の感覚と、クルマの動きが一致して、扱いやすいフィーリングにつながっているのです」。

それにしても、新型のアクセルペダルの重さは絶妙と言える。山根さんによると、「アクセルペダルの重さが軽い場合には、クルマに合わせて気を使って踏むようになります。これは、アクセルペダルを戻すことも意識しながら踏む、つまり、つま先を持ち上げるすねの筋肉を使うことになるので、違和感が出るとともに、戻す側は小さな筋肉なので疲れてしまいます。それを繰り返していくと、マツダとして狙っている走りの感覚とは異なり、ドライバーに負担をかけていることにもなります。そこを研究していくと、少しペダルを重くしたほうが、踏み込み側の筋肉、ふくらはぎの大きな筋肉でコントロールができます。そうすることで、より意のままにクルマを操る感覚になり、また楽でもあるのです。それこそが、我々の向かう方向だと考えて、今回はペダルに手を入れたのです」と話してくれた。

ドライバーの意図を反映したシフトアップ、ダウン

もうひとつ、今回の改良前後のCX-5を乗り比べて気付いたのが、ATの変速タイミングについてだ。高速道路の合流などで、一気にアクセルペダルを踏み込んだときのキックダウンが、若干のショック(それほど大きなものではないが)はあるものの、より素早くなった印象を受けたのだ。

その点について、山根さんにうかがうと「変速の仕方として、アップ側もダウン側も比較的アクセルペダルを深く踏み込んだときは、変速速度を少し早めています」とのこと。特に、「ダウン側は、ドライバーの意図として早く踏むということは、素早く加速したいということ」としたうえで、「これまでは、きれいに変速させることを重視して、滑らかに加速をつなげながら変速させていました。ですが、そういったシーンではドライバーは早く加速したいので、少しぐらいショックが出ても早くダウンさせたほうがいいのではと、踏み込み速度に応じてスパッと切り替えて、すぐに加速に移れるようにしました。その代わり、コツンといったわずかなショックはありますが、“意のままに”という点では合うと、解釈しました」とのことだった。

今回、改良前後のCX-5を乗り比べてみると、たしかに改良の効果を実感することができた。特に、アクセルペダルの重さについては顕著だ。こういった、目立たないが地道な改良の成果が、よりよいクルマ作りへとつながっていくのだろう。そして、今回の改良、特にアクセルペダルの重さに関しては、ほかのマツダ車、特にディーゼルモデルに関して適宜採用していくと言う。こういった改良は、見逃されてしまいがちだ。しかし、実は長く乗っていればありがたみがわかってくるようなもので、だからこそ大切と言えるだろう。

今後、マツダにお願いしたいのは、この改良が前のモデルでも恩恵が受けられるようにしてほしいということだ。そうすることで、買ったから終わり、ではなく購入後のユーザーをしっかりと視野に入れていることへのアピールにつながり、ひいてはユーザーを大切にするということで、さらなるマツダファンを育てていくことにつながっていくはずだからだ。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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