レビュー
内外装や居住性、走行性能、燃費、価格などさまざまな視点で比較してみました

トヨタ 新型「アクア」と「ヤリスハイブリッド」、コンパクトハイブリッドカーを選ぶならどっち!?

トヨタは、2021年7月19日にコンパクトハイブリッドカー「アクア」の新型モデルを発売した。

初代の発売からおよそ10年、初のフルモデルチェンジを遂げたトヨタ 新型「アクア」

初代の発売からおよそ10年、初のフルモデルチェンジを遂げたトヨタ 新型「アクア」

アクアの製品画像
トヨタ
4.03
(レビュー375人・クチコミ15666件)
新車価格:198〜259万円 (中古車:1〜293万円

アクアの初代モデルは2011年に発売され、「プリウス」と同じ本格的なハイブリッドシステム「THSII」が搭載された魅力的なコンパクトカーとして人気を博し、これまでに187万台を超える大ヒットとなった。そして今回、2代目として登場した新型アクアは、実に10年ぶりのフルモデルチェンジになる。

2020年2月に発売されたトヨタ「ヤリス」にもハイブリッドモデルが存在している

2020年2月に発売されたトヨタ「ヤリス」にもハイブリッドモデルが存在している

ヤリスの製品画像
トヨタ
3.67
(レビュー87人・クチコミ2714件)
新車価格:139〜252万円 (中古車:99〜339万円

昨年、2020年2月に新型コンパクトカーの「ヤリス」が登場した際には、アクアはもうすぐなくなるのではないかという噂もあった。なぜなら、ヤリスには1Lと1.5Lのガソリンエンジン搭載車のほかに、1.5Lハイブリッド車もラインアップされていたからだ。さらに、ヤリスは販売台数も堅調で、2021年1〜7月の1か月平均登録台数は約1万台を記録している(ヤリスクロスやGRヤリスをのぞく)。

だが、新型アクアが発売されたことによって考えられる新たな悩みが、トヨタでコンパクトハイブリッドカーを選ぶ際に、新型アクアかヤリスハイブリッドか、どちらを選べばいいのかということだろう。そこで今回、新型アクアとヤリスハイブリッドの2車種について、ボディサイズや内装の質感、居住性や荷室、動力性能や乗り心地、安全性能、燃費や価格といったさまざまな視点から比較してみたい。

ボディサイズ・視界・取りまわし性比較

新型「アクア」のフロントエクステリア

新型「アクア」のフロントエクステリア

新型「アクア」のリアエクステリア

新型「アクア」のリアエクステリア

「ヤリスハイブリッド」のフロントエクステリア

「ヤリスハイブリッド」のフロントエクステリア

「ヤリスハイブリッド」のリアエクステリア

「ヤリスハイブリッド」のリアエクステリア

新型アクアのボディサイズ(全長×全幅×全高)は、4,050×1,695×1,485mm。対するヤリスハイブリッドは、3,940×1,695×1,500mmなので、新型アクアのほうが110mm長く、15mm低い。また、ホイールベースは新型アクアが2,600mmで、ヤリスハイブリッドは2,550mm。新型アクアは、先代と比べてもホイールベースが50mm延長されており、その外観は(コンパクトカーとしては)伸びやかなイメージだ。なお、後述するがホイールベースの延長によって、リアシートの居住空間や荷室空間が拡大されている。

新型アクアは、サイドウィンドウが跳ね上げられた形状となっているため、ヤリスハイブリッドよりも斜め後方が見にくく、後方視界には注意が必要になる。

最小回転半径は、新型アクアの売れ筋グレードは5.2mだが、ヤリスハイブリッドはXとGが4.8m(Zは5.1m)になる。取りまわし性については、ヤリスハイブリッドのほうがすぐれている。

内装比較

新型「アクア Z」のインパネ

新型「アクア Z」のインパネ

「ヤリス Z」のインパネ

「ヤリス Z」のインパネ

内装の質感は、新型アクアのほうが高い。売れ筋のGとZのインパネには、合成皮革が使われるなど、上質に造り込まれている。

新型「アクア」に採用されているシフトノブ

新型「アクア」に採用されているシフトノブ

シフト操作については、新型アクアには現行プリウスのように短いタイプのシフトノブがインパネに設置されている。対するヤリスハイブリッドには、一般的なスライド式が採用されている。新型アクアのシフト操作は、慣れないとヤリスハイブリッドに比べて少し違和感が生じるかもしれない。

だが、新型アクアのシフトレバーにはメリットもある。「レーダークルーズコントロール」の作動中に渋滞などで停車した際、ヤリスハイブリッドでは長時間停車ができずブレーキを踏まないと再発進してしまうが、新型アクアではDレンジを自動的に解除することができる。ブレーキを踏まなくても停車を続けることができ、先行車が発進したらドライバーの操作で追従走行を再開できるので、ヤリスハイブリッドに比べてレーダークルーズコントロールの使い勝手が向上している。

居住性比較

新型「アクア Z」のインテリア

新型「アクア Z」のインテリア

「ヤリス Z」のインテリア

「ヤリス Z」のインテリア

フロントシートは、両車ともに十分な広さを備えていて座りやすいが、座り心地は新型アクアのほうが少し柔軟に感じる。背もたれの部分は硬めに造り込まれていて、体をしっかりと支えてくれるものだ。

リアシートは、新型アクアでは先代よりもホイールベースを50mm伸ばすことによって居住空間を拡大させている。身長170cmの大人4名が乗車した際、後席に座る乗員の膝先空間は、新型アクアでは握りコブシ2つ弱になる。対するヤリスハイブリッドは、同じ測り方で握りコブシひとつ少々にとどまるので、新型アクアのほうが足元空間は広い。

なお、新型アクアのリアシートは座面の前側が持ち上げられているので、長身の乗員が座る時には足のサポート性がいいのだが、小柄な乗員は大腿部を押された感覚になりやすいだろう。だが、新型アクアの居住性は、総じてヤリスハイブリッドよりもすぐれている。

荷室比較

新型「アクア」の荷室

新型「アクア」の荷室

「ヤリス」の荷室

「ヤリス」の荷室

荷室の広さは両車ともほぼ同じだが、細かく見ると荷室長は新型アクアのほうが26mm長い。また、ヤリスハイブリッドはリアゲートを寝かせているので、背の高い荷物が積みにくい。荷室の使い勝手を重視するなら、新型アクアを推奨したい。

動力性能・静粛性比較

新型「アクア」の走行イメージ

新型「アクア」の走行イメージ

パワートレインは、両車ともに1.5L直列3気筒エンジンをベースにしたハイブリッドが搭載されている。動力性能も同等なのだが、ノイズは新型アクアのほうが小さい。登坂路にさしかかり、アクセルペダルを深く踏んだ時などは、ヤリスハイブリッドでは3気筒特有の粗いエンジン音が響くのだが、新型アクアは静かだ。

この静粛性の高さは、新たに「バイポーラ型ニッケル水素電池」が、駆動用電池として採用されていることが影響している。同電池によって、先代アクアに比べてバッテリー出力が約2倍に向上し、アクセルを踏み込んだ際のモーターアシストの割合が増えることによって、静かで力強い加速を実現している。

ちなみに、新型アクアには日産「ノート」に採用されている「ワンペダル」のような、アクセルペダルをゆるめるだけで強い減速がかかり、ブレーキペダルを踏む頻度を減らすことができる「快感ペダル」機能が、トヨタ車として初採用されている。同機能は、新開発された走行モード「POWER+」モードを選択することによって、滑らかな加減速を体感することができる。

アクアの製品画像
トヨタ
4.03
(レビュー375人・クチコミ15666件)
新車価格:198〜259万円 (中古車:1〜293万円

走行安定性比較

下り坂のコーナーなどで、危険を避けるためにブレーキを強めに作動させた際の安定性などは、新型アクアのほうがすぐれている。後輪の接地性が高く、運転が難しくなるような危険な状態に陥りにくい。新型アクアは、ヤリスハイブリッドに比べてホイールベースが50mm長く、全高が15mm低いこともあって、ヤリスハイブリッドよりも走行安定性が高い。

「ヤリスハイブリッド」の走行イメージ

「ヤリスハイブリッド」の走行イメージ

いっぽう、ヤリスハイブリッドには操舵に対する反応が軽快という特徴がある。新型アクアに比べて、操舵によってクルマの向きが変わりやすいので、峠道などをスポーティーに走りたい人にとっては、ヤリスハイブリッドのほうが楽しく感じるだろう。

ヤリスの製品画像
トヨタ
3.67
(レビュー87人・クチコミ2714件)
新車価格:139〜252万円 (中古車:99〜339万円

乗り心地比較

新型「アクア」のフロントサスペンション

新型「アクア」のフロントサスペンション

新型アクアは、コンパクトカーの中では乗り心地が快適だ。とくに、Z(2WD)には、路面の細かな振動などに対しても減衰力を発生させる「スイングバルブ」がショックアブソーバーに内蔵されていることによって、乗り心地をいっそう向上させている。

いっぽう、ヤリスハイブリッドはホイールベースが短いことも影響して、乗り心地は硬めだ。とくに、HYBRID GやHYBRID Xに標準装着されている14インチタイヤは、指定空気圧が高いこともあって(前輪:250kPa/後輪:240kPa)、乗り心地はかなり硬い印象を受ける。

安全&運転支援機能比較

衝突被害軽減ブレーキなどは、基本的に両車で共通のシステムが採用されているが、新型アクアでは駐車時に接触事故などを防ぐ「パーキングサポートブレーキ」の検知範囲が広げられ、前後方向に加えて側方の静止物も検知できるようになった。

新型「アクア」の「停車時警報機能付ブラインドスポットモニター」

新型「アクア」の「停車時警報機能付ブラインドスポットモニター」

また、新型アクアの「ブラインドスポットモニター」には、降車してドアを開く際に、後方からの接近車両(自転車を含む)を知らせる機能が追加されている。新型アクアは設計が新しいので、ヤリスハイブリッドに比べて安全装備も進化している。

燃費比較

新型アクアで、カタログ燃費(WLTCモード)がもっともいいのはBなのだが、同グレードは法人向けのものだ。そこで、売れ筋グレード(2WD)で比較してみると、新型アクアではGとZが33.6km/L。対するヤリスハイブリッドは、Gが35.8km/L、Zは35.4km/Lになる。燃費性能は、車重が軽いこともあって、ヤリスハイブリッドのほうがすぐれている。

価格比較

■トヨタ 新型「アクア」のグレードラインアップと価格(税込)
B:1,980,000円[2WD]/2,178,000円[E-Four]
X:2,079,000円[2WD]/2,288,000円[E-Four]
G:2,230,000円[2WD]/2,428,000円[E-Four]
Z:2,400,000円[2WD]/2,598,000円[E-Four]

■トヨタ「ヤリスハイブリッド」のグレードラインアップと価格(税込)
HYBRID X:1,998,000円[2WD]/2,241,000円[E-Four]
HYBRID G:2,130,000円[2WD]/2,338,000円[E-Four]
HYBRID Z:2,324,000円[2WD]/2,552,000円[E-Four]

新型アクアは4グレード、ヤリスハイブリッドは3グレードがラインアップされているが、新型アクアのBは安全装備などを省いたレンタカーや法人向けのグレードになる。売れ筋のアクア Z(2,400,000円)と、ヤリスハイブリッド Z(2,324,000円)を比べてみると、価格はアクア Zのほうが76,000円高い。その代わり、アクア Zには、ヤリスハイブリッド Zではオプションになっている「アクセサリーコンセント(AC100V・1500W)」(オプション価格は44,000円)や、アルミホイール(5万円相当)などが標準装備されている。

新型「アクア」の「非常時給電システム付AC100V・1500Wアクセサリーコンセント」

新型「アクア」の「非常時給電システム付AC100V・1500Wアクセサリーコンセント」

新型アクアには、車両の走行機能を停止させている状態でもクルマから電気を取り出すことができる「非常時給電モード」付のAC100V・1500Wアクセサリーコンセントが、全グレードに標準装備されているのが魅力的だ。

新型アクアは、内装の質感や後席の居住性、乗り心地などをヤリスハイブリッドよりも向上させ、かつ価格は割安に抑えられている。それらを考慮すると、新型アクアはヤリスハイブリッドよりも買い得と言えそうだ。トヨタでコンパクトカーを購入する際には、ハイブリッドカーを希望するなら新型アクア、NAエンジン車ならヤリスという選び方がベストになるだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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新車価格:198〜259万円 (中古車:1〜293万円
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新車価格:139〜252万円 (中古車:99〜339万円
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