本企画「Daddy’s Sneaker」は、30〜40歳代のパパにとって本当に使えるスニーカーを模索する連載企画。ここで言う同世代の平均的なパパたちとは、以下のように定義づけています。
・平日はスーツ姿で出勤。休日は全身ファストブランドで無難な感じにまとめがち
・休日のお出かけは、家族や子供を連れて公園や地元のショッピングモールへ
・自由に使える1か月分のお小遣いは3〜5万円
そんなパパたちがスニーカー選びで押さえておくべきは以下の3点です。
・生活圏内でも浮かないデザイン
・公園でも子供と走り回れる機能性
・地方でも買えて、値段は2万円まで
以上の条件から導き出されるのは、「トレンドを超越したスタンダード」。履けば思わずテンションが上がり、とは言え浮くことはない。ひと言で表すなら、“地に足のついたスニーカー”。ここでは、そのおすすめモデルと、その履きこなし方を紹介します。
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世界160か国で愛されるアウトドアブランド、メレルは、近年のアウトドアアクティビティ人気もあって、我々パパ世代にも、もはやおなじみの存在となっています。今回はそんなメレルのラインアップの中から、累計販売数1,700万足を超えるメガヒットシューズを紹介!
「いやぁ〜、季節はすっかり春ですね」なんて言う間もなく、桜も散って屋外でのアクティビティを存分に楽しめる季節が到来。そこで今回は、アウトドアブランド、MERRELL(メレル)のスニーカーに注目! 本連載では過去に、CONVERSE(コンバース)のアウトドアライン「コンバース キャンピングサプライ」(https://kakakumag.com/sports/?id=15917)を紹介したことがありますが、本格アウトドアブランドを取り上げるのはお初。そんな記念すべき回にピックアップするのが、メレルが誇るアイコン的存在「JUNGLE MOC(ジャングル モック)」です。
本稿では、その履き心地やデザインはもちろん、シューズの歴史などにも触れながら、どんなスタイルに合うのか?といった視点を踏まえつつ「なぜ買いなのか!?」を検証してみました。また今回は、「ジャングル モック」の後継モデルにして、人気急上昇中の「JUNGLE MOC 2.0(ジャングル モック 2.0)」にもフォーカス。両モデルの比較もお届けします。
「ジャングル モック」の初登場は1998年。同社の会議中に停電が発生し、その際にスタッフから「ハイグリップなアウトソール×ピッグスキンレザー製スリッポンのアッパー」というアイデアが生まれました。
通常、アウトドアブランドのスニーカーは、トレッキングやトレイルランニング、キャンピングといったアウトドアアクティビティにおける使用を想定して作られていますが、「ジャングル モック」は運動後の疲労をやわらげるために着用するアフタースポーツ用のコンフォートシューズ。リリース当時は、そのようなカテゴリー自体が存在していなかったために世間はザワついたようですが、次第にその履き心地に世界中が魅了され、23年間で累計販売数1,700万足を超える超ロングセラーシリーズとなりました。
現在では、オリジンの「ジャングル モック」を筆頭に、防水透湿性素材「ゴアテックス」搭載モデル「JUNGLE MOC GORE-TEX(ジャングル モック ゴアテックス)」や、インナーにフリース素材を配した冬季モデル「JUNGLE MOC ICE+ (ジャングル モック アイスプラス)」、クラフト感が特徴の「JUNGLE MOC CRAFTED(ジャングル モック クラフト)」などがラインアップされており、2019年には後継モデルの「ジャングル モック 2.0」も登場。その活躍のフィールドをオフィスからトレイルまで広げて人気を博しています。では、ここからは「ジャングル モック」と「ジャングル モック 2.0」の実物の写真をご覧いただきつつ、細部を掘り下げていきましょう。
「ジャングル モック」の「トープ」
「ジャングル モック 2.0」の「ボウルダー」
こうして並べてみるとよくわかりますが、丸みを帯びたフォルムの「ジャングル モック」に対して、「ジャングル モック 2.0」は直線的でスタイリッシュ。両モデルともにシューレースがなく、アッパー部分と履き口で足にフィットさせる作りとなっていて、素材もともに上質なピッグスキンレザーを採用しています。さらに、スエード仕立てにすることで、しっとり落ち着きのある質感を獲得すると同時に、すぐれた防汚性と撥水性が発揮されます。前者では、1998年当時のアウトドアムードを、後者では現代的でアーバンなアウトドアムードを漂わせており、どちらを選ぶかはお好み次第。
そもそも「ジャングル モック」の大ヒットの理由のひとつが、着脱がイージーでありながら長時間歩いても疲れにくいその機能性。その要因となっているのが、両サイドからアッパーを包み込むように設計されたアウトソールの形状です。これにより、内部に空間が生まれ、リラックスした履き心地を実現しているわけです。
重ねて、履き心地について言及するならば、忘れてはならないのがミッドソール。ヒール部にカップ状の衝撃吸収材を備えた独自のテクノロジー「エアクッション」を搭載していることで、歩行時の安定性とクッション性が強化されています。
さらに、履き口には伸縮性を備えたストレッチバンドを、ヒール部分にはループを配することで、どんな状況下でも簡単かつスピーディーに脱ぎ履きが可能となっている点も見逃せません。要は、子供を抱いていたり、荷物で手元がふさがっていたりする際にも重宝するというわけです。
では次に、新旧モデルをさまざまな角度から比較してみましょう。
【フロントビュー】正面から見ると、フォルムの違いが一目瞭然。「ジャングル モック」(左/以下同)はトゥから履き口までがほぼ一定のボリュームでボッテリとした形状。それに比べ、「ジャングル モック 2.0」(右/以下同)は履き口に向かってすぼまっているので、スッキリした印象を与えます
【サイドビュー】履き口からトゥに向かい、なだらかな曲線を描く「ジャングル モック」に対し、足指の付け根部分まで直線的なラインで、そこからトゥに向かってフラットになる「ジャングル モック 2.0」。屈曲性を確保するためのスリットの長さも、大きく異なります
【バックビュー】ヒール部分のデザインも、大きく異なります。「ジャングル モック」では、脱ぎ履きの際に便利なループを配していますが、「ジャングル モック 2.0」では、履き口のヒール部分が元々立ち上っていることで、手を使わずとも足が楽に入れやすい形状を採用しています
【インソール】クッション性と衝撃吸収性の高いインソールは、新旧モデルで共通のモノを採用。ご覧のように、土踏まずのアーチ部分がしっかりと成形されているので、足裏のカーブに合わせて抜群のフィット感を提供します。歩行時にも、安定感がしっかりと感じられる仕様です
【ミッド&アウトソール】「ジャングル モック」は、アーチサポートのナイロンシャンクや、軽量でクッション性の高いEVAミッドソールを搭載。アウトソールには、細かなブロック型を中心に、両サイドにオーバル型のパターンを配置することで、あらゆる路面において快適な歩行を実現することでしょう。対する「ジャングル モック 2.0」では、ミッドソール全体に高機能ハイリバウンドEVA素材を搭載することで、衝撃吸収性を強化。さらに、アウトソールには、シリーズ初となる「ビブラムソール」を採用することで、耐久性もアップデートされています
こうして並べてみると、デザインの変化に合わせてスペックが進化していることがよくわかりました。ちなみに、軽量性も両モデルの重要なアピールポイントです。「ジャングル モック」の片足の重量はリンゴ1個分程度の370g(サイズUS9.0の場合)なので、両足揃えたとしてもハローキティひとり分よりも軽いのです(キティちゃんの体重はリンゴ3個分!)。これが「ジャングル モック 2.0」では片足330gと、さらなる軽量化に成功しています。
しかも、デザインがシンプルだから、合わせる服装を問わないという点もあり、これだけ人気が出るのも納得。ではこの辺りで、実際に着用したスタイルサンプルといきましょう。
今回は足元に合わせて、若干アウトドアの匂いを感じさせるスタイルに挑戦。トップスは、モニタリーのミリタリージャケットの下にユニクロのTシャツを重ねて挿し色に。ボトムスには、軽快さを呼び込むべく、パタゴニアの「スタンドアップ・ショーツ」を合わせてみました。これに「ジャングル モック」と「ジャングル モック 2.0」をそれぞれ合わせてみると……!?
「ジャングル モック」の「トープ」を着用
「ジャングル モック 2.0」の「ボウルダー」を着用
その出自もあってか、どちらもショーツを軸としたアウトドア MIXスタイルとの相性は抜群! とは言え、同じ「ジャングル モック」シリーズながら、フォルムの違いによって与える印象も異なっていることがわかります。
元来のコンセプトである“アフタースポーツ”に則した、リラックス感漂うアウトドアムードを楽しみたいなら「ジャングル モック」を選ぶのが正解。ラフにつっかけて出かけられるので、ご近所履きとしては最適かと。いっぽうの「ジャングル モック 2.0」は、洗練さが加わった分、都会的で大人のイメージが強めです。こちらは、スラックスや細身のパンツとも相性がよさそうですし、カジュアルビズにも対応可能。汎用性を求めるならコチラでしょう。
ちなみに、実際に着用してみた感想としては、同じサイズ(今回はともにUS9.0)でも、前者のほうがゆったりと履けて、後者のほうがよりフィットすると感じました。ゆえに、購入の際は「ジャングル モック」なら1/2サイズ小さめを選んでみるとちょうどよいかと。もちろんソックスを厚手にすれば、そこもクリアできますが、どちらにしても1度実際に試着することをおすすめします。
というわけで、今回はメレル「ジャングル モック」と「ジャングル モック 2.0」をピックアップしました。
筆者は2021年で40歳。そしてメレルも、今年誕生40周年のアニバーサリーイヤーを迎えるので、要は“同級生”。道理で、デザインと履き心地ともにアラフォーの足元にアジャストするわけです。「ジャングル モック」だって1998年デビューなので、青春期に愛用したアラフォーの中には「何を今さら」と思う人もいるでしょうが、アンダー30の若い世代の間でも再注目の機運が高まっているとのウワサも。何はともあれ、“ラク&イージー”。アウトドアに興味がないからとスルーしてきたパパ世代は、ぜひこの機会にチャレンジあれ。
メンズファッション誌を中心に、ファッションやアイドル、ホビーなどの記事を執筆するライター/編集者。プライベートでは漫画、アニメ、特撮、オカルト、ストリート&駄カルチャー全般を愛する41歳。