レビュー

7人乗り3列シートのジープ 新型「コマンダー」登場。2Lディーゼルターボ搭載車に試乗

ジープは、7人乗り3列シートの新型SUV「コマンダー」を、2022年10月24日に発売した。今回、わずかな時間ながら、新型コマンダーに試乗できたのでレポートしたい。

ジープ 新型「コマンダー」が、2022年10月24日に日本で発売された。コマンダーは、「グランドチェロキー」と「コンパス」の中間に位置するボディサイズを有しており、7人乗り3列シートを備えるミッドサイズSUVだ

ジープ 新型「コマンダー」が、2022年10月24日に日本で発売された。コマンダーは、「グランドチェロキー」と「コンパス」の中間に位置するボディサイズを有しており、7人乗り3列シートを備えるミッドサイズSUVだ

コマンダーの製品画像
ジープ
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(レビュー-人・クチコミ17件)
新車価格:597万円 (中古車:84〜169万円

■ジープ 新型「コマンダー」のグレードラインアップと価格
※価格は税込
Limited:5,970,000円

新型「コマンダー」は「チェロキー」の実質的な後継車

ジープのラインアップは、大きく2つに分かれている。ひとつは、「ラングラー」を中心とした悪路走破性の高さやタフさなどを前面に押し出した昔から存在する車種で、「レネゲード」や「グラディエーター」などもこちらに属する。

ジープ「ラングラー」

ジープ「ラングラー」

そして、もういっぽうは3列シート仕様の「グランドチェロキーL」を筆頭に、2列シート仕様の「グランドチェロキー」やそのPHEVモデル、「チェロキー」「コンパス」など、悪路走破性はそのままに市街地においても扱いやすいクルマたちだ。

ジープ「グランドチェロキーL」

ジープ「グランドチェロキーL」

そのなかでも、チェロキーは日本でも30年以上にわたって販売されてきたベストセラーと言ってもいいクルマで、認知度も高かったのだが、2021年末にチェロキーの日本仕様の生産が終了する。しかし今回、コンパスとグランドチェロキーの間を埋めるミッドサイズSUVセグメントに、新型コマンダーが投入されたのだ。つまり、新型コマンダーは日本において、チェロキーの実質的な後継車として位置付けられている。ちなみに、新型コマンダーのプラットフォームは、コンパスやレネゲードなどと同じ、スモールワイドプラットフォームが採用されている。

新型「コマンダー」における3つの魅力

新型コマンダーの特徴は、大きく3つある。ひとつめは、グランドチェロキーを彷彿とさせる、伸びやかで精緻なエクステリアデザイン。二つめは、3列シートの採用。そして三つめは、2リッターターボディーゼルエンジンの搭載だ。

ジープ 新型「コマンダー」のフロントエクステリアとリアエクステリア

ジープ 新型「コマンダー」のフロントエクステリアとリアエクステリア

まず、エクステリアについては写真を見ていただくとお分かりのとおり、グランドチェロキーのデザインが踏襲されている。7スロットグリルや台形のホイールアーチなどによって、ジープのアイデンティティーを踏襲しながらも、伸びやかなグラスエリアによって開放感や室内の広さが表現されている。また、フロントはヘッドライトとバンパー周り、リアはコンビランプとバンパー周りが左右につながるようにデザインされることによって、ワイド感や低重心が強調されており、しっかりと地面を踏みしめるイメージが表現されている。

ちなみに、新型コマンダーはエクステリアだけでなく、インテリアデザインもグランドチェロキーにとても近い。中央にある、「ミッドボルスター」と呼ばれるソフトパッドが貼られたインパネをクロームで囲むことによって、横方向の広がり感が強調されている。また、インテリアの各所にはステッチなどが用いられることによって、上質感が表現されている。

ジープ 新型「コマンダー」のインテリア

ジープ 新型「コマンダー」のインテリア

3列シートについては、SUVでの採用例は10%程度で、大型SUVに多いものの、新型コマンダーが属するミッドサイズSUVではあまり例がない。いっぽう、日本の乗用車市場(登録車)全体で見ると、4分の1ほどが3列シートで、そのほとんどはミニバンだ。全長で見ると、ボリュームゾーンは4m70cm〜80cmが多いとステランティスジャパンは分析。コマンダーの全長は4m80cmなので、受容性があると判断したようだ。

新型コマンダーに搭載されている2リッター4気筒ターボディーゼルエンジンは、オーストラリアやインド向けのコンパスにも採用されているものだ。最高出力は170ps/3,750rpm、最大トルクは350Nm/1,750〜2,250rpmを発生させる。そして、同エンジンに9速オートマチックや、電子制御4×4システムのJeepアクティブドライブが組み合わされている。

実は、ステランティスジャパンでは発売前にネット上で新型コマンダーのページを立ち上げ、ユーザーの反応を窺ったとのこと。およそ2か月間ほど動向を探ったところ、新型コマンダーに興味があると回答したのは、3,000人ほど居たのだそう。そのうち、ジープオーナーは4割ほどで、残り6割はジープ以外のオーナーだったと言う。また、購入を真剣に検討していて、ディーラーなどから連絡がほしいと回答した人の数は、およそ半分にも達した。そして、ユーザーがコマンダーに魅力を感じたポイントは、3列シートとディーゼルエンジン、そしてデザインだった。この分析を見る限り、まさにステランティスの狙いは的中しているようだ。

魅力的なエクステリアとインテリア

コマンダーは、日本へ導入されてからしばらくは、生産効率を重視するためにリミテッド1グレードでの展開となる。そのリミテッドの装備に関しては、必要にして十分以上。運転支援機能もしっかりと装備されているので、安心感も高い。

ドアを開けて室内へ乗り込むと、眼前に広がるのはフラッグシップのグランドチェロキーと同様の、レザーに覆われたインパネ周りだ。センターには、10.1インチのタッチスクリーンが備わり、運転席前には10.25インチのフルデジタルクラスターが置かれるなど、全体的に上質なイメージが漂っている。

ジープ 新型「コマンダー」のインテリア

ジープ 新型「コマンダー」のインテリア

ジープのインテリアデザインを統括するクリス・ベンジャミンさんに、ジープのインテリアデザインにおいて最も重視している点をうかがったところ、「お客様によろこんでもらい、そして感動してもらうこと」とコメントする。コマンダーは、メーターやスクリーンなどとミッドボルスターなどを含めてきれいにバランスが取られており、かつブラウンのレザーカラーやステッチがインパネからドア、シートにかけてつながるように見せることで、ひとつの空間としてダイナミックさを演出していると説明する。さらに、走行時に必要なスイッチ類、たとえば空調や運転支援システムなどのスイッチ類はスクリーン上ではなく物理スイッチにしているので、ブラインドタッチも可能だ。この点については、大いに評価したい。

ディーゼルらしからぬ高回転向けのセッティング

試乗レビューの前に、今回乗った車体は総走行距離が200kmほどの、まさにおろしたての新車であった。そのため、乗り始めてみても新車の硬さがまだまだ取れていなかったため、それを差し引いた印象で述べてみたい。

コマンダーへ乗り込み、エンジンを掛けてアクセルをそっと踏み込むと、ガソリンエンジンと変わらない加速を開始する。逆に、ディーゼルのトルクフルな印象ではなかったため初見では少々肩透かしを食らったものの、しっかりとアクセルを踏み込めばグイグイと加速するので、慣れてしまえば不満は感じることはないだろう。

ジープ 新型「コマンダー」の走行イメージ

ジープ 新型「コマンダー」の走行イメージ

また、高速道路における追い越しなども、アクセルを踏み込んでキックダウンさせれば痛痒なく必要な加速を手に入れられる。つまり、データ以上に高回転を好むセッティングとなっているようだった。これは、最終減速比が4.334という数字からも読み取れるように(ちなみに、比較としてBMW「X3 20d」は3.231)、数字が大きいのでエンジン回転数を高く保って走るクルマとも言える。その理由は、悪路走破性にも重きを置いているからだ。ディーゼルと言えども、高回転でパワーを使いながら悪路をゆっくりと脱出するという、どのジープにも共通した設計思想がコマンダーにも感じられた。したがって、高速道路においては、8速や9速にはなかなか入らないことになる。

ジープ 新型「コマンダー」のサイドイメージ

ジープ 新型「コマンダー」のサイドイメージ

外観は、見ための印象こそ大きく感じるのだが、市街地における取り回し性はそれほど悪くない。ボディサイズは、全長4,770mm、全幅1,860mm、全高1,730mm、ホイールベース2,780mmと、トヨタ「ハリアー」に比べると30mm長く、5mm幅広く、70mm高く、90mmホイールベースが長いレベルなので、取り回しにおける不便さはそこまでは感じられないだろう。

シートは、比較的固めではあるがホールド性は悪くない。実際に、一般道や高速道路などを走らせても、腰回りなどをしっかりと支えてくれるので不満は感じられなかった。

ジープ 新型「コマンダー」のフロントシート

ジープ 新型「コマンダー」のフロントシート

さらに、コマンダーにはフットレストが装備されているので、姿勢を保ちやすくなっていることも評価したい。なぜなら、ラングラーではフットレストの装備がなく、高速道路などでの移動時に疲れを感じやすかったからだ。また、ブレーキのフィーリングも上々で、思いどおりの減速力を手に入れられる。

3列目シートはもしもの時のために

気になったのは、ディーゼルエンジンのノイズと振動だ。決して大きなものではないのだが、最新のディーゼルエンジンを搭載した車両と比べると、若干音や振動が感じられる。特に、アイドリング時にステアリングに伝わってくるエンジンの振動が気になった。乗り心地は、前述のとおり200kmの新車であったこともあって突き上げ感があるが、60km/h以上の高速域においてはしなやかさが感じられた。そのため、もう少し慣らしが進めば乗り心地はマイルドになり、よりしなやかな移動空間を提供してくれそうだ。

ジープ 新型「コマンダー」の試乗イメージ

ジープ 新型「コマンダー」の試乗イメージ

また、ステアリングが少し軽すぎる印象とともにわずかに不感帯が感じられ、同時に路面からのフィードバックに希薄さがあるのが少々気になった。ステアリングが軽いことは決して悪いことではなく、長く乗っていれば慣れてくるものではあるのだが、路面からのフィードバックはそうもいかず不安感も出てくる可能性もあるので、タイヤと路面の接地角などを含めて一考してほしいと感じた次第だ。

ジープ 新型「コマンダー」の3列目シート

ジープ 新型「コマンダー」の3列目シート

さて、3列目シートに乗り込んでみよう。2列目シートをダブルフォールディングして3列目に入るのだが、SUVであることもあって地上高が高く、乗り込むにはコツが必要そうだ。その居心地は、ミッドサイズとしては広いほうだが、座面が平面であることから長距離移動には向いていないので、年に数回、多人数乗車が必要な時に使用し、普段は倒しておいて広いラゲッジスペースとして利用するのがいいだろう。

現在、ガソリン価格の高騰を考えると、軽油の価格は魅力的に映る。特に、新型コマンダーでよく利用されるであろう長距離移動などのシーンにおいては、そのメリットは大きい。さらに、新型コマンダーの内外装デザインは独自の魅力が備わっており、ジープブランドにおける悪路走破性の高さは何物にも代えがたいものだ。5,970,000円という価格は、たとえばハリアーあたり(Z“Leather Package”(ハイブリッド車 E-Four)で5,148,000円)と比較すると少し割高に感じるかもしれないが、3列シートであることやディーゼルによるランニングコストの低さを踏まえると、新型コマンダーを選ぶメリットは大きいと思える。

そして、「さぁ、どこへ出かけよう、何をしよう」とワクワクさせてくれる、どこにでも行けるかのようなジープが持つ独特の魅力は、新型コマンダーに乗っていても感じさせてくれるのだ。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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