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アイスの王道フレーバーといえばバニラ味ですが、なんとなくで選んでいませんか?

定番バニラアイスをフードアナリストが食べ比べ! 濃厚なのは? バニラ感が強いのは?

夏に食べたくなるものの代表格といえばアイスクリームではないでしょうか。なかでも、王道といえばバニラアイス。お店ではさまざまなブランドが並んでいるのをよく見かけます。

では選ぶ基準となるといかがでしょう。量や価格との兼ね合いから、コスパのよさで決めている人が多いかもしれません。でも、ひと口にバニラアイスといっても実は味が全然違うんですよ。食べ比べてみないと好みの味ってわかりませんよね。そこで今回、メジャーブランドから10銘柄を厳選してピックアップ。フードアナリストが食べ比べ、甘さや濃厚さなどを数値で評価しながら、定番バニラアイスを分類したいと思います。これを読めば、バニラアイスの概念が変わるかもしれません!

今回集めた10品がこちら。国民的ブランドばかりなので、「どれも見たことがない」という人はほぼいないはず

今回集めた10品がこちら。国民的ブランドばかりなので、「どれも見たことがない」という人はほぼいないはず


アイスには種類がある

ちなみに、アイスを買う際のひとつの目安になるのが、パッケージの裏や側面によく記載されている「種類別」という項目です。

「スーパーカップ 超バニラ」の種類別は、「アイスクリーム」ではなく「ラクトアイス」

「スーパーカップ 超バニラ」の種類別は、「アイスクリーム」ではなく「ラクトアイス」

これは厚生労働省が定めた、アイス商品における種類別の名称のこと。乳固形分と乳脂肪の割合で分類されます。バニラアイスは大きく3種に分けられます。

乳固形分15.0%以上(うち乳脂肪が8.0%以上)の「アイスクリーム」
乳固形分10.0%以上(うち乳脂肪が3.0%以上)の「アイスミルク」
乳固形分3.0%以上の「ラクトアイス」

一概においしさや優劣は決められませんが、この中では「アイスクリーム」がもっともミルクと乳脂肪が多いため、ミルキーでリッチな味に感じやすいと言えるでしょう。

ちなみに、それ以外に分類されるものがもうひとつ。「ガリガリ君」のソーダ味のように、乳固形分がラクトアイスより低いか、入っていないものは「氷菓」(ひょうか)とされます。

アイスの基本がわかったところで、食べ比べといきましょう!


【1】明治 エッセル スーパーカップ 超バニラ 200ml

種類別は、上記の通りでラクトアイス。200mlで374kcal、炭水化物は35.3g

種類別は、上記の通りでラクトアイス。200mlで374kcal、炭水化物は35.3g。参考価格として、筆者が購入したスーパーでは118円(税抜)でした(以下同)

アイスは、比較的黄色が強めな印象。透明フィルムとフタ付き。自宅でなら少しずつ食べることもできるのです。こういう配慮もうれしい限り

メジャー品を集めた本企画の中でも、特に有名なのがこのベストセラー商品ですよね。パッケージに「バニラの王道」とありますが、異論はないでしょう。また、「スーパーカップ」といえば明治のこちらとエースコックのカップ麺がイメージできますが、共通しているのは量の多さ。「エッセル スーパーカップ」は200mlもあり、抜群の食べごたえも人気の秘訣です。ほかのアイスと比べてとけにくいこともあり、ゆっくり味わえます。


「あ〜これこれ、この味だよ!」という安定感があり、甘さは強めながら余韻は抑えめのすっきり系。そのため変なくどさはなく、200mlでもペロリと食べられる人が多いのはそのせいかもしれません。バニラビーンズなどは入っていないものの、バニラの香りがしっかりめなのもポイント。味作りがすごく上手にできていて、さすがロングセラーという印象です。


【2】森永乳業 MOW(モウ)バニラ

種類別はアイスクリーム。140mlで230kcal、炭水化物は29.5g

種類別はアイスクリーム。140mlで230kcal、炭水化物は29.5g。参考価格:84円(税抜)

デザインは変わっても、一貫して変わらないのが厚紙を使った包装。このちょっとした高級感も、MOWのブランディングにひと役買っていると思われます

明治と並ぶ国民的ミルク企業を持ち、「PALM」や「チョコモナカジャンボ」を有するなどアイスメーカーとしても一流の森永グループ(厳密に言うと前者は森永乳業、後者は森永製菓)。なお、森永乳業は以前「エスキモー」というブランドでアイスを展開していましたが、当時からの威信をかけて生み出した傑作が、現・森永乳業の「MOW」。その名称は牛の鳴き声にあると思われ、昔はもっとミルキーでかわいいロゴだったり、牧場が描かれたりしていた記憶があります。今は上品かつ高級感ただようデザインで、これもすてき!


独特の、エレガントで甘やかなフレーバーが印象的。生クリームを感じさせるミルキーな甘みもあり、全体的に上品な仕上がりです。なめらかなタッチも絶品で、口の中でひゅるりと心地よくとけていく感じがすばらしい!


【3】赤城乳業 Sof'バニラ

種類別はアイスクリーム。150mlで178kcal、炭水化物は22.4gとややヘルシーな印象

種類別はアイスクリーム。150mlで178kcal、炭水化物は22.4gとややヘルシーな印象。参考価格:118円(税抜)

ソフトクリームタイプのアイスは珍しくありませんが、コーンを取っ払ってアイス部分だけで商品化しているのがこの「Sof'(ソフ)」。目の付けどころは、さすが「ガリガリ君」の赤城乳業です

商品的には、北海道産の生クリームを使ったコクのある味わいが特徴。昨年秋のリニューアル時にその生クリームが10%増量し、よりフレッシュな味を演出するとともに満足感もアップしているとか。


テクスチャーは確かにソフトクリーム的。やわらかくシルキーです。また、ミルク感が強い分、バニラ感は弱め。これらは生クリームの効果によるものでしょうか。甘みはしっかりめで余韻も十分。ねっとりとした口どけも秀逸で、全体的にリッチなおいしさに仕上がっています。


【4】江崎グリコ 牧場しぼり クリーミーバニラ

種類別はアイスクリーム。120mlで166kcal、炭水化物は21.4g

種類別はアイスクリーム。120mlで166kcal、炭水化物は21.4g。参考価格:118円(税抜)

銀色がベースの袋入り。以前、抹茶アイスは、光に当たって茶の風味が劣化しないように銀色のフタを使うという話を聞いたことがありますが、「牧場しぼり」の場合も新鮮な風味にこだわっている証なのかもしれません

グリコも、「パナップ」「パピコ」「ジャイアントコーン」「アイスの実」などを手がける超一流のアイスメーカー。自販機アイスの金字塔「セブンティーンアイス」もグリコです。そんな同社による、渾身のカップアイスがこの「牧場しぼり」。ミルクの鮮度にこだわり尽くし、搾って3日以内の新鮮な国産ミルクをたっぷり使った、フレッシュでなめらかなおいしさが特徴です。


とにかく豊かなミルク感。その分バニラのフレーバーは抑え気味ですが、マダガスカル産のバニラビーンズシードが入っているため、その粒をかみしめるときにバニラがふんわり華やぎます。クリーミーで口どけなめらか、ミルクの自然な甘みが絶妙で、濃厚ながら後味は適度なすっきり感。前述の「Sof’」と同様にソフトクリーム的な方向性を感じます。ややとけやすいため、涼しい場所で食べたいですね。


【5】江崎グリコ ミニセレ バニラリッチ

種類別はアイスクリーム。85mlで108kcal、炭水化物は13.8g

種類別はアイスクリーム。85mlで108kcal、炭水化物は13.8g。参考価格:70円(税抜)

シンプルな包装。アイスは、パッケージほど黄色くはありません。また、「牧場しぼり」同様にバニラビーンズシードが入っています

この「ミニセレ」は、スーパーなどのアイスコーナーに設けられたグリコの特設コーナーで売られています。同社の定番商品などの小型化&低価格バージョンを自由に選んで(まとめて〇個で〇〇円など)組み合わせられるシリーズ。その中のバニラアイスが「バニラリッチ」で、少量食べたいときにうれしいサイズ感も特徴です。


同じグリコでも、「バニラリッチ」は「牧場しぼり」よりバニラ感が強めで余韻も長め。ストレートな濃厚さがあり、正統派なバニラアイスという印象です。あと、このバニラビーンズシードも好アクセントを演出していて、パッケージの見た目はシンプルながら味はきわめてエレガント。


【6】ロッテ ジェラートマルシェ バニラ

種類別は、今回唯一のアイスミルク。113mlで161kcal、炭水化物は22.2g

種類別は、今回唯一のアイスミルク。113mlで161kcal、炭水化物は22.2g。参考価格:82円(税抜)

比較的高さがあるパッケージ。この設計は、本商品のおすすめの食べ方である「練り」をしやすいようにという配慮かもしれません

ロッテのアイスは、ユニークなブランドが多いことが特徴だと思います。この「ジェラートマルシェ」は、練る食べ方を推奨することで他社のバニラアイスと差別化を図った意欲作。ほかにこのあと紹介する「爽」や「クーリッシュ」も、食感や食べ方でアイスの楽しさを訴求した名作です。


アイスそのものの味は、甘すぎず重すぎずで、全体的に好バランス。バニラビーンズシードも入っていて、香りのニュアンスはグリコのそれに近いものがあります。練って空気を含ませることで、エアリーかつねっとりした食感に変化するのも魅力的。やわらかいものの、脂肪分を抑えたアイスミルクなので、比較的とけにくい点も見逃せません。


【7】ロッテ 爽 バニラ

種類別はラクトアイス。190mlで230kcal、炭水化物は28.4g。「MOW」と同じカロリーながら、量は50ml多めです

種類別はラクトアイス。190mlで230kcal、炭水化物は28.4g。「MOW」と同じカロリーながら、量は50ml多めです。参考価格:98円(税抜)

「爽」といえば、このパッケージも独特。個人的には食べにくいと思うのですが……。あと、色味はかなり黄色が強いです

アイスと微細氷を組み合わせることで、濃厚な味わいをすっきり食べられるのが「爽」の魅力。シャキっとした、文字通りの爽やかな冷涼感をともなう、みずみずしいバニラアイスの口どけは唯一無二。


シャリっとした食感が個性的ですが、非常に冷たいのも特徴。知覚過敏の人は注意したほうがいいかもしれません。味は、さっぱりしていながらも十分な甘みがあり、甘い余韻が残る感じ。この方向性は「エッセル スーパーカップ」に似ている気がします。ひとつ残念なのは、このフタでしょうか。ふちが内側に食い込んでいるので食べづらく、しっかり閉じられないので保存にも不向きです。筆者はラップで巻いてしまいました。あと、このフタは失敗するときれいにはがせないことがあります。


【8】ロッテ クーリッシュ バニラ

種類別はラクトアイス。140mlで153kcal、炭水化物は21.1g

種類別はラクトアイス。140mlで153kcal、炭水化物は21.1g。参考価格:98円(税抜)

「飲むアイス」という打ち出し方が斬新。「爽」に似た、シャリっとしたアイスが入っています

「飲むアイス」という打ち出し方が斬新。「爽」に似た、シャリっとしたアイスが入っています

微細氷入りのアイスで、すっきりとした甘さと、冷たく心地よい食感をワンハンドで楽しめるのが「クーリッシュ」。個人的には、真夏の炎天下に車を運転しながらこれを飲んで気持ちよかった思い出があります。あと、風邪をひいて起き上がることすらしんどいときの糖分補給に、重宝しそうです。


今回、すべてカップタイプのアイスで比較しようと思いましたが、「クーリッシュ」は非常に有名なのであえて入れさせてもらいました。飲むという特性上、今回紹介した中でもっともとけやすいアイスです。食感も含め、味は「爽」に近く、あとはファストフードのシェイクに似たニュアンスも。パウチ系ゼリーにも言えることですが、最後まできれいに飲み干せないのはこのタイプの宿命でしょうか。「爽」のパッケージと同様に、今後の進化に期待しています。


【9】レディーボーデン パイント バニラ

種類別はアイスクリーム。470mlで706kcal、炭水化物は68.2g

種類別はアイスクリーム。470mlで706kcal、炭水化物は68.2g。参考価格:258円(税抜)

85mlサイズの「大人のひととき レディーボーデン」もあるのですが、おそらくこのパイントサイズのほうが身近で入手しやすいはず。ということで今回はパイントをピックアップ

販売元は米国の「ボーデン社」。上陸系高級アイスの草分けで、日本での販売に関しては「レディーボーデン」のほうが「ハーゲンダッツ」より先です。もともと明治がライセンス販売をしていたのですが、契約解消によって一時撤退。1994年よりロッテが新たにライセンスを組み、今に至るという数奇なストーリーがあります。


海外ブランドではありますが、本商品の生産国は日本。上質な乳原料を使用とのことなので、国産の良質なミルクを使っているのでしょう。黄色味が強く、カスタード的な味わいも感じるのですが、卵は使っていません(ほかのバニラアイスは結構卵が使われています)。リッチなテイストで重厚感もありますが、甘さは強すぎず、くどさも皆無。硬いわけではないのですが、密度が高く、このどっしりとしたシルキーさが上品な味わいにつながっているような気も。なお、味わいは高級ながら価格は高くなく、非常にコスパがいいと思います。


【10】ハーゲンダッツ ミニカップ バニラ

種類別はアイスクリーム。110mlで244kcal、炭水化物は19.9g

種類別はアイスクリーム。110mlで244kcal、炭水化物は19.9g。参考価格:198円(税抜)

量は少なめながら、フィルムとフタでしっかりパッケージされた説得力の強さはさすが。なお、切り替え中だったのかもしれませんが、デザインが2種類ありました

言わずとしれた、高級アイスの代名詞「ハーゲンダッツ」。外国語表記を見ると北欧のブランドに思うかもしれませんが、発祥はアメリカです。では、なぜaの上に‥が付くのか。それは、創業者が、酪農が盛んなデンマークの首都、コペンハーゲンの一部「ハーゲン」をブランド名に用いたから。


改めて食べてみると、やっぱりおいしい。非常にリッチなのですが、それは濃さや甘さよりも華やかかつピュアなアロマ、シルキーな口どけに、より起因しているように思います。特に、「レディーボーデン」でも感じた、濃密なテクスチャーがより際立っている印象。バターやチーズケーキのような、詰まっているけどなめらかで、しっかりめながらやわらかいタッチ。「ハーゲンダッツ」は限定フレーバーが注目されがちですが、王道のバニラもしっかりおいしいと再認識しました。


【まとめ】

以上、10ブランドのバニラアイスの比較レポートでした。同じバニラでもそれぞれに特色があり、その中でいくつかの方向性が見えてきた気がします。

リッチ系:レディーボーデン、ハーゲンダッツ、バニラリッチ
クリーミー系:MOW、Sof'、牧場しぼり、ジェラートマルシェ
爽快あっさり系:爽、クーリッシュ、スーパーカップ

濃厚さとバニラ感でマッピングをするとこのようになります。


王道ながらすっきりしているのが「エッセル スーパーカップ」。また、たっぷり味わいたい、少しずつ食べたい人は「エッセル スーパーカップ」や「レディーボーデン」のパイントが合うと思います。逆に少量でいい人は「ハーゲンダッツ」や「バニラリッチ」を。

これまでなんとなくバニラアイスを選んでいた方も、ぜひ本稿を参考に自分好みのアイスを見つけてくれたらうれしいです。

中山秀明

中山秀明

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とウェブメディアを中心に編集と撮影を伴う取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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