G-SHOCKの注目モデルを紹介する本連載、今回は「GA-B001」を紹介。スマートフォンリンク機能を搭載した新シリーズで、G-SHOCKの次なるスタイルを提案している。
2022年9月に発売されたG-SHOCK「GA-B001G-2A」
「GA-B001G-2AJF」の公式サイト価格は、19,800円(税込)
始めに、「GA-B001」の立ち位置から確認しておきたい。
現在、G-SHOCKでは数十万円もする最上位「MR-G」やスポーツに特化した「G-SQUAD」など、多彩なシリーズが展開されており、今作はアナログ針とデジタル表示のコンビ仕様の「アナログデジタル」シリーズに属している。八角形ベゼルが話題の「GA-2100」も同じシリーズだ。
「GA-B001」の特徴は、
(1)Bluetooth機能を搭載しつつ、手ごろな価格に抑えたこと
(2)イチからデザインされた完全新作であること
にある。
2012年に発売した「GB-6900」以降、G-SHOCKでは時計の可能性を広げる機能としてBluetooth機能を積極的に搭載してきたが、少なくとも公式サイト価格で2万円以上するモデルでなければ、その価値を味わえなかった。「GA-B001」は公式サイトの税込価格19,800円と2万円を切っており、よりお手ごろにBluetooth機能の恩恵を味わえる。
なお、同タイミングで発売された「DW-B5600G」もBluetooth機能を搭載しながら、公式サイト価格は15,400円(税込)と2万円を下回っている。
Bluetooth機能を搭載しており、専用アプリ「CASIO WATHCES」でスマホと連携できる
Bluetooth機能を搭載した一般的な時計の大きなメリットは、通話やメールの着信を時計で受けたり、各種設定をスマホで実行できたり、正しい時刻に自動修正できることだ。時刻の自動修正においては、G-SHOCKでは世界6局の標準電波を受信する「マルチバンド6」があるが、やはりこの対応モデルも公式サイト価格で2万円以上してしまう。このことからも、「世界のどこにいても常に正確な時刻を表示できる」という点で、「GA-B001G」はすぐれたコストパフォーマンスを誇っている。
デザインについて見ていこう。
キーワードは「バーチャルワールド」。昨今、3DCGやメタバースの世界がより身近になってきたが、そうした電脳空間とリアルとを橋渡しするキーデバイスとなるようなデザインが「GA-B001G」の随所に施されている。Bluetooth機能搭載で、やはり現代のキーデバイスであるスマホとの連携を前提としていることもその背景にあるだろう。
新しいモノを生み出そうという挑戦的な試みは、上下別々のベゼルで構成されたパーツを中央で固定するという、G-SHOCK初採用の独創的なケース&バンド構造にも表われている。これは、カーボン素材によってムーブメントを格納するコア部分の耐衝撃性を高める、G-SHOCKおなじみの耐衝撃構造「カーボンコアガード構造」を採用したことで実現したものだ。
上下別々のベゼルで構成された独自構造
ベゼルとバンドを一体成形したパーツは、4つのファインレジン材でケースに固定される仕組み。具体的には上下左右に専用パーツが挟み込まれており、耐衝撃性を高めるとともにデザインのアクセントとしても効いている。特に、斜めの角度から取り付けられた上下のビスは、「GA-B001G」ならではだ。ベゼルに正面からビスを打ち付けたモデルは多いが、ケースとバンドの中間部にビスを設けたモデルはレアだ。
スケルトンモデルでは透けて見えるケース上下のファインレジン材
左右方向もファインレジン材で固定されている
ボタンの造形も個性的だ
このケース&バンド構造は目新しさだけでなく、腕なじみのよさも高めている。ケースのラグにバンドを取り付ける一般的な構造の場合、耐衝撃性を高める必要もあって、取り付け部を支点に一定の角度を設けなくてはならない。しかし「GA-B001G」は、この独自構造のおかげでケース寄りに湾曲支点を設けられており、より少ない角度でストンと落とせるようになった。これにより、腕が細くてすき間が生じてしまいやすいという人でも、フィット感を高められる。
上は「GA-B001G」、下は「5600」。バンドの湾曲半径が異なる
また、ベゼルの造形も新鮮だ。G-SHOCKと言えば、耐衝撃性を高めるためのゴツゴツとした突起がベゼルにあり、それも平面方向に突き出しているのが印象的だ。だが「GA-B001G」のベゼルは曲線で設計され、奥行方向に4つの突起を設けて落下時に風防を守る作り。G-SHOCKらしいタフネスさを宿しながら、これまでの「ゴツさ」とは異なるアプローチだ。
ベゼルに設けられた曲線の突起
4つの突起が風防を衝撃から守っている
さらには、ガラス接着構造の採用により、ラグ部分のボリュームダウンを実現。スケルトン素材を使った「GA-B001G-1A/-2A」のバンドはグラデーション仕様で、個性的な雰囲気を漂わせる。
スケルトンモデルのバンドは、グラデーション仕様
バックルや遊環もオリジナリティのある造形だ
次にフェイスデザインを見ていこう。
開発者いわく「バーチャルワールドへ続くゲートウェイを表現した、異彩を放つデザイン」に仕上げられている。
「バーチャルワールド」をキーワードにしたデザイン
いちばんに目を引くのは、9時位置に設置されたインジケーターだ。1段低くなったところに、格子状の八角形ディスクを採用。背景にはストライプが描かれており、ディスクが回転することで複雑な柄が表現される仕組みだ。近未来のセキュリティロックをイメージしたものだという。
文字盤に段差を設置。9時位置にインジケーターが搭載されている
モードを選択するごとにディスクが回転し、目に見える模様が変化する
インデックスも個性的だ。
面取りされた丸型インデックスは、「スペースクラフトの通路をイメージしたリベットモチーフ」だという。また、実寸以上の奥行を表現したような3Dっぽい12時/6時位置のインデックスも面白い。壮大なスペースオペラ映画に登場するオープニングクロールや、やはりSF映画で見られる宇宙船のワープ航法の軌跡のようでもあり、未来を感じさせる。
未来感あふれるインデックスデザイン
右下には、異形のデジタル表示を搭載。ストップウォッチ機能やアラーム機能など、細かな情報をここで表示する。
各種機能を表示する異型ディスプレイ
「GA-B001」は全4種類を展開。グラデーション仕上げのスケルトン素材を使った2モデルと、印象的なカラーを用いた2モデルで構成されている。
全4モデルがラインアップする「GA-B001」
「GA-B001G-1AJF」は、ここまで紹介してきた「GA-B001G-2AJF」と同じスケルトン仕様モデルだ。今作のテーマである「バーチャルワールド」らしさを表現しつつ、ブラック×レッドというG-SHOCKでおなじみのカラーリングに彩られている。
「GA-B001G-1AJF」の公式サイト価格は、19,800円(税込)
透過してみえるファインレジン材にもレッドを採用
いっぽう、「GA-B001-1AJF」はマットで力強いブラックを採用。オールブラックで表現することで、ストリートなど、カジュアルシーンにおける使い勝手を高めている。
「GA-B001-1AJF」の公式サイト価格は、17,600円(税込)
トーンをアレンジすることでオールブラックモデルながら視認性を向上
最後に紹介する「GA-B001-4AJF」は、レッドを採用。高彩度のインパクトカラーを用いることで、デジタルワールドの近未来感を表現した。
「GA-B001-4AJF」の公式サイト価格は、17,600円(税込)
サイドのボタンやファインレジン材もレッドで統一
オリジンであるスクエアケースの「5600」や人気が爆発している八角形ベゼル「2100」など、G-SHOCKには数多くの名作がある。新色や新素材も次々にリリースされ、それらに目を向けるファンも多い。しかし、一部の人気作ばかりがもてはやされてもブランドは停滞してしまうものだ。
完全新作の「GA-B001」は、現代から未来に向けた腕時計のあり方のひとつを提案したものであり、G-SHOCKというブランドの勢いを感じさせる。特にスマホとの連携を前提とし、お手ごろな価格感で購入できるという点は、古参の愛好家のみならず、スマホ/デジタルネイティブのZ世代の関心も引くはず。G-SHOCKファンの裾野を広げる戦略モデルとして注目を集める存在だ。
「GA-B001」
【SPEC】
●ガラス:無機ガラス
●防水性:20気圧防水
●ケース・ベゼル材質:カーボン/樹脂
●バンド材質:樹脂
●ケースサイズ:46(横)×42.5(縦)×13.8(厚さ)mm
●重量:51g
カバン、靴、時計、革小物など、男のライフスタイルを彩るに欠かせないモノに詳しいライター。時代を塗り替えるイノベーティブなテクノロジーやカルチャーにも目を向ける。