レビュー
新エンジンのフィーリングや操舵感、走行安定性など走りの面は良好

走りが魅力的なホンダ 新型「シビック」!ネックは高くなった価格。その理由は!?

ホンダ「シビック」という車名は、多くの方がご存じのことだろう。初代モデルは1972年に発売され、ホンダで大量生産される最初の小型乗用車になった。その後も、シビックはホンダの基幹車種として販売され続け、1991年に発売された5代目は、日本国内の1か月平均で14,000台以上も販売されていた。だが、近年の日本市場におけるシビックは、販売が伸び悩んでいる。コロナ禍の影響を受ける前の2019年でも、1か月の平均登録台数は「タイプR」を含めて900台程度だ。

2021年9月3日に発売された、11代目となるホンダ 新型「シビック」。日本市場には、ハッチバックのみが用意されている(海外市場では、セダンもラインアップ)。新型シビックは、シンプルながら洗練されたエクステリアデザインが採用されているほか、改良された1.5L VTECターボエンジンにより、軽快な加速を味わうことができる。トランスミッションに、CVTだけでなく6MTが用意されているのも特徴のひとつだ

2021年9月3日に発売された、11代目となるホンダ 新型「シビック」。日本市場には、ハッチバックのみが用意されている(海外市場では、セダンもラインアップ)。新型シビックは、シンプルながら洗練されたエクステリアデザインが採用されているほか、改良された1.5L VTECターボエンジンにより、軽快な加速を味わうことができる。トランスミッションに、CVTだけでなく6MTが用意されているのも特徴のひとつだ

シビックの製品画像
ホンダ
4.08
(レビュー93人・クチコミ4171件)
新車価格:319〜353万円 (中古車:14〜1358万円

日本における販売台数はいまひとつのシビックだが、実は2020年の世界における販売台数は68万台にも上る。シビックは、世界の車種別販売台数ランキングでも上位に位置しており、今もフォルクスワーゲン「ゴルフ」と並ぶほどの販売台数を誇る人気車なのだ。そのシビックが、2021年9月3日に新型へとフルモデルチェンジされ、試乗することができたのでレビューしたい。

ホンダ 新型「シビック」のフロントエクステリアとリアエクステリア

ホンダ 新型「シビック」のフロントエクステリアとリアエクステリア

海外で販売されている新型シビックには、ハッチバックとセダンがラインアップされているが、日本へ導入されているのはハッチバックのみになる。全長は4,550mm、全幅は1,800mmで、1.5L直列4気筒VTECターボエンジンが搭載されている。外観は水平基調で視界はいいのだが、最小回転半径は5.7mと大回りだ。購入を検討している方は、販売店の試乗車などを使って、縦列駐車などを試しておくといいだろう。

ホンダ 新型「シビック」のインテリア。インパネに装着されているメッシュパネルが特徴的だ

ホンダ 新型「シビック」のインテリア。インパネに装着されているメッシュパネルが特徴的だ

車内に入ると、個性的なインパネが目に映る。横長に配置された網目デザインのパネル装飾のなかに、エアコンの吹き出し口が内蔵されているなど、インパネは凝った作りになっている。ミドルサイズのクルマに多く採用されているやわらかなパッドなどは、新型シビックにはあまり使われていないが、光沢のあるブラックパネルが装着されていることなどによって、内装の質感は同クラスのクルマの平均水準のものとなっている。

ホンダ 新型「シビック」のフロントシートとリアシート

ホンダ 新型「シビック」のフロントシートとリアシート

フロントシートはサイズが十分に確保されており、腰の支え方もいいので長距離ドライブにも適していそうな座り心地のよさだ。後席は、頭上は狭いものの、足元空間は広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には、握りコブシ2つ半の余裕がある。

ホンダ 新型「シビック」6MTモデルのシフトノブ

ホンダ 新型「シビック」6MTモデルのシフトノブ

新型シビックの特徴のひとつは、CVTのほかに6 MTも設定されていることだ。MTのシフトレバーは、小気味よく操作できて扱いやすいものだ。

ホンダ 新型「シビック」の走行イメージ(ボディカラーはクリスタルレッド・メタリック)

ホンダ 新型「シビック」の走行イメージ(ボディカラーはクリスタルレッド・メタリック)

1.5L 直列4気筒VTECターボエンジンは、1,600rpm付近から過給効果を発揮する。2,000〜3,500rpm付近の駆動力に余裕があって、4,300rpm付近からは加速がさらに鋭くなる。最高出力は182PS(6,000rpm)、最大トルクは24.5kg-m(1,700〜4,500rpm)なので、自然吸気の2.4Lエンジンと同等だ。高回転域まで回しても、活発に吹け上がっていく爽快なエンジン特性となっている。

ホンダ 新型「シビック」の走行イメージ(ボディカラーはソニックグレー・パール)

ホンダ 新型「シビック」の走行イメージ(ボディカラーはソニックグレー・パール)

新型シビックは、走行安定性もすぐれている。操舵感は機敏な印象ではないが、ワインディングなどを走るとステアリング操作に応じて確実に曲がってくれる。車線変更時には、ボディ上側の揺り返しが抑えられていて、下り坂のカーブでは後輪がしっかりと接地している。その運転感覚はスポーティーで、すぐれた走行安定性を両立させている。ミドルサイズカーの中でも、すぐれた部類に入るだろう。

ホンダ 新型「シビック」の試乗イメージ

ホンダ 新型「シビック」の試乗イメージ

だが、乗り心地は硬めだ。路上の段差を通過した時の突き上げ感は抑えられているが、細かな凹凸が体に伝わってくる。試乗した18インチタイヤは、先代が装着していたタイプと共通だが、17インチに下げたほうが乗り心地とのバランスが取れそうだ。18インチは見栄えはカッコいいのだが、乗り心地は損なわれやすい。

ホンダ 新型「シビック」には、「Honda CONNECTディスプレイ」や「フルLEDヘッドライト」などが標準装備されている

ホンダ 新型「シビック」には、「Honda CONNECTディスプレイ」や「フルLEDヘッドライト」などが標準装備されている

グレードは、ベーシックなLXと上級のEXの2種類がラインアップされている。LXでも、安全運転支援システムの「HondaSENSING」や、ナビゲーションシステムが搭載されている「Honda CONNECTディスプレイ」、「フルLEDヘッドライト」、「18インチアルミホイール」などが標準装備されている。そして、上級のEXになると、曲がる方向を照らしてくれる「LEDアクティブコーナリングライト」、運転席と助手席に電動調節機能が付いた「パワーシート」、「BOSEプレミアムサウンドシステム」などが追加で装備されている。

新型シビックは、どちらのグレードも装備は充実しているのだが、LXで3,190,000円、EXで3,539,800円と、価格が高いのがネックだ。ちなみに、先代のシビックハッチバックは、カーナビはオプションだったのだが、運転席と助手席の電動調節機能などが標準装備されており、価格は300万円を切る2,948,000円だった。先代も割安とまでは言えなかったが、新型はさらに割高になった。

新型「シビック」と同価格帯の車種としてあげられる、スバル「レヴォーグ」

新型「シビック」と同価格帯の車種としてあげられる、スバル「レヴォーグ」

新型シビックと同じ価格帯には、どのような車種が存在するのだろうか。ボディタイプは異なるが、クルマ好きのユーザーに人気の高いスバル「レヴォーグ」(GT-EXグレードで3,487,000円)があげられる。レヴォーグに搭載されている、1.8L水平対向4気筒ターボエンジンは、最高出力が177PS(5,200〜5,600rpm)、最大トルクは30.6kg-m(1,600〜3,600rpm)になる。最高出力は新型シビックが上回り、高回転域の吹け上がりも新型シビックのほうが良好だが、最大トルクは排気量に余裕のあるレヴォーグのほうが高く、自然吸気の3Lエンジンに匹敵するような自然な加速感を味わえる。

さらに、レヴォーグの駆動方式は4WDで、走行安定性が高くて乗り心地もよく、走りの総合評価は新型シビックよりも高い。装備も充実しており、GT-EXには「アイサイトX」が標準装備されることも大きなメリットのひとつだ。アイサイトXは、高速道路における渋滞時などにおいて、ステアリングホイールから手を放した状態でも、操舵による運転支援を続けてくれる。機能の充実度は、レヴォーグGT-EXのほうが勝っている。

新型「シビック」に最も近いライバル車が、VW「ゴルフ」だ

新型「シビック」に最も近いライバル車が、VW「ゴルフ」だ

輸入車では、VW(フォルクスワーゲン)「ゴルフ」が、新型シビックのライバル車になる。ゴルフのeTSIアクティブ(3,125,000円)に、安全装備を充実させるテクノロジーパッケージ(209,000円)と、カーナビ機能を備えたディスカバープロパッケージ(198,000円)を加えると、シビックEXとほぼ同額(3,532,000円)になる。

両車を比べると、居住空間の広さは同程度で、内装はゴルフのほうが若干上質だ。だが、動力性能は新型シビックのほうがすぐれている。この価格帯に収まるゴルフ eTSIアクティブのエンジンは、低排気量の1L直列3気筒ターボだからだ。1.5L直列4気筒ターボエンジンを搭載する新型シビックは、パワーに余裕があってノイズも小さい。さらに、走行安定性や操舵感も新型シビックが上回っているが、乗り心地はゴルフのほうが快適だ。このように、新型シビックとゴルフの比較は一長一短になる。

ホンダ 新型「シビック」の外観イメージ

ホンダ 新型「シビック」の外観イメージ

総合的に見ると、新型シビックはすぐれたクルマで魅力的なのだが、どうしても価格の高さがネックとなってしまう。なぜ、これほど高くなるのかと言うと、ホンダでは各車種の収支を世界レベルではなく、国や地域ごとに合わせようとするからだ。つまり、販売計画が1か月に1,000台と少ない日本国内において、新型シビックに要した出費や売り上げのバランスを取ろうとするから価格が高まってしまうのだ。

今のホンダの国内販売状況を見ると、「N-BOX」だけで新車として販売されたホンダ車の30%を上回る。さらに、「N-WGN」などを加えた軽自動車の総台数になると、国内販売総数の50%を超えてしまう。そこに、コンパクトな「フィット」や「フリード」、「ヴェゼル」を含めると約85%にも達する。今のホンダは、「小さなクルマを販売するメーカー」になった。

本来、新型シビックはこの偏ったブランドイメージを整えるうえで大切な車種なのだが、前述のとおり価格が割高なので、売れ行きを伸ばすのは難しい。この点が改善されれば、クルマ好きとホンダ、そして新型シビックのような魅力を持つクルマすべてにとって、いい結果がもたらされるはずだ。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
シビックの製品画像
ホンダ
4.08
(レビュー93人・クチコミ4171件)
新車価格:319〜353万円 (中古車:14〜1358万円
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る