レビュー

VW 新型ゴルフの「GTI」と「TDI」に早くも試乗! 買うならどっち?

フォルクスワーゲンの新型「ゴルフ」(8代目)のラインアップに、ハイパワーモデルとして人気のホットハッチ「GTI」と、新型ディーゼルエンジンが搭載された「TDI」が加わった。発売日は、GTI、TDIのどちらも2022年1月7日が予定されている。今回、そのGTIとTDIの2モデルに試乗することができたのでレポートしよう。

新型「ゴルフGTI」の走行イメージ

新型「ゴルフGTI」の走行イメージ

新型「ゴルフTDI」(Style)の走行イメージ

新型「ゴルフTDI」(Style)の走行イメージ

ゴルフの製品画像
フォルクスワーゲン
3.95
(レビュー364人・クチコミ25663件)
新車価格:301〜466万円 (中古車:3〜748万円

■フォルクスワーゲン 新型ゴルフ「GTI」「TDI」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-新型ゴルフ「GTI」-
Golf GTI:4,660,000円
-新型ゴルフ「TDI」-
TDI Active Basic:3,444,000円
TDI Active Advance:3,989,000円
TDI Style:4,038,000円
TDI R-Line:4,088,000円

ゴルフ8にも「GTI」の伝統は受け継がれている

新型「ゴルフGTI」のエクステリア

新型「ゴルフGTI」のエクステリア

GTIというグレード名は、ゴルフの歴史において最も人々に知られているかもしれない。その歴史は、初代ゴルフが1974年にデビューした翌年、フランクフルトショーにおける参考展示から始まった。初代ゴルフの開発と並行して、社内の有志が極秘にスポーツモデルを作りたかったことから進められたのだという。そして、同ショーに展示するや否や、「ぜひ、販売してほしい」という声が多く寄せられたことから、翌年の1976年に5,000台を限定で発売するものの、瞬く間に売り切れた。そして、最終的に初代のゴルフGTIだけで46万台が販売されるという大ヒットとなったのだ。その後、7代目までのゴルフGTIにおける世界累計生産台数は、230万台にも及んだ。

フォルクスワーゲングループジャパン 広報・マーケティング本部 広報課の山崎信雄氏によると、新型ゴルフGTIの開発ターゲットについて、「すぐれたドライビングプレジャーを提供するクルマとして、高いコーナーリングスピードを実現するグリップ力と、ワインディングからトップスピードまで正確で安定したドライビングが可能であること。また、リニアで思いのままに操れるレスポンス性の高さ。さらに、スポーツモデルといってもゴルフなので、日常的な使い勝手を損なわないことなどが、重要なターゲットとして設定されました」と説明する。

新型「ゴルフGTI」のフロントエクステリアとリアエクステリア

新型「ゴルフGTI」のフロントエクステリアとリアエクステリア

まず、新型ゴルフGTIのエクステリアには、歴代のGTIのデザインエッセンスが採り入れられている。ハニカムメッシュの大型ラジエーターグリルや、そのグリルを横断する赤いストライプなどは、ゴルフGTI伝統のものだ。

新型「ゴルフGTI」のフロントフェイス

新型「ゴルフGTI」のフロントフェイス

さらに、今回は新たにフォグランプにもハニカムメッシュのデザインが採用されている。六角形のフォグランプが5個、X字に配されている斬新なデザインのフォグランプは、見る者にかなりのインパクトを与えてくれる。

新型「ゴルフGTI」のインテリア

新型「ゴルフGTI」のインテリア

新型「ゴルフGTI」のバケットタイプのフロントシート

新型「ゴルフGTI」のバケットタイプのフロントシート

インテリアは、伝統のタータンチェック柄のスポーツシートが引き続き採用されている。また、ゴルフ8の特徴であるデジタルコクピットなども、GTIに搭載されている。

新型「ゴルフGTI」に採用されているデジタルメーター

新型「ゴルフGTI」に採用されているデジタルメーター

さらに、山崎氏によると、「今回のGTIや、将来導入が予定されているRのようなスポーツモデルには、専用のメーター表示モードが装備されています。通常のメーター表示に加えて、現在、エンジンが何kw出力しているのか、ターボチャージャーの加給圧が今、何バールなのかなどを表示することができるのです」と説明してくれた。

■フォルクスワーゲン 新型「ゴルフGTI」と先代とのパフォーマンス比較
-ゴルフ8 GTI(新型)-
搭載エンジン:2.0TSI EA888 evo4
最高出力:180kW(245PS)/5,000-6,500rpm
最大トルク:370Nm(37.7kgm)/1,600-4,300rpm
トランスミッション:7速DSG
-ゴルフ7 GTI-
搭載エンジン:2.0TSI EA888 evo3
最高出力:169kW(230PS)/4,700-6,200rpm
最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1,500-4,600rpm
トランスミッション:6速DSG
-ゴルフ7 GTI Performance-
搭載エンジン:2.0TSI EA888 evo3
最高出力:180kW(245PS)/5,000-6,700rpm
最大トルク:370Nm(37.7kgm)/1,600-4,300rpm
トランスミッション:7速DSG

さて、新型ゴルフGTIで注目のエンジンは「EA888 evo4」と呼ばれるもので、先代のゴルフ7 GTIの最高出力や最大トルクを上回り、ゴルフ7 GTIのさらなるハイパフォーマンスモデルである「ゴルフGTIパフォーマンス」とほぼ同等の、180kW、370Nmを発揮する。トランスミッションは、ゴルフ7 GTIの6速DSGに替わり、7速DSGが搭載されている。

サスペンションの硬さは、先代のGTIパフォーマンスとの比較で、フロントのスプリングレートが5%、リアが15%高くなっている。さらに、ゴルフ8のノーマルと比較して、55mmローダウンされているという。

また、新型ゴルフGTIには、電子制御の油圧式フロントディファレンシャルロックなどを統合制御することで、正確で安定したハンドリングを実現する「ビークル ダイナミクス マネジメントシステム」が採用されている。さらに、走行モードを選択できる「DCC(アダプティブシャシーコントロール)」をオプションで装着することができ、これによって乗り心地をコンフォートからスポーツまで段階的に調整することができるようになる。従来では、「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」と3段階であったが、カスタムメニューを選択することで15段階からの選択が可能になるとのことであった。

NOx排出量を大きく低減する、新型ディーゼルエンジンを搭載した「TDI」

新型「ゴルフTDI」(Style)のフロントエクステリア

新型「ゴルフTDI」(Style)のフロントエクステリア

そして、GTIとほぼ同時に発表されたTDIについても触れておきたい。新型ゴルフTDIには、ゴルフ 7 TDIのEA288エンジンから全面的に刷新された、EA288evo 2.0TDIエンジンが搭載されている。

同エンジンは、最大トルクが340Nmから360Nmへと向上しているのだが、それだけでなく最も大きな特徴は環境負荷を大きく低減させていることだ。EA288evoエンジンでは、NOx(窒素酸化物)排出の問題を解決するために、ツインドージングテクノロジーが採用されている。これは、デュアルSCRと言ったほうがわかりやすいかもしれない。排気ガスを浄化するSCRを2機に分けることによって、低温から高温まで効率のよい範囲をそれぞれ分担して分解できるようになった。その結果、先代比でNOxの排出量を最大で80%削減することができるという。

多くの魅力的な電子制御技術を搭載する「GTI」

新型「ゴルフGTI」の走行イメージ

新型「ゴルフGTI」の走行イメージ

それでは、GTIからステアリングを握ってみよう。正直に言うと、新型ゴルフのガソリンエンジン搭載モデルには、これまでは決していい印象を持っていなかった。その理由として、フロア周りの剛性がゴルフ7と比較して低く、その影響からかサスペンションが若干突っ張り気味な印象を受けたからだ。そんな思いを抱いたまま、新型ゴルフGTIで走り始めると、その印象は幻だったのかと思わせるほどに、フィーリングがまったく異なっていたことに驚いた。まず、足周りは締まってはいるものの、段差を超えた時などに尖った角のある印象などは見受けられず、サスペンションがしっかりと仕事をしてショックを上手に吸収しているように感じた。その理由のひとつは、ボディの補強、特にフロア周りに手が入れられているからのように思える。これは、フロントのサブフレームがアルミに変わっており、それによって3kg軽量化されるとともに適切な位置に使われていることから、その部分の剛性が上がった結果なのではと考えられる。また、直進安定性も高く、かなりの長距離においてもそれほど疲れずに走破できそうなポテンシャルの高さを感じた。

ためしに、DCCをコンフォートからスポーツに変えてみたのだが、それでも不快な突き上げが生じなかったことには恐れ入った。特に、DCCの出来がすばらしく、スポーツモデルにもかかわらず、乗り心地をかなりやわらかい設定にもできるので、後席に同乗者がいる場合や、ゆっくりと走る時などにも重宝するはずだ。もちろん、やわらかいからといってもダンピング不足などは感じないし、むやみにぶわぶわとサスペンションが動くこともない。いっぽう、DCCをめいっぱいスポーツ寄りに設定すると、一般道ではサスがかなり硬くなる。これは、どちらかというとサーキットなどで気持ちよく走りたい際に選ぶ設定だろう。いずれにしても、新型ゴルフGTIは、DCCだけでもありとあらゆるシーンに対応できるであろうことがうかがえた。

新型「ゴルフGTI」の走行イメージ

新型「ゴルフGTI」の走行イメージ

また、パワーについては十分以上のものを備えており、7速DSGが適切なシフトを繰り返してくれることもあって、ワインディングでも痛痒なく思った通りのラインをトレースしてくれる。もちろん一般道での試乗なので、GTIの限界付近を探るようなことはできないのだが、前述したビークルダイナミクスマネジメントも適切に介入しているようで、コーナーでステアリングの舵角を一定にしたままアクセルを踏み込んでいっても、むやみに進路を乱すようなことはなかった。まるで、運転がうまくなったように錯覚してしまうところなどは、GTIの本質がしっかりと継承されていると感じられた。

新型「ゴルフGTI」の試乗イメージ

新型「ゴルフGTI」の試乗イメージ

GTIの特徴のひとつである、チェック柄のバケットタイプのシートは硬めではあるものの、ヒップ周りにしなやかさがあることから、サポートやクッション性は十分だ。また、楽なドライビングポジションが取れるので、適当に座っていても意外と疲れづらい。

新型「ゴルフGTI」のリアシート

新型「ゴルフGTI」のリアシート

そして、今度は後席に座ってみると、さすがにフロントシートでは感じられなかったネガが見えてきた。まず、乗り心地について。リアシートは結構硬く、路面からの情報、特にタイヤのゴツゴツ感がかなり伝わってくる。また、お尻の座りもいまひとつ悪い。さらに、フロントシートがバケットタイプなので、リアから見ると大柄なため、少し閉塞感を覚えてしまう。もうひとつは、マフラー音だ。フロントシートに座っている時に、ちょうどいい音にセッティングされているためなのか、後席ではマフラー音が少々耳障りであった。それらを踏まえると、後席にひんぱんに人を乗せるのならば後述するTDIのほうがいいだろう。

ディーゼルエンジンとは思えない静粛性の高さ

ここで、TDIに乗り換えてみる。今回、試乗したTDIのグレードは、Styleという標準仕様のもので、タイヤは17インチであった。

新型「ゴルフTDI」(Style)の走行イメージ

新型「ゴルフTDI」(Style)の走行イメージ

GTIでも乗り心地のよさに驚いたのだが、実はTDIのほうが衝撃は大きかった。サスペンションがとてもしなやかで、マナーがとてもいいのだ。走り始めると、クルマはフラットな姿勢のまま、スッとサスペンションがショックを吸収してくれて、eTSIとはまるで異なるクルマのような印象に感じた。TDIのほうが、車重が約100kg重いことが影響しているのかもしれないが、まるでミドルクラスセダンに乗っているかのような、好感触のフィーリングだ。さらに、もうひとつ驚いたのは、ディーゼルエンジンにもかかわらず静粛性がとても高く、かつ振動が少ないことだった。2,000回転を超えるくらいから、ディーゼルエンジンのノイズはドライバーへ届いては来るものの、ディーゼル車と知らずにこのクルマに乗った人の多くはディーゼル車とは思わないだろう。また、加速感もスムーズで、アクセルペダルを踏み込んだ量に対してのトルクの出方が素直なので、思い通りに走らせることができた。

また、ブレーキのフィーリングも素直で、停止寸前にアイドルストップが介入するのだが、そこでの踏力が変わらないのも非常に評価できる。そして、そこからの再始動などもスムーズなものであった。

後席も、とても乗り心地がよく、ゴツゴツ感がまったく気にならず優秀なので、長距離や後席をひんぱんに利用する方にとっては、さきほども述べたようにGTIよりもこちらのほうがいいだろう。

新型「ゴルフTDI」(Style)のインテリア

新型「ゴルフTDI」(Style)のインテリア

ここまで、かなり高評価のGTIとTDIの2台だが、ゴルフ8にも共通する点として、気になるところもやや散見された。まず、インパネ周りの質感の低さだ。たとえば、ナビを操作する際にスクリーンの下に手をかけると、その質感の低さに唖然としてしまう。また、これはインナードアハンドルも共通で、プラスチックのままシボすら使われておらずのっぺりとしたままなので、とても300万円オーバーのクルマとは思えない仕上がりだ。インパネ上面にあるラインなども煩わしく、加減によってはフロントガラスに映り込むことがある。新型では、デジタル化や電動化、安全運転機能により力が入れられており、そちらのほうが顧客のベネフィットにつながるので、お金をかけた結果と言われればそれまでだが、これまでできていたことをやめてそちらに注力したというのであれば、それは言い訳に過ぎないようにも思える。なぜなら、顧客の期待値を裏切る結果につながり兼ねないからだ。ゴルフくらいになると、代替え率は非常に高くなる。そんなユーザーの基準値は、もちろんいままで乗ってきたゴルフなのだから、常に目が行くところや触るところに粗が目立ってしまっているというのは避けてほしかったと思う。

もうひとつ、センタースクリーンもさらなる改良を望みたい。タッチスクリーンそのものは、きれいで見やすい。しかし、あくまでもクルマの装備だ。走りながら室温の調整もするだろうし、オーディオのボリュームも調整するかもしれない。画面を切り替えたくなることもあるだろう。そういった時に、確実に操作をするためには、画面やその下にあるタッチスライダーなどを注視してしまうのだ。また、スクリーンは手を近づけただけで反応することがあり、間違った操作をしかねないので、使いやすい物理スイッチを用いるなど、レイアウトの変更を望みたい。画面をずっと見ながら操作するスマホとは、違うのである。

さて、今回のGTIとTDI、さらにe-TSIなど、ゴルフ8ラインアップにおけるベストバイは、GTIに心を残しながらTDIを推薦したい。ここまでお読みいただいた方々は、私がe-TSIにあまりいい印象を抱いていないのはお気づきのことと思う。それは、特に足周りに起因するものなのだが、それがすべて解決しているのがGTIとTDIの2台なのだ。そして、TDIはよりしなやかであるとともに、元々ゴルフが持ち合わせていた、飾ることのない質実剛健さとともに、すっきりとした爽快な走りを感じさせてくれたからだ。家族で乗ることが多ければ、ぜひTDIをおすすめしたい。いっぽうのGTIは、オプションのDCCを装備すれば鬼に金棒、ひとりかカップルであれば、こちらでさまざまなシーンを楽しむことができるだろう。

さらに、2022年の半ばくらいになるとTDIのヴァリアントやゴルフRも導入されるとのこと。来年は、さらにゴルフ8のバリエーションは広がっていくので、新モデルの登場にも大いに期待したいところだ。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
ゴルフの製品画像
フォルクスワーゲン
3.95
(レビュー364人・クチコミ25663件)
新車価格:301〜466万円 (中古車:3〜748万円
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る