本企画「Daddy's Sneaker」は、30〜40歳代のパパにとって本当に使えるスニーカーを模索する連載企画。ここで言う同世代の平均的なパパたちとは、以下のように定義づけています。
・平日はスーツ姿で出勤。休日は全身ファストブランドで無難な感じにまとめがち
・休日のお出かけは、家族や子どもを連れて公園や地元のショッピングモールへ
・自由に使える1か月分のお小遣いは3〜5万円
そんなパパたちがスニーカー選びで押さえておくべきは以下の3点です。
・生活圏内でも浮かないデザイン
・公園でも子どもと走り回れる機能性
・地方でも買えて、価格は20,000円台前半まで
以上の条件から導き出されるのは、「トレンドを超越したスタンダード」。履けば思わずテンションが上がり、とはいえ浮くことはない。ひと言で表すなら、“地に足のついたスニーカー”。ここでは、そのおすすめモデルと、その履きこなし方を紹介します。
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ファッション好きからスポーツファンまでを虜にするアディダス オリジナルス。数多あるラインアップのなかから、裏原宿ムーブメント直撃世代のパパたちの多くが「待ってました!」と拍手喝采する “あのモデル”が24年ぶりに初復刻!
つい先日スタートしたばかりと思っていた2023年、気づけば早くも3分の1が経過し、4月も間近です。で、この時期になると、新年度の始まりと呼応するかのように大きく膨らむスニーカー欲……、なんて話ももはや毎年毎度のお約束です。
とはいえ、コラボに、新作に、と業界全体のリリースラッシュは相も変わらず、選択肢は増えるいっぽう。そこで今春何を選ぶべきかと考えた際に、脳裏に浮かんだテーマが「あのころ、欲しくても買えなかったけど、ついに復刻を遂げたあのモデル」。というワケでピックアップするブランドは、adidas Originals(アディダス オリジナルス)です。
って、あれ? なんだか既視感があるな……と思ったら、2022年4月に似たテーマでピックアップしていたのが同ブランドの隠れた名作「ADIMATIC(アディマティック)」。26年ぶりの復刻ということで話題を集めましたが、ここで紹介するのもまた注目の復刻モデル。その名は「CAMPUS SUPREME SOLE(キャンパス シュプリーム ソール)」です! このシューズの特徴に触れながら、どんなスタイルに似合うのかを考えつつ、なぜ買いなのかを検証してみました。
さて、今回紹介するモデルには、ベースモデルが存在するというところからご説明をば。それが、アディダスが誇るローテクスニーカーの名作「CAMPUS(キャンパス)」です。バスケットボール用シューズを基に制作され、1983年デビュー。やや細めのシルエットが生む履きやすさと、カラースウェードアッパーによる新鮮な表情で支持を集めました。そのなかでも1990年代初頭にビースティ・ボーイズが着用した影響は大きく、以降は現在まで、ミュージシャンやスケーターといった人々からファッション業界人を中心に、ライフスタイルシューズとして幅広く愛されています。
で、そんなキャンパスの進化版として1999年に登場したのが、バスケットボール用に当時最新鋭のソールを装着して再構築した「CAMPUS SUPREME(キャンパス シュプリーム)」。これが2001年に、当時の裏原宿ムーブメントを牽引するカリスマ、藤原ヒロシ氏が自身の雑誌連載でピックアップしたことをキッカケに、一部のフリークの間で話題に。そしてあれから24年が経ち、2023年2月末に新たなモデル名を冠し、初復刻を遂げたのがこの「CAMPUS SUPREME SOLE(キャンパス シュプリーム ソール)」というわけです。それではさっそく、実物写真をご覧いただきつつ、その魅力を掘り下げていくとしましょう。
アディダス オリジナルスの「キャンパス シュプリーム ソール」(ブラック)。メーカー希望小売価格は14,300円(税込)
今回選んだのは、クールな印象と汎用性の高さが同居した万能色「ブラック」。そこに白一色のソールが軽快さを演出。「キャンパス シュプリーム」の魅力としてあがる“スタイリッシュな雰囲気”を残しながら、現代的機能性を備えた「シュプリーム ソール」により、ローテクとハイテクが融合した新鮮なスタイルに仕上がっています。さて、いつもならここで、「シューズの細部にフォーカスしていきましょう」という流れから機能性をひも解いていくのがお約束ですが、今回はちょっと違います。筆者が考えるに、本モデル最大のポイントは、“あのころ、あこがれたモデルが当時のまま復刻した”という点。ですので、デザインを中心に見ていきます。
【写真上】「キャンパス シュプリーム」の特徴である甲部分からトゥ部分にかけての低めのフォルムをしっかり継承しつつ、ソールにボリュームを持たせることで絶妙なバランス感を創出 【写真中央と下】ヒールタブには、アスリートのパフォーマンスを最高に引き出すアイテムにのみ許された「バッジオブスポーツ」ロゴをオン。トルションを内蔵したソールへとつながる、独特なヒール形状からも当時のハイテクムードが見て取れます
まずはアッパーから。ベース素材にはオリジナル同様、履き込むほどに風合いが増していくスウェードを、スリーストライプスとヒールにはレザーを採用。ややお手入れが面倒なスウェードですが、その反面、経年劣化が目立ちにくいという点では軍配が上がるかと。また、甲部分からトゥ部分にかけての低めのフォルムと絶妙なボリューム感も、本モデルでは見事に再現されています。これによって、細めから太めまでシルエットを問わず、どんなボトムスに対応可能。
最大の特徴は、土踏まず部分が湾曲したボリューミーなソール。これがモデル名にもある「シュプリーム ソール」です。反り上がったヒール部分と履き口のタブをつなげることによって一体感を増したヒールカウンターがかかとをしっかり包み込み、安定感をもたらすと同時に、ハイテクムードも演出。さらに、運動時の足のねじれを抑制する機能を持たせた「トルションシステム」を内蔵しており、快適な履き心地が味わえます。
アスリートのパフォーマンスを最高に引き出すアイテムにのみ許された「バッジオブスポーツ」ロゴがあしらわれているという事実が、本モデルのすぐれた機能性の証拠と言えるでしょう。では、ここらで実際に着用したスタイルサンプルをご覧いただくとしましょうか。
着用するのは、アディダス オリジナルスの「キャンパス シュプリーム ソール」(ブラック)
【スタイルサンプル着用品】
・ボトムス:プロッパーのカーゴショーツ
・アウター:イビツのコーチジャケット
・インナー:GUのドライラウンドヘムビッグT(長袖)
・キャップ:イビツのベースボールキャップ
年中無休でショーツを愛用しているので、季節感もへったくれもありませんが、「キャンパス シュプリーム」がハードコア・パンクなどのバンドマンからも人気だったことを意識しつつ、モノトーンを基調とした、ややハードコア寄りのストリートスタイルを組んでみました。ここに「キャンパス シュプリーム ソール」(ブラック)を合わせてみると……!?
アディダス オリジナルスの「キャンパス シュプリーム ソール」(ブラック)を着用
いかがでしょうか? 余計なアイテムとデザイン要素をなるべく減らして、黒と白のみで構築した点がポイント。ヒザ上丈&わたり太めのカーゴショーツとくるぶし丈ソックス、そしてほどよくボリューミーなスニーカー。その3者が描き出すバランスもイイ感じではないでしょうか。デザインがシンプルな分、どんなシルエットのボトムスにも対応するので、すぐれた着回し力が期待できます。ビースティ・ボーイズよろしく、デニムやディッキーズのワークパンツに合わせるのも乙。足元選びに迷ったら、とりあえずコレを履いておけばOKかと。
ここで、サイズ選びについても言及しておきましょう。今回着用したのはUS9.0。甲高やや幅広の足型を持つ筆者は、普段から他メーカーでもUS9.0を選んでいるのですが、本モデルは通常のキャンパスに比べてアッパーがやや肉厚なので、こちらでジャストでした。また筆者の好みもあってしっかりとシューレースを締めましたが、太めのボトムスに合わせるならあえてシューレースをユルめて履くのもアリ。その際は歩行時にパカパカしないよう、ソックスを普段より厚めのモノに変えるといいでしょう。
というわけで、今回はアディダス オリジナルスの「キャンパス シュプリーム ソール」をピックアップしました
筆者を含め、裏原宿ムーブメント直撃世代のパパたちの多くが手に入れることがかなわず、悔しい思いで見ていた「キャンパス シュプリーム」が、あのころのままの姿でそこにあるとしたら? そりゃ、買わずにスルーするほうが難しいという話。しかも、本モデルは日本国内だと「アトモス」とアディダスのみでの販売。まだ在庫がありそうなので、これからのチェックでも間に合いそうですが、「アトモス」ディレクターの小島さんいわく、このタイミングで購入しておかなければ、次にいつ復刻されるかどうか……とのこと。これが最後のチャンスになるかもと肝に銘じつつ、カラバリのネイビーとあわせてGETしておくことを強くおすすめします!
●撮影協力:「アトモス」
メンズファッション誌を中心に、ファッションやアイドル、ホビーなどの記事を執筆するライター/編集者。プライベートでは漫画、アニメ、特撮、オカルト、ストリート&駄カルチャー全般を愛する41歳。