「クルマの楽しさをもっと濃密に味わいたい!」との想いから、普通免許のAT限定を解除した深山幸代さん(モデル兼ライター)。夢マボロシの奇跡、または貴重な天然記念物として全力で守りたいものですが、実は最近になってMT車の運転に興味を持つ女性は増加傾向にあります。
深山さん(左)は、この日が公道でのMT初運転! 試乗車両はホンダ「N-ONE RS」の6速MT車です
今回はせんえつながら、免許を取得して30年、ずっとMT車に乗りつづけているMT好きライターのマリオ高野が、深山幸代さんにMTの乗り方についてレクチャーさせていただきました。
教習所では2速までしか入れた経験がなく、シフトダウンのやり方についても教わらなかったということなので、発進の仕方やシフトアップとシフトダウンでの操作の違いなど、MT運転の基礎を解説しております。深山さんのように、今はAT車だけれど、これからMT車に乗ってみたいと思っている皆さんの参考になれば幸いです。
試乗車に選んだのは、ホンダ「N-ONE RS」。車体の剛性感の高さや旋回姿勢を安定させやすい特性など、スポーツドライビングが満喫できるポテンシャルを備えた1台です。
N-ONE RSは、軽自動車ながらMTは6速までギヤがあり、変速操作のし甲斐があります。660ccの排気量でも、平坦路ならアイドリング状態でクラッチを繋ぐだけで発進できる太い低速トルクを発揮するので、MT初心者にもオススメできます
深山さんは今回、MT車を運転することによって、今まで知らなかった未知の世界が広がり、ドライバーとして大切な感覚や意識を高められたと感激されました
「今どきのクルマは、アイドリング状態でクラッチをつなぐだけでスムーズに発進できる(坂道を除く)」など、昔からよく言われるMTの基本操作とは少し異なる、筆者独自の考えも多分に含まれておりますが、実際にMT車を走らせる上で覚えておくと便利な内容を紹介します。
シフトの操作フィーリングは良好。手応え、節度感、ストローク量、クラッチの重さなど、MTシフトの操作時に大事な感覚のすべてが入念に仕立てられています
MTシフトのみならず、基本的な運動性能の総合力もすぐれたN-ONE RS。よりスポーツ性の高いサスペンションも、ディーラーオプションで設定されています
MT車に乗ると、タコメーター(エンジン回転計)が存在する意味や重要性が実感できるようになります。低速トルクや高回転時の伸びなど、エンジンの特性についても意識できるようになるので、ドライバーとしての楽しみが増すと言えるでしょう
排気量の小さな軽自動車は基本的に「高回転型エンジン」なので、MTを操作する意味や楽しさがより実感しやすいというメリットがあります
MT車を運転すれば「クルマとの対話」や「運転と向き合う」といった、クルマの運転の本質的な楽しさが劇的に濃厚となり、安全への意識も高まる効果が得られるので、MT車が普通に買えるうちに、ひとりでも多くの人にMT車の運転を味わっていただくことを願ってやみません。
MTなら、どのATよりもエンジンの感覚がダイレクトに感じられ、クルマと対話する感覚がより濃厚となります
教習所以外でMTに乗った経験がなくても、運転の基礎がしっかりしている人は、意外とスムーズに扱える可能性が高いと言えます。AT限定の解除やMT車の運転に挑戦する人がさらに増えれば、自動車メーカーもMT車の設定を増やす可能性が広がることも期待できるので、MT好きの皆さんはMTビギナーをやさしく見守っていきましょう!
1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。3台の愛車はいずれもスバルのMT車。