レビュー
日本が誇る伝統のオフローダー

スズキ「ジムニー」をMTで乗ったら、自分までタフになった気がした…!

MT(マニュアルトランスミッション)好きの自動車ライター、マリオ高野です。

電気自動車と自動運転の時代が本格的に到来すると、MT(マニュアル・トランスミッション)の絶滅は避けられません。すでに国内のMT車は絶滅寸前にあるとも言えますが、まだギリギリ新車でMTが選べるクルマはいくつも存続しているので、今のうちにMTの魅力を味わい尽くしておきましょう!

納車までいまだ1年待ち

今回注目したのはスズキの「ジムニー」。軽自動車ながら世界的にも最強レベルの悪路走破性能を誇る本格オフローダーで、現行モデルは2018年に20年ぶりのフルモデルチェンジを行いました。今もなお納車まで1年待ちという人気ぶりです(2021年3月時点)。

伝統を守るスクエアなフォルムを踏襲したので、空力特性などはあまりよくありませんが、法定速度内なら何の問題もなく巡航できます

伝統を守るスクエアなフォルムを踏襲したので、空力特性などはあまりよくありませんが、法定速度内なら何の問題もなく巡航できます

その人気の秘訣は「伝統を守った」ことに尽きるでしょう。ジムニーは、20年ぶりに刷新した新型でも「ラダーフレーム」という、ハシゴ型の屈強な骨組みを土台とした車体作りを踏襲しました。

ラダーフレームは本格的な悪路走破性能では絶大な威力を発揮するいっぽう、重さや振動面では不利となり、燃費やコンフォート性の向上が難しくなるデメリットをともないますが、スズキはあえて難しい道を選びました。厳しい状況下でも伝統を守り抜いたことで、多くの人が1年待ってでも欲しくなるクルマになったと言えるでしょう。

ジムニーの骨格となるラダーフレーム

ジムニーの骨格となるラダーフレーム

最低地上高は205mm。この数値自体はSUVの最高ではありませんが、左右輪がつながったリジッドサスペンションとも相まって、圧倒的な対障害角度を確保しています

最低地上高は205mm。この数値自体はSUVの最高ではありませんが、左右輪がつながったリジッドサスペンションとも相まって、圧倒的な対障害角度を確保しています

4名乗車状態での荷室はとても小さな容積。基本は2名乗車のクルマとして割り切るべきでしょう

4名乗車状態での荷室はとても小さな容積。基本は2名乗車のクルマとして割り切るべきでしょう

FRを軸としたレイアウトにより、エンジンの搭載位置がフロントタイヤの前端より後方となり、対障害角度を確保しやすくなりました

FRを軸としたレイアウトにより、エンジンの搭載位置がフロントタイヤの前端より後方となり、対障害角度を確保しやすくなりました

ジムニー 2018年モデルの製品画像
スズキ
4.47
(レビュー66人・クチコミ3830件)
新車価格:148〜187万円 (中古車:105〜352万円

とにかく伝統を守り抜いた

スズキが守り抜いた伝統は、上述のラダーフレームだけではありません。余裕のあるアプローチアングルを確保するためFR(後輪駆動)を軸としたレイアウトの採用や、副変速機付きのパートタイム四駆、左右の車軸がほぼつながったリジッド式のサスペンションなども、世界最強レベルの悪路走破性確保のために守った伝統です。

エコ性能や実用性、低価格化やコンフォート性の向上をはかるには、どれもネガティブな要因になり得るというのに、あえてその壁に立ち向かった姿勢は賞賛に値します。軽自動車というガラパゴス市場向けだからこそできたとも言えますが、とにかく伝統を守ったことで多くのクルマ好きから拍手喝采されるにいたったのでありました。

リジッド式のサスペンション。岩などの障害物を乗り越える際に地上高を確保できるメリットがあります

リジッド式のサスペンション。岩などの障害物を乗り越える際に地上高を確保できるメリットがあります

つながった左右輪を前後に動かすトレーリングアーム。乗用車では考えられない太さで屈強な足まわりを実現します

つながった左右輪を前後に動かすトレーリングアーム。乗用車では考えられない太さで屈強な足まわりを実現します

前後左右のバンパーや車体の裏側が路面の障害物との接触を避けるための「対障害角度」の数値は最高レベルにあります

前後左右のバンパーや車体の裏側が路面の障害物との接触を避けるための「対障害角度」の数値は最高レベルにあります

乗ってみると「伝統が守られてよかった!」と快哉(かいさい)を叫びたくなる感動の連続! 一般道から高速巡航まで、すべての場面で、独自性の強いジムニーならではの乗り味が満喫できます。

いかにも屈強なラダーフレームとリジッドなサスペンションの上に乗っているという、雄大な感覚はそのままに、旧型では感じられたガタピシ的な振動や揺れはうまく排除されています。

高速巡行では、一般的な乗用車と比べるとフワッとした感覚を常にともない、路面の感覚がやや乏しいステアリングの手応えに頼りなさを覚えもしますが、これもまたほかでは得がたくなった独自の味わいにて、思わずニンマリしてしまいました。手応えは独特ながらも、直進性や安定性そのものに問題はありません。

エンジンとミッションは低速でのトルク重視のセッティングなので、高速走行中の加速は得意ではありません

エンジンとミッションは低速でのトルク重視のセッティングなので、高速走行中の加速は得意ではありません

ジムニー 2018年モデルの製品画像
スズキ
4.47
(レビュー66人・クチコミ3830件)
新車価格:148〜187万円 (中古車:105〜352万円

シフト操作におもしろさがある

MTのシフトはストローク量が多めながら、いかにも屈強で堅牢な歯車を操作している感が強く、シフト操作をするだけで、自分自身までもがタフな男になったような気がします。ジムニーの卓越した悪路走破性能はAT車でも変わりませんが、ジムニーならではのシフト操作のおもしろさは、MT車でしか得られない魅力です。

エンジンのトルク感がよりダイレクトに感じられるギヤ比を採用。燃費性能は4ATより有利なので、経済的なメリットも得られます

エンジンのトルク感がよりダイレクトに感じられるギヤ比を採用。燃費性能は4ATより有利なので、経済的なメリットも得られます

二駆と四駆やローレンジへの切り替えは走行中でも操作可能。ローレンジは泥濘路や砂地、雪上や氷上など、猛烈に滑りやすい路面でも確かな駆動力を発揮します。日常的にはほぼ使うことのない機能ながら、山岳エリアや豪雪地帯では非常に頼もしい機能となります

二駆と四駆やローレンジへの切り替えは走行中でも操作可能。ローレンジは泥濘路や砂地、雪上や氷上など、猛烈に滑りやすい路面でも確かな駆動力を発揮します。日常的にはほぼ使うことのない機能ながら、山岳エリアや豪雪地帯では非常に頼もしい機能となります

クラッチの操作フィールはダイレクト感にあふれ、ジムニーのヘビーデューティーさが常時味わえます。アクセルの反応がややゆるやかなのはオフロード走行への配慮です

クラッチの操作フィールはダイレクト感にあふれ、ジムニーのヘビーデューティーさが常時味わえます。アクセルの反応がややゆるやかなのはオフロード走行への配慮です

水平基調のシンプルなインテリア。無骨ながら、オフロード走行中に左右に傾いても水平姿勢を把握しやすいデザインです

水平基調のシンプルなインテリア。無骨ながら、オフロード走行中に左右に傾いても水平姿勢を把握しやすいデザインです

どんな状況でも高い視認性を確保するよう配慮されたメーター。デュアルセンサーブレーキサポートなどの安全装備も抜かりなく備わっています

どんな状況でも高い視認性を確保するよう配慮されたメーター。デュアルセンサーブレーキサポートなどの安全装備も抜かりなく備わっています

また、ジムニーの過剰とも言えるハイレベルな悪路走破性能は、それを実際に必要としている人が少なくないことも、スズキが伝統を守った理由にひとつにあげられます。山間部の奥地や林道など、大型の本格クロカンでは不便となる道幅の狭い未舗装路で仕事をする人にとって、ジムニーはなくてはならない存在なのです。

時速300km/hが出るスーパーカーの高速性能は、日本ではほとんどの人が試すことなく終わりますが、ジムニーの悪路走破性能は、切実に必要とする人がいるのです。

かたくなに伝統を守りながらも、現代的な快適性を兼ね備えたジムニー。このワイルドな味わいはぜひともMTで味わってみてください!

この試乗の模様は動画でもご覧いただけます。

マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。

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ジムニー 2018年モデルの製品画像
スズキ
4.47
(レビュー66人・クチコミ3830件)
新車価格:148〜187万円 (中古車:105〜352万円
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