レビュー

新型BRZにヨコハマ「iceGUARD 7」を装着し、雪上性能を試してみた

毎年冬になると積極的に雪上ドライブを楽しんでいるライター、マリオ高野です。

この冬は、愛車のスバル新型「BRZ」にヨコハマタイヤの新作スタッドレスタイヤ「iceGUARD 7」を装着。雪の積もるクローズドコースでスタッドレスタイヤを装着したFRスポーツカーの走りを存分に楽しみながら、タイヤとクルマの性能を試してきました。

愛車のスバル新型BRZ(Rグレード/6MT)は、専門家筋によると「FR車ながら雪上でも走行安定性が高い」と評価されており、スタッドレスタイヤとともにクルマそのものの走行感覚についてもチェックしてみました

愛車のスバル新型BRZ(Rグレード/6MT)は、専門家筋によると「FR車ながら雪上でも走行安定性が高い」と評価されており、スタッドレスタイヤとともにクルマそのものの走行感覚についてもチェックしてみました

前作「iceGUARD 6」が好印象だった

今回ヨコハマタイヤの新作スタッドレスタイヤを選んだ理由は、昨シーズンまで仕事で試乗する機会の多かった従来モデル「iceGUARD 6」の印象がとてもよかったこと。そして、昨年ラリー競技に参戦した際に車両のメンテナンスなどでお世話になった「アライモータースポーツ」のラリードライバー、新井大輝選手から推奨されたことなどです。

幼少のみぎりより「円谷プロ作品」が大好きだった筆者にとってウルトラセブンは最強のヒーローなのです。深田恭子さんとのコラボもすばらしいですね

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FIA規格の世界チャンピオンを2度も獲得した新井敏弘選手が率いる「アライモータースポーツ」。一般整備やチューニングでも絶大な人気と実績を誇り、ラリー競技車両作りについても、初心者から世界レベルまで幅広く対応してくれます

FIA規格の世界チャンピオンを2度も獲得した新井敏弘選手が率いる「アライモータースポーツ」。一般整備やチューニングでも絶大な人気と実績を誇り、ラリー競技車両作りについても、初心者から世界レベルまで幅広く対応してくれます

昨年参加した群馬県戦ラリーにおいて、「アライモータースポーツ」が推奨するヨコハマのラリー専用タイヤ「A036」のグリップ力と扱いやすさを実感。ヨコハマの新作スタッドレスタイヤへの期待もふくらみました

昨年参加した群馬県戦ラリーにおいて、「アライモータースポーツ」が推奨するヨコハマのラリー専用タイヤ「A036」のグリップ力と扱いやすさを実感。ヨコハマの新作スタッドレスタイヤへの期待もふくらみました

愛車の新型BRZ。Rグレードに標準装着される17インチホイールに「iceGUARD 7」を装着しています。サイズは215/45 R17

愛車の新型BRZ。Rグレードに標準装着される17インチホイールに「iceGUARD 7」を装着しています。サイズは215/45 R17

高性能で長持ちするらしい!

まずは「iceGUARD 7」の性能面の特徴を見てみましょう。前作と比較して氷上での制動性能が14%も向上したなど、氷上でのブレーキ性能の高さを強く訴求しています。ツルツルの氷の上でフルブレーキした際の制動距離が、従来品より14%短くなったと言いますが、同時に雪上でのブレーキ性能も3%アップ。本来は両立させるのが難しい、氷と雪の両方の性能をうまく底上げしたバランスのよさが注目ポイントと言えます。

そもそも氷の上でタイヤが滑るのは、氷とタイヤの間にミクロの水膜が介在して摩擦力を失うためで、ぬれた手でガラスを触ると滑りやすくなるのと同じ原理です。スタッドレスタイヤの氷上グリップを高めるには、この水膜を除去する性能を高めることが肝要となります。

そこで生まれたのが、新規素材を採用した「ウルトラ吸水ゴム」。吸水ゲルと呼ばれる新素材が氷表面の水を瞬時に給水し、ゴムと氷表面の密着度を向上。さらに、ゴムを低温でもしなやかにするシリカを、ゴムの内部でより均一に分散させる新採用の「ホワイトポリマーII」などにより、しなやかで強く、かつ吸水性の高いゴムが氷にへばりつくようにグリップするというわけです。ヨコハマのスタッドレスタイヤ37年の歴史の中で、最大の接地面積とブロック剛性の高さを実現しました。

「iceGUARD 7」は、新しいトレッドパターンも特徴的です。スタッドレスタイヤの場合、トレッド面は溝が掘られたというより、強くてしなやかなブロックを並べたような状態になっておりますが、このブロック部分に新開発の「ダブルエッジマイクログループ」を採用しました。ブロックの中央部分とエッジ部分で異なる傾斜を採用するなどして、エッジ効果と氷上の水膜を除去する効率を高めたとのこと。

「エッジ効果」とは、雪の路面に食いつくためのもので、雪上でのグリップ性能を高めるうえで重要となります。スキーのエッジと同じで、雪の上でのコーナリング時はもちろん、ドライ路面での踏ん張り感にもつながります。「iceGUARD 7」は、このエッジの量でも歴代モデル最大を誇ります。

さらに、サイプと呼ばれる、ブロック表面にある細かな切れ込みにも新開発の「クワトロピラミッドグロウンサイプ」を採用。従来は摩耗が進むほどに細くなってしまう切れ込みが、「iceGUARD 7」では50%摩耗時に逆に太くなるよう工夫したことで、剛性の増加と摩耗時のエッジ効果の維持性能を高めました。つまり、性能が長持ちすることが期待できるのです。

氷との密着、雪に食い付いて即座に排出、強くてしなやかなど、本来は相反する性能をことごとく両立させた特徴的なトレッド面

氷との密着、雪に食い付いて即座に排出、強くてしなやかなど、本来は相反する性能をことごとく両立させた特徴的なトレッド面

各ブロックに施されたさまざまな工夫により、氷にへばりつきながら踏ん張る強さを実現しました

各ブロックに施されたさまざまな工夫により、氷にへばりつきながら踏ん張る強さを実現しました

トレッド面のセンター部分には、サイプが倒れ込んで機能を損ねないための工夫も。摩耗が進んでもジグザグが失われにくくなります

トレッド面のセンター部分には、サイプが倒れ込んで機能を損ねないための工夫も。摩耗が進んでもジグザグが失われにくくなります

期待以上の雪上グリップ

走ってみると、ドライ路面では乗り心地のよさが印象的。しなやかさと引き換えに損なわれやすい剛性感はしっかり確保されており、新型BRZのようなスポーツカーに装着しても、市街地では不満ありません。高速道路でハイペースになると若干頼りなさを感じるようになりますが、スタッドレスタイヤとしてはまったく問題のないレベルです。

肝心の氷上、そして雪上でのグリップ感は期待以上でした。今回は雪の積もったクローズドコースということで、圧雪、シャーベット状、アイスバーン、ウェット、ドライなど、冬季の道路で遭遇するさまざまな状況を試すことができましたが、その全域において頼もしいグリップ力を発揮。クルマの横滑り防止装置のVDCをONにしていれば、終始安定したドライブが楽しめます。

前作iceGUARD 6で好評だった「永く効く」性能はそのまま継承。経年劣化の抑制により、摩耗が過度に進まなければ4年後も性能を維持するといいます

前作iceGUARD 6で好評だった「永く効く」性能はそのまま継承。経年劣化の抑制により、摩耗が過度に進まなければ4年後も性能を維持するといいます

ホイールの内側に雪や氷の塊が固着していると、高速走行時に震動や異音の原因になります。マメに除去しましょう

ホイールの内側に雪や氷の塊が固着していると、高速走行時に震動や異音の原因になります。マメに除去しましょう

ウインタードライブではワイパーやウォッシャー液なども「冬用」に交換しておくことを推奨します。また、スコップやけん引ロープなども携帯しておくと安心でしょう

ウインタードライブではワイパーやウォッシャー液なども「冬用」に交換しておくことを推奨します。また、スコップやけん引ロープなども携帯しておくと安心でしょう

新型BRZとは好相性

VDCをOFFにしても、平坦な路面では基本的には、氷上/雪上での走行を苦手とするFR車であるにもかかわらず、それを忘れてしまうほど痛快な走りっぷりが楽しめました。パワフルなエンジンを積むFR車なので、トラクションコントロールをOFFにするとリヤタイヤが空転しやすくなりますが、グリップの限界や滑っている度合いがわかりやすいので、無茶をしなければスピンモードに陥っても立て直しやすいのです。

うまく立て直せなかったとしても、その場でクルッと回る程度で済むことが多いのは、クルマの安定性とタイヤグリップ力の高さのおかげでしょう。毎年「やらかす」筆者としては珍しく、スタックをしたりコースに設置されたパイロンにクルマをぶつけたりすることがありませんでした。リヤタイヤが空転している状況でもその様子がつかみやすく、グリップを回復するためのアクセルのコントロール性がとても高いことも好印象です。

雪上/氷上では、タイヤ空気圧を規定値よりもやや低くすることで、グリップ力が高まることがあります。空気圧の調整ができるアイテムがあると便利でしょう

雪上/氷上では、タイヤ空気圧を規定値よりもやや低くすることで、グリップ力が高まることがあります。空気圧の調整ができるアイテムがあると便利でしょう

ただし、わだちがツルツルに凍った坂道(勾配3〜4%)での発進性はさすがに厳しいなど、FR車の限界が顔を出す場面も多々ありました。VDCをOFFにした状態で路面の凍った峠道を走るのはリスクがかなり高まります。今回はクローズドコースということでそれを試しましたが、公道ではVDCをON状態にし続けることを強く推奨します。

マイナス6〜7℃の凍結路面が続く峠道でも走りをチェック。2020年全日本ラリー選手権チャンピオンの新井大輝選手は「雪上/氷上ではアクセルワークをとにかくていねいに!」とアドバイスしてくれました

マイナス6〜7℃の凍結路面が続く峠道でも走りをチェック。2020年全日本ラリー選手権チャンピオンの新井大輝選手は「雪上/氷上ではアクセルワークをとにかくていねいに!」とアドバイスしてくれました

FR車、またはFF車でもツルツルに凍った路面の登り坂での発進は、タイヤの性能が高くても難度は高くなります。アクセルワークをていねいにする(または2速発進など)ことでかろうじて発進できましたが、期待以上のグリップ力を発揮してくれました。やはり「iceGUARD 7」の氷上グリップ力の高さは確かなものがあります

FR車、またはFF車でもツルツルに凍った路面の登り坂での発進は、タイヤの性能が高くても難度は高くなります。アクセルワークをていねいにする(または2速発進など)ことでかろうじて発進できましたが、期待以上のグリップ力を発揮してくれました。やはり「iceGUARD 7」の氷上グリップ力の高さは確かなものがあります

昔から「雪上では登り側が優先」と言われるように、登り坂の途中からの再発進は滑りやすいものですが、今回のような良好なコンディション下ではFRのBRZでも問題なく発進できました

昔から「雪上では登り側が優先」と言われるように、登り坂の途中からの再発進は滑りやすいものですが、今回のような良好なコンディション下ではFRのBRZでも問題なく発進できました

新型BRZならではの車体バランスのよさやトラクション性能の高さ、限界領域でのコントロール性の高さも相まって、予想した以上に雪上でのスポーツドライブが楽しめたのでした

新型BRZならではの車体バランスのよさやトラクション性能の高さ、限界領域でのコントロール性の高さも相まって、予想した以上に雪上でのスポーツドライブが楽しめたのでした

新型BRZと「iceGUARD 7」の組み合わせは、FR車としては雪上走行性能が極めて高いと評価できますが、豪雪路や登り坂ではリスクが高まることも忘れないようにしましょう

新型BRZと「iceGUARD 7」の組み合わせは、FR車としては雪上走行性能が極めて高いと評価できますが、豪雪路や登り坂ではリスクが高まることも忘れないようにしましょう

総じて、新型BRZと「iceGUARD 7」の組み合わせは「予想した以上に、雪上でスポーツドライビングが楽しめる!」というものでした。しかし、もっと深い豪雪、またはもっと滑りやすい凍結路面など、状況が劣悪化すると、当然ながらクルマもタイヤも限界値は下がりますので、くれぐれも過信は禁物。

クルマの駆動方式を問わず、またいかに高性能なスタッドレスタイヤを履いていたとしても“ウインタードライブは慎重さが何よりも大事”と認識しながら運転すべき。それを自分自身にもあらためて言い聞かせながら、本記事を締めたいと思います。

マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。

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