レビュー

「フィット e:HEV RS」は手ごろな価格でスポーティーな“快速仕様”!

ホンダは、コンパクトカーの「フィット」にマイナーチェンジを施し、2022年10月7日から販売を開始した。

ホンダ「フィット」は、2022年10月7日のマイナーチェンジによって、新たにスポーティーな「RS」グレードが追加された。今回、「RS」のハイブリッドモデルである「e:HEV RS」に試乗したのでレビューしたい

ホンダ「フィット」は、2022年10月7日のマイナーチェンジによって、新たにスポーティーな「RS」グレードが追加された。今回、「RS」のハイブリッドモデルである「e:HEV RS」に試乗したのでレビューしたい

フィットの製品画像
ホンダ
4.09
(レビュー1125人・クチコミ91273件)
新車価格:159〜266万円 (中古車:1〜285万円

「フィット」のマイナーチェンジにおいて最も注目したいのが、かつて高い人気を誇っていたスポーティーな「RS」が復活して、ラインアップへ加わったことだ。「RS」には、e:HEVモデルとガソリンモデルがラインアップされている(ガソリンモデルのみ、2022年少し遅れて2022年11月に販売が開始された)。「RS」には、専用にセッティングされたサスペンションが装着されており、さらにハイブリッドの「e:HEV RS」は、専用の「ドライブモード」スイッチ(NORMAL、SPORT、ECON)や、アクセルオフ時の減衰力を4段階で選択できる「減速セレクター」が採用されているのが特徴的だ。

「フィット e:HEV RS」には、「NORMAL」「SPORT」「ECON」の3つのモードが切り替えられる「ドライブモード」スイッチが専用装備されている

「フィット e:HEV RS」には、「NORMAL」「SPORT」「ECON」の3つのモードが切り替えられる「ドライブモード」スイッチが専用装備されている

「フィット e:HEV RS」は、アクセルオフ時の減速力を4段階に調節できる「減速セレクター」が専用装備されている

「フィット e:HEV RS」は、アクセルオフ時の減速力を4段階に調節できる「減速セレクター」が専用装備されている

さらに、「RS」の外観は専用デザインのフロントグリルやフロントバンパー、サイドシルガーニッシュ、リアバンパー、リアスポイラー、アルミホイールなどが採用されており、スポーティーなエクステリアとなっているのも特徴的だ。

「フィット e:HEV RS」のフロントエクステリア

「フィット e:HEV RS」のフロントエクステリア

「フィット e:HEV RS」のフロントフェイス

「フィット e:HEV RS」のフロントフェイス

「フィット e:HEV RS」のリアエクステリア

「フィット e:HEV RS」のリアエクステリア

ちなみに、「RS」がラインアップへ加わった代わりに、これまで販売されていた「NESS」グレードが廃止されている。そのため、「フィット」の新たなグレードラインアップは、「BASIC」「HOME」「CROSSTAR」「LUXE」、そして「RS」の5つになる。

また、マイナーチェンジにおけるもうひとつの大きな改良点が、e:HEVモデルとガソリンモデルともに、パワートレインに手が加えられていることだ。

「フィット e:HEV RS」は、駆動用モーターの最高出力が引き上げられており、余裕のある走りを楽しむことができる

「フィット e:HEV RS」は、駆動用モーターの最高出力が引き上げられており、余裕のある走りを楽しむことができる

e:HEVモデルは、駆動用モーターの最高出力が以前は80kW(109PS)だったのだが、マイナーチェンジ後は90kW(123PS)へと引き上げられている。さらに、発電用モーターの最高出力も70kWから78kWに、発電用エンジンの最高出力も72kWから78kWへとアップされることで、駆動力だけでなく燃費も向上させている(e:HEVの「BASIC」が30.2km/L、同「RS」が27.2km/L)。

また、ガソリンモデルについては、マイナーチェンジ前はエンジン排気量が1.3リッターだったのだが、マイナーチェンジ後は1.5リッターへと排気量がアップしたことによって、加速性能が向上している。

このように、走りを中心にかなり大規模なマイナーチェンジが施された「フィット」だが、今回は最も注目度の高いe:HEVモデルの「RS」(以降、「e:HEV RS」)に試乗したのでレビューしたい。

■ホンダ「フィット」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-e:HEVモデル-
e:HEV RS:2,346,300円[FF]
e:HEV BASIC:1,997,600円[FF]/2,195,600円[4WD]
e:HEV HOME:2,175,800円[FF]/2,373,800円[4WD]
e:HEV CROSSTAR:2,422,200円[FF]/2,620,200円[4WD]
e:HEV LUXE:2,499,200円[FF]/2,664,200円[4WD]

-1.5Lガソリンモデル-
RS:1,959,100円[FF]
BASIC:1,592,800円[FF]/1,790,800円[4WD]
HOME:1,826,000円[FF]/2,024,000円[4WD]
CROSSTAR:2,072,400円[FF]/2,270,400円[4WD]
LUXE:2,149,400円[FF]/2,314,400円[4WD]

まず、前述したとおりe:HEVは「RS」を含めて、駆動用モーターの最高出力が引き上げられているが、実際に試乗すると実用回転域における駆動力がさらに高められているような印象を受けた。たとえば、時速50〜70kmで巡航している時にアクセルペダルを踏み増すと、操作量に応じてパワーが以前よりも増している感覚だ。e:HEVの滑らかな走りをさらに際立たせながら、駆動力やレスポンスが以前に比べてもう一段階アップしているようなフィーリングだ。

「フィット e:HEV RS」の走行イメージ

「フィット e:HEV RS」の走行イメージ

また、「e:HEV RS」は走行安定性も高い。コーナーを曲がる時には、ボディは相応に傾くものの、挙動の変化は穏やかで外側の前輪がしっかりと踏ん張ってくれる。後輪の接地性も高く、旋回軌跡を拡大させにくいので、ワインディングなどを走りやすい。また、ステアリング操作に対するレスポンスもよく、車両の動きは正確だ。「e:HEV RS」は、少し高めの速度域をターゲットとして開発されているようで、ノーマルの「フィット」に比べて全体的な運転感覚はスポーティーに仕上げられている。乗り心地は少し硬めなものの、クルマ好きのユーザーなら適度な引き締まり感があると感じられるはずだ。

「フィット e:HEV RS」の走行イメージ

「フィット e:HEV RS」の走行イメージ

少し気になったのが、昨今のホンダのe:HEV搭載車に多く採用されている、ステップ変速制御についてだ。e:HEVでは、(高速走行時などを除いて)エンジンは基本的に発電のために回転しているのだが、ステップ変速制御が採用されていると速度の上昇に応じてエンジン回転数が有段式ATのように上下する。これは、実際の加速とエンジンの回転数のズレによる違和感を抑えるための制御なのだが、筆者は「e:HEV RS」に乗って、ステップ変速制御に少し不自然な印象を受けた。このあたりは、ユーザーの感覚によっても評価が変わるかもしれないので、もし「e:HEV RS」の購入を検討されているのであれば、試乗して違和感が生じないか確かめてみていただくのがいいだろう。

■ホンダ「フィット」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-e:HEVモデル-
e:HEV RS:2,346,300円[FF]
e:HEV BASIC:1,997,600円[FF]/2,195,600円[4WD]
e:HEV HOME:2,175,800円[FF]/2,373,800円[4WD]
e:HEV CROSSTAR:2,422,200円[FF]/2,620,200円[4WD]
e:HEV LUXE:2,499,200円[FF]/2,664,200円[4WD]

-1.5Lガソリンモデル-
RS:1,959,100円[FF]
BASIC:1,592,800円[FF]/1,790,800円[4WD]
HOME:1,826,000円[FF]/2,024,000円[4WD]
CROSSTAR:2,072,400円[FF]/2,270,400円[4WD]
LUXE:2,149,400円[FF]/2,314,400円[4WD]

「e:HEV RS」の価格は、2,346,300円。「e:HEV HOME」と比べた時の価格差は170,500円に抑えられている。この価格差で、「e:HEV RS」には専用サスペンションや専用デザインの外装パーツ、スポーツモードに切り替えられる「ドライブモード」などの装備が加わる。装備と価格のバランスを考えれば、「e:HEV RS」は割安と言えそうだ。「e:HEV RS」の価格設定は、販売のテコ入れをねらった結果でもあるのだろう。

また、1.5Lガソリンエンジンを搭載する「RS」の価格は1,959,100円なので、「e:HEV RS」のほうが387,200円高い。その代わり、購入時に納める税額は「e:HEV RS」のほうが84,900円安い。したがって、実質的な価格差は約30万円に縮まる。

さらに、「e:HEV RS」のWLTCモード燃費は27.2km/L。1.5Lガソリンエンジンの「RS」は17.9km/Lなので、「e:HEV RS」なら燃料代を約34%節約できる。レギュラーガソリン価格を1リッター当たり160円として燃料代を計算してみると、「e:HEV RS」が「RS」との実質価格差を取り戻せるのは約10万kmを走ったころになる。距離は少し長いものの、「e:HEV RS」ならハイブリッドならではの上質な走りも味わえる。総合すると、「e:HEV RS」を選ぶ価値は高いだろう。

いっぽう、1.5Lガソリンエンジンの「RS」は、車重が「e:HEV RS」に比べて110kg軽いというメリットがあり、運転感覚の軽快さが魅力的だ。「RS」モデルを購入検討する際には、そのあたりも含めて「e:HEV RS」か、ガソリンエンジンの「RS」かを検討するといいだろう。

「フィット e:HEV RS」のインテリア

「フィット e:HEV RS」のインテリア

「フィット e:HEV RS」のフロントシート

「フィット e:HEV RS」のフロントシート

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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4.09
(レビュー1125人・クチコミ91273件)
新車価格:159〜266万円 (中古車:1〜285万円
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