バイク野郎 増谷茂樹の二輪魂
レトロな見た目で排気音も素晴らしい!

60万円以下で買える、最高に気持ちいいヤツ!超売れてるホンダ「GB350」の人気の理由を試乗で実感

20年以上の時を経て復活した「GB」の名を冠した新モデル、ホンダ「GB350」。2021年4月に日本国内で発売された直後は注文が殺到し、一時受注を停止となったほど人気の高い車種だ。ただ、排気量348ccのエンジンながら最大出力は20馬力と控えめ。スペックだけ見ると非力とも言えるマシンが、これほど支持される理由を試乗して探ってみた。

新設計の空冷単気筒エンジンを搭載した新型「GB350」

「GB350」の特徴は、なんといっても空冷の単気筒(シングル)エンジンを搭載していることである。昔はありふれたエンジン形式だったが、年々厳しくなる排ガス規制に対応していくのはハードルが高く、近年では、空冷単気筒エンジンを搭載した新モデルが発売されることは少なくなってしまった(125cc以下のモデルは除く)。さらに、日本国内で空冷シングルの代名詞的存在であったヤマハ「SR400」が、2020年発売の「ファイナルエディション」をもって生産を終了することを発表。車検が必要な排気量のバイクに、空冷エンジンを搭載するのはもう難しいのだという印象を受けた。そんな矢先、今回紹介する新型「GB350」の海外モデル「ハイネスCB350」が発表され、日本国内での発売もアナウンス。この時代に空冷単気筒エンジンを新設計した「GB」に、多くの注目が集まった。

子どもがバイクを描いたら、こういう形になるのではないかと思うくらい“バイクらしい”ルックス。サイズは2,180(全長)×800(全幅)×1,105(全高)mmで、重量は180kgとなっている。メーカー希望小売価格は550,000円(税込)

子どもがバイクを描いたら、こういう形になるのではないかと思うくらい“バイクらしい”ルックス。サイズは2,180(全長)×800(全幅)×1,105(全高)mmで、重量は180kgとなっている。メーカー希望小売価格は550,000円(税込)

カラーは、今回試乗する「キャンディークロモスフィアレッド」のほか、「マットジーンズブルーメタリック」(左)、「マットパールモリオンブラック」(右)の3色が用意されている

カラーは、今回試乗する「キャンディークロモスフィアレッド」のほか、「マットジーンズブルーメタリック」(左)、「マットパールモリオンブラック」(右)の3色が用意されている

GB350の特徴でもあるエンジンはデザイン上のキーともなっており、水平に伸びるタンクとシートの下側ライン、そして、直立したエンジンがトラディショナルなシルエットを作り出している。雰囲気こそレトロなものだが、エンジンもフレームも新設計。一新された空冷単気筒エンジンはボア×ストローク値70×90.5mmで、低回転のフィーリングを重視したロングストローク型。内部にバランサー軸やメインシャフトへの振動を抑えるバランサーを追加しており、単気筒エンジンにつきものの振動に対応できるようにしているほか、ピストンとシリンダー内壁の摺動抵抗を低減させるオフセットシリンダーも採用している。

空冷フィンの刻まれたシルエットが美しい、新設計された空冷単気筒エンジン。出力は20PS/5,000rpmで、最大トルクは29Nm/3,000rpmと、排気量348ccのエンジンとしては非力にも思える数値だ

空冷フィンの刻まれたシルエットが美しい、新設計された空冷単気筒エンジン。出力は20PS/5,000rpmで、最大トルクは29Nm/3,000rpmと、排気量348ccのエンジンとしては非力にも思える数値だ

タンクとサイドカバーは丸みを帯びた形状。サイドカバーは一般的なプラスチック製ではなく、金属で作られている

タンクとサイドカバーは丸みを帯びた形状。サイドカバーは一般的なプラスチック製ではなく、金属で作られている

ブラウンレザーがレトロな印象を与えるシート。タンデムシートも広く、2人乗りもしやすそう

ブラウンレザーがレトロな印象を与えるシート。タンデムシートも広く、2人乗りもしやすそう

ライトは伝統的な丸目だが、光源はLEDで先進的なもの

ライトは伝統的な丸目だが、光源はLEDで先進的なもの

シングルタイプのシンプルなメーターを装備。アナログのスピードメーターを中心に、メーター内にギアポジションインジケーター、右側にニュートラルランプなどが配置されている。タコメーターは装備されていない

シングルタイプのシンプルなメーターを装備。アナログのスピードメーターを中心に、メーター内にギアポジションインジケーター、右側にニュートラルランプなどが配置されている。タコメーターは装備されていない

テールランプもレトロな形状。ウインカーも大柄で見やすい

テールランプもレトロな形状。ウインカーも大柄で見やすい

マフラーは、メッキのメガホンタイプ。大径のテールパイプで容量を確保し、歯切れのよい排気音を響かせる

マフラーは、メッキのメガホンタイプ。大径のテールパイプで容量を確保し、歯切れのよい排気音を響かせる

足回りは、フロント19インチ、リア18インチという細めのタイヤを装備し、正立式のフロントフォークに2本タイプのリアサスペンションを備えるというクラシックな構成。太いタイヤのグリップを生かす剛性の高いサスペンションを採用する最新のスポーツモデルとは対極に位置するする作りだが、GB350の雰囲気にはマッチしている。

フロントタイヤのサイズは100/90-19。ブレーキは310mm径のシングルディスクで、フロントフォークは細身の正立式だ。ABSやトラクションコントロールも完備されている。

フロントタイヤのサイズは100/90-19。ブレーキは310mm径のシングルディスクで、フロントフォークは細身の正立式だ。ABSやトラクションコントロールも完備されている。

リアタイヤは130/70-18サイズ。ホイールは前後ともキャストタイプとなっている。リアサスペンションは2本タイプ

リアタイヤは130/70-18サイズ。ホイールは前後ともキャストタイプとなっている。リアサスペンションは2本タイプ

ユニークなのはシフトレバー。つま先で操作するだけでなく、かかとで踏むことでシフトアップもできるようになっており、靴の表面を傷めずに済む

ユニークなのはシフトレバー。つま先で操作するだけでなく、かかとで踏むことでシフトアップもできるようになっており、靴の表面を傷めずに済む

乗り味もトラディショナルで気持ちいい

空冷単気筒で最高出力が20PSというエンジン、そして、細身のタイヤとサスペンションという車体構成のGB350は、どれほどの走行性能を発揮するのだろうか。街中を中心に、高速道路とワインディングも走り、その性能をじっくり確かめてみた。

身長175cmの筆者がまたがると、かかとまでとはいかないまでも両足がベッタリと接地した。足つき性は良好で、安心感はかなり高い

身長175cmの筆者がまたがると、かかとまでとはいかないまでも両足がベッタリと接地した。足つき性は良好で、安心感はかなり高い

またがった時のライディングポジションは、かなり独特。ハンドルが手前に引かれたアップタイプなため、上半身は背筋が伸び、ステップ位置がやや前方なので、椅子に腰かけているような状態になる。

かなり手前まで起き上がったアップタイプのハンドル

かなり手前まで起き上がったアップタイプのハンドル

ハンドル位置の関係で、上半身は直立したような姿勢に。さらに、ステップが前方に位置していることで、ほかにはあまりないライディングポジションとなる

ハンドル位置の関係で、上半身は直立したような姿勢に。さらに、ステップが前方に位置していることで、ほかにはあまりないライディングポジションとなる

この乗車姿勢は、あまりスポーツライディングに適しているとは言えないが、逆に、走行中にどのようなフィーリングになるのか気になる。そんな期待を抱きつつエンジンをかけると、心地いい排気音が耳に響いてきた(下の動画参照)。想像以上に歯切れがよく、パルス感がある。アイドリング時ですら迫力のある音量ではあるものの、うるさくは感じない絶妙なレベルだ。開発段階で排気音に結構こだわったという話は聞いていたが、この音は聴いているだけで気分がアガる。

クラッチをつないで走り出すと、低回転でも車体が押し出されるトルク感が気持ちいい。タコメーターが装備されていないので回転数はわからないが、GB350のエンジンは3,000rpmくらいでトルクピークが来る低回転寄りのセッティングとされているため、街中では早めにシフトアップして、低回転の鼓動を感じながら走るのが心地よかった。単気筒のシリンダー内で爆発しているのが伝わってくるような鼓動感なのに、不快な振動をまったく感じないのも素晴らしいところ。単気筒エンジンらしいパルス感と心地いい排気音を聴きながら、街中を流すだけで気分がよくなってくる。

単気筒エンジンらしい鼓動と排気音を感じながら、ゆっくりと走っているだけでもいい気分になれる。こんなふうに感じられるバイクはなかなかない

単気筒エンジンらしい鼓動と排気音を感じながら、ゆっくりと走っているだけでもいい気分になれる。こんなふうに感じられるバイクはなかなかない

細身のタイヤと軽量な車体、そして切れ角の大きなハンドルのおかげで、街中での取り回しは良好。上体が起きたライディングポジションは先の見通しもよいので、街乗りはしやすい印象だ。

そして、ワインディングを走ると、思った以上の走行性能を実感できた。ステップ位置は前方だが、バイクと一緒に倒れ込んでいくような気持ちでバンクさせると、想像していたより機敏に車体が寝る。最新スポーツモデルのように素早く向きが変わるようなことはないが、細身のタイヤのおかげでハンドリングは軽快で気持ちいい。“速い”マシンではないが、十分にスポーツライディングを味わえる運動性能を持っている。

軽快にバンクするする車体を生かして、ワインディングを走るのは最高。バンクしている時間が長い印象のハンドリングだが、気持ちいい時間が長く味わえるようで、逆にそれがいい

軽快にバンクするする車体を生かして、ワインディングを走るのは最高。バンクしている時間が長い印象のハンドリングだが、気持ちいい時間が長く味わえるようで、逆にそれがいい

排気量があるので、街中はもとより、幹線道路などでも十分に交通の流れをリードすることが可能。高速道路に入っても、合流での加速や追い越し時には思っていた以上の“速さ”を感じられた。低回転がトルクフルなだけでなく、高回転まで回してもエンジンはスムーズで力強い。20PSという最高出力は低く感じられるものの、その数値から想像するよりはるかにパワフルだ。

試乗を終えて

GB350が発表された時、シンプルでレトロな雰囲気の車体は多くの人に好まれそうだと思っていたが、走行性能については、あまり期待していなかった。しかし、実際に乗ってみると、高速道路やワインディングを走っても、非力に感じることはあまりなく、逆に「結構速いな」と思えるほどパワフルだ。ハンドリングも軽快で、スタイルと同じく“バイクらしい”もの。軽い車体を生かして、車体を傾けて曲がるのが気持ちいい。

そして、排気音は特筆すべき心地よさ。単気筒エンジンらしい歯切れのいいエキゾーストノートが、街中をゆっくり走っている時から耳に届く。シングルらしい鼓動感はあるものの、不快な振動がしっかりと減衰されており、設計の新しさを実感させられる。GB350は同クラスの単気筒モデル「SR400」(ヤマハ)と比較されることが多いが、エンジン設計はSR400のほうが数十年古い。同じ空冷単気筒エンジンだが、新設計されたGB350のエンジンは、単気筒エンジンの気持ちいいところだけを取り出したような素性のよさを感じられる。

これほどの性能を備えながら、メーカー希望小売価格は60万円以下とリーズナブル。初心者に乗りやすいだけでなく、ベテランライダーをうならせる味も持っているGB350が、これだけ売れているのは必然と言えるだろう。ちなみに、2021年9月30日まで、39歳以下なら購入費用に使える50,000円分のクーポンがもらえるキャンペーン「U39割」が実施されている。

なお、GB350よりも前傾したライディングポジションで乗りたいなら、兄弟モデル「GB350 S」を選ぶといいだろう。エンジンや車体はGB350と共通で、ライディングポジションとリアホイール径(17インチ)が異なるほか、よりスポーティーなラジアルタイヤを履いている。試乗してみたが、装備のとおり、GB350 Sのほうがハンドリングのスポーティーさが高く、よりアグレッシブに走れる印象だ。

GB350 Sはサイドカバーやテールランプのデザインが、やや現代的なものとなる。メーカー希望小売価格は594,000円(税込)

GB350 Sはサイドカバーやテールランプのデザインが、やや現代的なものとなる。メーカー希望小売価格は594,000円(税込)

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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