レビュー

ポルシェ最後の6発NAか…? 「718 ケイマン GTS4.0」の炸裂感がスゴかった

水平対向エンジン好きの自動車ライター、マリオ高野です。

今回紹介するクルマはポルシェ「718 ケイマン GTS4.0」。今や極めて稀な存在と言える、NA(自然吸気)の大排気量水平対向6気筒ユニットを搭載し、しかもMT(マニュアルトランスミッション)が設定されるリアルスポーツカーです。

「GTS」モデルは、大型エアインテークやブラックのフロントスポイラーと両サイドのエアブレードで武装。ボンネットラインよりも高い位置にあるフェンダーなど、ポルシェ特有のシルエットを大事にしています

「GTS」モデルは、大型エアインテークやブラックのフロントスポイラーと両サイドのエアブレードで武装。ボンネットラインよりも高い位置にあるフェンダーなど、ポルシェ特有のシルエットを大事にしています

走行時、左右の大型エアインテークに空気を導くためのデザインが施されたドア。前後フードやドアはアルミ製。タイヤサイズは、フロント:235/35ZR20、リア:265/35ZR20ですが、市街地での乗り心地は存外に快適です

走行時、左右の大型エアインテークに空気を導くためのデザインが施されたドア。前後フードやドアはアルミ製。タイヤサイズは、フロント:235/35ZR20、リア:265/35ZR20ですが、市街地での乗り心地は存外に快適です

水平のテールランプを4灯のLEDブレーキライトが囲む、最新ポルシェの特徴的なリヤビュー。排気音は、一般的な高級クーペと比べるとアイドリング域から野生的な音質です

水平のテールランプを4灯のLEDブレーキライトが囲む、最新ポルシェの特徴的なリヤビュー。排気音は、一般的な高級クーペと比べるとアイドリング域から野生的な音質です

ポルシェ最後の大排気量NAエンジンになるのか…

おそらく、ポルシェのエンジンとしては最後世代のNA大排気量水平対向6気筒ユニットになるのでしょう。現行型の718 ケイマン/ボクスターには水平対向4気筒ターボを搭載するモデルもあり、性能的には壮絶な満足度が得られるクルマになっております。しかし、やはり「水平対向6気筒」という響きに激しく惹かれるクルマ好きは多いことでしょう。

そんな718 ケイマン GTS 4.0の6MTは、やはりパワートレーンの印象が圧倒的です。最高出力は400馬力、最大トルクは420Nmということで、数値的には日本の公道で楽しむにはギリギリ高すぎないレベルと思えますが、とにかくフィーリング面での別格感がすさまじく、クルマ好きを常時悶絶させる魅力に満ちあふれているのでありました。

発進直後から高回転域まで、回転フィールがあり得ないほどのウルトラスムーズさ! エンジン本体を発生源とする振動の類いがまるで皆無のように感じられ、さながら電気モーターのよう。そんな振動のないウルトラスムーズな回転フィールに驚愕しながら、現状ではどんな電気モーターでも到底味わえない、内燃機関ユニットならではのエンターテインメント性が炸裂します。

大排気量の多気筒ユニットらしく、高カロリーな燃焼が積み重なることで得られるパワー感の伸びと、それに比例した加速力の高まりがたまりません! 水平対向6気筒ならではのスムーズさと、回転数に応じて高まるパワーの炸裂感を、手動変速機で思いのままに操る快感の甘美さ!

日本の高速道路の法定速度内では、巡洋戦艦のようにドッシリとした安定感をともなった快適なクルージングが堪能できます。静粛性よりも、エンジンサウンドを積極的に聴かせることを優先した車内の環境作りもうれしいポイント

日本の高速道路の法定速度内では、巡洋戦艦のようにドッシリとした安定感をともなった快適なクルージングが堪能できます。静粛性よりも、エンジンサウンドを積極的に聴かせることを優先した車内の環境作りもうれしいポイント

GTS4.0には小径の「Race-Tex」仕上げのスポーツステアリングを装備。高品質なマイクロファイバー材料で作られ、リサイクルされたポリエステル繊維も含まれることから、生産時に従来品よりCO2が80%低減されるとのこと

GTS4.0には小径の「Race-Tex」仕上げのスポーツステアリングを装備。高品質なマイクロファイバー材料で作られ、リサイクルされたポリエステル繊維も含まれることから、生産時に従来品よりCO2が80%低減されるとのこと

中央に鎮座するタコメーターの配置など、ポルシェの伝統に基づいたデザイン。液晶化は最小限としてアナログ計器を重視するなど、古典的なクルマ好きの嗜好をよく理解した配慮が見られます

中央に鎮座するタコメーターの配置など、ポルシェの伝統に基づいたデザイン。液晶化は最小限としてアナログ計器を重視するなど、古典的なクルマ好きの嗜好をよく理解した配慮が見られます

剛性感、節度感、ストローク量、さらにクラッチの感覚も含め、MT好きのドライバーが求めるシフト操作時の快楽のすべてが得られます。各ギヤのつながり感のスムーズさも別格にて、MTの初心者でもギクシャクせずに変速操作がしやすくなる配慮も

剛性感、節度感、ストローク量、さらにクラッチの感覚も含め、MT好きのドライバーが求めるシフト操作時の快楽のすべてが得られます。各ギヤのつながり感のスムーズさも別格にて、MTの初心者でもギクシャクせずに変速操作がしやすくなる配慮も

アクセルペダルは伝統的なオルガン式。繊細なスロットルコントロールがしやすく、珠玉のエンジンの甘美さを味わい尽くせます。ブレーキペダルの剛性感やタッチのよさは、ポルシェ以外の全車に真似をしてほしいお手本

アクセルペダルは伝統的なオルガン式。繊細なスロットルコントロールがしやすく、珠玉のエンジンの甘美さを味わい尽くせます。ブレーキペダルの剛性感やタッチのよさは、ポルシェ以外の全車に真似をしてほしいお手本

エンジンルームを鑑賞するためにはカバー類を外す必要があるなど手間がかかるのが残念。しかし、運転中は背中で鼓動を感じることができます

エンジンルームを鑑賞するためにはカバー類を外す必要があるなど手間がかかるのが残念。しかし、運転中は背中で鼓動を感じることができます

基本的には“運転で得られる快楽”のみを享受するためのクルマですが、フロント部に深いラゲッジスペースを備えるなど、2シーターのミッドシップ車としては高い実用性を備えます

基本的には“運転で得られる快楽”のみを享受するためのクルマですが、フロント部に深いラゲッジスペースを備えるなど、2シーターのミッドシップ車としては高い実用性を備えます

古典的な自動車の楽しみ

718 ケイマン GTS4.0[6MT]に乗ると、自動車の原動機から得られる究極にして至高の感動が得られるのでありました。ガソリンを燃やす喜びの頂点のひとつがここにあります。

公式に発表される0-100km/h加速タイムは4秒(PDK車)。これを軽く凌駕する電気自動車はすでにあり、さらにこの先いくらでも出てくるのでしょうが、官能面でこのパワートレーンを超える電動車が登場することは、現状ではまだ考えられません。

ポルシェのNA6気筒MT車と比べれば、アクセルを踏んだ瞬間から一気呵成(かせい)に最大トルクを発生し、乗員の首を折りそうな勢いで異次元的な加速はするものの、その先の感動は乏しいと感じる電気モーター車は、いかにも味気ない。そう思うクルマ好きは筆者だけではないはずです。

古典的なクルマ好きにとって、電気自動車の最大の課題は航続距離や充電インフラ、価格ではなく、珠玉のスポーツカーユニットから得られる快感が再現できるか否かにある。そんな余計なことを考えさせられるほど、718 ケイマン GTS4.0のパワートレーンは古典的な自動車の楽しみを究極レベルで味わえるのでありました。

もちろん、甘美なのはパワートレーンのみにあらず。ポルシェ全車で感じられる超合金的高剛性ボディがもたらすハンドリングやステアリングフィール、各ペダル類のタッチもすさまじいレベルでの甘美さに満ちあふれており、剛性フェチのドライバーの期待を微塵も裏切ることはありません。

前述したパワートレーンの快感と、ミッドシップレイアウトならではのトラクションと慣性モーメントの少なさが相まって、ナンバー付き車両としては人類史上最高の運動性能と官能性が味わえます。

法定速度付近でクルージングをすればリッターあたり2ケタ燃費も記録可能。125km/hに達するとリヤスポイラーが自動的に立ち上がって揚力を低減し、強靭なロードホールディング性能がさらに向上。それ以下の速度でもスポイラーは任意で立てられます

法定速度付近でクルージングをすればリッターあたり2ケタ燃費も記録可能。125km/hに達するとリヤスポイラーが自動的に立ち上がって揚力を低減し、強靭なロードホールディング性能がさらに向上。それ以下の速度でもスポイラーは任意で立てられます

車両本体価格は1100万円を越え、さらに将来の中古車価格が高騰することは確実なので、それを思うと悲しくなりますが、ポルシェは電気自動車の開発と販売に力を入れているいっぽう、電気自動車とは真逆の古典的なクルマ好きの喜びを大事にしてくれていることがうれしくてなりません。

ポルシェ・718 ケイマン(あるいはボクスター)GTS4.0[6MT]は人類が誇る機械遺産のひとつとして、所有できる財力のある方々に末長く大切に乗り続けていただきたいと願います。

エンジンは気筒休止機構を採用するなど環境性能高めながら、「ダイナミックで刺激的なドライビングを楽しむ」ことを最重視。次世代の人類に継承したい機械遺産です

エンジンは気筒休止機構を採用するなど環境性能高めながら、「ダイナミックで刺激的なドライビングを楽しむ」ことを最重視。次世代の人類に継承したい機械遺産です

この試乗の模様は動画でもご覧いただけます。

マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
718 ケイマンの製品画像
ポルシェ
4.09
(レビュー32人・クチコミ367件)
新車価格:768〜1207万円 (中古車:184〜1530万円
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る