無印良品は2019年、「MUJI HOTEL」の開業や冷凍食品の販売躍進など、例年に増して話題を振りまきました。同店は、お菓子が充実していることでも知られていますが、その中でも人気のカテゴリーなのが「不揃いバウム」です。その人気を裏付けるように、バリエーションも20種ほどラインアップされており、購入するときに迷ってしまいそうです。
無印良品の公式サイトには、「不揃いバウム」の人気ランキングが掲載されています。確かに購入時の参考にはなるものの、実際のところどうなの? ということで、今回は特に人気が高いバウム10種を集めて食べ比べ。フードアナリストの筆者が評価と味わいをレポートしていきます。
10種類とはいえ、大きすぎないサイズ感なので完食できそう
集めたのは、以下の10種類。無印良品の公式サイトでは人気ランキング5位までしか紹介されていなかったので、今回は通販サイト「LOHACO」の人気順(2019年12月12日時点)からベスト10をピックアップしました。
バウムクーヘンは、もともと無印良品では「バウム」シリーズとして展開されていました。これを2017年にリニューアルしたのが「不揃いバウム」。これまで、味はおいしいのに見た目がイマイチという理由で弾かれてきた焼きムラや凹凸、変形した部分も採用することで、食品ロスを減らすのが目的です。と言っても、見た目が完璧なバウムを別に販売しているわけではありません。この「不揃いバウム」が無印良品では1軍です。
不ぞろいになったことと合わせて、スティック状の食べ切りやすいサイズや買いやすい価格を採用することで、もともとの人気に拍車がかかりました。ちなみに、1個150円(税込)です。
ここからは、「不揃いバウム」の人気が高いほうから順に紹介していきます。
人気第1位はバナナ味。
水分量が多いのか、単に大きいのか、重量は10種類の中で断トツのトップ。その分、カロリーや糖質も高めです。
●内容量:平均110g●カロリー:457kcal●炭水化物:49.2g
※「平均」という表記は、不ぞろいで商品に個体差があるためだと思われます
バナナの繊維的な素材がそのまま練り込まれているような仕上がりで、これがしっとりモイスチャーな食感を生んでいます。容量の大きさと香りの強さも特徴で、食べ応えは抜群。また、香料やエキスといった風味付けだけでなく、ピューレなどをうまく使って本物のバナナの味に近づけている点がいい意味で意外でしたし、その味作りから無印良品の本気度を感じました。「不揃いバウム」の中で不動の人気No.1というのも納得です。
本物のバナナに近い風味が濃厚で、食べ応えがあります
第2位は紅茶味のバウム。茶色がかった生地の中には、細かな黒い点が見られ、紅茶の茶葉がミックスされているのがわかります。
●内容量:平均92g●カロリー:393kcal●炭水化物:43.1g
シフォンケーキのような食感かと思いきや、より生地の密度が高くてキメ細かく、それでいてパサパサしていません。フンワリという感じではないものの、これは好感触。甘さはほんのりで、しっかりと紅茶の渋味を生かした上品な味わいに仕上がっています。
紅茶の爽やかで上品な風味がフワッと広がります
今回の10種の中では、なぜか宇治抹茶だけ透明ではない袋に入っていて、パッケージデザインがほかとは異なります。また、内容量や炭水化物が最小。中身はいかにも「抹茶を使っている」ということがわかる、緑色のカラーリングが印象的です。
●内容量:平均71g●カロリー:316kcal●炭水化物:32.6g
しっとり感はなかなかで、紅茶と似た方向性を感じさせるクオリティの高さ。甘さは控えめになっている影響もあるのか、想像以上に抹茶の渋味が表現されています。
抹茶の苦味や風味を強めに感じる仕上がりです
バナナ、紅茶、宇治抹茶と同じく、「不揃いバウム」シリーズ登場時の2017年から発売されているロングセラーのさつまいも味。生地の色も黄色く、袋を開けると甘いさつまいものフレーバーが香ります。
●内容量:平均98g●カロリー:437kcal●炭水化物:46.2g
さつまいもの自然な甘さを表現しているからか、甘さは控えめで、温めて食べたくなるようなほっこり感が特徴です。バターやクリームチーズなどを塗って食べるのもおいしそう。個人的には、もっとさつまいもの香りや甘味は強くてもいい気がしました。
バナナや抹茶はフレーバーが強めでしたが、さつまいもはやさしい風味
見た目は普通のバウムクーヘンですが、風味のアクセントにメープルシュガーを使用した一品。無印良品の「不揃いバウム」はすべて何らかのフレーバーが付いているので、このメープル味が最もオーソドックスな商品と言えます。
●内容量:平均91g●カロリー:421kcal●炭水化物:43.9g
メープルの風味は思ったより弱め。さらに甘さも控えめですが、逆にこのおとなしさが、無印良品“らしさ”とも言えるでしょう。欧米のお菓子にありがちなガッツリ感がなくて、上品さを感じさせます。ただ、もうちょっとしっとりしていたら、もっとおいしい気がしました。
ほのかにメープルが香るやさしいテイスト
スイーツ界でトレンドとなった塩とキャラメルを使ったバウム。わずかにカラメルがかった色味が、焦がした香ばしさをイメージさせます。
●内容量:平均91g●カロリー:398kcal●炭水化物:42.7g
塩をきかせているからか、味に深みがあり、ただ甘いだけではない飽きないテイストに仕上がっています。しっとり感も豊かで、風味の奥深さとあいまって、口の中でじんわり広がるおいしさが絶妙です。
塩とキャラメルの効果はてきめん。シンプルながら深い味わいです
キレのよいコーヒーの香りと苦味をプラスした、大人な味わいの定番バウム。とは言っても、生地の色からもわかるように、たっぷりというよりは、ほんのりときかせて上品に仕上げています。
●内容量:平均94g●カロリー:410kcal●炭水化物:45.7g
ビター感は抑え気味な分、ほろ甘感が出ていて、コーヒーというよりカフェオレ(イタリアのカフェラッテではなく、フランスのカフェオレ)的な方向性。クリームチーズと一緒に食べると、ティラミスっぽくなって面白そうです。モイスト具合もイイ感じで、全体的にリッチな味わいです。
コーヒーのほろ苦さにミルクのコクが加わった、贅沢感のあるおいしさ
チョコレート味のバウム生地をベースに、その上をチョコレートでコーティングした一品。まったりと濃厚な、冬に食べたくなる味わいです。
●内容量:平均85g●カロリー:404kcal●炭水化物:38.0g
ビター感はなかなかで、甘さ控えめなのもいいのですが、生地のしっとり感は弱め。キメが粗い印象で、口の中も乾きがち。チョコ好きからすると、ちょっと微妙かもしれません。
チョコの苦味を前面に押し出したテイスト
黒に近い濃いめの茶色をしていて、チョコレートの風味がふんだんに感じられる塩チョコバウム。塩を加えることで、チョコレートの甘さやコクを引き出した一品です。
●内容量:平均93g●カロリー:408kcal●炭水化物:38.7g
先ほどのチョコがけチョコバウムから、後がけのチョコを除いたようなニュアンス。生地のパサついた感じがこちらも気になります。味わいについては、塩がきいているからなのか、奥深さと余韻がより豊かです。
チョコがけチョコと比べて濃厚な風味は控えめで、落ち着いたバランスに
イチゴのペーストやジャムを練り込んだ生地に、ホワイトチョコをコーティングしたバウム。うっすらピンク色で、イチゴのツブツブ感をイメージさせます。今回の10種の中では、意外にも全体で2番目に低カロリー(1番は宇治抹茶バウム)。
●内容量:平均77g●カロリー:361kcal●炭水化物:36.9g
甘さが強めですがホワイトチョコの存在感は薄く、イチゴミルクのようなニュアンスを感じました。酸味はなかなかで、生地もしっとり系の実力派。味も見た目も女子や子どもにも喜ばれそうです。
イチゴ×ホワイトチョコの王道な組み合わせ。スイーツらしさで言えば10種の中で1番
無印良品「不揃いバウム」10種を試食してみました。最初は食べ切れるか不安でしたが、意外とペロリといけたなという印象。各フレーバーをしっかりと引き出し、全体的に甘さが抑えられ、しつこくなかったことが食べられた理由だと思います。
小腹が空いたときのおやつにはぴったりですし、甘すぎるお菓子が好きじゃない人にもオススメできる味わいです。
ティータイムのおともにも最適
ちなみに、筆者の独断による各部門のNo.1は以下の通りです。
・【しっとりNo.1】バナナバウム
・【甘さNo.1】 ホワイトチョコがけいちごバウム
・【大人味No.1】 紅茶バウム
・【食べ応えNo.1】 バナナバウム
・【筆者の好みNo.1】 コーヒーバウム
(塩キャラメルバウムも捨てがたい!)
それぞれ個性があって、10種類食べても飽きないおいしさでした
全20種くらいラインアップされて、どれも税込150円で買えるので、本稿のように複数のバウムを大人買いするのも楽しいです。皆さんも自分だけのNo.1バウムを見つけてみてください!
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とウェブメディアを中心に編集と撮影を伴う取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。