レビュー

【閲覧微注意】食糧難を救うかも!? いろんな「昆虫食」を試してみた

日本では少子高齢化が問題となっていますが、世界の人口は増え続けています。2017年の国連予想によれば、世界では毎年約8,300万人の人口増があり、2030年までに86億人、2050年に98億人、そして2100年には112億人に達すると予測されています。

人口増加によって起こりうる問題はいくつもありますが、最も身近で深刻な問題と懸念されているのが食料不足。そんな中、その解決策としてがぜん注目をあびているのが昆虫食です。

今は当たり前のように食卓に並んでいる食べ物が、近い将来は昆虫に変わっている――なんて可能性は否定できませんよ。昆虫食は食料不足の時代の救世主となりうるか!? いや、そもそも昆虫はおいしいのか? 今回は、筆者がいろんな昆虫食を実際にいただいてみました。

注:昆虫は、エビやカニなどの甲殻類に非常に近い生物です。アレルギーをお持ちの方は食べないよう十分にご注意ください

今回いただいたのはこちらの7種類

今回いただいたのはこちらの7種類

<まずは日本の昆虫食を>

東南アジアや中国、アフリカ、中南米など世界では1,000〜2,000種程度の昆虫が食べられているそうです。筆者も海外旅行先で、昆虫が街中の屋台で売られているのを何度も目にしていますし、食べたこともあります。

また、日本も昆虫食が盛んな国のひとつ。かつては、数十種類もの昆虫が普通に食べられていましたが、昆虫自体が簡単に獲れなくなったこともあり、今では高級珍味として一部の地域で販売されているにとどまっています。

まずは、日本を代表する4種類の昆虫食をいただきましょう。

【1】ざざむし

水生昆虫の幼虫です

ざざむしは、中央アルプスと南アルプスに挟まれた天竜川沿いにある長野県伊那地方の名物で、山間の清流にいるカワゲラやトビケラなどの水生昆虫の幼虫のこと。ざざむしを食べるのは日本でも伊那地方だけで、ざざむしの甘露煮は伊那の名物として珍重されています。

パッと見は小エビみたいです

パッと見は小エビみたいです

噛みしめると、小魚を食べたときのような脂分、苦味、くさみを感じますが、いやな感じはなくおいしいです

噛みしめると、小魚を食べたときのような脂分、苦味、くさみを感じますが、いやな感じはなくおいしいです

【2】ハチノコ

古来からの貴重なタンパク源

文字通り蜂の子ども(幼虫)で、日本では主にスズメバチの幼虫を食用とすることが多いそうです。日本だけでなく古来から貴重なタンパク源として食べられており、さまざまな栄養素を豊富に含んでいます。また、漢方薬としても古くから利用されています。 かつては日本各地で食べられていました。

大きさは1cm程度。スズメバチというと大きなものをイメージしたのですが、全体的にこぶり

大きさは1cm程度。スズメバチというと大きなものをイメージしたのですが、全体的にこぶり

昆虫らしさというか、特段の風味やくさみはほとんど感じません。幼虫なので、外皮の硬さを感じることなく、噛めばプチッと潰れておいしく食べられました

【3】蚕のさなぎ

アジア諸国でも食べられている

蚕(かいこ)は、繭(まゆ)を作り絹を産出することから、かつては日本にも数多くの養蚕農家がありました。絹を取ったあとのさなぎは、さなぎ粉として釣餌にしたり、タンパク源として、古くから食べられたりしています。独特のくさみがありますが、日本以外でも韓国や中国、タイなど蚕を食べる国や地域は多くあります。

リアルな原型をそのままとどめているので、食べるのに勇気がいりました

リアルな原型をそのままとどめているので、食べるのに勇気がいりました

外皮がしっかりしているので、噛むとふにゃっと潰れて中身だけが出てくるという、個人的にちょっと苦手な食感です。味の濃い佃煮ですが、くさみは残っています

【4】いなご

甘辛く煮たり、炒めたり

バッタの仲間で、稲を食べる害虫としても知られるイナゴ。害虫であると同時にタンパク源として、日本を始め多くの地域で食べられています。砂糖や醬油などと一緒に甘辛く煮て食べるのが一般的ですが、炒めて食べる地域もあります。

こちらもそれなりに原型をとどめています

こちらもそれなりに原型をとどめています

やや硬めの食感ですが、バリバリと一気に食べられます。昆虫由来のくさみなどはほとんど感じません

やや硬めの食感ですが、バリバリと一気に食べられます。昆虫由来のくさみなどはほとんど感じません

「日本の昆虫食」を食べてみて

甘露煮や佃煮だから、どれも同じようなものだろうと想像していたのですが、実際に食べてみると、昆虫自体の持つ食感や味の違いが感じられます。個人的には、わずかながら感じる脂っぽさ、苦味、くさみが、個性的な旨味と感じられた「ざざむし」が気に入りました。

いっぽうで、ハチノコとイナゴは昆虫を意識するようなクセやくさみはほとんど感じず、とても食べやすかったです。イナゴは小エビのようと評される方が多いのですが、筆者は味わいも食感も田作り(ごまめ)に近いと思いました。蚕のさなぎは、濃い目の味付けでも、あのくさみと食感が好きになれず、筆者の評価は高くありません……。

こうした昆虫は採取自体が難しくなっており、調理にも手間がかかることもあって、決してお手軽価格ではありません。現状では食料不足対策としてではなく、高級珍味としてお酒やご飯と一緒にいただくのが一般的です♪

<外国のややグロい2品>

国内の昆虫食は、甘露煮や佃煮が一般的。まだ、味が想像できるのがいいですね。いっぽうで、諸外国では、ちょっとグロテスクな昆虫も食べられています。しかも、味の想像がつかない! 

ここでは、見た目が強烈な昆虫食を2種類いただいてみます。が、本当に食べて大丈夫なんだろうか……!?

【5】サソリ

脚やハサミはエビカニ感覚

まずはサソリから。30年近く前の話ですが、中国でサソリを食べたことがあります。大昔のことで記憶が断片的ですが、“いまの時期のサソリに毒はないから大丈夫”、“サソリは高級料理”、“めったに食べられない”、“おいしい”、“いま食べないと二度と食べられない”、などのキーワード連発で説得されて、皿に盛られたサソリの素揚げを食べました。そんな思い出に浸りながら、再びサソリとご対面となりました。そう言えば、おいしいと力説していたガイドは食べてなかったような……。

アジアンフォレストスコーピオンという種類のサソリで、大きさは約7〜8cmと迫力満点です

アジアンフォレストスコーピオンという種類のサソリで、大きさは約7〜8cmと迫力満点です

ハサミの部分は相当硬く、ピスタチオの殻を噛んでいるような感じでした

ハサミの部分は相当硬く、ピスタチオの殻を噛んでいるような感じでした

しっぽの先には針が!

しっぽの先には針が!

最後に胴体の部分をいただきます

最後に胴体の部分をいただきます

調理のされ方は、加熱処理してから乾燥させ、塩で味付けとのこと。実際に食べてみると、塩味は控えめです。食感は部位によってかなり差があり、足やしっぽの部分はエビを少し硬くした程度ですが、ハサミの部分はかなり硬いです。歯が強くない方はこの部分は避けたほうが賢明でしょう。ここまでは甲殻類をバリバリと食べている感じで、サソリ独自の味わいやくさみはあまり気になりませんでした。

最後に食べた胴体ですが、エビやカニとは違う独特の苦味とくさみ(それほど強烈なものではありません)、それに旨味があります。購入したサイトには「苦味と酸味が特徴」とありますが、筆者には酸味はあまり感られませんでした。
なお、毒については、充分加熱処理したものを口にする場合は心配ないとのことなのでご安心を。

【6】タランチュラ

むむ、煮干しみたい!?

続いてご紹介するのはタランチュラ。映画などで殺人グモとして登場することが多いためか、猛毒を持つクモのイメージがありますが、殺人グモと言われるほどの強い毒は持っていないそうです。

筆者にとっては初クモ食になりますが、オーストラリアや南米などではよく食べられていますし、クモのフライはカンボジアの人気名物料理となっています。クモはチョコレートの味がするという話をよく聞きますが、本当かどうか試してみましょう。

なお、クモは8本足で、分類上は昆虫ではありませんが、そこはまあご容赦ください。

ゼブラタランチュラという種類のクモです。こちらも加熱処理後に乾燥、塩で味付けされています。乾燥のため縮こまってしまい、タランチュラの迫力が感じられないのがちょっと残念……

ひっくり返すと、植物のようにも見えますね

ひっくり返すと、植物のようにも見えますね

まずは脚からいってみましょう

まずは脚からいってみましょう

続いて胴体をいただいたのですが、撮影をする前に半分ほどかじってしまいました。すいません、胴体の中はこんな感じということで……

結論から先に言うと、チョコレートの味や香りは全くしませんでした。どの部分もサクッとした食感で、適度の塩味もありスナック感覚で食べられました(同じ調理法のサソリは外皮が硬いためか、胴体以外はほとんど塩味を感じませんでした)。胴体を食べるとほのかな苦味と旨味が感じられます(脚を食べてもほとんど感じません)。

噛むほどに味が染み出てくる感じはスルメのようでもありますが、個人的に近いと感じたのは、だしをとった後のいりこ(煮干)を乾燥させたもの。口の中に残るこまかな残骸や後味がとても似ていると思いました。

<昆虫とわからない“パウダー”食品>

栄養がある、おいしいなどと言われても、原型をとどめた昆虫を目の前にすると食べられないというのも道理です。そんな方には、粉末にした昆虫食(昆虫パウダー)はいかがでしょうか。バッタ、蚕のさなぎ、コオロギなどがありますが、今回はコオロギの粉末を選んでみました。

ちなみにコオロギは、高タンパクで栄養価が高いことが知られています。さらに、年間を通じて卵を産み、約1か月で成虫になるため大量生産に適しており、食料不足の救世主として各国で研究が進んでいる注目食材です。

【7】コオロギパウダー

ホットケーキミックスに入れて試食!

筆者が購入したのは、ヨーロッパイエコオロギの粉末。購入したサイトには、コオロギの味が濃いフタホシコオロギの粉末もありましたが、筆者はコオロギ初心者。コオロギのくさみもなく、どんな料理でも合わせやすいと書かれているヨーロッパイエコオロギを選びました。

粉末は薄い茶色で、若干甲殻類系のにおいがします。穀類の粉末と比べると粉は粗くざらついています。今回はホットケーキミックスにコオロギの粉末を混ぜて食べてみることにしました。

ホットケーキミックス4に対してコオロギの粉末1くらいの目分量で試してみました

ホットケーキミックス4に対してコオロギの粉末1くらいの目分量で試してみました

卵の黄身と牛乳を入れて混ぜたところ、甲殻類系のにおいは消えて、なぜかミルクココアの香りがしました。なんとも不思議!?

いい感じで焼きあがりました。バターとハチミツをかけていただきます

いい感じで焼きあがりました。バターとハチミツをかけていただきます

比較的コオロギ味が少ないと言われるものを選びましたが、やはり独特の甲殻類系のくさみが気になります。また、ホットケーキミックスと比較すると粉が粗いことも個人的には気になりました。おそらくこれは、ホットケーキミックスと混ぜてしまった筆者の選択ミスではないかと……。

ホットケーキでは、甲殻類系のくさみがかえって増幅されてしまったように感じます。エビやカニ風味のホットケーキとはちみつは、どう考えても合いませんよね。また、なめらかさが特長のホットケーキには粉の粗さがマイナスに働いてしまったような気がします。おそらく、たこ焼きやお好み焼きのように濃い目の味付けの食べ物や、ハンバーグなどに混ぜれば、違和感なく食べられるように思います。コオロギ味をしっかり楽しみたい方はスイーツ系、コオロギ味を消したい方はこてこて系の食べ物に混ぜて使うのがよさげですぞ。

最後に

昆虫食はここで紹介したもののほかにもたくさんあります。いまはまだ高価なものが多いですが、昆虫が主食になる将来がやって来るかもしれませんね。皆さんもぜひ一度お試しあれ。

ただし、冒頭にも書きましたが、アレルギーには注意が必要です。自分の体質を理解したうえでお試しください。また、食べたくないという方に無理強いするような行為は厳に慎んでください。

わたる

わたる

主に東京の湾岸エリアに生息しているが、中国、タイ、インドネシアなどでの発見情報もあり、その実態は定かではない。仲間うちでは「おっちゃん」と呼ばれることも。

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