近年は、SUVの人気が高い。日本では、新車として販売される小型、普通乗用車(軽自動車を除く)の約30%をSUVが占めており、かつて人気の高かったミニバンの比率をも上回っている。
また、価格.comの自動車カタログにおけるユーザー閲覧数を見ても、2022年1〜12月はボディタイプ別でSUVが約41%と最も多く、注目を集めていることがうかがえる。
価格.comの自動車カタログにおけるボディタイプ別閲覧数(2022年1〜12月)を見ると、SUVが約41%と最も多く人気があることがわかる
そこで、今回は2022年1〜12月の価格.com SUV人気・注目ランキングでTOP3の、トヨタ「ハリアー」、三菱「アウトランダー」PHEV(プラグインハイブリッド)モデル、レクサス「NX」の3車種についての魅力を、価格.comの満足度・レビュースコアやクチコミ・レビューなどを交えつつ、解説していこう。なお、当記事以外に、以下の動画でも3車種を詳しく解説しているので、ご覧いただければ幸いだ。
まず、人気・注目ランキングの1位は、トヨタ「ハリアー」だ。全長が4,700mmを超える人気のLサイズSUVで、今は半導体などの供給不足によって納期が遅れているために売れ行きも下がった。だが、それでも2023年1〜4月の1か月平均登録台数は約7,700台に達し、LサイズSUVの中では最多販売車種となっている。
「ハリアー」のフロント&リアエクステリア。クーペのような流麗なフォルムが採用されており、横一文字のテールランプも印象的だ
「ハリアー」のインテリア。センターコンソールは馬の鞍をイメージしてデザインされており、それを挟み込むインパネは大らかな広がり感が演出されている
「ハリアー」が人気となっている大きな理由のひとつは、上質な内外装にある。フロントフェイスからインパネ周辺に至るまで、ていねいに造り込まれている。上質で華やかさがあり、プレミアブランドであるレクサスのSUVと比べても見劣りしない。
価格.com 自動車カタログにおける、トヨタ「ハリアー」の満足度・レビュースコア(2022年1〜12月平均値)
価格.comの満足度・レビュースコアを見ると、「ハリアー」はエクステリア(画像上)の採点が4.22点と最も高い。「ハリアー」の特徴と販売が好調な理由が、スコアにも表れていると言えそうだ。
さらに、「ハリアー」の価格.comクチコミ・レビューを見ると、以下のようなコメントが数多く投稿されている。
「外観はハリアーのいちばんのポイントだと思います。フォルムが好きで購入にいたりました」
「最も所有満足度を満たせるのがエクステリアです」
「細目のヘッドランプ、リヤの一文字のテールランプがカッコイイ。横から見たフォルムもスタイリッシュです」
いっぽう、「リヤウインカーは上でもよかったかなぁ」という意見もあった。「ハリアー」の後ろ姿を見ると、ブレーキとテールランプは高い位置に横長で装着されていてカッコいいが、方向指示器のランプはバンパー部分に装着されており、後続車両から見たときのリヤウインカーの視認性はあまりよくない。軽トラックのように、すべてのテールランプが低い位置に装着されていれば問題ないのだが、ブレーキランプと方向指示器が上下に離れていると見落とす心配もある。だが、見方を変えると、「ハリアー」はそこまで外観にこだわったとも言えるだろう。
「ハリアー」のリヤウインカーは、リアバンパーのあたり(赤丸部分)に設置されている
なお、「ハリアー」は後席の足元空間も広いので、4名で乗車したときの居住性は快適だ。荷室の容量も大きく、ファミリーカーとしての実用性は高い。しかも、乗り心地も快適で、販売総数の約40%を占めているハイブリッドモデルは、低燃費でノイズも小さい。快適で使いやすく、デザインも上質なので高い人気を得ている。隙のない「ハリアー」のクルマ作りは、トヨタ車の象徴とも言えるだろう。
人気・注目ランキングの2位は、三菱「アウトランダー」のPHEVモデルだ。
「アウトランダー」のフロント&リアエクステリア。フロントフェイスは、三菱のアイデンティティーである「ダイナミックシールド」が用いられており、フェンダーなどは力強い走りをイメージさせるようなデザインが採用されている
現行「アウトランダー」は、PHEVモデルのみがラインアップされている。2.4L直列4気筒エンジンは主に発電を担当して、駆動は前後に搭載されているモーターを中心に行う。エンジンが直接駆動するのは、燃費効率が高まる高速道路の巡航時のみだ。
価格.com 自動車カタログにおける、三菱「アウトランダー」の満足度・レビュースコア(2022年1〜12月平均値)
価格.comの満足度・レビュースコアを見ると、走行性能(画像右下)が4.74点と最も高い。「アウトランダー」の特徴は、モーターによる4輪の緻密な駆動力制御とすぐれた走行安定性にある。価格.comのクチコミ・レビューにも、以下のような内容が投稿されている。
「カーブはロール(ボディの傾き方)が抑えられ、無理なく曲がります。前に乗っていたクルマはスバルでしたが、カーブの曲がり方は、圧倒的にアウトランダーが勝っています」
「選ぶときの決め手は、安定性などの走りでした。ほかの購入の候補車種は、強めに加速すると唸るのも気になりました」
「FR(後輪駆動車)のようによく曲がります。スピードを高めなくても、クルマが思いどおりに動く感覚が楽しいです」
このように、「アウトランダー」は走りのよさを賞賛する声が多い。モーターは、エンジンに比べて動力の増減を機敏に行えるが、「アウトランダー」はその特徴を生かして、4輪を電子制御で綿密にコントロールする。たとえば、ワインディングでカーブを曲がるときなどは、前後輪のモーターの駆動力配分を細かく制御し、アクセルペダルを踏みながら曲がるときでも、必要に応じてブレーキを自動的に作動させる。ブレーキまで含めて制御することによって、ステアリングの操舵角に応じて進行方向を忠実に変えていく。車両が、ドライバーの意図を的確に読み取って走らせるわけだ。
「アウトランダー」における特徴のひとつが、悪路などにおける走破性の高さだ。前後に1基ずつ駆動用モーターを搭載する「ツインモーターAWD」が採用されており、前後に駆動力を配分させながら左右のブレーキ制御も行うことで、思いどおりのハンドリングと高い操縦安定性を実現している
また、「アウトランダー」は、1回の充電でエンジンを作動させずに85〜87kmを走行できる(WLTCモード)。搭載される駆動用リチウムイオン電池の総電力量は、電気自動車の「サクラ」や「eKクロスEV」と同じ20kWhなので、モーターだけで走行可能な距離が長い。買い物などの日常的な移動であれば、エンジンを始動させずに電気自動車として使える。
内装も上質で、荷室に補助席を装着した7人乗りも用意されており、実用性も高い。買い得グレードになるG(5人乗り)の価格は517万9,900円、最上級のP(7人乗り)は570万5,700円と高価格だが、「アウトランダー」はそれに見合う機能や性能を備えている。
「アウトランダー」のインテリア(上)と7人乗りの3列目シート(下)。内装は、質感の高いソフトパッドが随所に採用されるなど、上質感にこだわってデザインされている
人気・注目ランキングの3位は、レクサス「NX」だ。レクサスには数多くのSUVがラインアップされているが、販売の主力はミドルサイズの「NX」になる。
「NX」のフロント&リアエクステリア。先代からプラットフォームが刷新されており、走りのダイナミックさや艶やかさが、エクステリアへ“塊感”として表現されている
今は、コロナ禍の影響もあってパーツの供給が滞り、生産のペースが下がっているものの、それでも「NX」は2022年度の1か月平均登録台数は約1,000台に達している。レクサスの中では、販売が好調だ。
価格.com 自動車カタログにおける、レクサス「NX」の満足度・レビュースコア(2022年1〜12月平均値)
価格.comの満足度レビュースコアを見ると、最も高いのはエクステリアの4.40点だ。外観が高く評価されたのは、いかにもレクサスらしい。乗り心地も4.10点で、プレミアムブランドの上質なクルマとして受け入れられている。
さらに、価格.comのクチコミ・レビューにも、エクステリアが好評であることがわかるコメントが多数投稿されている。
「外観が気に入って購入したので、文句なしに気に入っています」
「RXに比べてコンパクトですが、レクサスらしい塊感と存在感があります。RXほど威圧感がなく、適度にヤンチャな感じも気に入っています」
「デザインだけでなく、サイズもちょうどよく、運転しやすいのでラクです」
クチコミ・レビューを見ると、レクサスのプレミアム感覚に加えて威圧感が少ないこと、ボディサイズが適度で運転しやすいことなども人気の理由としてあげられている。
「NX」のインテリア。運転席周りは、人間中心のコックピットデザイン「Tazuna Concept」に基づいて設計されており、各種スイッチやメーター、センターディスプレイなどはスムーズな操作が可能なようにデザインされている
レクサスはプレミアムブランドなので、内外装が上質なのは当然ではあるのだが、「NX」はさらに実用性も高い。前後席ともに頭上と足元には十分な空間があって、荷室の使い勝手もすぐれている。さらに、「NX」はパワーユニットが4種類と豊富なことも特徴だ。2.5L直列4気筒のNAエンジン、2.5Lハイブリッド、2.5Lプラグインハイブリッド、さらに2.4Lターボも揃えられている。好みや用途、予算に応じて選ぶことができ、価格帯も455万円から753万5,000円と幅広いのも、人気の理由のひとつだろう。
「NX」は、ターボエンジンからPHEVまで、幅広いパワートレインを選べるのも魅力のひとつだ
今回、紹介した3車種はそれぞれ異なる魅力を持っているが、共通して言えることは国産SUVというジャンル自体が日本の多くのユーザーに受け入れられているということだ。日本国内の道路事情や、四季折々の気候に対応するための実用性の高さ、また安心で信頼性のある国産SUVというイメージが、多くの人々にとって魅力的な要素となっているのだと考えられる。みなさんも、価格.comの SUV人気・注目ランキングなどを参考に、自分に合った国産SUVを見つけてみてはいかがだろうか。
「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト