レビュー
ホイールベース拡大によって「ゴルフ」との違いがより明確に

VW 新型「ゴルフヴァリアント」、5ドアハッチの「ゴルフ」との違いを比較!

かつて、日本の自動車市場で人気を誇っていたステーションワゴンだが、現在では国産車の車種数はかなり少なくなった。比較的新しい車種としては、スバル「レヴォーグ」やトヨタ「カローラツーリング」の2車種があげられる程度で、そのほかのマツダ「MAZDA 6 WAGON」や、ホンダ「シャトル」、トヨタ「カローラフィールダー」などは、いずれも設計が古い。日本におけるステーションワゴンの需要は、ミニバンやSUVなどにとって変わられ、特に2000年以降は売れ行きが下がって車種の廃止も進められた。

2021年7月28日に発売された、ステーションワゴンのVW 新型「ゴルフヴァリアント」。今回は、5ドアハッチバックの「ゴルフ」とのキャラクターの違いがより明確になっているので、そのあたりを中心にレビューしたい

2021年7月28日に発売された、ステーションワゴンのVW 新型「ゴルフヴァリアント」。今回は、5ドアハッチバックの「ゴルフ」とのキャラクターの違いがより明確になっているので、そのあたりを中心にレビューしたい

いっぽう、欧州車は現在でもステーションワゴンが数多くラインアップされている。欧州では、日常的に高い速度域で走行する機会が多く、走行安定性などが重視されるので低重心の車種を好む傾向が強いからだ。そのような欧州ステーションワゴンの中でも、特に人気の高い車種がVW(フォルクスワーゲン)「ゴルフヴァリアント」だ。5ドアハッチバックの「ゴルフ」をベースに開発され、2021年7月には8代目の新型モデルが発表された。今回は、その新型ゴルフヴァリアントをレビューしたい。

ゴルフ ヴァリアントの製品画像
フォルクスワーゲン
2.75
(レビュー154人・クチコミ2462件)
新車価格:310〜395万円 (中古車:9〜479万円
新型「ゴルフヴァリアント」のフロントエクステリア

新型「ゴルフヴァリアント」のフロントエクステリア

新型「ゴルフヴァリアント」のリアエクステリア

新型「ゴルフヴァリアント」のリアエクステリア

新型ゴルフヴァリアントのボディサイズは、全長が4,640mm、全幅は1,790mm、全高は1,485mm。国産ステーションワゴンに当てはめると、全長はレヴォーグよりも約120mm短く、カローラツーリングよりも150mmほど長い。全幅は1,800mm以内に収まっているので、市街地や駐車場でも運転しやすいだろう。また、後方視界がすぐれていることも特徴のひとつだ。

新型「ゴルフヴァリアント」は、先代では5ドアハッチバックの「ゴルフ」と共通のホイールベースだったが、新型ではゴルフヴァリアントのほうが延長されており、それが走りや乗り心地、車内の広さなどに影響を与えている

新型「ゴルフヴァリアント」は、先代では5ドアハッチバックの「ゴルフ」と共通のホイールベースだったが、新型ではゴルフヴァリアントのほうが延長されており、それが走りや乗り心地、車内の広さなどに影響を与えている

注目なのは、5ドアハッチバックの「ゴルフ」との違いについてだ。先代ゴルフのホイールベースは、5ドアハッチバック、ヴァリアントともに2,635mmと共通だった。ところが、新型では5ドアハッチバックは2,620mmと短くなって、ヴァリアントは逆に2,670mmへと伸ばされている。そして、全長は5ドアハッチバックが4,295mm、ヴァリアントは前述した4,640mmと345mmの差が生じている。そのため、新型ゴルフでは、5ドアハッチバックとヴァリアントで外観の見栄えも異なっている。5ドアハッチバックは、従来と同様にコンパクトなゴルフを感じさせるものだが、ヴァリアントは先代までと異なり、明らかにミドルサイズワゴンのイメージだ。国産のライバル車としては、カローラツーリングよりも全長の長いレヴォーグになるだろう。

新型ゴルフヴァリアントは、前述の通りボディが拡大されているのだが、最小回転半径は5.1mに収められている。これはホイールベースが短い5ドアハッチバックと同じ程度で、ボディがコンパクトなカローラツーリング(SやW×B)の5.3mと比べても、小回りがきく。運転のしやすさは、ゴルフヴァリアントの大きなメリットのひとつと言えるだろう。

新型「ゴルフヴァリアント」のインテリア

新型「ゴルフヴァリアント」のインテリア

車内に入ると、インパネなどの造りは5ドアハッチバックのゴルフと同じものだ。水平基調で、視認性がいい。だが、インパネの上側はソフトパッドだが、下側は硬質の樹脂が使われている。先代は、内装デザインについてはオーソドックスだったのだが、質感は新型よりも先代のほうが高いように思える。

新型「ゴルフヴァリアント」の後席は、5ドアハッチバックに比べて居住空間が拡大されている

新型「ゴルフヴァリアント」の後席は、5ドアハッチバックに比べて居住空間が拡大されている

新型ゴルフヴァリアントがホイールベースを拡げたメリットとして、後席のスペース拡大があげられる。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の膝先空間は、5ドアハッチバックは握りコブシ2つぶんだが、ヴァリアントでは2つ半に増えていて、足元空間は広々としている。5ドアハッチバックでも4名乗車は可能だが、ヴァリアントは後席が広がるのでいっそう快適だ。シートのサイズは、前後席とも十分なもので、欧州車らしく腰をしっかりと支えてくれるので長距離移動も快適だろう。

新型「ゴルフヴァリアント」で後席を立てた状態の荷室イメージ

新型「ゴルフヴァリアント」で後席を立てた状態の荷室イメージ

新型「ゴルフヴァリアント」で後席をたたんだ状態の荷室イメージ

新型「ゴルフヴァリアント」で後席をたたんだ状態の荷室イメージ

また、新型ゴルフヴァリアントは荷室容量も広い。5ドアハッチバックでは、後席を使った状態で380L、後席をたたむと1,237Lの容量だが、ヴァリアントは同611L、1,642Lに達する。後席を使った時のヴァリアントの荷室容量は、5ドアハッチバックの1.6倍にもなるので、4名で乗車しても荷物もたっぷりと積むことができるだろう。

エンジンラインアップは、5ドアハッチバックと同じで、1L直列3気筒ターボと1.5L直列4気筒ターボが用意されており、いずれもマイルドハイブリッドが併用されている。今回は、価格が割安で売れ筋グレードの、1LターボのeTSIアクティブに試乗した。

新型「ゴルフヴァリアント」の試乗イメージ

新型「ゴルフヴァリアント」の試乗イメージ

1Lターボの動力性能は、NAエンジンに当てはめると1.8Lに相当するものだ。動力性能に不満はないが、車重がやや重めなワゴンのボディで、5ドアハッチバックに比べて50kgほど重い1,360kgであることから、加速力には十分な余裕があるとはまでは言えない。また、登坂路などでアクセルペダルを踏み増すと、3気筒特有の少し粗いノイズも聞こえてくる。

新型「ゴルフヴァリアント」の試乗イメージ

新型「ゴルフヴァリアント」の試乗イメージ

新型ゴルフヴァリアントは車内が広いので、3名以上の乗車で荷物も積み、長距離ドライブなどに出かけることもあるだろう。そのような時に、高速道路や峠道の登り坂に差しかかると、1Lターボではパワー不足を感じる場面もありそうに思える。そのため、購入時には用途を考慮しつつ、できれば1Lターボだけでなく1.5Lターボも乗り比べて検討したほうがよさそうだ。

WLTCモード燃費は、1Lターボが18.6km/L、1.5Lターボは17.3km/Lになる。カローラツーリングの1.8LNAエンジン車は14.6km/L、レヴォーグの1.8Lターボは4WDを併用して13.6〜13.7km/Lなので、新型ゴルフヴァリアントは国産ワゴンと比べても優秀な燃費値だ。

走行安定性は、ホイールベースが5ドアハッチバックに比べて50mm伸ばされているのが効いており、安定感が高い。ワインディングを走ると、5ドアハッチバックよりも機敏に曲がる感覚は少し鈍くなるのだが、後輪はしっかりと接地しているのがわかる。

新型「ゴルフヴァリアント」の試乗イメージ

新型「ゴルフヴァリアント」の試乗イメージ

また、ホイールベースの拡大は乗り心地にもいい影響を与えているようだ。5ドアハッチバックでは、低速域を中心に少々硬めの乗り心地に感じられたのだが、ヴァリアントは柔軟だ。特に、前後方向の揺れが抑えられており、ステーションワゴンらしい快適性がともなう乗り心地のよさが感じられる。

そのほか、衝突被害軽減ブレーキや車間距離を自動制御できる運転支援システムなどは、5ドアハッチバックと同等のものが装着されている。

新型ゴルフヴァリアントは、5ドアハッチバックに比べてホイールベースを拡大した効果もあり、後席の居住性や荷室容量、使い勝手、乗り心地、走行安定性などがすぐれていると言えるだろう。

新型「ゴルフヴァリアント」の外観イメージ

新型「ゴルフヴァリアント」の外観イメージ

価格は、試乗した1LターボのeTSI Activeが3,265,000円。5ドアハッチバックのeTSI Activeが3,125,000円なので、ヴァリアントは約14万円の上乗せになる。ヴァリアントが、ホイールベースを拡大していることなども考えると、価格アップは妥当か、あるいはやや割安と考えられる。

1.5Lターボは、動力性能に余裕があって3名以上の乗車による長距離移動に適しているが、価格はヴァリアント eTSI Styleが3,846,000円、ヴァリアント eTSI R-Lineは3,895,000円だ。1.5Lターボは、装備が充実するものの価格の上乗せが大きく、1Lターボとの選択が悩みどころになるだろう。

グレード選びの結論としては、市街地の走りが中心なら1LターボのeTSI Active、動力性能の余裕が欲しい場合には1.5LターボのeTSI R-Lineを推奨したい。

そして、購入時には駐車時の安全性を高める各種の機能や電動テールゲートなどを含んだ「テクノロジーパッケージ」をオプション装着したい。オプション価格は、1LターボのeTSI Activeが231,000円、1.5LターボのeTSI StyleとeTSI R-Lineは187,000円で、価格以上のメリットが得られるからだ。

最後に、販売店によると「ゴルフヴァリアントは、納期が半年ほどかかる。現時点(2021年9月中旬時点)で、ゴルフの5ドアハッチバックであれば在庫があるが、ヴァリアントはほとんどない。そのために納期も長く、場合によっては半年以上に延びる」と言う。新型ゴルフヴァリアントの購入を希望するなら、商談は早めに開始したほうがいいだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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ゴルフ ヴァリアントの製品画像
フォルクスワーゲン
2.75
(レビュー154人・クチコミ2462件)
新車価格:310〜395万円 (中古車:9〜479万円
ゴルフの製品画像
フォルクスワーゲン
3.47
(レビュー353人・クチコミ25345件)
新車価格:295〜381万円 (中古車:2〜539万円
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