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新型「プリウス」vs「シビック e:HEV」2台の走りや実燃費を比較!

2023年1月にフルモデルチェンジされ、スタイリッシュなエクステリアなどが注目を集めている、トヨタ 新型「プリウス」。そのライバル車としてあげられるのが、2022年に発売されたホンダ「シビック e:HEV」だ。前回は、2車の内外装について比較したが、今回は走りを中心にレビューしたい。なお、今回も前回と同様に、筆者(渡辺陽一郎)と深山幸代さんの2人で、実際に試乗して比較チェックしてみた。当記事のほか、以下の動画でも詳しく解説しているので、ご覧いただければ幸いだ。

動力性能、加速フィールを比較

新型「プリウス」には、先代と同様に「THSII」と呼ばれるハイブリッドシステムが搭載されているが、その中身は最新世代のものとなっている。これまでの低燃費性能の高さに加えて、レスポンス性や加速フィールなど、スポーティーさがより高められている。ちなみに、新型「プリウス」に搭載されているエンジンは、1.8Lと2.0Lの2種類が用意されているが、今回試乗したのは「Z」グレードに搭載されている2.0Lエンジンだ。

新型「プリウス」のZグレードには、28.6km/Lの低燃費を達成しながら、システム最高出力144kW(196PS)を発揮する、2.0Lハイブリッドシステムが搭載されている

新型「プリウス」のZグレードには、28.6km/Lの低燃費を達成しながら、システム最高出力144kW(196PS)を発揮する、2.0Lハイブリッドシステムが搭載されている

プリウスの製品画像
トヨタ
3.67
(レビュー749人・クチコミ72582件)
新車価格:275〜460万円 (中古車:29〜620万円

いっぽう、「シビック e:HEV」には燃費のよさと走りの楽しさを両立させた、e:HEVと呼ばれるハイブリッドシステムが搭載されている。e:HEVのメリットは、発電用と走行用の2基のモーターが搭載されることで、効率よく充電できることに加えて、多くの場面をモーターのみでEV走行できる点などにある(「プリウス」は、モーターとエンジンを併用する場面が多い)。「シビック e:HEV」に搭載されるエンジンは、新開発の2.0Lエンジンになる。

「シビック e:HEV」には、従来よりも高トルクな新開発の2.0L直噴エンジンに、軽量化と高出力化が図られたPCU(パワーコントロールユニット)を組み合わせたハイブリッドシステム「e:HEV」が搭載されている

「シビック e:HEV」には、従来よりも高トルクな新開発の2.0L直噴エンジンに、軽量化と高出力化が図られたPCU(パワーコントロールユニット)を組み合わせたハイブリッドシステム「e:HEV」が搭載されている

シビックの製品画像
ホンダ
4.32
(レビュー124人・クチコミ4820件)
新車価格:324〜398万円 (中古車:25〜561万円

両車を乗り比べた際の加速性能については、同程度の感覚であった。だが、巡航中にアクセルペダルを踏み増したときの反応は、「シビック e:HEV」のほうが力強く感じられる。前述のとおり、「シビック e:HEV」は基本がモーター駆動なので、アクセル操作に対する反応が機敏で動力性能が即座に高められるためだ。まるで、電気自動車に近いようなシームレスな加速感が味わえる。

深山さん
深山さん

新型『プリウス』は、踏み込むとそれなりにエンジン音は聞こえますが、しっかりと加速してくれている感じがあって安心できます。『シビック e:HEV』のほうは、加速がとても滑らかでスムーズです。また、アクセルを踏んでいるのに、とても静かに加速してくれるのも好印象ですね

走行安定性、操舵フィールを比較

両車とも、低重心でワイドボディなので、走行安定性は高い。そのうえで比較してみると、新型「プリウス」のほうが操舵に対する反応は軽快で、車両の向きが比較的素早く変わる。

新型「プリウス」は、安定しながらも軽快感のある操舵フィールが特徴的だ

新型「プリウス」は、安定しながらも軽快感のある操舵フィールが特徴的だ

いっぽう、「シビック e:HEV」もステアリング操作に対して車両は正確に反応するのだが、新型「プリウス」のような軽快さとは異なり、やや重みが感じられるしっかりとした操舵フィールという印象だ。峠道の走行などは新型「プリウス」のほうが得意で、「シビック e:HEV」はどちらかと言えば高速道路の巡航時などに適していると言えそうだ。

「シビック e:HEV」の操舵感は、新型「プリウス」に比べるとしっかりとした重みが感じられて、高速道路などでは安定して走りやすい

「シビック e:HEV」の操舵感は、新型「プリウス」に比べるとしっかりとした重みが感じられて、高速道路などでは安定して走りやすい

深山さん
深山さん

新型『プリウス』は安定性が高くて、高速道路でもスピードが出ている感覚がないので、走っていても怖くないですね。『シビック e:HEV』は、ステアリングは少し重みを感じるのですが、コーナーリングなどであまり傾くことなく、スーッと自然に曲がってくれますので安心して運転できます

乗り心地を比較

両車ともに、市街地における乗り心地は少々硬めだ。特に、舗装の荒れた道路を時速40km以下で走ると、路面の凹凸が体に感じられる。また、前述しているが新型「プリウス」の乗り心地は軽快だが「シビック e:HEV」は重厚な印象で、新型「プリウス」よりもひとまわり大きなクルマに乗っているような気分も味わえる。

安全装備、運転支援機能を比較

衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備については、新型「プリウス」のほうが充実している。右左折時に、直進する車両や横断歩道上の歩行者、自転車を検知すると衝突被害軽減ブレーキが作動するほか、出会い頭の衝突を避ける機能なども備えられている。さらに、注目の安全機能として、「プロアクティブドライビングアシスト」と呼ばれる機能が搭載されている。同機能は、たとえば通常の走行で先行車に近づき過ぎたときなどに、自動的に減速して車間距離を保つことができる機能だ。そのため、ドライバーが先行者に気づいてブレーキペダルを踏もうとしたときには、すでにゆるやかな減速が開始されている。機能としては地味ではあるが、「プリウス」ならではの安全で滑らかな運転を支援してくれるものだ。

燃費性能を比較

WLTCモード燃費は、新型「プリウス」のZグレードが28.6km/L、「シビック e:HEV」が24.2km/Lになる。新型「プリウス」の燃費値は、今や突出してすぐれているとは言えないものの、それでも良好な数値であることは間違いない。ちなみに、参考までに今回、市街地や高速道路などさまざまなルートを2車で130kmほど走行したのだが、そのときの実燃費は新型「プリウス」が23.5km/L、「シビック e:HEV」が23.9km/Lであった。

総合評価

新型「プリウス」は、軽快な加速感やハンドリング性能によって、先代よりも走りが楽しめるクルマへと仕上げられている。また、高い安全装備や良好な燃費性能も魅力的だ。いっぽう、「シビック e:HEV」は、鋭い加速フィールや重厚感のあるハンドリングなど、スポーティーでダイナミックな走りを堪能できる。同じハッチバックのハイブリッド車ながら、走りの方向性が異なる2台なので、購入検討の際にはそれぞれ乗り比べてみるといいだろう。次回は、2台の価格比較や、グレード選びについて解説したい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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プリウスの製品画像
トヨタ
3.67
(レビュー749人・クチコミ72582件)
新車価格:275〜460万円 (中古車:29〜620万円
シビックの製品画像
ホンダ
4.32
(レビュー124人・クチコミ4820件)
新車価格:324〜398万円 (中古車:25〜561万円
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