「カップ焼きそば」といえば? この答えはどうやら地域によって違うようで、東日本では「ペヤング ソースやきそば」、西日本では「日清焼そば U.F.O.」と、この両者が高いシェアを誇っています。そんな根強いファンを持つ東の雄・ペヤングから新発売された、ボトルタイプの焼きそばソース。これが今、大きな話題となっています!
「ペヤングボトルソース」(写真左)、「ペヤング×正田醤油 激辛ソース」(写真右)
しかも今回発売されたオリジナル版だけでなく、昨年には激辛版も登場していたんです。そこで今回は、このソースを使ったいろいろな食べ方にトライ。その特徴や実力を、さまざまな角度から検証してみました。
改めて、今回検証するのはペヤングの定番の味を再現したソース(以下、「通常タイプ」と呼称)と、ペヤングの地元・群馬県の醤油(しょうゆ)メーカーとコラボした激辛ソース(以下、「激辛タイプ」と呼称)です。
かたや見覚えのあるパッケージ、かたや見た目からして辛そうな赤。通常タイプが200mlなのに対して、激辛タイプは150ml入りです。
通常タイプはウスターソースがベース。激辛タイプには、赤唐辛子やスパイスミックス、ガーリックエキスなどが入っています
通常タイプは、一般的なウスターソースよりも油分を感じるせいか、わずかに脂質が多め
激辛タイプのほうがカロリー、脂質とも控えめ
ソースを器に出してみましょう。激辛タイプは中身も赤みがかっています。
中身も結構色が違います
そのままソースだけを味見。ダイレクトに口にしてみると、意外に通常タイプもピリ辛であることがわかります。そして激辛のほうは、あと引く辛さがあって、つい「辛っ!」と声に出してしまうレベル。
通常タイプをペロッと味見。ペヤングの絶妙にスパイシーな風味は、ソースからも感じられます
続いて激辛タイプ。ひと口目から強烈な刺激で、その名に恥じない辛さ
ところで、実際のカップ焼きそばと本当に同じ味なんでしょうか? カップの「ペヤング ソースやきそば」と「ペヤング 激辛やきそば」に付属するソースだけを取り出して、比較してみました。
写真上の2つがボトル入りのソース、写真下の2つがカップ焼きそば付属のソース
通常版のボトルソースは、非常に高い再現性。というか、単純にカップ焼きそば付属の小袋入りソースをボトルにしたものかもしれません。味がまったく同じです。
一方激辛は、カップ付属のソースとボトルで少し違いを感じます。ボトルのほうが辛さ、香りともに少しマイルドになっている印象。あくまでも「激辛」なのは間違いないですが。
それぞれのソースを、より具体的に表現するとこんな感じです。
通常版のボトルソースはカップ付属のソースと同じ味がしました
今回発売のボトルソースとカップ付属のソース、味はまったく同じ。ソースらしい甘みと酸味、スパイシーさのバランスがよく、辛さは余韻としてほんのり残る感じです。
激辛はカップ付属のほうがもっと辛いです
・激辛ソース(ボトル)
ファーストタッチで甘さがきますが、すぐに激辛の波が押し寄せ、スパイシーであと引く辛さに支配されます。油は少なめな印象で、通常版のペヤングソースと比べてややとろみがあります。
・激辛ソース(カップ付属)
最も辛く、とろみも一番強いのがこれ。油は激辛ソース(ボトル)より少し多めです。甘さ控えめで、全体的に濃くてスパイシー。そのままなめると、とにかくのどが渇くしょっぱ辛い味。
参考までに、通常版ペヤングソースを基準としたときの、激辛ソース(ボトル/カップ付属)の味を項目別に比較すると以下のチャートのようになります。どちらも通常版よりはかなり辛いのですが、感覚的ながら両者で微妙に違いがありました。
実際に、ペヤングじゃない麺で焼きそばを作ってみましょう。麺は、焼きそばの絶対王者であるとともに日本で一番売れている麺製品「マルちゃん焼そば 3人前」を使います。具材として用意したのは、カップの定番「ペヤング ソースやきそば」に近い、キャベツと乾燥肉。
抜群の安定感を誇る「マルちゃん焼そば」
調理は、途中までプレーンで作り、皿に盛りつけてからソースと混ぜるスタイルでいきます。まずは通常タイプから。
具材を細かくカットして、麺と炒めます
お皿に盛ったら、ここでソースの登場!
完成! はたしてどんな味がするのでしょうか?
違いを明らかにするため、カップの「ペヤング ソースやきそば」と食べ比べます
揚げ麺であるカップタイプと比べたら“ペヤング感”は薄れるものの、やっぱりペヤングの味。それでいて、麺は蒸したやわらかい食感なので、“昔から知っているけど初めて出合う味”的な、新感覚のおいしさです。
激辛タイプも同じように、マルちゃんの麺で作って試食します。
激辛ソースをしっかりかけます
よく混ぜたら完成です
こちらも「ペヤング 激辛やきそば」と比較します
当然のように、両者とも辛くてスパイシー。焼きそばにしたほうが、ボトルとカップの似ている部分がわかります。ソースを入れれば入れるほど刺激は強く、味は濃くなっていきます。
辛くしすぎてしまったという人は、目玉焼きやマヨネーズでアレンジしましょう。辛さがやわらぎます
もし通常タイプと激辛タイプ、両方入手できた人は、いったん通常タイプで作り、激辛タイプで辛さを足すという裏技もおすすめです。なお、カップとの大きな違いは、いい意味でジャンク感がないこと。揚げ麺ではなく、蒸し麺や生のキャベツを使っているせいか、“ちゃんと食事をしている”気持ちになって、罪悪感なく食べられます。
次は、カップ麺に“追いソース”をしたらどうなるか、というのも試してみました。
できあがったペヤングのカップに、ボトルのソースを足してみます
激辛タイプも同様にして追いソース
もちろん味の濃さは高まります。ただ、濃くすればするほど、本来の味からかけ離れていく感もあるので、たくさん入れたからおいしいとは限りません。通常の量がベストバランスだということが、改めてよくわかりました。ちなみに、激辛タイプの追いソースは、真の辛党以外にはおすすめできません……。
次に試したのは、ある意味では掟(おきて)破り。でも、ある意味では夢の競演。「ペヤング ソースやきそば」の永遠のライバル、「日清焼そばU.F.O.」を「ペヤングボトルソース」で味付けしてみました。
湯切りした「U.F.O.」にソースをドボドボと
「U.F.O.」のソースの特徴は、ペヤングよりも濃厚でとろみがあり、甘みが強いこと。対してペヤングは酸味やスパイシーさが効いたサラサラのソース。これを「U.F.O.」のストレート揚げ麺にかけてみます。
こちらはリアル「U.F.O.」。以前、焼きそば賢人の第一人者・塩崎省吾さんにカップ焼きそば食べ比べの企画をお願いしたときのものです
こちらが禁断のペヤングソースタイプです。色は「U.F.O.」ソースを使ったときよりも、少し赤みがかっている印象
おお、これもマルちゃんと同じく、本来の味とは違いますが不正解ではないおいしさ。いや……食べれば食べるほど生感あふれる「U.F.O.」の麺と、スパイシーなペヤングのソースがなじんで、大正解といえるウマさです!
ここからはオマケの検証。自炊調理ならではの、ちょっと贅沢(ぜいたく)な焼きそばを作ってみることにしました。具材のヒントにしたのは、「第4次焼きそばブーム」の立て役者といわれる「神保町やきそば みかさ」というお店の焼きそばです。
具材たっぷりの贅沢仕様!
やはり麺は「マルちゃん焼そば 3人前」を用意。具材にはキャベツと青ネギ、そして豚バラ肉、海老、イカもトッピングし、仕上げには青海苔とかつお節(本来は魚粉なのですが、入手できなかったため代用)もかけます。そしてラストに目玉焼きをのせます。
麺と具材を炒めてから、ソースを投入
調理中の時点で、すでに先ほどとは違うゴージャスな香りがただよいます。
麺が見えなくなるほど具がたっぷり! ちなみに、似た具を使いましたが見た目は「神保町やきそば みかさ」とはちょっと違いますね。みかさファンの方々、お許しください
麺だけでもプレーンとは違う、贅沢感のあるウマさ!
素材のうまみとはよくいいますが、今回、ほぼプレーンの状態とエレガントバージョンを食べ比べたことでその力を非常に強く感じます。全体的にリッチなだけではなく、肉、野菜、魚介それぞれのうまみが麺に絡むことで、複層的なおいしさになることがわかりました。
最後に試したかったのは、焼きそばとは関係ない、純粋なソースとしての実力。ボトルタイプのソースは、東の「ブルドック」、西の「オタフク」、中部の「カゴメ」といわれる強者ぞろいの世界です。その中で、ペヤングはどれだけの存在感を示せるのでしょうか。ソースの主戦場といえる、粉ものとフライで試してみました。
たこ焼き、とんかつ、カキフライにかけて実食!
たこ焼きにかけてみると、ペヤングのシャープな味わいが、生地のダシ感にマッチ。これはこれでおいしい
とんかつとの相性も悪くなさそう。とんかつソースよりもスパイシーな仕上がりで、男っぽい味になります
最後はカキフライと。カキの独特なうまみに負けない、エッジのあるペヤング。ウスターソースのようなニュアンスがあり、違和感のないおいしさに
「粉もんには甘めのソースがいいんじゃい!」「フライにかけるソースは中濃かとんかつソースで決まりっしょ!」など、それぞれ好みがありそうですが、ペヤングの味がとにかく好きという人は、いろいろな料理に合わせてみるといいでしょう。
今回だけでも、いろいろなバリエーションが楽しめました。一般的なソースとは違うペヤングならではの味わいは、意外な料理と相性がよかったり、いつもソースをかけて食べる料理に新しいサプライズをもたらしたりと、焼きそば以外に使ってもおもしろそうです。ぜひ入手して、お好みのシーンでお試しください!
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。