レビュー
発売後1か月の受注台数は32,000台超!人気の新型「ヴェゼル」へ試乗

ホンダ 新型「ヴェゼル」はe:HEVもガソリン車もいい! 選ぶ価値のある1台に

今、注目のコンパクトSUVと言えば、2021年4月23日にフルモデルチェンジされた、ホンダ「ヴェゼル」だ。2013年に発売された先代(初代)ヴェゼルは、コンパクトで扱いやすいボディサイズでありながら、室内空間は広く、使いやすいラゲッジルームや手ごろな価格帯などによって発売直後から好評を博した。2014年から2016年までは、SUVカテゴリにおいて年間販売台数1位を獲得するほどの人気を誇ったのだ。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV Z)のフロントエクステリアとリアエクステリア

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV Z)のフロントエクステリアとリアエクステリア

ヴェゼルの製品画像
ホンダ
3.99
(レビュー500人・クチコミ29056件)
新車価格:227〜329万円 (中古車:79〜419万円

そして、2代目の新型ヴェゼルでは、前述した先代のよさは継承しつつ、新たに2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を採用したことと、さらに加えて、さまざまな改良によってハンドリングや乗り心地など走りの質を向上させている。今回、そんな新型ヴェゼルのe:HEVとガソリン車の両方に試乗することができたのでレビューしたい。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV Z)のインテリア

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV Z)のインテリア

まず、運転席に座るとボンネットがよく見えるので、フロントの先端や車幅などがつかみやすい。SUVの中には、ボンネットが見えにくい車種もよくあるので、これは新型ヴェゼルにおけるメリットのひとつだろう。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY)のサイドイメージ

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY)のサイドイメージ

いっぽう、サイドウィンドウは少し高めで、縦幅がやや狭い。そのため、側方視界は良好とまでは言えないが、ボディが水平基調であるために見えにくいといったこともない。

最小回転半径は、16インチタイヤを装着したe:HEVのXグレードと、ガソリンエンジン車のGグレードは5.3mだが、18インチタイヤのe:HEVのZグレードと同PLaYグレードは5.5mとやや大回りになる。グレードによって、最小回転半径が異なる点に注意したい。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV Z)のフロントシート

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV Z)のフロントシート

運転席の座り心地は快適だ。先代に比べると少し柔軟で、体重が加わる腰から大腿部まで、しっかりと造り込まれている。ボリューム感があり、ワインディングなどを走っても着座姿勢が乱れにくい。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV Z)のリアシート

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV Z)のリアシート

後席も、先代に比べるとやわらかい。腰は少し下がりぎみになるが、体の収まりはいい。先代は、高い位置に座るミニバンのような感覚だったのだが、新型ではセダンのような、やや低めで落ち着いた着座感覚に少し近づいた。新型ヴェゼルのプラットフォームは先代と共通で、ホイールベースの数値も2,610mmと等しい。そのため、後席の足元空間は先代と同等に余裕がある。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半と、Lサイズセダン並みの広さを持ち合わせている。ひとつだけ、後席は乗降性に注意したい。後席は、ルーフが下側へと回り込んでいるので、ドアの開口部が少し狭く、頭を下げ気味に乗り降りする形になるからだ。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY)のラゲッジルーム

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY)のラゲッジルーム

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY)のラゲッジルーム(後席を倒した状態)

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY)のラゲッジルーム(後席を倒した状態)

新型ヴェゼルは、荷室の容量も大きい。先代と同じく、燃料タンクが前席の下に搭載されているので、後席をたたむと床が低くフラットな荷室になって使いやすい。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY)のリアシートを跳ね上げた状態

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY)のリアシートを跳ね上げた状態

さらに、後席の座面を持ち上げれば、車内の中央に背の高い荷物を積むことも可能だ。このような使い勝手の高い機能は先代と同様だが、ほかのSUVにはないヴェゼルならではの特徴のひとつと言えるだろう。

■ホンダ 新型「ヴェゼル」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
e:HEV X:2,658,700円(FF)/2,878,700円(4WD)
e:HEV Z:2,898,500円(FF)/3,118,500円(4WD)
e:HEV PLaY:3,298,900円(FF)
G:2,279,200円(FF)/2,499,200円(4WD)

次に、走行性能をチェックしよう。ヴェゼルには4つのグレードがラインアップされているが、このうちの3グレードはe:HEVだ。ガソリンエンジン車は、1.5Lの「G」グレードのみになる。ちなみに、ホンダは2021年5月25日に新型ヴェゼルの発売後1か月の販売台数が32,000台を超えたと発表したが、その内訳はe:HEVが94%とほとんどを占めており、ガソリン車のGグレードは6%と少ない結果となっている。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY/2WD)の走行イメージ

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY/2WD)の走行イメージ

ヴェゼルの製品画像
ホンダ
3.99
(レビュー500人・クチコミ29056件)
新車価格:227〜329万円 (中古車:79〜419万円

まず、新型ヴェゼルでメインのパワートレインであるe:HEVから試乗した。e:HEVモデルが搭載している1.5リッターエンジンの最高出力は78kW(106PS)/6,000-6,400rpm、最大トルクは127N・m(13.0kgf・m)/4,500-5,000rpm。モーターの最高出力は96kW(131PS)/4,000-8,000rpm、最大トルクは253N・m(25.8kgf・m)/0-3,500rpmになる。先代ヴェゼル(ハイブリッドモデル)の1.5リッターエンジンの最高出力は97kW、最大トルクは156N・mで、モーターは最高出力が22kW、最大トルクが160N・mだった。先代と比べると、エンジンの数値は下がっているのだが、モーターの数値は引き上げられている。ちなみに、新型「フィット」のe:HEVモデルのモーターの最高出力は80kWなので、フィットと比べても新型ヴェゼルのモーターは高い出力を発揮する。

e:HEVモデルの加減速のフィーリングは電気自動車に近く、モーター駆動らしい滑らかな感覚だ。普通に運転した際の動力性能は、ガソリンエンジンに当てはめると2.3リッター並みだが、アクセルペダルを踏み込んだ時の反応はさらに力強くなる。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY/2WD)の試乗イメージ

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV PLaY/2WD)の試乗イメージ

注目なのは、エンジン回転数がアクセルペダルの踏み込みに同調することだ。アクセルペダルを深く踏んだ時は、発電も活発に行う必要があるからエンジン回転数が高まるが、行き過ぎると燃費を悪化させてしまう。高効率な回転域を重点的に使えることが、エンジンを発電用にするメリットとなるからだ。この点を開発者にたずねると、「エンジンが高効率な回転域だけを維持すると、燃費を向上させやすい代わりに、ドライバーに違和感が生じる。これを抑えるため、燃費を悪化させない範囲でアクセルペダルの踏み方と速度、エンジン回転数を同期させた」と言う。確かに、加減速の感覚は普通のエンジン搭載車に近く、違和感を覚えにくい。運転していると、一瞬e:HEVであることすら忘れてしまうような場面もあったほどだ。

また、新型ヴェゼルでは、ステアリングの支持剛性がアップしている。その影響から、コーナーなどを曲がる時に小さな舵角から正確に反応するので運転しやすく、操舵が楽しく感じる。走行安定性もよく、後輪をしっかりと接地させたうえで、車両の向きが自然に変わる。安心感がともなうので、長距離を移動する時なども疲れにくいだろう。

さらに、新型では乗り心地も進化している。先代は、路上の細かな凹凸が体に伝わりやすかったが、新型は若干硬めながらも乗り心地に不満は覚えない。昨今の車両開発は、走りに関しての解析能力が高まった。そのため、プラットフォームや足まわりの基本設計を大きく変えなくても、チューニングによって安定性や乗り心地などをかなり向上させることができる。新型ヴェゼルでは、その成果が現れているように思える。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(G/2WD)の走行イメージ

ホンダ 新型「ヴェゼル」(G/2WD)の走行イメージ

ヴェゼルの製品画像
ホンダ
3.99
(レビュー500人・クチコミ29056件)
新車価格:227〜329万円 (中古車:79〜419万円

次に、ガソリンエンジンのGグレードに試乗した。新型ヴェゼルのガソリンエンジン車は、先代に比べて動力性能が少し下がっている。先代の最高出力は96kW(131PS)、最大トルクは155N・m(15.8kg-m)だったが、新型は87kW(118PS)、142N・m(14.5kg-m)だ。先代は直噴式を採用することで性能を高めたが、ノイズ低減が難しくコストも高まった。そこで、新型では一般的なポート噴射に変更されている。Gグレードの車重は、2WD車が1,250kg、4WD車が1,330kgに達するから、この動力性能では幅広い回転域にわたって加速力が不足している。だが、それでもエンジンの性格は素直で扱いやすい。4,000rpmを超えると吹け上がりが活発になり、ワインディングなどでは、スポーティーな運転感覚も味わうことができた。ノイズは相応に聞こえるが、耳障りなものではなかった。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(G/2WD)のシフトレバー

ホンダ 新型「ヴェゼル」(G/2WD)のシフトレバー

少し気になったのが、DレンジとSレンジのみのシフトレバーだ。操作の繁雑なパドルシフトを採用しなかった意図はわかるのだが、急な下り坂などではSレンジに入れてもエンジンブレーキが不足しているように感じた。Sレンジのほかに、Lレンジも設定してほしい。

グレードによる違いも、述べておこう。乗り心地が最も快適だったのは、e:HEVの2WD車だ。試乗車のグレードはPLaYで、大小の段差を上手に吸収している。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV Z/4WD)の走行イメージ

ホンダ 新型「ヴェゼル」(e:HEV Z/4WD)の走行イメージ

e:HEVの4WDは、Zグレードで試した。2WDのPLaYグレードに比べると少し硬めだが、粗さはなく路面の状況がわかりやすい。4WDは、多板クラッチを使って前後輪に駆動力を配分する方式で、舗装路でも後輪に駆動力を伝えてくれる。その効果で、カーブを曲がる時には前輪の負担が減り、走行安定性がいっそう高まっている。

ホンダ 新型「ヴェゼル」(G/2WD)の走行イメージ

ホンダ 新型「ヴェゼル」(G/2WD)の走行イメージ

前述したガソリンエンジン車のGグレードは、e:HEVに比べて車重が100kgほど軽い。そのため、カーブを曲がる時の動きが軽快だ。e:HEVの操舵感はミドルサイズSUVに近いが、ガソリンエンジン車にもコンパクトSUVならではの持ち味が、走りから感じられる。乗り心地の重厚感ではe:HEVに負けるが、突き上げ感はGでも抑えられており、少しパワー不足は覚えながらも、e:HEVとは異なる身軽な運転感覚が魅力と感じた。

新型ヴェゼルは、先代と同様に居住性や積載性にすぐれており、さらに走る楽しさや安定性、乗り心地などが向上した。価格も手ごろで、選ぶ価値の高いコンパクトSUVになったと言えるだろう。

最も推奨できるグレードは、e:HEVのZ(2,898,500円(税込)/2WD)だ。後方の並走車両を検知して知らせる「ブラインドスポットインフォメーション」などの安全装備が標準装備されているなど、選ぶメリットが多い。5月25日時点の受注状況を見ても、新型ヴェゼル全体の82%をe:HEVのZが占めている。ちなみに、e:HEV PLaYは大型ガラスルーフの「パノラマルーフ」や専用の内外装を加えたおしゃれなグレードだが、価格もそれなりに高い。ホンダコネクトナビ(ほかのグレードのオプション価格は22万円)などを標準装備しているなどのメリットはあるものの、e:HEV Zに装着されている「LEDアクティブコーナリングライト」(曲がる方向を照射するライト)やトノカバーなどは省かれている。e:HEV Zから省かれた装備は13万円相当になるから、差し引きすると、e:HEV PLaYはe:HEV Zに比べて13万円ほど割高になる。

また、価格を抑えたい場合には、ガソリンエンジン車のG(2,279,200円(税込)/2WD)を選ぶのもありだろう。前述したとおり、e:HEVならではの重厚な乗り味や省燃費性能などは期待できないが、ガソリンエンジン車ならではの軽快な走りの魅力を持ちあわせており、価格の安さを重視するのであれば選ぶ価値はあると思える。

最後に、新型ヴェゼルは、納期が長いことが今のところ最大のネックとなっている。PLaYは2021年5月下旬に契約しても、納車されるのは2022年(来年)6月になってしまう。それ以外のグレードも、納車は2021年11〜12月ごろになる。開発者は「納期を短縮できるように検討中」とのことだ。今後は、納期の改善に期待したい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
ヴェゼルの製品画像
ホンダ
3.99
(レビュー500人・クチコミ29056件)
新車価格:227〜329万円 (中古車:79〜419万円
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る