特別企画
新ジャンル飲料市場に革命を起こした「本麒麟」の魅力に迫る!

なぜ「本麒麟」は売れまくっているのか? 直撃取材と新旧試飲からメガヒットの秘密を探る

ビール、発泡酒、新ジャンル(第3のビール)で構成されるビール類は、昨今、飲み手の嗜好が多様化していることや、缶チューハイなどが人気のために、市場全体が苦戦しています。そんな中で、まれにみる大ヒットを飛ばしたのが、2018年3月に発売された新ジャンル飲料「本麒麟」です。

2019年1月には、味とパッケージデザインをリニューアル。写真左が新バージョン(しばらくは「〇に新」の字が入ったデザイン)、右が旧バージョンです

発売開始直後に出荷制限がかかり、初年度で累計出荷本数(350ml缶換算)は3億本を突破。売上目標は2回も上方修正され、過去10年に発売されたキリンビールの新商品の中で売上No.1になるなど、ノリにのっているブランドです。そんな「本麒麟」に沸いた2018年でしたが、2019年は他社もこぞって新ジャンル飲料の新作を発売するなど、市場が活性化しました。起爆剤となった「本麒麟」は、なぜそんなに売れているのでしょうか。ヒットの秘密を探りに、担当者を直撃しました。

京急線の生麦駅が最寄りの「キリンビール 横浜工場」へ

京急線の生麦駅が最寄りの「キリンビール 横浜工場」へ

味も売り方も、超正統派のド直球! それがうまく伝わった

迎えてくれたのは、味に関わる2人のキーパーソン。ひとりは、同社のビール類はもちろん、RTD(缶チューハイなど)を含め、“味の番人”であるマスターブリュワー・田山智広さん。もうひとりは、「本麒麟」を始め、主力ブランドの中味開発に携わる、商品開発研究所の中村壮作さんです。

左が田山智広さんで、右が中村壮作さん。工場内にある、試験醸造を行うパイロットプラントにて

左が田山智広さんで、右が中村壮作さん。工場内にある、試験醸造を行うパイロットプラントにて

「本麒麟」のおいしさをひと言で表すならば、「力強いコクと飲みごたえ」。設計としては大きく3つの特徴があります。ひとつは、ドイツ産の「ヘルスブルッカーホップ」を一部に使い、爽やかで上質な苦みを加えていること。もうひとつは、自社比1.5倍となる長期低温熟成を採用することで雑味を取り、力強いコクを感じやすくなっていること。そして3つめは、少し高めの6%というアルコール度数です。これらが豊かな飲みごたえに起因しています。

「ヘルスブルッカーホップ」。写真は希少な乾燥タイプで、実際にはペレット状に固めたホップを使っています

「ヘルスブルッカーホップ」。写真は希少な乾燥タイプで、実際にはペレット状に固めたホップを使っています

ここでお2人に質問。これらの原料や製法を採用した理由には、どんな狙いがあったのでしょうか?

「新ジャンルはビールよりもお求めになりやすい価格で、節約志向の人を中心に支持されている商品です。でも、本音では『ビールを飲みたい』と思われていることが調査でわかりました。そこで目指したのは、新ジャンルでありながらもビールに近い高品質なおいしさ。意外かもしれませんが、なかなかそのニーズを充足できる商品は少なかったんですね。結果的には、お客様の期待に応えられたことがヒットにつながったのかなとも思います」(中村さん)

「開発当初に1番重要視したことは、商品の見た目に対する中味のギャップをなくすことでした」とも

「開発当初に1番重要視したことは、商品の見た目に対する中味のギャップをなくすことでした」とも

とはいえ、味作りに関しては「本麒麟」以前も妥協は一切なし。「キリン 澄みきり」や「キリン のどごし スペシャルタイム」なども、技術を結集して作り上げた自信作でした。でもそれ以上に「本麒麟」が評価された理由は、モノ作りの姿勢が消費者にしっかりと伝わったからではないか、と田山さんは語ります。

「『ヘルスブルッカーホップ』は、弊社で130年以上続く伝統的な『キリンラガービール』などに使われている原料。そして、ラガーというのは『低温熟成』という意味なんですね。それが『本麒麟』の長期低温熟成にもつながっています。いわば『本麒麟』は、キリンが誇るクラフトマンシップの結晶ともいえる新ジャンルなんです。その哲学が、味はもちろんそれ以外の面でも打ち出せたことがよかったんだと思います」(田山さん)

「お客様が飲んだとき、『この商品はどんな人が作っているんだろう?』と想像されて初めて、クラフトマンシップが生まれるのかなと、私個人としては思っています」と田山さん

たとえば、「本麒麟」というネーミングや、赤い色のパッケージ。赤はキリンのコーポレートカラーであり、これだけでも社運をかけていたことがうかがえます。ただ発売前の段階ではインパクトが強い分、社内でも意見が割れていたとか。これらの開発秘話を、取材時に同席していた同社のマーケティング部・京谷侑香さんが教えてくれました。

京谷侑香さんは、新ジャンルチームのブランドリーダー。「本麒麟」をヒットに導いた、4人いる主力マーケターのうちのひとりです

「私たちがしたことは、ビールのような味わいの新ジャンルを作り、そのおいしさをストレートに発信するというド直球の手法。特別なことはしていないんですが、それが功を奏したのかもしれません。でもその根底には、とにかく商品をお客様目線でとらえ、またお客様自体を徹底的に理解するという考え方がありました」(京谷さん)

伝え方に関しては、田山さんも「CMも基本的に『うまい』って言っているだけだからね(笑)」と言うくらいストレート。考えてみると、「本麒麟」は作り手の情熱が伝わりやすく、とにかく飲んでみたくなる、という点が人気の理由のひとつなのかもしれません。これは商品名で考えてみても一目瞭然。たとえば、同社代表作の「一番搾り」は「製法」、「のどごし」は「味わい」の特徴を表したものですが、「本麒麟」からはキリンの「本気度」がダイレクトに伝わってきます。

リニューアル版はボディ感を中心に進化した印象

インタビューの最後では、「より満足感を楽しんでいただきたく、今年は『ヘルスブルッカーホップ』を増量。さらにビールに近い力強いコクへと向上させました。新しくなった『本麒麟』を、ぜひ飲んでください!」と中村さんからレコメンドが。ということで、改めて「本麒麟」を飲んでみました。しかもリニューアルがよりわかりやすいよう、新旧を比較することに!

リニューアルのタイミングだからこそできる、新旧飲み比べ

リニューアルのタイミングだからこそできる、新旧飲み比べ

まずは従来品から試しました。改めて感じるのは、豊かな麦のウマみと鼻抜けのいい爽快さ。そのバランスがいいので重すぎず、軽すぎず、ドリンカビリティ(おかわりしたくなるような、飲みやすさ)の高さを実感します。

クラシカルな麒麟の絵は「聖獣」と呼ばれるキリン伝統のシンボルマーク。さまざまな商品に用いられていますが、円形のエンブレムっぽく配置するデザインは「キリンラガービール」に似ています

次にリニューアル版を試飲しました。新旧を交互に飲み比べると、新しいほうはわずかにボディが強い印象。特に、ひと口めのファーストタッチにその違いを感じました。全体的には、味の輪郭がひとまわり大きくなっている気がします。

新しいほうのデザインは、赤と金をより鮮やかで上質な色に変更しているのもポイントとか

新しいほうのデザインは、赤と金をより鮮やかで上質な色に変更しているのもポイントとか

2019年は、秋に消費税増税も控えており、その面でも新ジャンルがさらに脚光を浴びることになるでしょう。でも「本麒麟」のリニューアルを始め、各社の新作が続々登場する今春は、飲み比べをする絶好の機会です。まずはその起爆剤となった「本麒麟」から試してみてはいかがでしょうか!?

中山秀明

中山秀明

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とウェブメディアを中心に編集と撮影を伴う取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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