レビュー
プラットフォームなどは共通だが、乗り味は異なる「A3」と「ゴルフ」

アウディ 新型「A3」「S3」をVW 新型「ゴルフ」と比較レビュー!

輸入車のプレミアムブランドである、アウディのコンパクトカー「A3」「S3」がフルモデルチェンジを果たした。

4代目へフルモデルチェンジされた、アウディ「A3」と「S3」

4代目へフルモデルチェンジされた、アウディ「A3」と「S3」

A3 スポーツバックの製品画像
アウディ
4.33
(レビュー84人・クチコミ1410件)
新車価格:319〜490万円 (中古車:19〜438万円
S3 スポーツバックの製品画像
アウディ
5.00
(レビュー13人・クチコミ76件)
新車価格:652〜711万円 (中古車:76〜558万円

4代目となる新型A3、S3は、ボディサイズや内外装のデザインに変更が施されているほか、A3には新たにマイルドハイブリッドシステムが採用されている(グレードによる)。また、新型A3、S3は、先日フルモデルチェンジされたフォルクスワーゲンの新型「ゴルフ」と、プラットフォームや一部のエンジン、トランスミッションなどが共通化されている。A3とゴルフは、ブランドこそ異なるものの、兄弟車とも呼べる間柄なのだ。だが、両車の基本的な中身は共通でありながら、その乗り味はブランドの違いからかなり異なっている。そこで、今回は新型ゴルフとの違いなども加味しながら、新型A3、S3をレビューしていきたい。

※エンジン表記に一部誤りがございましたので、修正いたしました(編)

今回、アウディ 新型「A3」「S3」の試乗会へと参加した。試乗できた車両は、「S3セダン」(左から2番目の赤の車両)と「A3スポーツバック」(中央の水色の車両)の2台だ。VW 新型「ゴルフ」と比較しながら、レビューしていこう

今回、アウディ 新型「A3」「S3」の試乗会へと参加した。試乗できた車両は、「S3セダン」(左から2番目の赤の車両)と「A3スポーツバック」(中央の水色の車両)の2台だ。VW 新型「ゴルフ」と比較しながら、レビューしていこう

まず、新型A3、S3のボディタイプは、従来と同じでスポーツバック(5ドアハッチバック)と、4ドアセダンの2種類がそれぞれラインアップされている。搭載エンジンだが、新型A3には1L直列3気筒ターボと、2L直列4気筒ターボの2種類が用意されている。新型S3のエンジンは、排気量は2L直列4気筒ターボのみだが、新型A3の2L直4ターボ(140kW/320Nm)よりもハイパワーなエンジン(228kW/400Nm)が搭載されているのが特徴のひとつだ。3種類のエンジン性能を、NA(自然吸気)エンジンに置き換えると、A3の1Lターボエンジンは2L NAエンジンに相当し、A3の2Lターボエンジンは3L NAエンジン並みで、S3の2Lターボエンジンは4L NAエンジンにも匹敵するパワーを誇る。

新型「A3スポーツバック」ファーストエディションのフロントエクステリアとリアエクステリア

新型「A3スポーツバック」ファーストエディションのフロントエクステリアとリアエクステリア

A3 スポーツバックの製品画像
アウディ
4.33
(レビュー84人・クチコミ1410件)
新車価格:319〜490万円 (中古車:19〜438万円

最初に、1L直3ターボエンジンを搭載するA3 スポーツバックの「ファーストエディション」と呼ばれる限定モデルに試乗した。ちなみに、ファーストエディションは電動パワーシートやカーナビ、ルーフレールなどの装備が充実している特別仕様車なのだが、人気のため残念ながらすでに売り切れている。また、販売店では新型A3の納期について、以下のように述べている。「短いグレードなら約1か月だが、長いと2022年(来年)に入ってしまうものもある。世界的な半導体の不足も影響している」と言う。

新型A3は、前述のとおりプラットフォームや一部のエンジンが新型ゴルフと共通化されている。サスペンションは、前輪側はすべて独立式のストラットで、後輪側は1L直3ターボエンジン搭載車が車軸式のトーションビーム、2L直4ターボエンジン搭載車は独立式のダブルウィッシュボーンが採用されている。リヤサスペンションの組み合わせを、排気量に応じて変える手法などは新型ゴルフと同じものだ。

新型「A3スポーツバック」のインテリアとスイッチタイプのATシフトレバー

新型「A3スポーツバック」のインテリアとスイッチタイプのATシフトレバー

インパネは、水平基調のデザインで基本的な配置などはゴルフと同様のものだ。だが、装飾類などはアウディらしく質感が高められている。ATの操作は、従来はオーソドックスなレバーを動かす方式だったが、新型では小さなスイッチタイプへと変更されている。流行には沿っているが、従来のレバー式のほうがなじみやすいユーザーも多いだろう。先代から、新型へと乗り替える時には、注意したい点のひとつだ。

今回試乗した、新型「A3スポーツバック」に搭載されている、1L直列3気筒ターボエンジン

今回試乗した、新型「A3スポーツバック」に搭載されている、1L直列3気筒ターボエンジン

新型A3の1L直3ターボエンジンは、新型ゴルフのeTSIアクティブと同様に、48Vのマイルドハイブリッドが組み合わせられている。モーター機能付きの発電機が搭載されており、減速時の充電やアイドリングストップ後の再始動、エンジン駆動の支援などを行う。アイドリングストップ後の再始動にはベルトが使われているため、従来のスターターモーター方式に比べてノイズが小さいという利点もある。アイドリングストップをひんぱんに繰り返しても、わずらわしく感じられない。

新型「A3スポーツバック」の走行イメージ

新型「A3スポーツバック」の走行イメージ

1L直3ターボエンジンの性能は、最高出力が81kW(110PS)/5,500rpm、最大トルクは200Nm(20.4kg-m)/2,000-3,000rpmになる。前述のとおり、NAエンジンに換算すると2Lと同等だが、発進時などの低回転域にモーターの駆動力が効果的に発揮されるので、車重が1,320kgと重い割にはパワー不足を感じにくい。

新型「A3スポーツバック」の走行イメージ

新型「A3スポーツバック」の走行イメージ

峠道などで高回転域まで回すと、3気筒エンジン特有のノイズが少し耳障りだが、それでも新型ゴルフよりも静かに感じる。通常に走行する回転域であれば、アウディならではの滑らかなドライブフィールを楽しむことができるだろう。

操舵に対する反応は、小さな舵角から正確だ。以前のA3を含むアウディの車種では、運転のしやすさを考えて操舵の反応は穏やかだったのだが、新型A3は少し機敏な印象になった。峠道をスポーティーに走ると、車体を内側へと向けやすい。また、後輪はしっかりと接地しているので、少々ラフな操作でも安定性は下がりにくい。

乗り心地は、18インチタイヤが影響しているのか少し硬めだが、サスペンションの伸縮性はいい。タイヤが路上を細かく跳ねるような挙動は抑えられ、重厚感がある。新型ゴルフと比べても、新型A3の乗り心地はしなやかだ。新型A3は、取り回し性もすぐれている。全長は4,345mmに収まり、全幅は1,815mmと少しワイドだが、最小回転半径は5.1mと小さい。視界にも不満はなく、狭い市街地などでも運転しやすい。

新型A3は、全般的には満足できるのだが、アウディがプレミアムブランドであることを考えると、新型ゴルフの「eTSIスタイル」や「eTSI Rライン」などに搭載されている、1.5L直列4気筒ターボエンジンもラインアップしてほしかった。1L直列3気筒ターボエンジンではエンジンの負荷が大きく、3気筒の粗いノイズが時々聞こえたりするからだ。実用的な不満はないものの、プレミアムブランドとしては質感に少し物足りなさを感じる。

今回試乗した、新型「S3セダン」の外観イメージ

今回試乗した、新型「S3セダン」の外観イメージ

S3 セダンの製品画像
アウディ
-
(レビュー11人・クチコミ8件)
新車価格:671万円 (中古車:189〜599万円

次に、新型S3のセダンに試乗した。2L直列4気筒ターボエンジンは、最高出力が228kW(310PS)/5,450-6,500rpm、最大トルクは400Nm(40.8kg-m)/2,000-5,450rpmと力強い。発進直後の1,300rpm付近で、すでに過給効果が感じられ、踏み込めば速度は直線的に高まっていく。4,000rpmを超える領域の吹け上がりもすばらしく、6気筒エンジンに似た印象も受ける。

新型「S3セダン」の走行イメージ

新型「S3セダン」の走行イメージ

新型S3の駆動方式は4WDのクワトロなので、コーナーを曲がる時には後輪にも駆動力が配分され、前輪の負担を抑えてスポーティーに走ることもできる。新型ゴルフの場合、後輪に独立式の足まわりを装着する1.5L直列4気筒ターボエンジン搭載車では、よく曲がる代わりに、相対的に後輪の接地性が下がる。その点、新型S3はよく曲がりながらも、後輪の接地性にもすぐれていて走りのバランスが高い。乗り心地は硬めだが、粗さは感じさせず、走行安定性が高い。

最後に、最も買い得なグレードは、1L直列3気筒ターボエンジンを搭載するベーシックなスポーツバック 30TSI(3,100,000円。以下、すべて税込み価格)だろう。スポーツバック 30TSIの上級に位置する、スポーツバック 30TSIアドバンスは3,460,000円なので、36万円高いが装備はあまりプラスされない。したがって、グレードはスポーツバック 30TSIを選び、セットオプションでは安全装備や運転支援機能が充実するコンビニエンス&アシスタンスパッケージ(47万円)、ナビゲーション&バーチャルコックピット(26万円)を装着するのがいいだろう。車両本体価格と合計すると、383万円になる。

ちなみに、新型ゴルフの場合には、運転支援機能のアダプティブクルーズコントロール、A3のバーチャルコックピットに相当する液晶メーターなどが全グレードに標準装着されており、新型A3はプレミアムブランドなのに装備が少々見劣りする面もある。ゴルフeTSIアクティブの価格は3,125,000円だから、A3スポーツバック30TSIの3,100,000円よりも少し高く、装備も新型ゴルフが上回る。

そこで、新型ゴルフ eTSIアクティブの装備内容を価格に換算すると、新型A3スポーツバック 30TSIよりも45万円は充実している。つまり、新型A3スポーツバック 30TSIに、新型ゴルフeTSIアクティブと同等の装備を加えると、価格は約355万円になる。新型ゴルフ eTSIアクティブに比べて43万円ほど高い。

新型A3の上質な内外装や快適な乗り心地、静かな走行音などに支払われる対価は約43万円ということになりそうだ。新型A3は、すぐれたクルマではあるのだが、オプション品を多く加えることよってプレミアムブランドの価格設定になる点には、注意が必要になるだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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4.33
(レビュー84人・クチコミ1410件)
新車価格:319〜490万円 (中古車:19〜438万円
A3 セダンの製品画像
アウディ
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(レビュー32人・クチコミ130件)
新車価格:338〜509万円 (中古車:77〜400万円
S3 スポーツバックの製品画像
アウディ
5.00
(レビュー13人・クチコミ76件)
新車価格:652〜711万円 (中古車:76〜558万円
S3 セダンの製品画像
アウディ
-
(レビュー11人・クチコミ8件)
新車価格:671万円 (中古車:189〜599万円
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