これから登場する新型車のうち、最も注目されている車種と言えば、トヨタの新型「プリウス」だろう。
2023年1月10日に正式発表予定の、トヨタ 新型「プリウス」。正式発表前に、価格や装備、納期などの情報のほか、購入に際しての注意点などについてもお伝えしたい
新型「プリウス」の概要については、2022年11月18日に掲載しているので、今回は価格や装備など、実際の購入の際に気になることや注意点などについて、正式な発表に先駆けて解説したい。ちなみに、発表日は2023年1月10日が予定されている。
※当記事では一部、海外仕様の新型「プリウス」の画像を使用しております
■トヨタ 新型「プリウス」のパワートレイン
・1.8L ハイブリッド(システム最高出力:140PS)
・2.0L ハイブリッド(システム最高出力:193PS)
・2.0L プラグインハイブリッド(システム最高出力:223PS)
■トヨタ 新型「プリウス」のグレードごとの価格
-1.8L ハイブリッド-
・X:2,750,000円(法人向けグレード)
・U:2,990,000円(当面はKINTO専用車)
-2.0L ハイブリッド-
・G:3,200,000円
・Z:3,700,000円
※価格はすべて2WDの税込
※4WDの価格は22万円の上乗せ
※PHEVの価格は(記事掲載時点で)未定(2023年1月中旬に判明)
※Uグレードを希望する場合は、2023年1月10日の発表日以降にKINTOのウェブサイトにて申し込み
新型「プリウス」の価格については、上記になる。購入検討に際して注意したいのは、1.8L ハイブリッドについてだ。Xは、価格が2,750,000円と最も安いが、レンタカーや法人向けのグレードになる。したがって、上級な装備は採用されず、オプション装備についても制限されている。
1.8L ハイブリッドは、法人向けおよびKINTO専用車になる。そのため、ディーラーなど販売店で新型「プリウス」を購入する場合には、必然的に2.0L ハイブリッドを検討することになる
また、同じく1.8L ハイブリッドのUは、当面の間はサブスクリプション(定額制カーリース)の「KINTO」専用車になる。「KINTO」は、契約期間満了時に車両を返却する必要があるので、Uを所有することはできない。そこで、大半の販売店では「一般のお客様に販売するのは、2L ハイブリッドのみ」と案内している。「KINTO」は、Webサイトを使ったユーザーによる申し込みが基本で、特定の店舗を除くと販売店は納車のみを行っているからだ。
今後のスケジュールは、前述のとおり2023年1月10日に正式発表される予定だが、販売店では2022年12月22日には価格を明示して予約受注を開始した(予約受注の開始日は、販売会社によって異なる)。また、昨今の半導体などの不足によって、今はクルマの納期が全般的に遅延している。販売店では「2022年12月22日に予約受注を開始した後、相当な注文が入ってきた。今は、生産するペースが下がっているから、正式に発表される2023年1月10日頃には、納期が1年に達して受注を停止するかも知れない」とも予想していると言う。
■トヨタ 新型「プリウス」の主な装備内容
-(1.8Lを含めて)全車に標準装備-
トヨタセーフティセンス(衝突被害軽減ブレーキ&運転支援機能)/サイド&カーテンエアバッグ/リヤスポイラーなど
-2.0Lの「G」に標準装備-
パーキングサポートブレーキ/19インチアルミホイール&タイヤ/上級ファブリックのシート生地/シートヒーター/後席センターアームレストなど
-2.0Lの「Z」に標準装着される装備(「G」の内容を含む)-
フロントトラフィックアラート/アドバンストパーク/レーンチェンジアシスト/自動防眩インナーミラー/フロントロアグリルなどを含めたエアロパーツ/スーパーUV&IRカットガラス/運転席と助手席の電動調節機能/合成皮革のシート生地など
新型「プリウス」におけるグレードの選び方だが、衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能をあわせ持つトヨタセーフティセンス、サイド&カーテンエアバッグなどは、1.8L ハイブリッドを含めてすべてのグレードに標準装備されている。
安全運転支援機能のトヨタセーフティセンスは全車に標準装備されるが、2.0L ハイブリッドの「G」であればアルミホイールとタイヤが19インチに大型化され、シートヒーターなどが加わる。さらに、最上級グレードの「Z」なら、自動で駐車を操作してくれるアドバンストパークや、高速道路などでレーンチェンジの操舵を行ってくれるレーンチェンジアシストなどが標準装備される
また、販売店が一般ユーザーに向けて扱う2.0L ハイブリッドのG(3,200,000円)には、安全装備のパーキングサポートブレーキやシートヒーターなどが標準装備される。シート生地は上級なファブリックで、アルミホイールとタイヤのサイズは、1.8L ハイブリッドには17インチが装着されるが、2.0L ハイブリッドのGとZは19インチだ。
最上級グレードとなる2.0L ハイブリッドのZ(3,700,000円)は、ドライバーの死角となる前方左右の障害物を検知して警報するフロントトラフィックアラートや車庫入れを支援するアドバンストパーク、エアロパーツ、合成皮革のシート生地などが標準装備される。
そのほか、各グレードには後輪をモーターで駆動する4WDのE-Fourも設定される。E-Fourの価格は、各グレードともに2WDに比べて22万円高くなる。
購入時の選択肢を2.0LのGとZにかぎると、Gのほうが推奨度は高い。Zの価格は、Gに比べて50万円高いからだ。その点、2.0Lを搭載するGは3,200,000円なので、従来型の「プリウス Aツーリングセレクション」の3,171,000円に近く、従来型から乗り替えるユーザーにも適している。
いっぽう、1.8L ハイブリッドを搭載するKINTO専用グレードのUも、価格が2,990,000円に抑えられていることもあって、気になる方もおられるだろう。アルミホイールとタイヤのサイズが17インチに下がるものの、主要装備の内容は2.0L ハイブリッドのGに近い。したがって、高い動力性能を求めないユーザーにとっては、装備と価格のバランスではUが最も買い得なグレードになる。
ちなみに、Uの2,990,000円という価格を従来型の「プリウス」に当てはめると、中級に位置するAの3,004,000円、あるいはSツーリングセレクションの2,902,000円に近い。求めやすく、買い得なUをKINTO専用にするのは、現金で購入するなど所有権を手に入れたいユーザーにとっては、少々残念なところかもしれない。
ちなみに、UがKINTO専用になった背景には、同サービスによってトヨタ車の売れ行きを増やしたいという同社の国内戦略があるからだ。KINTOは、戦略に基づいてすべての年齢層をカバーできる任意保険が標準で付帯されている。たとえば、契約者の子どもが未成年の友人とドライブに出かけ、運転を友人に交代した時に交通事故の加害者になったとする。この状況でも使える任意保険料は、高価格車でなくても車両保険を含めると年額30万円前後に達する。つまり、KINTOはユーザーを限定しない保険料の高い任意保険を標準付帯することで、クルマ離れが指摘されている若年層の利用をうながしているわけだ。若年層は、今後も長くクルマを使う有望な顧客であり、そこを取り込めばトヨタ車の安定供給につながると考えている。
また、KINTOでは使用期間を満了した車両をユーザーが買い取ることはできない。必ず返却されるので、KINTOを促進すればトヨタの中古車ビジネスも活性化できる。あるいは、「KINTO ONE 中古車」にも充当できる。
以上のような事情から、トヨタはKINTOに力を入れて納期も短く抑えている。たとえば、「ノア」「ヴォクシー」を販売店で購入すると、今の納期はノーマルエンジンが約10か月、ハイブリッドになると1年以上だ。それが、KINTOなら車両の需給方法が異なるため、納期が1か月半から2か月に短縮される。KINTOでは、契約期間を満了したら車両を返却しなければならないが、納期遅延の時代に「ノア」「ヴォクシー」が1か月半から2か月で納車されるメリットは大きい。
トヨタ車を、所有権まで含めて購入したいユーザーにとっては、KINTOの納期優遇は不親切だろう。だが、新型「プリウス」の納期がKINTOの使用によって短縮され、なおかつ所有にこだわらないのであれば、KINTOを利用する方法もひとつの手段として考えてみてもいいのかもしれない。
「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト