レビュー
スポーツ性を追求する「GR86」と安定性を重視する「BRZ」

発売直前、先行試乗! トヨタ 新型「GR86」とスバル「BRZ」を乗り比べたら明らかに違った!

トヨタ「86」とスバル「BRZ」が、いよいよ新型へとフルモデルチェンジされる。両車とも、2021年4月5日に世界初公開された。

今回、発売前のトヨタ 新型「GR86」とスバル 新型「BRZ」を、サーキット(袖ケ浦フォレストレースウェイ)にて先行試乗した

今回、発売前のトヨタ 新型「GR86」とスバル 新型「BRZ」を、サーキット(袖ケ浦フォレストレースウェイ)にて先行試乗した

近年は、ラインアップが少なくなってきている国産スポーツカーだが、86とBRZの2台は、スポーツカーとしては堅調な売れ行きだ。従来型(初代モデル)は2012年に発売され、2013年には86が1か月に1,000台前後、BRZは400台前後が登録された。直近の登録台数は、コロナ禍の影響を受ける前の2019年は、86が1か月に約400台、BRZは100台少々になる。2015年に発売された、現行のマツダ「ロードスター」が約400台なので、86とBRZはスポーツカーとしては比較的長い期間、人気を得ていると言えるだろう。

新型の発売スケジュールなどを販売店にたずねると、新型BRZは2021年7月29日に先行予約が開始されるという。また、新型GR86(新型は車名にGRが追加)は、2021年9月上旬に受注が開始されるとのことだ。

今回の試乗会では、新型のみならず従来型の「86」と「BRZ」も試乗することができた。手前の車両が新型で、奥が従来型モデルだ

今回の試乗会では、新型のみならず従来型の「86」と「BRZ」も試乗することができた。手前の車両が新型で、奥が従来型モデルだ

今回、新型GR86とBRZのプロトタイプ(試作車)を、サーキットにおいて先行試乗することができたのでレビューしたい。

トヨタ 新型「GR86」のフロントエクステリア

トヨタ 新型「GR86」のフロントエクステリア

GR 86の製品画像
トヨタ
-
(レビュー-人・クチコミ14件)
新車価格:―円 (中古車:―円
スバル 新型「BRZ」のフロントエクステリア

スバル 新型「BRZ」のフロントエクステリア

BRZの製品画像
スバル
4.50
(レビュー35人・クチコミ1523件)
新車価格:308〜343万円 (中古車:92〜565万円
トヨタ 新型「GR86」のリアエクステリア

トヨタ 新型「GR86」のリアエクステリア

スバル 新型「BRZ」のリアエクステリア

スバル 新型「BRZ」のリアエクステリア

新型のボディサイズ(全長×全幅×全高)は、両車とも4,265×1,775×1,310mmになる。従来型と同程度の大きさで、ホイールベースも2,575mmと等しい。後輪駆動のレイアウトなども、従来型と共通だ。

新型「GR86」「BRZ」では、エンジンが従来の2L水平対向4気筒エンジンから、2.4L水平対向4気筒エンジンへと刷新されている。排気量アップにともなって、最高出力や最大トルクも向上している

新型「GR86」「BRZ」では、エンジンが従来の2L水平対向4気筒エンジンから、2.4L水平対向4気筒エンジンへと刷新されている。排気量アップにともなって、最高出力や最大トルクも向上している

エンジンは、従来型は2L水平対向4気筒エンジンが搭載されていたが、新型では2.4L水平対向4気筒エンジンへと刷新され、排気量がアップされる。トランスミッションは、6速のMTとATが用意されており、どちらも最高出力は173kW(235PS)/7,000rpm、最大トルクは250N・m(25.5kg-m)/3,700rpmになる。従来型の6速MT仕様は、最高出力が152kW(207PS)/7,000rpm、最大トルクが212N・m(21.6kg-m)/6,400〜6,800rpmであった。排気量を400cc拡大したことで、最高出力が14%、最大トルクが18%向上している。しかも、最大トルクの発生回転数が実用域の3,700rpmに下がったので、市街地などにおける運転のしやすさが向上するだろう。

排気量を拡大したねらいを開発者にたずねると、以下のような返答であった。「従来型の動力性能は、スポーツカーの中では低めで性能の向上を希望するお客様もおられた。そこで、排気量を2.4Lへと拡大した。最もバランスのすぐれた排気量だと考えている」。

トヨタ 新型「GR86」の試乗イメージ

トヨタ 新型「GR86」の試乗イメージ

実際に運転すると、従来型の2Lに比べて、幅広い回転域において動力性能が向上していることがわかる。2Lエンジンでは、6速MTを駆使してパワーを出しきる楽しさがあったが、2.4Lではアクセル操作によって挙動をコントロールする楽しさが増している。ATでも、アクセルペダルを踏み込めば、後輪を少し横滑りさせながらカーブを旋回することもできる。

低回転域から、駆動力に余裕があるために運転がしやすく、4,000rpmを超えると加速力は一層増してくる。踏み込み続けると、7,000rpm付近まで滑らかに吹け上がった。

トヨタ 新型「GR86」の試乗イメージ

トヨタ 新型「GR86」の試乗イメージ

スバル 新型「BRZ」の試乗イメージ

スバル 新型「BRZ」の試乗イメージ

新型GR86とBRZに乗り比べると、両車の運転感覚に明確な違いが見られた。エンジンの最高出力や最大トルクは共通だが、アクセルペダルを踏んだ際の反応の速さや、駆動力の高まり方などはGR86のほうが機敏に仕上げられている。いっぽう、BRZは加減速がなめらかにつながる制御になっている。車両の性格としては、GR86はスポーツ性が追求されており、BRZはバランス指向で扱いやすさと快適性が考慮されていると感じた。

同様のことが、コーナーリング性能にも当てはまる。両車ともに低重心のスポーツカーで、後輪駆動らしく前後の重量配分もすぐれているから、基本的な走行安定性は高い。タイヤも共通で、試乗車のグレードはGR86がRZ、BRZはSなので、18インチ(215/40R18)タイヤが装着されていた。銘柄は、ミシュラン「パイロットスポーツ4」だ。

トヨタ 新型「GR86」の試乗イメージ

トヨタ 新型「GR86」の試乗イメージ

上記の共通点を踏まえたうえで、カーブに進入する時は、GR86は車両の向きがBRZよりも機敏に変わる印象だ。車両の動きが素早く感じられる。半面、小さな操舵角から車両を正確に反応させるような動きは、BRZのほうが得意とする。

コーナーを曲がっている時に、あえてアクセルペダルを踏み増すと、GR86は比較的速い段階から後輪を横滑りさせようとする動きがあった。その点、BRZは4輪を接地させながら速度を高め、アクセルペダルをさらに踏むと後輪を緩やかに横滑りさせる。

スバル 新型「BRZ」の試乗イメージ

スバル 新型「BRZ」の試乗イメージ

感覚的にいえば、GR86のグリップバランスは前輪側が強められている。車両を内側に向けやすく、相対的に後輪の横滑りを誘発しやすい。いっぽう、BRZは安定志向で、曲がる性能を追求しながらも、走行安定性の基本とされる後輪の接地性が高められている。しっとりした動きを重視しているとも言えるだろう。

この点を、トヨタの開発者は以下のように説明する。「GR86は、日常生活の中で味わえるスポーツカーの楽しさを追求している。クルマとの対話も大切で、後輪の横滑りがわかりやすく設定されている。GRらしい特徴を、大切にした」。

そして、スバルの開発者は以下のように述べる。「スバルは、安全と楽しさをすべての車種で突き詰めている。思い通りに、軽快に、楽しく運転できることを目指した。BRZは、後輪駆動のスポーツカーだが、スバル車なので雪道での運転のしやすさや安定性にも配慮している」。

GR86はトヨタ車ではあるが、ドライバーの運転技術が高めに想定されている。走行安定性に影響を与える後輪の接地性にも配慮しながら、機敏に曲がる性能を重視した。サーキット走行も視野に入れた設定だ。

右がスバル 新型「BRZ」に採用されているアルミ製のフロントハウジングで、左がトヨタ 新型「GR86」に採用されている鋳鉄製のフロントハウジング

右がスバル 新型「BRZ」に採用されているアルミ製のフロントハウジングで、左がトヨタ 新型「GR86」に採用されている鋳鉄製のフロントハウジング

そのために、たとえばフロントサスペンションのハウジングは、従来と同様の鋳鉄になる。アルミ製に比べると重いが、反応は素早く、ドライバーもタイヤのグリップ状態を把握しやすい。鋳鉄であれば、コストも抑えられる。

いっぽう、BRZはスポーツカーでありながら特別扱いをしていない。ドライバーの運転技術を高めに想定した設定でもなく、ほかのスバル車と同じく、安全を重視する考え方を基本として開発されている。フロントサスペンションのハウジングは、新たに開発されたアルミ製で、バネ下重量の軽減によって、走行安定性と乗り心地を向上させている。

GR86は、技術の高いドライバーであれば、積極的な運転を楽しめるだろう。横滑り防止装置をカットして、後輪を積極的に横滑りさせながら曲がることも可能だ。その代わり、カーブを曲がっている最中に怖くなって中途半端にブレーキペダルを踏むような操作をすると、過度に後輪を横滑りさせるといった危うさも併せ持つ。その点、BRZは車両の動きが穏やかなので、ドライバーのミスを車両が補いやすい。

このような違いがあるからこそ、新型86は「トヨタ86」ではなく「GR86」を名乗っている。本来なら、BRZに近い設定の86が用意され、それでは満足できないユーザーに向けてGR86を設定すべきかもしれない。それを、新型では86を省いたために、ある意味誤解されやすい面もある。GR86を選ぶ際には、前述した点に注意してほしい。

もし、初めてスポーツカーを購入するユーザーや、あるいは機能のバランスを重視する場合には、筆者としてはBRZを推奨したい。車両の動きが寛容で、乗り心地も含めてなじみやすいからだ。逆に、最近の安定志向のクルマが物足りないユーザーであれば、自己責任においてテクニックを駆使しやすいGR86を選ぶ方法もあるが、前述の車両特性を踏まえたうえで運転してほしいと思う。

なお、新型GR86とBRZでは安全装備も進化している。従来型は、衝突被害軽減ブレーキが採用されなかったのだが、新型ではアイサイトコアテクノロジーが装着され、衝突被害軽減ブレーキ、車間距離を自動制御できる全車速追従型クルーズコントロールなどが装着されるのは喜ばしい点だ。

販売の主力グレードは、それぞれ2種類が設定されている。GR86は、「SZ」と上級の「RZ」、BRZは「R」と上級の「S」になる。基本的な装備は、SZやRでも充実している。上級のRZやSになると、シート生地が本革/ウルトラスエードに上級化され、アルミホイールのサイズも17インチから18インチへと拡大される。そのほか、モータースポーツ用のベースグレードも用意される予定だ。購入時には、GR86とBRZの性格の違いも考慮しながら、できれば乗り比べてから判断するのがいいだろう。

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渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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スバル
4.50
(レビュー35人・クチコミ1523件)
新車価格:308〜343万円 (中古車:92〜565万円
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トヨタ
4.19
(レビュー70人・クチコミ1999件)
新車価格:267〜348万円 (中古車:88〜840万円
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