今、日本で最も売れているクルマ、ホンダ「N-BOX」がフルモデルチェンジされる。その概要について2023年8月3日に第一報を掲載したが、その時には不明であった価格や納期などが今回の独自調査によって判明したので、買い得グレードなどとあわせてお伝えしたい。
まもなく正式発表、発売が予定されているホンダ 新型「N-BOX」。メーカー未発表の価格や買い得グレードなどをお伝えしたい
まず、新型「N-BOX」のグレード構成や価格、装備内容などについては以下のとおりだ。
■新型「N-BOX」のグレード構成と価格(2WD)
標準ボディ:164万8,900円
標準ボディ ファッションスタイル:174万7,900円
カスタム:184万9,000円
カスタム コーディネートスタイル:205万9,000円
カスタムターボ:204万9,000円
カスタムターボ コーディネートスタイル:216万9,000円
■新型「N-BOX」の主な装備内容
・標準ボディ:衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、急アクセル抑制機能、サイド&カーテンエアバッグ、電子制御パーキングブレーキ、フルLEDヘッドランプ、左側スライドドアの電動機能、360度スーパーUV&IRカットパッケージ、ロールサンシェード、4スピーカーなど
・標準ボディ ファッションスタイル(標準ボディの装備に加えて):専用デザインのホイールキャップ、オフホワイトのドアミラーカバー、オフホワイトのアウタードアハンドルなどのドレスアップパーツ
・カスタム(標準ボディの装備に加えて):カスタム専用外装パーツ(フロントマスクやテールゲートスポイラーなど)、14インチアルミホイール、前席シートヒーター、6スピーカーなど
・カスタム コーディネートスタイル(カスタムの装備に加えて):外観のダーククロームメッキ加飾、コーディネート専用デザインの14インチアルミホイール、右側スライドドアの電動機能、フルプライムスムースシート生地、後席アームレストなど
・カスタムターボ(カスタムの装備に加えて):ターボエンジンの搭載、右側スライドドアの電動機能、プライムスムース&トリコットコンビシート生地、15インチアルミホイール、パドルシフトなど
・カスタムターボ コーディネートスタイル(カスタムターボの装備に加えて):外観のダーククロームメッキ加飾、コーディネートスタイル専用の15インチアルミホイール、フルプライムスムースシート生地など
新型「N-BOX」のグレード構成は、先代モデルに比べるとシンプルになった。基本的には、NAエンジンを搭載する標準ボディとカスタム、そしてターボエンジンを搭載するカスタムターボに大別される。
標準ボディには、パッケージオプションとして、外装をドレスアップした「ファッションスタイル」と呼ばれるグレードが用意される。そして、カスタムとカスタムターボには、装備の追加とドレスアップを兼ね備えた「コーディネートスタイル」と呼ばれるグレードが設定される。
装備については、標準ボディでも充実しており、衝突被害軽減ブレーキやサイド&カーテンエアバッグ、LEDヘッドランプ、右側スライドドアの電動機能などが標準装備されているので、実用面において大きな不満は生じないだろう。さらに、標準ボディのファッションスタイルでは、外装パーツの色彩などが鮮やかになる。
標準ボディのフロント、リアエクステリア。丸目がより強調されたヘッドライトが採用されているほか、テールランプはライセンスランプを含めてフルLED化されている
「ファッションスタイル」は、オフホワイトのドアミラーやアウタードアハンドル、ボディと同色のフルホイールキャップなどが採用されている個性的なグレードだ
いっぽう、カスタムは上級シリーズとして位置付けられる。エアロパーツやアルミホイールが標準装備され、内外装の質感やスポーティーさが高められる。さらに、カスタムのコーディネートスタイルでは、外観の装飾がダーククロームメッキになり、右側スライドドアの電動機能や後席アームレストなどの装備が充実する。カスタムターボは、ターボエンジンが搭載されるほか、パドルシフトや右側スライドドアの電動機能などの実用装備が充実する。
「カスタムターボ」のフロント、リアエクステリア。光の当たり方によって雰囲気が変わるブラックのグリルが採用され、フロントやリアのロアバンパーはワイド&ローなスタンスを意識してデザインされている
ボディカラーは、標準ボディには6色が用意される。また、標準ボディのファッションスタイルには、明るいブルーのフィヨルドミストパール、オータムイエローパール、プレミアムアイボリーパールIIが設定される。この3色は、ファッションスタイル専用なので、カスタムなどほかのグレードでは選べない。
カスタムとカスタムターボのボディカラーは6色で、コーディネートスタイルでは専用色のプレミアムクリスタルレッドも選べる。さらに、ルーフをブラックにした2トーンボディカラーなど、コーディネートスタイルには計6種類のボディカラーが用意される。
新型モデルと先代モデルで、装備と価格のバランスを比べてみると、新型モデルは4〜5万円ほど値上げされている。そこで、新型モデルにおけるグレード選びについて解説したい。
まず、機能や装備の割に価格が安くて買い得なグレードは、標準ボディ(164万8,900円/価格はすべて2WD)だ。ライバル車は「タント X」(150万7,000円)、「スペーシアハイブリッド X」(153万3,400円)などになるだろう。新型「N-BOX」の価格は、ライバルよりも高いものの、運転支援機能が標準装備されている。「スペーシアハイブリッド X」は、LEDヘッドランプもオプションなので、新型「N-BOX」は価格が高い代わりに装備が充実している。
「N-BOX」には、フルLEDヘッドランプが全グレードに標準装備されている
また、上級シリーズのカスタムを選ぶときには、カスタムターボ(204万9,000円)を推奨したい。NAエンジンのカスタムに比べて.、価格は20万円ほど高いが、前述のとおり右側スライドドアの電動機能やパドルシフトが加わり、シート生地が上級化され、アルミホイールは14インチから15インチへと拡大される。
「カスタムターボ」に装着されている、15インチアルミホイール&タイヤ
カスタムターボでは、これらの装備の付加価値が10万円に換算されるため、ターボの正味価格は価格差からこの金額を差し引いた10万円になる。先代モデルでは、ターボエンジンの動力性能(最大トルク)はNAエンジンの1.6倍で、WLTCモード燃費は5%しか悪化しない。ターボエンジンの効率のよさは、新型「N-BOX」も踏襲するため、ターボエンジンの価格換算額が10万円なら買い得だろう。そのため、カスタムを選ぶならターボエンジン搭載グレードを推奨したい。
なお、販売店では新型「N-BOX」の納期について、以下のように述べている。「新型『N-BOX』の受注はすでに開始され、2023年8月下旬に契約した場合、納車は年末〜2024年1月ごろになる。販売店に試乗車が入るのは2023年10月上旬だ。また、『N-BOX』の場合、先代モデルの在庫車も豊富に用意されており、2023年10月頃までは購入できる」と言う。
「N-BOX」は、国内販売におけるベストセラーカーだ。国内で売られているホンダ車の約40%を「N-BOX」が占める。したがって、フルモデルチェンジのために「N-BOX」の売れ行きが下がると、ホンダの国内販売台数も激減してしまう。そこで、生産終了を控えて、先代「N-BOX」の在庫が大量に用意されているようだ。2023年10月ごろまでは、新旧の「N-BOX」のどちらも選べるわけだ。ちなみに、先代モデルの在庫車なら納期も短く、販売店では「2週間以内に収まる」と言う。
また、新型モデルでは省かれた、助手席ロングスライドシートを装着するEXシリーズが、先代モデルでは選ぶことができる。さらに、ターボモデルも新型モデルの標準ボディでは廃止されているが、先代モデルであれば選べる。このように、廃止された仕様がほしいときなどは、先代モデルの在庫車を検討するメリットがある。
また、販売店では「新型モデルは値引きなどができないが、先代モデルなら少なくとも10万円は可能だ。商談の進み方によっては、さらにディーラーオプションをサービス装着したり、下取り車の査定額を高めたりすることもできる」と言う。新旧「N-BOX」を比較して、好みや購入条件に合った車種とグレードを選ぶなら、今がチャンスだ。
※新旧モデルの併売や値引きについては、一部販売店の情報になります。詳しくは、販売店までお問い合わせください [編]
「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト