レビュー
25年ぶりに復活したアルファロメオのFRセダンを改めてチェック

アルファロメオ「ジュリア」は走る歓びが味わえるFRセダン

FCAジャパンが、2017年から販売しているアルファロメオのセダン「ジュリア」は、同ブランドにおいてスポーツセダンの中心として存在している車種だ。

ジュリアの製品画像
アルファロメオ
4.67
(レビュー9人・クチコミ62件)
新車価格:460〜2198万円 (中古車:249〜998万円

2021年6月末、ジュリアのラインアップが大きく変更され、「2.0 TURBO VELOCE(ヴェローチェ)」(右ハンドル仕様)と「2.9 V6 BI-TURBO QUADRIFOGLIO(クアドリフォリオ)」の 2 モデルへと集約された(SPRINT、DISEL SUPER、2.0 TURBO Q4 VELOCEの販売は終了)。2グレード構成にはなったものの、ジュリアの個性が最も表現されている2台とも言える。今回は、2台のうち2.0 TURBO VELOCEのほうを長距離試乗へと連れ出したのでレビューしたい。

扱いやすいボディサイズ

まず、ボディサイズ(全長×全幅×全高)は、4,655×1,865×1,435mmと適度な大きさで、都心で気楽に使うにはこのあたりの大きさが扱いやすいと思える。立体駐車場などでは、車幅に制限が掛けられていることも多いが、ジュリアは前輪のトレッドが1,555mm、後輪は1,625mmなのでそれほど気を遣わずに済みそうだ。

エンジンは、2リッター4気筒ターボで、最高出力206kW(280PS)/5,250rpm、最大トルク400Nm (40.8kg・m)/2,250rpmを発揮する。トランスミッションは、8速オートマチックが搭載されている。

ヴェローチェは、これまでは4WDモデルもラインアップされていたのだが、現在はFRのみとなっており、4WDモデルと比べておよそ40kg軽いことも利点のひとつだ。また、タイヤはフロント225/40R19、リア255/35R19(テスト車はピレリP-ZERO)と、前後異形のタイヤサイズとなっている。

試乗する前に、ジュリアの外観を眺めると、セダンとして端正なデザインながらタイヤが四隅に配されたスタンスのよさによって、スポーツセダンであることをデザインからも感じさせてくれる。

ドアを開けて室内へと乗り込むと、赤のバケットタイプのスポーツシートが目に飛び込んできた。そのレッドカラーは、インパネ周りにも配されているが、決して派手さは感じられない。それは、わずかにトーンを落としている色調のおかげだろう。このあたりのカラーバランスのよさには、アルファロメオならではのセンスを感じるところだ。

ステアリングにある、エンジンのスタート・ストップボタンを押すと、一瞬の身震いとともにジュリアは目覚めた。Dレンジをセレクトして、わずかにアクセルを踏み込んでスタートする。狭い路地を抜け、国道へ出てアクセルペダルを踏み込むと、一気にゼブラゾーンの5,500rpmへ飛び込もうとするので、少々注意が必要だ。

市街地での、少し荒れた路面などではタイヤが若干バタつくものの、ボディ剛性が非常に高いために、うまく足周りでショックを吸収している。硬めではあるのだが、十分に許容範囲と言える乗り心地のよさだ。

混んだ市街地で、ストップ&ゴーを繰り返していて気になるのは、アイドリングストップだった。再始動時に、ブルンとクルマ全体が振動するのは、少々時代の古さを感じさせる。アイドリングストップはオフにできるので、気になる場合はその方がストレスを感じなくて済むだろう。

メーター周りやスイッチ類のレイアウトもひと昔前のものなので、このあたりからも設計年度の古さが表れている。また、ドアミラーの位置が高く、かつ、Aピラー下端あたりに取り付けられているので、左右前方に大きな死角を作ってしまっている。このあたりは、ぜひ次期型での改良を望んでおきたい。

また、ブレーキのフィーリングも少々気になった。特に、ペダルの踏み始めでGが急激に立ち上がるので、コントロールがしにくく感じたのだ。

ワインディングで輝くFRセダン

前述のように、ゆっくりと市街地を走らせていてもそれほど魅力が浮かび上がってこないジュリア ヴェローチェだが、郊外路やワインディングへ連れ出すととたんに輝きを増してくる。

少々ハイペースでコーナーを曲がり始めても、ステアリングを切った分だけ鼻先がイン側に入り、その舵角も一発で決まるのだ。コーナー途中から、徐々にアクセルを踏み始め、ステアリングを戻していくと後輪に荷重が移り、ぐっと腰を沈めながら脱出姿勢を整え、さらにペースを上げろとクルマが煽って来る印象さえ受ける。そして、いくつものコーナーをクリアしていくうちに徐々にペースが上がり、スピードメーターを見てはたとアクセルペダルを緩めるほどだ。今回は、ノーマルモードでも十分に堪能できたので、D.N.Aのドライブモードは変更しなかったのだが、D(ダイナミック)にすると、アクセルレスポンスがかなり敏感になり、靴の重み程度でも反応するようになるので、もしサーキットなどを走る機会があるならば、積極的に使用したいモードと感じた。

また、パドルシフトも剛性があり、かつ金属でできているので重厚感のある変速操作を楽しめる。

長距離移動が得意なジュリア ヴェローチェ

今回の目的地は新潟県 燕市で、片道およそ300km、往復600kmの日帰りだった。朝、雨が降ったりやんだりの東京を出発。圏央道、東北道で現地を目指す。

徐々に雨脚が強まる中、流れに乗っていて気付いたのは、リアウインドウが常にクリアに保たれていることだった。つまり、空気が渦巻などを起こさずにきれいに流れていることの証左で、空力が考えられたボディであることがうかがわれる。いっぽう、ドアミラー周りが比較的汚れやすいことは少々難点だった。

市街地では少しバタついた足回りも、高速道路では特に70km/hあたりを境に、しなやかさが増してくる。継ぎ目などでも角が取れており、乗り心地は市街地よりも快適だ。シートのホールド性も高く、一度ポジションを決めたらそのまま体を動かすことなく座り続けられたので、優秀な部類と言えるかもしれない。

高速道路を走行していて、何よりも気に入ったのが、直進安定性の高さだった。あまりいい天候には恵まれず、時には強い雨にも見舞われたが、ジュリア ヴェローチェは高い直進安定性を維持してくれる。さほど疲れることなく目的地へと到着し、用事が終わるとそのまま東京まで一気に戻ることができたことからも、ジュリア ヴェローチェのロングドライブにおける快適性の高さは相当なものだろう。

安全運転支援システムはいまひとつ

高速道路の移動では、積極的にアクティブクルーズコントロールを利用した。その動作は、基本的にはスムーズで加減速もそれほど違和感を覚えることはない。だが、追い越し中の左コーナーなどで、左車線にクルマがいる場合に減速したり、工事などで車線規制が入り、片側1車線で前走車を追尾している時に、一瞬前走車を見失って加速し、発見すると減速。そして、再び見失う……といったことを繰り返すシーンも見受けられた。また、雨などでフロントのセンサー周りが遮られるとキャンセルされるといったこともあったため、今後の改良を望みたいところだ。

走りを楽しめば、燃費は悪化

今回、さまざまな道を走らせた燃費は、

市街地:6.0km/L (8.9km/L)
高速道路:14.0km/L (14.6km/L)
郊外路:8.1km/L (11.9km/L)
( )内はWLTCモード燃費

上記の結果となった。いまどきの2リッターターボエンジンとしては物足りない燃費値ではあるが、走りを楽しむべく、ついついまわしてしまうことを考えると、このあたりが落としどころなのかとも感じる。もし、燃費をそこまで気にするならば、他ブランドに燃費のいいクルマは数多くあるからだ。

アルファロメオという名前には、甘美な響きが込められている。筆者は、仕事柄さまざまなクルマに乗ることが多いが、アルファロメオとなると、何度も乗ったことがあったとしてもワクワクしてしまうのだ。前述のように、設計年度が古いがゆえに目につく欠点もあるが、それがこのクルマの魅力に影を落とすかというと、決してそんなことはない。そんなことは分かったうえで、走る歓びを求める方にアルファロメオはぴったりだ。

「ステルヴィオ」という最新のSUVが、アルファロメオに存在する。確かに、そちらもジュリアと同様の楽しみが備わり、かつ使い勝手も高いだろう。しかし、筆者はあえていま、ジュリアを選びたい。その理由は、ことさら主張せずSUVのように生活臭を感じさせないアンダーステートメントな魅力が備わっているからだ。それこそが、セダンを選ぶポイントのひとつなのだから。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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