「蒙古タンメン中本」(以下、中本)は、多くの辛党をトリコにしているラーメン店。最近では、コラボ商品も数多くリリースされ、その人気を盤石のものとしています。
なかでも充実のラインアップを誇るのが、「セブンプレミアム」。これはセブン&アイ・ホールディングスのPB(プライベートブランド)で、セブン-イレブンやイトーヨーカ堂などで買えます。もちろん、価格.comにも登録されています。
そこで今回は、カップ麺や冷凍汁なし麺など、今手に入る8個の「中本」コラボ商品を食べ比べ。「辛さ」「旨み」「香りの強さ」の3項目の星付き評価(10がMAX)とともにレポートします。
麺、飯、スープなど、バラエティに富んだ「中本」コラボ商品を食べ比べ!
「中本」と言えば、とにかく「辛い」というイメージが先行しがちですが、それだけではありません。どのメニューも辛いけど、ウマい。唯一無二の味に中毒者が続出し、どの店舗も行列が絶えません。毎日食べる常連客もいるのだとか。
かつて筆者が「中本」の実店舗で食べた「蒙古タンメン」(820円)の写真。味噌タンメンに麻婆豆腐が乗った定番メニューで、ライス(180円)にもよく合います
そんな「中本」の名を冠したコラボ商品は、しっかり本家の味を再現できているのでしょうか? 今回はこちらの8つを用意しました。
どれもインスタント食品界の王者、日清食品が作っているので期待大! ひとつずつ試食していきます。なお、各商品の評価の星は、別添の「辛味オイル」を半分ほど入れてチェックした値となります。
どの商品にも辛みをプラスする調味オイルが付いています。これを入れると劇的に味が変わりますが、取扱注意の辛さ!
ちなみに、筆者の激辛耐性はおそらく標準。「中本」には、人に誘われた時に行く程度で、定番の「蒙古タンメン(辛さレベル5)」をギリギリ完食できるレベル。弱腰の時は「味噌タンメン(辛さレベル3)」や「塩タンメン(辛さレベル0)」を食べています。舌が最後まで正常に働いてくれるかどうか……。
いっぺんに調理すると、部屋の中がむせかえるような強烈な香りに包まれました
「中本」の看板メニュー「蒙古タンメン」のような太くて食べ応えのある麺に、旨辛スープ。具材もたっぷりと入っています。内容量122gで542kcalと、一般的なカップ麺と比べると、若干カロリーが高め。
「セブンプレミアム 蒙古タンメン中本 辛旨味噌 122g」
野菜の量が多めで、その分旨みや甘みも芳醇。個人的には、「中本」は辛いだけじゃなくてタンメンとしての旨みの豊かさも秀逸だと思っています。そんな「中本」らしさが表現された完成度が高い1杯です。辛さが苦手な人にはオススメできませんが、オーソドックスなタイプを味わうなら、まずはこれ。頑張れば、何とか食べられるレベルでしょう。
ちなみに、今回は試しませんでしたが、納豆をプラスするアレンジが有名です。主張が強い食品同士ですが、意外にも互いを引き立て合うナイスな組み合わせです。
限定メニューを除けば、「中本」で最も辛い「北極ラーメン」を再現したカップ麺。大量の唐辛子とすりゴマをきかせた味噌ベースのスープに、ガーリックを練り込んだコシの強い中太ストレート麺がよくからみます。
(1)の「辛旨味噌」と比べると、こちらには豆腐が入っていません。その代わり、大量の赤唐辛子と思われる深紅のパウダーがたっぷり。さらに、豚肉やモヤシ、ゴマ、フライドガーリック、ネギなどが入っています。
「セブンプレミアム 蒙古タンメン中本 北極ラーメン 117g」
食べてみてやはり印象的だったのは、メラメラと燃えたぎる炎のような容赦ない辛さ。また、(3)の「汁なし麻辛麺」でも感じた“サディスティックな香り”も襲ってきます。どこかエッジィな酸味も光り、鼻息を荒くして食べるとむせることでしょう。
ネーミングからして劇薬的な別添の「極辛オイル」は、以前販売されていた「セブンプレミアム 蒙古タンメン中本 北極ブラック 黒い激辛味噌 111g」の焦がしニンニク系とは異なり、ストレートな暴れん坊タイプ。豆板醤を思わせるうまみは感じられるものの、“ギザギザハートな殺傷力”でナイフみたいに尖っては、触るものみな“傷つけます”。瞬発力はもちろん、「お前いつまで残っているんじゃ!」と突っ込みたくなる執拗(しつよう)な辛さなので、いきなりドバッと入れないようにしましょう。
「麻辛麺(マーシンメン)」は今回唯一の冷凍麺タイプで、実店舗にはないオリジナルメニューです。特製の「辛旨麻婆ダレ」と、モチッとした食感の平打ち麺が特徴で、1食350gとボリュームたっぷりです。
「蒙古タンメン中本 汁なし麻辛麺 1人前(350g)」
袋を開けた瞬間に、“サディスティックな香り”が鼻孔を攻めてきます。辛さはなかなかのレベルで、ヒリヒリとした余韻が口の中に強く残ります。タレの塊が残っているとさらに痛いので、食べる前にしっかりと混ぜましょう。これで汁が多かったらと思うと恐ろしい……。
冷凍麺ならではのモチモチ食感はかなりイイ! タレの味が染み込んだ挽き肉のウマさも好印象です。ただ、もうちょっと野菜が入っているとうれしいと思いました。
「カレーメシ」や「ぶっこみ飯」など、おいしいカップライス商品も展開している日清食品の開発力で生み出された傑作。唐辛子エキスによる、あとを引く辛さと、ニンニクでパンチを効かせたスープが特徴です。
「セブンプレミアム 蒙古タンメン中本 辛旨飯 103g」
お米の甘みが感じられる分、舌を刺すようなシャープな辛さは抑えられていて、全体的な旨みも豊か。お米は、お粥みたいにドロドロしていなくて、ほどよい粒感を楽しめます。こちらも野菜がもう少し欲しい感じはありますが、おいしく食べられます。
「豆腐スープ」は、麺やお米が入っていないタイプ。唐辛子の利いた旨辛なスープに、なめらかな食感の豆腐が入っています。炭水化物が入っていないので、1食75kcalとヘルシーなのもポイント。
「セブンプレミアム 蒙古タンメン中本 豆腐スープ 18g」
単にスープを「中本」風のテイストにしただけというのではなく、大ぶりな豆腐が入っているのも特徴。味の感想としては、それなりにダシの風味は感じられますが、中本らしい旨みがもっと欲しいところ。また、サラッとしたスープには、もう少しとろみがあったほうがいいと思いました。
こちらは、「中本」秘蔵のオリジナルメニューを再現している商品だとか。中身としては、過去最太の食べ応えのある極太ストレート麺に、魚介の旨みが凝縮されたタレの組み合わせ。かやくは、キャベツ、にんじん、豚ミンチ、キクラゲといった具材で、さらに特製の「えび魚粉」ふりかけが付きます。
「蒙古タンメン中本 辛旨魚介味噌まぜそば 176g」
辛さはありつつも、ムセるほどのレベルではなく、タレにはほんのり甘みや酸味も。これは定番商品に付く「辛味オイル」的な刺激がないからかも。余韻まで長く残るビリビリ感はあるものの、振り切るほどのエグい辛さではありません。
海老は、桜海老を思わせるドライな香りで、ほかの魚粉と相まってシャープなダシ感を演出しています。野菜は少なめですが、キクラゲのアクセントはナイスで、日清食品「カップヌードル」でおなじみの「謎肉」的な豚ミンチも美味。激辛なだけではない、やや甘めの味噌ダレや海老魚粉の風味が効いた、ユニークなまぜそばだと思います。
かつて「中本」の渋谷店で提供されていた、海老味噌ラーメンをカップ麺で再現した意欲作。濃厚な海老と味噌の旨みをスープに効かせるとともに、具材にも海老を入れて香り高い風味をよりアップさせています。なお、専用の「海老味噌 辛旨オイル」が別添されており、ブーストが可能。
「セブンプレミアム 蒙古タンメン中本 海老味噌 116g」
海老の香りが印象的で、なおかつこの海老はビスクスープのようなリッチな方向性です。「中本」らしい凶暴な辛さに、しっかりした旨みと海老の甘み&贅沢なふくよかさが加わって絶品。個人的には同シリーズの中で、いちばん好きかもしれません。
具材の海老は、「カップヌードル」に入っているようなたくましいタイプで、サイズ的にも量的にも十分な食べ応え。完成度の高い1品だと思います。
こちらは「セブンプレミアム」ではないのですが、コンビニ限定で発売されている「中本」監修のスナック菓子。「おやつカンパニー」の「ベビースターラーメン丸」シリーズから商品化されているものです。辛い味付けだけでなく、ガーリック味玉という調味料的なものが加わっているのもポイント。そのまま食べるだけでなく、一応お湯を加えたタイプも試しました。
「ベビースターラーメン丸 蒙古タンメン中本蒙古タンメン味超辛旨みそ味」
辛さのアタックは、カップ麺に比べるとおとなしめ。余韻にピリッとした刺激があり、入門編としてはおすすめと言えるでしょう。フレーバーとしては、やや甘めでコクのある味噌味に、ニンニクがほんのり効いたテイストです。
お湯を入れて食べてみたところ、こういう食べ物として味わうのであれば十分アリ。香りが豊かになるうえ、ドロッとしたテクスチャーによりジャンク感もアップ。お湯の量を少しにすれば、ドロドロとサクサクのメリハリが生まれて面白い食感に。まずはお酒のつまみとして味わい、途中でお湯を加えてシメるのもイケると思います。
口の中をヒリヒリさせながら、何とか実食完了。食べ比べてみて感じたのは、全体的に「中本」らしさを上手に再現していること。たとえば、麺商品に採用されているのは平打ちの中太タイプで、「中本」のモッチリとした太麺の特徴をうまく表現しています。近くにお店がない人でも、その刺激的でヤミツキになる「中本」テイストを楽しめるはずです。
「中本」を初めて食べる人は、「ベビースターラーメン丸」あたりから始めて、徐々にレベルを上げてラスボスの「北極ラーメン」に挑んでみるのが吉。本稿を参考に、多くのファンをひきつけて止まない、魅惑の「中本」ワールドに足を踏み入れてみては?
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。