レビュー
細部に至る使い勝手のよさや広い室内空間などはスズキの軽ならでは

スライドドアが付いた「ワゴンRスマイル」は街中で運転しやすい!燃費も視界も、使い勝手も良好

日本の自動車市場で人気の軽自動車だが、その販売台数の5割以上がスライドドアを備える背の高いハイトワゴン系で占められている。

スズキ「ワゴンRスマイル」は、「ワゴンR」の広い室内空間や機能性に加えて、スライドドアの利便性や個性的なデザインを兼ね備えた新型モデルで、2021年9月10日に発売された

スズキ「ワゴンRスマイル」は、「ワゴンR」の広い室内空間や機能性に加えて、スライドドアの利便性や個性的なデザインを兼ね備えた新型モデルで、2021年9月10日に発売された

ワゴンRスマイルの製品画像
スズキ
3.96
(レビュー6人・クチコミ89件)
新車価格:129〜171万円 (中古車:129〜196万円

スライドドアを備えた軽自動車が好調な理由は、若年層を中心に人気を得ているからだ。1990年代の中盤以降、ファミリーカーの定番は日産「セレナ」やホンダ「ステップワゴン」など、スライドドアを備えたミニバンが主流となった。そのため、20代の若いユーザーなどは、幼いころからミニバンに慣れ親しんだ人も多いことから、軽自動車にもスライドドアが装着されていることを希望する。

だが、スライドドアを備えている軽自動車で人気なのは、スズキ「スペーシア」やホンダ「N-BOX」、ダイハツ「タント」、日産「ルークス」など、全高が1,700mmを超えるスーパーハイトワゴンだ。全高が高いと走行安定性に影響を及ぼすため、ユーザーによっては運転が不安になって「スライドドアはほしいが、天井はもっと低い方がいい」と希望するユーザーが出てきた。そのニーズに応えて、ダイハツは2016年に「ムーヴキャンバス」を発売。スライドドアを備える軽自動車だが、全高は1,655mmに抑えられている。ムーヴキャンバスは、今でも1か月平均で5,000台以上が登録され、ムーヴ全体の約60%を占めている。

「ワゴンRスマイル」の最大の特徴が、両側スライドドアを備えていることだ

「ワゴンRスマイル」の最大の特徴が、両側スライドドアを備えていることだ

そして、ムーヴキャンバスの影響も受けてスズキが開発した新型車が「ワゴンRスマイル」だ。スライドドアを装着しながら、全高はワゴンRに近いことから、車名の頭に「ワゴンR」が付けられている。今回は、ワゴンRスマイルへ試乗した印象についてレビューしたい。

「ワゴンRスマイル」のフロントエクステリアとリアエクステリア

「ワゴンRスマイル」のフロントエクステリアとリアエクステリア

ワゴンRスマイルの外観は、特徴的な丸目のヘッドランプやフォグランプなど、フロントマスクを中心に丸みがあって愛着が感じられるようなデザインが採用されている。全体的には柔和な雰囲気だが、フロントグリルは今風で、緻密にデザインされたシルバーメッキの加飾が採用されている。また、ホイールはスチールだが、ホワイトとシルバー、ガンメタリックとシルバーなどに2トーン塗装されていることによって、オシャレにデザインされているのが特徴的だ。

「ワゴンRスマイル」のインテリアは、ところどころに丸みを持たせたデザインが採用されており、温かみがあって愛着のわく雰囲気を持たせている

「ワゴンRスマイル」のインテリアは、ところどころに丸みを持たせたデザインが採用されており、温かみがあって愛着のわく雰囲気を持たせている

内装は、外観と同様に丸みを帯びたやわらかなデザインが採用されている。助手席前などには、光沢のあるアイボリーやネイビーの加飾パネルが装着されていて、パネル周りがゴールドで縁取られているなどによってスタイリッシュさを感じさせる。また、インパネやドアトリムなどに疑似的なステッチ(縫い目)が入っているなど、軽自動車としては質感が高い。

「ワゴンRスマイル」のフロントシートとリアシート

「ワゴンRスマイル」のフロントシートとリアシート

シートの座り心地は、着座位置が前後席ともに高めで見晴らしがよく快適だ。とくに、後席は足元空間が広い。前後席に座る乗員同士の間隔は1,035mmで、身長170cmの大人4名が乗車した際に後席へ座る乗員の膝先空間は、握りコブシ3つ半になる。

「ワゴンRスマイル」のリアシートには、Lサイズセダン並の居住空間が確保されている

「ワゴンRスマイル」のリアシートには、Lサイズセダン並の居住空間が確保されている

ちなみに、Lサイズセダンの前後乗員間隔はおよそ900〜950mmで、後席の膝先空間は握りコブシ2つ半程度なので、ワゴンRスマイルの後席空間はLサイズセダンよりも広いといえる。後席で、ひとつ注意したいのが座面の形状だ。開発者によると、「後席の見栄えを考慮して、座面の前側に丸みを持たせた」とのことから、大腿部と接する部分がやや短めだ。そのため、長身の同乗者が後席に座ると、違和感が生じることもありそうなので注意したい。

「ワゴンRスマイル」の荷室は、リアシートを倒せばフラットになるので、使い勝手がいい

「ワゴンRスマイル」の荷室は、リアシートを倒せばフラットになるので、使い勝手がいい

荷室は、後席を格納すると座面も連動して下がり、フラットな荷室空間として使うことができる。後席は前後スライドが可能な左右独立式タイプなので、乗員や荷物の量に応じて調節しやすい。全高が1,700mm以下の軽自動車で、後席のスライドと座面の昇降機能が両方とも左右独立になっているのは、ワゴンRスマイル以外では、スズキ「ワゴンR」と「ハスラー」のみだ。なお、路面から荷室床面までの高さは695mmと、スペーシアの510mmに比べると高いが、荷物の積み降ろしは容易な部類に入るだろう。

「ワゴンRスマイル」市街地における走行イメージ

「ワゴンRスマイル」市街地における走行イメージ

試乗を開始すると、市街地で運転しやすいことに気づいた。水平基調のボディによって、前後左右ともに視界がいい。ボンネットの手前が少し見えるので、車幅もわかりやすい。ななめ前方には、縦長のサイドウィンドウが備わっているので、右左折時に横断歩道を渡る歩行者なども見やすい。後方視界もいいので、縦列駐車もしやすいだろう。

「ワゴンRスマイル」は、最小回転半径が4.4mと小回りがきくので、細い路地などでも運転がしやすい

「ワゴンRスマイル」は、最小回転半径が4.4mと小回りがきくので、細い路地などでも運転がしやすい

最小回転半径は4.4mなので、小回り性も良好だ。ただし、ステアリングホイールを左側から右側まで一杯に回すと、4.1回転に達する。Uターンする時などはハンドル操作が忙しくなるので、ステアリングのギヤ比は走行安定性を損なわない範囲でもう少しクイックにしてほしい。

「ワゴンRスマイル」の走行イメージ

「ワゴンRスマイル」の走行イメージ

動力性能は、市街地の平坦路では不満は感じないものの、登り坂では少しパワー不足を覚える。最高出力が49PS(6,500rpm)、最大トルクは5.9kg-m(5,000rpm)と、動力性能を左右する最大トルクの値が少し低い。しかも、最大トルクの発生回転数が5,000rpmと高いので、実用域の駆動力が足りない。発進加速を試すと、4,700rpm付近から速度上昇が活発になる。最大トルクの発生回転数を4,000rpm以下に抑えれば、動力性能の印象も変わってくるだろう。さらに、車重も影響を与えている。試乗したワゴンRスマイルのハイブリッドXは870kgで、ワゴンRハイブリッド FZに比べると80kg重いからだ。

「ワゴンRスマイル」の走行イメージ

「ワゴンRスマイル」の走行イメージ

このように、ワゴンRスマイルは実用回転域の駆動力が少々弱いため、登坂路ではアクセルペダルを深く踏み込むことになり、エンジンノイズも高まりやすくなる。ちなみに、ライバル車のダイハツ「ムーヴキャンバス」も、NAエンジンのみでターボエンジン搭載車は設定されていない。ワゴンRには、ターボエンジン搭載車がラインアップされていたのだが、販売比率はワゴンR全体の5%以下と低かった。そのため、ワゴンRスマイルはNAエンジンのみのラインアップになったのだが、上級クラスのクルマから乗り替えを希望するユーザーは、販売店などの試乗車に乗ってパワー不足を感じないかを試したうえで購入したほうがいいだろう。

「ワゴンRスマイル」の試乗イメージ

「ワゴンRスマイル」の試乗イメージ

操舵感は機敏さが抑えられており、後輪がしっかりと接地しているので安定性が削がれにくい。車幅が狭く、背の高い軽自動車には適している設定だ。

乗り心地は、低速域を中心に少し硬く、上下に揺すられる印象がある。タイヤは、ダンロップとの共同開発による専用のものが装着されているが、燃費性能が重視されており転がり抵抗が抑えられている。さらに、コスト低減などもあって、乗り心地に影響が生じているように思える。

その代わり、マイルドハイブリッド搭載車のWLTCモード燃費は、25.1km/Lと良好だ。ワゴンRのハイブリッドFZと比べても、車重は80kg重いのに、WLTCモード燃費は0.1km/Lしか変わらない。ムーヴキャンバスの20.6km/Lと比べても、すぐれた燃費値を達成している。

■スズキ「ワゴンRスマイル」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-ガソリン車(NA)-
G:1,296,900円[2WD]/1,420,100円[4WD]

-マイルドハイブリッド車-
HYBRID S:1,472,900円[2WD]/1,596,100円[4WD]
HYBRID X:1,592,800円[2WD]/1,716,000円[4WD]

ワゴンRスマイルの推奨グレードは、ハイブリッドS(1,472,900円)だ。マイルドハイブリッドとアイドリングストップの採用によって燃料消費量が抑えられ、装備についても両側スライドドアの電動機能やチルトステアリング、運転席の上下調節機能、運転席シートヒーターなどが標準装備されている。ハイブリッドSの装備内容は、ライバル車のムーヴキャンバスではメイクアップリミテッドSAIII(1,507,000円)に相当するが、価格はワゴンRスマイルのハイブリッドSのほうが少し安い。

そして、LEDヘッドランプやLEDフォグランプ、パーソナルテーブルなどがほしいユーザーには、最上級のハイブリッドX(1,592,800円)を推奨したい。ハイブリッドXの価格は、ハイブリッドSに比べて119,900円高いが、プラスされる装備は15万円相当なので、上級装備を割安に装着することができる。走行性能や乗り心地は両グレードともに同じなので、装備のニーズに応じてハイブリッドSかハイブリッドXを選びたい。

オプションでは、安全装備や運転支援機能を上級化できるセーフティプラスパッケージ(46,200円)を加えたい。さらに、予算に余裕がある時には、セーフティプラスパッケージ+全方位モニター+メモリーナビ(231,000円)のセットオプションを加えてもいいだろう。

2021年9月下旬の時点で、販売店に納期をたずねると「生産が順調なら2〜3か月だが、新型コロナウイルスの影響で半導体などが不足しており、納期が延びる心配もある」と言う。また、「ETCユニットなどの入荷が遅れていることもあり、車両を先に納めてディーラーオプションは後から付けるといった工夫もしている」とのことだった。ワゴンRスマイルにかぎったことではないが、近日の新車選びは納期に注意したほうがよさそうだ。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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スズキ
3.96
(レビュー6人・クチコミ89件)
新車価格:129〜171万円 (中古車:129〜196万円
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