レビュー

四輪操舵搭載のメルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」へ試乗

メルセデス・ベンツ「Cクラス」のセダン、およびステーションワゴンがフルモデルチェンジされ、2021年秋ごろからデリバリーが開始された。Cクラスは、先代が発売されたのが2014年なので、およそ7年ぶりに刷新されたことになる。新型Cクラスの最も大きな特徴は、2021年1月に発表されたフラッグシップモデルの新型「Sクラス」へ導入されている数多くの先進技術が採用されていることだ。今回、その新型Cクラスのセダンに試乗したのでレビューしたい。

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」のフロントエクステリア

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」のフロントエクステリア

Cクラス セダンの製品画像
メルセデス・ベンツ
3.74
(レビュー145人・クチコミ5257件)
新車価格:599〜682万円 (中古車:24〜878万円

そのエクステリアデザインは、一瞬「Sクラス?」と思わせるようなたたずまいだ。事実、試乗会会場には新型Sクラスが置かれていて、それを見た筆者は「ずいぶんと、新型Cクラスは大きくなったものだ」と勘違いしそうになったほどだ。もちろん、きちんと見ればまったく違うのだが、メルセデスのデザインアイデンティティである “センシュアル・ピュリティ(官能的純粋)”というデザイン哲学のもと、1本のキャラクターラインと面で勝負していることが、そう感じさせているようだ。

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」のリアエクステリア

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」のリアエクステリア

そのシルエットは、ボンネットを長めに、キャビンを後ろに配置することによって、端正なセダンであることが表現されている。ボディサイズは、先代よりも全長で65mm、全幅は10mm大きくなった。だが、小回り性を考慮して「4WS」(リアアクスルステア)が新たに採用されているので、狭い道にも潜り込むことができる。メルセデス・ベンツ日本 営業企画部 商品企画1課の山本拓門氏によると、日本からは駐車場などを考慮して「全福が1,850mmを超えないように」と、毎回要望を出していると言う。そして、今回も1,820mmに収まったことから「安心しました」とコメントした。

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」のエクステリアイメージ

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」のエクステリアイメージ

その4WSだが、およそ60km/h以下ではリアホイールをフロントホイールと逆方向に最大2.5°傾ける。これによって、日常の走行シーンや駐車する際などは回転半径が小さくなるために、取り回しがしやすくなるという。いっぽう、60km/hを超えるとリアホイールをフロントホイールと同じ方向に最大2.5°傾けることで、走行安定性を高めている。4WSは、小回り性能の向上とともに高速域における安定性やすぐれたハンドリングを両立させている機構なのだ。

先進装備でセダン離れの若者へ訴求したい

右の男性がメルセデス・ベンツ日本 営業企画部 商品企画1課の山本拓門さん

右の男性がメルセデス・ベンツ日本 営業企画部 商品企画1課の山本拓門さん

さて、これまでのCクラスはどんなユーザーが購入していたのだろうか。山本氏によると、「5割から6割が既納客で、若干高齢化の傾向があり、50代後半から60代が過半数です」と言う。そして、課題としては「女性比率を、どのように上げていくか。また、若い方へ向けた訴求です」とのこと。具体的なアプローチというよりは、「新型Cクラスそのものが、センターディスプレイやSクラス譲りの装備など、かなり先進的なメッセージが伝わるような商品になっていて、若い人たちにも比較的受け入れられやすいような方向性へと変わってきています」と言う。「ただ、セダン離れなど、時代としては逆風なので、そのあたりをどのようにしていくは、ここからが腕の見せどころです。新型Cクラスによって、セダン離れは起きていないのだと言わせたいですね」と話してくれた。

また、新型Cクラスでは安全運転支援システムも充実している。山本氏によると、「たとえば、交差点での右左折時や、曲がった直後に歩行者や自転車などの飛び出しがあるような場合でも、緊急ブレーキが作動するようになりました。さらに、いままではステアリングアシストが対応しきれなかったRのきついコーナーなどでもしっかりと作動するなど、これまで以上にドライバーを疲れさせない、安全なシステムが搭載されています」と説明する。

新型Cクラスのラインアップは、「C200」とクリーンディーゼルエンジンを搭載する「C220D」で、この2車種にはいわゆるマイルドハイブリッドシステムである「ISG」が搭載されている。回生ブレーキによるエネルギー回収で燃費が向上するのはもちろん、加速時にサポートしてくれるブースト機能も搭載されている。ちなみに、クリーンディーゼルとISGが組み合わせられたパワートレインは、このC220Dがメルセデス・ベンツとして初めて日本へ導入される車種だ。また、欧州参考値ではあるが、約100kmを電気のみで走行可能なプラグインハイブリッドモデルも、セダンとして2022年中頃には日本で発売される予定となっている。

4WSの搭載で走りがさらに楽しく、便利になった

では、新型Cクラスに乗ってワインディングへと繰り出そう。試乗車は、「C 200 4MATIC アバンギャルド(ISG 搭載モデル)」だ。クルマへと乗り込み、シートポジションやミラーなどを合わせて、ステアリングコラム右手に備えられているレバーでDレンジを選択する。ゆっくりと駐車場を出ると、直後に直角に右折しつつ狭いゲートをくぐらなければならないのだが、先代よりも若干長く、幅広になっているにもかかわらず、新型Cクラスは難なくその道のりをクリアして、4WSの有用性を実証していく。

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」の走行イメージ

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」の走行イメージ

さらに、その4WSの作動はとても自然で、違和感がないことにも驚く。市街地やワインディングなど、いくつかのシーンで走ってみたのだが、どのような場面においてもとても扱いやすく、ボディの大きさを感じさせずにコーナーをスポーティーに、ひらひらと駆け抜けることができたのが印象的だった。また、ボディがしっかりしているので、サスペンションが十分に仕事をしている様子が手に取るようにわかるのも心強かった。

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」の試乗イメージ

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」の試乗イメージ

さらに、公道では乗り心地のよさに感心する。これは、特にランフラットタイヤから通常のタイヤへ切り替えた(試乗車はGOODYEARの225/45R18)ことも大きく貢献していそうだ。また、ほとんどのシーンにおいて静粛性がとても高く、うまく遮音されているといっていいだろう。

C200に搭載されているエンジンは、204PS(150kW)、300Nmを発生させる新型の1.5 リッター直列4気筒ターボだ。エンジン音は若干安っぽく感じるものの、回り方はとても素直で、アイドリングストップからの再始動などもISGの影響もあって振動はなく、非常にスムーズだった。

ネックはブレーキフィール

いっぽう、今回の試乗において少し気になったこともある。それは、ブレーキフィールだ。最初、ブレーキが軽すぎてどこから効き始めるのかがわからず、スッとペダルが奥に入ってしまったあと、いきなりカツンと効くといった感じで、最初は慣れずにブレーキコントロールすることも難しかった。これまでのメルセデスにおける新型車は、こういった操作系は違和感なくしっかり作り込まれていることがほとんどで、踏力に応じて思った通りの減速Gが立ち上がり、非常に自然であったのだが、今回の新型Cクラスでは人工的にこの操作感を作ったからなのか、少し違和感を覚えたのだ。また、このフィーリングは回生ブレーキに関係がありそうで、そちらの効率を優先してしまったようにも感じた。いずれにせよ、このブレーキフィールについては早めに改善してほしいと思う。

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」のインテリア

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」のインテリア

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」の中央に備えられている大型ディスプレイ

メルセデス・ベンツ 新型「Cクラス」の中央に備えられている大型ディスプレイ

大幅に刷新されたインテリアで特に目につくのは、Sクラスと同じようなレイアウトの大型ディスプレイだ。Sクラスと異なるのは、よりドライバーズカーを意識したからか、ディスプレイがドライバー側に6°傾けられている点だろう。とても先進的なセンタースクリーンだが、使いやすさという視点では少々難もある。エアコンの操作系がこのディスプレイ内に組み込まれており、温度調整などをタッチにて行わなければならないのだ。凹凸がないため、ブラインドタッチができずについつい視線が前方からディスプレイのほうへと向いてしまう。よくありがちな、空調の画面を呼び出してから操作するといった面倒なことになっていないのはいいのだが、タッチできたかどうかをハプティクス(振動)などで知らせてほしい。たとえば、MBUXを利用して音声で操作することも可能なのだが、同乗者がいる場合は意外と声を出すということに抵抗がある場合もあるからだ。

いくつかの懸念点は見られたものの、それでも新型CクラスはBMW「3シリーズ」やアウディ「A4」など定番のDセグメントモデルの中においても、ベンチマークといっていいほどの仕上がりのよさだった。今後、新型Cクラスが先代までと同様に、日本でも多くのユーザーに支持されそうだ。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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Cクラス セダンの製品画像
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