新傑作ウォッチで令和を刻む

セイコー プロスペックス「スモウ」の新作はダイバーズなのにGMT付き!

日射しが強まり、日に日に気温が高まっていくこの時期、好天の休日にはウォーターアクティビティーを楽しみたくなるものです。そうしたシーンに最も似合う時計と言えば、やはりダイバーズということになるでしょう。ということで、今回の「新傑作ウォッチで令和を刻む」では、この夏、ぜひとも注目したい、セイコーのダイバーズ「ダイバー スキューバ」の新作にスポットを当ててみました。

セイコー プロスペックス「ダイバー スキューバ」の新作は計3モデル。左から「SBPK001」「SBPK005」「SBPK003」。公式サイト価格は各89,100円(税込)

セイコー プロスペックス「ダイバー スキューバ」の新作は計3モデル。左から「SBPK001」「SBPK005」「SBPK003」。公式サイト価格は各89,100円(税込)

セイコーの新作ダイバーズ「ダイバー スキューバ」3モデルは、同社が展開しているスポーツ&アウトドアシーン向け本格ウォッチのブランド「セイコー プロスペックス」から、2023年2月10日に発売されたモデル。一見すると、ダイバーズとしての伝統にあらがわないベーシックなデザインです。しかし、実は「プロスペックス」のダイバーズのうち、「スモウ(SUMO/スモーと記載される場合もある)」なるペットネーム(正式名称とは別に付された愛称のこと)を持つ独特のデザイン&形状を個性とする一連のモデル群の最新バージョンです(「スモウ」については後述)。

その点に関しては、まず文字盤を見てみてください。時・分・秒の各針に加え、ビビッドカラーの針が設けられていることがおわかりでしょう。実は、今回の「ダイバー スキューバ」新作は、「ダイバーズながらソーラー電池駆動」と「ダイバーズながらGMT機能併載」の2点の組み合わせにおいてセイコー初となるモデルであり、このアクセントカラーの針は第2時刻を指し示すGMT針なのです。

このように、いかにもダイバーズらしいたたずまいでありながら、そこに独特のデザインをひそめ、かつ日常においてより実用性の高い機能を兼備する本モデル。以下より、その魅力について掘り下げていきます。

本格ダイビング仕様にソーラー充電機能とGMT機能が融合

1969年12月、世界初の市販クォーツウォッチ「クオーツ アストロン」を発売して時計史に偉大なるエポックメイキングを打ち立てたセイコーは、1977年、その進化形のひとつとして同社初の太陽光を利用したソーラーウォッチを発表。以後、この技術にたゆまず、磨きをかけてきました。そして今回の「ダイバー スキューバ」新作3モデルは、同社が過去45年以上にわたり培ってきたこのソーラー発電技術により、定期的な電池交換を必要とすることなく駆動し続けます。

このソーラー電池駆動と並ぶ、「ダイバー スキューバ」新作の“柱”と言うべきなのが、GMT機能です。GMTとは「Greenwich Mean Time」、すなわちグリニッジ標準時のことであり、時計におけるGMT機能は、時差によって異なる2地域の時刻を同時に表示するデュアルタイム機能の一種をさします。特徴は、リューズのシンプルな操作だけでデュアルタイム表示ができることと、文字盤外周に24時間表示目盛りが記されており、GMT針がこの目盛りを指し示すことで第2時刻が読み取れることです。

ちなみに、一般的なダイバーズモデルではダイビングと直接的な関係がないデュアルタイム機能が備わることは多くないのですが、「ダイバー スキューバ」新作にあえてGMT機能が搭載されたのは、各国のダイビングスポットを訪れる機会も少なくないであろうダイバーたちのメリットになるからだと推察します。と同時に、たとえば海外と取り引きするビジネスパーソンたちにとっても、これは大いに重宝する機能となるはずで、要は本モデルはフリーダイビングやスキューバダイビングにおいて必要にして十分以上の防水性能200mを備えた本格ダイバーズでありながら、そうしたアクティビティーとは無縁に暮らす人々にとっても“使い甲斐”のあるスポーツモデルに仕上がっているわけです。

「スモウ」は海外のセイコーファンが付けた愛称!

ところで、本稿では「ダイバー スキューバ」新作が「スモウ」の異名を持つ一連のダイバーズモデルの最新バージョンであると前述しました。と聞いて、きっと「そのスモウって一体何?」と疑問に思われた人たちもたくさんいらっしゃるかと思いますので、以下では「スモウ」についても触れておきましょう。

俗称の「スモウ」は土俵型のケース形状や、大銀杏を思わせる12時インデックスなどに由来。写真はペプシカラーの「SBPK005」

俗称の「スモウ」は土俵型のケース形状や、大銀杏を思わせる12時インデックスなどに由来。写真はペプシカラーの「SBPK005」

セイコー製品の中には、公式の商品名や品番とは別に、時計ファンによって自然発生的に付けられて市民権を得ていった異名を持つモデルが数多く存在しており、とりわけダイバーズモデルにおいて、それが顕著に見受けられます。たとえば、1975年発売の世界で初めてチタン素材が採用されたダイバーズ「セイコー プロフェッショナルダイバー600m」は、裏ブタのないワンピースケース構造や側面を覆う外胴プロテクターなどから「ツナ缶」と通称されていました。なおこの異名は、元祖モデルと基本デザイン&構造を同じくする「セイコー プロスペックス マリーンマスター プロフェッショナル」によって現在も継承されています。

セイコーダイバーズにはほかにも、刀で切り落としたかのようなスッキリとした全体造形が武士道を貫く侍をイメージさせる「サムライ」、金属の硬質な風合いや回転ベゼル側面の切り欠きなどが甲冑を思わせる「ショウグン」、回転ベゼルのローレット(金属に施された細密な凹凸状の刻みのこと)が怪物の歯のごとく荒々しいギザ仕上げの「モンスター」、真横から見た際のシルエットが亀の甲を彷彿とさせる「タートル」などが存在します。いずれの異名も、おそらくは海外のセイコーファンによって付けられたものと考えられています。

「スモウ」も、そんな異名のひとつ。2007年に発売された「SBDC001」を初代とし、今日まで限定モデルも含む多彩な「スモウ」ダイバーズが展開されてきました。なお、今回紹介している「ダイバー スキューバ」新作はソーラー電池駆動のクォーツ式ですが、これは例外的であり、歴代「スモウ」は基本的に初代モデルと同じ自動巻き式です。

大相撲をイメージさせるデザイン&形状が各所に

ところで、この「スモウ」なるニックネームから察することができるとおり、これは日本伝統の神事にして武芸である「相撲」に由来した異名。デザインや形状において相撲や力士に関連する、いくつかのイメージがうかがえることから、こう俗称されているのです。ということで、「ダイバー スキューバ」新作で、それらの要素について検証してみます。

まず、ケース幅45mm&ケース厚13.2mmや多面構造のラグなどがもたらす、どっしりとしたたたずまいが大相撲の力士たちの姿を想起させるとのこと。しかも、重厚さはありつつもシャープな印象とあって「あんこ型」(肉付きがよい、丸い体型のこと。魚類のアンコウに由来)ではなく、筋肉質の「そっぷ型」(比較的やせて引き締まった体型のこと。語源はオランダ語の「soep」で、ダシを取ったあとの鶏ガラにたとえて、こう呼ばれる)の力士をイメージさせます。

本モデルを真正面から見ますと、ケース&ラグによるシルエットが一般的なラウンド型と、エレガントな印象のトノー型の中間的なもののように感じます。この個性的なシルエットが海外のセイコーファンに土俵を想起させたようなのです。加えて、多面構造のケース側&ラグは土盛りされた土俵の側面に、回転ベゼルの細かいローレットは土俵上に設置された勝負俵にたとえられています。

また一見して、この時計が「スモウ」ダイバーズだとわかるディテールが、12時位置のインデックスです。逆さ状態の等脚台形で、その中心に計器の針のごとき直線が刻まれた印象的なインデックスについては、力士の大銀杏(おおいちょう)をなぞらえているのだとか。ちなみに大銀杏とは、大相撲における十両以上の力士が結うことができる髪形のことで、髷(まげ)先端がイチョウの葉に似た形状に整えられていることから、こう呼ばれているのです。

以上が、各ディテールで見た異名「スモウ」の由来です。実のところ、私たち日本人にはピンとこない点もありますが、海外ファンにはこうした特徴が“日本らしさ”として目に映るのかもしれません。なお、ここでは「ダイバー スキューバ」新作における「スモウ」の特徴を列挙したわけですが、これらは初代を含む歴代「スモウ」モデルにおいても共通するものです。

美しい文字盤に浮き立つビビッドカラーのGMT針

よく見ると、文字盤の見返しがトーン・オン・トーンの2色使いだとわかります。写真はペプシカラーの「SBPK005」ですが、ほかの2色「SBPK001」「SBPK003」でも、これは同様です

よく見ると、文字盤の見返しがトーン・オン・トーンの2色使いだとわかります。写真はペプシカラーの「SBPK005」ですが、ほかの2色「SBPK001」「SBPK003」でも、これは同様です

では、ここからは「ダイバー スキューバ」新作3モデルならではの“見どころ”について触れていきましょう。

まず、文字盤をよく見てみますと、ダイビングをほのめかすかのように波模様で飾られていることに気づきます。この微細な装飾が、磨かれた金属のような質感と相まって、思わず見入ってしまうほどの美しさを醸しています。

時分針が極太で、インデックスが大ぶりであるのはダイバーズの“お約束”仕様。陽光が十分に届かない水中においても、確かな視認性を提供するものです。また、GMT針はビビッドカラー(写真の「SBPK005」とブラックモデル「SBPK003」ではレッドカラー、グリーンモデル「SBPK001」ではオレンジカラー)で、その存在感を主張。典型的なダイバーズの文字盤デザインでありながら、これが絶妙なアクセントとして映えており、本モデルを小粋な姿に見せています。ちなみに見返し部分(文字盤を取り囲んで内側に傾斜したリング状パーツのこと)のさりげないトーン・オン・トーンの色分けは、そのGMT針が指し示す24時間目盛りに連動して昼夜を知らせるためのちょっとした配慮なのでしょう。

時分針、GMT針、インデックス、ベゼルに塗布された「ルミブライト」が鮮明な光で時刻を知らせます

時分針、GMT針、インデックス、ベゼルに塗布された「ルミブライト」が鮮明な光で時刻を知らせます

夜間や暗い海中での使用では「ルミブライト」が活躍します。太陽光や照明のあかりを短時間(約10分間/500ルクス以上)で吸収して蓄え、暗い環境下で長時間(約3〜5時間)発光してくれます。なお、「ルミブライト」は放射能などの有害物質をまったく含んでいない、環境や人体に安全な蓄光塗料です。

ちょっと大ぶりだけど低重心構造ゆえにフィット感は快適

ブルー×レッドの組み合わせは清涼感があって、この季節にぴったり

ブルー×レッドの組み合わせは清涼感があって、この季節にぴったり

では、「新傑作ウォッチで令和を刻む」恒例の試着を! 目下国内では全3色で展開されている「ダイバー スキューバ」新作ですが、ここではそのうちの、いわゆるペプシカラーであるブルー×レッドの「SBPK005」を選んでみました。ダイバーズの定番とも言えるこの配色にはさわやかな印象があって、とりわけ春夏スタイルによく似合いますし、ハイコントラストゆえに手元をキリッと引き締めて、そこにGMT針のレッドが若々しさを添えてもいます。

ケースはやや大ぶりで、少々重さもあり、それに比してブレスレットは細身(これも「スモウ」各モデルに共通した特徴)なのですが、低重心構造だからでしょうか、腕にピタッとフィットし、その重量がストレスになるようなことはありません。また、リューズが4時位置に設けられているため、装着したままでも操作しやすく、手首を返した際に肌に当たらないのもうれしいポイント。ダイビングなどのアクティビティーではもちろん、日常で使っても快適な時計だなと実感しました。

ペプシカラーも魅力的ですが、黒文字盤の「SBPK003」やグリーン文字盤の「SBPK001」も気になるところ

ペプシカラーも魅力的ですが、黒文字盤の「SBPK003」やグリーン文字盤の「SBPK001」も気になるところ

黒文字盤×黒ベゼルもまた、ダイバーズの伝統的カラーリング。ペプシカラーとともにニーズが多いとあってラインアップから外せないこの定番色「SBPK003」は、スーツの手元にもマッチする端正な顔つきです。しかも、キリッと引き締まった黒文字盤を背景に、GMT針のレッドが実によく映えており、精悍な印象も受けます。ちなみに、見返しリングのバイカラーはブラック×グレーです。

この数年のトレンドカラーであるグリーンを文字盤とベゼルに取り込んだ「SBPK001」もまた、大変美しいモデルです。アイコンのGMT針は、このグリーンと最も相性がいいオレンジカラー。見返しリングもグリーン系のトーン・オン・トーンで、ことに昼時間を示す下半分のイエローグリーンは、新緑のごときさわやかさをフェイスに添加しています。

【まとめ】 ダイバーズを実用性重視で選ぶならコレ!

ダイビングに親しんでいるわけではなくとも、その独特の雰囲気からダイバーズに魅かれる時計好きはとても多いはず。いつの時代においても人気が高いのがその証左であり、それゆえにあまたのモデルが存在しています。そんななかから「見た目はダイバーズらしく、でもデイリーでも実用性の高いモノを!」との条件で選ぶのなら、この「ダイバー スキューバ」新作3モデルは狙うべき筆頭と言えるでしょう。何しろ、パワー残量を気にすることなく、常に正確な時間を刻み続けるソーラー電池駆動のクォーツ式ですし、デュアルタイムや昼夜の確認ができるGMT機能も折々で重宝すること請け合いですから。

また、トラッドでベーシックなデザインながら、GMT針による差し色効果で小粋なたたずまいなのも高評価。時計好きやセイコーファンのみならず、オシャレに関心の高い人にもおすすめできる、目下要注目の傑作ダイバーズだと思う次第です。

●写真/篠田麦也(篠田写真事務所)

【SPEC】
セイコー プロスペックス「ダイバー スキューバ」
「SBPK001」「SBPK003」「SBPK005」
●駆動方式:クォーツ(ソーラー)
●防水性能:200m潜水用
●ケース・ベゼル材質:ステンレススチール
●ガラス:サファイアガラス(内面無反射コーティング)
●ケース幅:45mm
●ケース厚:13.2mm
●主な機能:ねじロック式リューズ、スクリューバック、逆回転防止ベゼル、日付表示カレンダー(連動時差修正対応)、24時間表示デュアルタイム機能、「ルミブライト」、ダブルロック中留め(ワンプッシュダイバーエクステンダー方式)バックル付きメタルブレスレットなど

山田純貴

山田純貴

東京生まれ。幼少期からの雑誌好きが高じ、雑誌編集者としてキャリアをスタート。以後は編集&ライターとしてウェブや月刊誌にて、主に時計、靴、鞄、革小物などのオトコがコダワリを持てるアイテムに関する情報発信に勤しむ。

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