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日本でいちばん売れているクルマ「N-BOX」の新型が2023年秋に発売!

今やホンダを代表する軽自動車「N-BOX」は、近年の日本国内における最多販売車種でもある。現行モデルの発売は2017年なので約6年が経過しているが、2023年上半期(1〜6月)の1か月平均販売台数(自販連)は1万8,708台に達するなど、いまだその人気に陰りは見られない。

ちなみに、車名別販売ランキングの2位はトヨタ「ヤリス」の1万6,237台だが、この販売台数にはコンパクトカーの「ヤリス」のほか、SUVの「ヤリスクロス」やスポーツモデルの「GRヤリス」も含まれている。加えて、軽自動車で販売2位のダイハツ「タント」は1万3,348台なので、「N-BOX」の月1万8,708台というのは圧倒的な販売台数であることがわかる。

3代目の新型「N-BOX」は、基本的なフォルムは踏襲しつつ上質さが感じられる内外装が採用されるとともに、使いやすさを重視した改良が施されている

3代目の新型「N-BOX」は、基本的なフォルムは踏襲しつつ上質さが感じられる内外装が採用されるとともに、使いやすさを重視した改良が施されている

N-BOXの製品画像
ホンダ
4.20
(レビュー240人・クチコミ15518件)
新車価格:164〜188万円 (中古車:13〜293万円
N-BOX カスタムの製品画像
ホンダ
3.67
(レビュー272人・クチコミ18715件)
新車価格:184〜236万円 (中古車:24〜260万円

そんな「N-BOX」が、2023年秋にフルモデルチェンジされる。ホンダの販売店では、「先行予約の受付を、2023年8月5日から開始する」とのことだった。「N-BOX」は、日本国内で新車として販売されるホンダ車の約40%を占める基幹車種のため、販売面における失敗は許されない。当記事では、そんな「N-BOX」の新型モデルについて、正式な発売前に実車に触れ、開発者に話をうかがうことができたので、その詳細を解説したい。

先代を踏襲しつつ、やさしくなった外観デザイン

まず、エンジンやプラットフォームは、基本的に先代モデルを踏襲する。これにより、開発費用が抑えられている。

エンジンは、NAエンジンとターボエンジンの2種類だが、新型モデルでは標準仕様にもターボエンジンが用意されないことが少々残念だ。ターボエンジンは、カスタム仕様のみに採用される。

先代モデルの標準仕様に設定されていた「Lターボ」の価格は、NAエンジンの「L」に比べて約20万円高かったが、サイド&カーテンエアバッグ、右側スライドドアの電動機能、パドルシフトなどが装備されていた。これらの価格換算額を差し引くと、ターボの正味価格は約7万円に収まり、「Lターボ」は装備も含めて考えると実は買い得なグレードだった。つまり、「Lターボ」の販売不振は装備と価格の設定に原因があったと考えられるので、廃止されたのは残念に思う。

また、先代モデルに設定されていた、助手席を前後に57cm動かせる「スーパースライドシート仕様」は、新型モデルには用意されない。その理由を開発者に尋ねると、「売れ行きが伸び悩んだから」とのことであった。

グレード構成は従来と同じく、標準仕様とカスタム仕様が存在する。新型モデルは外観も基本的には先代モデルを踏襲しており、パッと見では大きな変化はわからない。だが、フロントグリルの形状は変更され、標準仕様は細かな丸い穴が開いた「シンプル家電」のような雰囲気のデザインが新たに採用されている。

標準仕様のフロント、リアエクステリア。丸目がより強調されたヘッドライトが採用されているほか、テールランプはライセンスランプを含めてフルLED化されている

標準仕様のフロント、リアエクステリア。丸目がより強調されたヘッドライトが採用されているほか、テールランプはライセンスランプを含めてフルLED化されている

新しいフロントグリルは、暮らしに寄り添うシンプル家電のような存在を目指してデザインされている

新しいフロントグリルは、暮らしに寄り添うシンプル家電のような存在を目指してデザインされている

カスタム仕様は、光沢のあるブラックのフロントフェイスが採用されるなど、緻密に造り込まれている。角度によって光り方が変わり、さまざまな表情を見せる。さらに、フロントフェイスには一文字のライトが備わるなど、洗練された印象を受ける。開発者は、「威圧感が生じないように配慮した」とのことだ。

カスタムモデルのフロント、リアエクステリア。光の当たり方によって雰囲気が変わるブラックのグリルが採用され、フロントやリアのロアバンパーはワイド&ローなスタンスを意識してデザインされている

カスタムモデルのフロント、リアエクステリア。光の当たり方によって雰囲気が変わるブラックのグリルが採用され、フロントやリアのロアバンパーはワイド&ローなスタンスを意識してデザインされている

カスタムモデルは、横一文字のライトに注目。車幅までライトをつなげることで、ワイド感や上級モデルであることが演出されている。また、ヘッドライトにはホンダ初となる「ダイレクトプロジェクションLED」を装備。スムーズで滑らかに発光する「シーケンシャルターンシグナル」も採用されている

カスタムモデルは、横一文字のライトに注目。車幅までライトをつなげることで、ワイド感や上級モデルであることが演出されている。また、ヘッドライトにはホンダ初となる「ダイレクトプロジェクションLED」を装備。スムーズで滑らかに発光する「シーケンシャルターンシグナル」も採用されている

細かなスペックなどについては、記事掲載時点(2023年8月3日)では不明だが、軽自動車なので全長や全幅は規格枠いっぱいの先代モデルの数値が踏襲されているだろう。開発者によると全高も同程度で、ホイールベースにも変更はなさそうだ。床の高さや前後席の間隔なども含めて、車内の基本的な造りは先代モデルと同じで、軽自動車では最大級の室内空間が備わっている。

前方視界が向上して広々としたインテリア

いっぽう、インパネなどのデザインは変更されている。先代モデルのインパネは、メーターが奥まった高い位置に装着されていたが、新型モデルはステアリングホイールの奥側に配置する一般的な形状となった。開発者によると、「小柄なお客様の場合、前方の風景が見にくかったため、一般的な形状に改めた」と述べている。メーターは、デジタルタイプで視認性もいい。

標準仕様(上)とカスタム仕様(下)のインパネ。メーターの位置を変更することでダッシュボードがフラットになり、広々として見やすい前方視界が得られている

標準仕様(上)とカスタム仕様(下)のインパネ。メーターの位置を変更することでダッシュボードがフラットになり、広々として見やすい前方視界が得られている

さらに、新型モデルは収納設備が豊富だ。新型モデルでは、メーターの配置を変えたことでステアリングホイールの奥側に装着されていた収納設備が廃止されているが、グローブボックスの容量は2倍に増やされた。インパネの角に丸みを持たせるデザインを採用するなど、内装はやさしい雰囲気に仕上げられている。

メーターは、ホンダの軽自動車としては初となる「7インチTFT液晶メーター」が採用されている

メーターは、ホンダの軽自動車としては初となる「7インチTFT液晶メーター」が採用されている

インテリアは丸みを持たせてやさしい雰囲気に

内装は特に、標準仕様の仕上がりの高さに注目したい。ベージュの内装は、壁材を連想させるデザインとなっている。インパネトレーは、樹脂製ながらコルクのような雰囲気を感じさせる。開発者やデザイナーは、「自宅の出窓にコルクのトレーを置いたようなリラックス感覚を表現した」と言う。

インパネで注目なのが、角丸処理が施されてやさしい印象を与えてくれる「インパネトレー」だ。さまざまなものを便利に置けるだけでなく、思わず飾り付けしたくなるような雰囲気を持ち合わせている

インパネで注目なのが、角丸処理が施されてやさしい印象を与えてくれる「インパネトレー」だ。さまざまなものを便利に置けるだけでなく、思わず飾り付けしたくなるような雰囲気を持ち合わせている

前後席の広さは先代モデルと基本的に同じだが、シート生地などは変更され、座り心地が向上している。特に後席は、先代モデルの突っ張るような印象が薄れて柔軟になった。腰が少し沈み込むので、着座姿勢も安定する。

新型「N-BOX」のフロントシート(上)とリアシート(下)。シート生地に変更が施されている

新型「N-BOX」のフロントシート(上)とリアシート(下)。シート生地に変更が施されている

新型モデルは、荷室にも注目したい。先代モデルと同じく、背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、自転車などを積みやすい。しかも、新型モデルでは格納された後席の背面にヘコミが設けられており、自転車を載せやすく倒れないように配慮されている。

ラゲッジルームは、倒したリアシートにへこみが設けられることで、自転車などをより積みやすく、固定しやすくなっている

ラゲッジルームは、倒したリアシートにへこみが設けられることで、自転車などをより積みやすく、固定しやすくなっている

また、荷室の脇に装着される収納設備も拡大され、ボックスティッシュが楽に収まるほどだ。外から収納物も見やすく、使い勝手にすぐれ、車内の整理整頓もしやすい。

このほか、通信機能も搭載されるなど、先進的な装備も充実している。先代モデルが大人気車だったので、新型に乗り替えるユーザーも多いだろう。新型「N-BOX」は、先代のよさをうまく受け継ぎながら進化を遂げる。今後も、「N-BOX」はベストセラーであり続けるだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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N-BOXの製品画像
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4.20
(レビュー240人・クチコミ15518件)
新車価格:164〜188万円 (中古車:13〜293万円
N-BOX カスタムの製品画像
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3.67
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新車価格:184〜236万円 (中古車:24〜260万円
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