新型コロナウイルスの影響による外出自粛にともない、今、旅行や外食に行く人が減っています。その対策として、人気観光地の定番みやげが期間限定でオンライン販売を始めたり、有名チェーン店が特別なテイクアウトメニューを提供したりしています。
なかには、その希少性から注文が殺到するなど、大きな話題になっているものも。そこで今回は、気になる商品をいくつか実際に取り寄せて、改めておいしさや価値をチェックしてみました。おみやげだけでも旅行気分を味わう、はたまた限定のテイクアウトで特別感を楽しむ――。そんな使い方で、自宅で過ごす時間の息抜きにしてもらえたらと思います。
数年前に放送されたテレビ番組「日本イチバン売れてるモノ図鑑」のおみやげ部門で、売り上げNo.1と判明したのが「東京ばな奈」。その誕生は1991年と、伝統的な東京みやげに比べると新しい部類に入りますが、その知名度は抜群で、東京の主要駅や空港などで販売されています。
看板商品「東京ばな奈『見ぃつけたっ』」の公式サイト価格は、8個入りで1,078円(税込)。差し入れなどで迷ったら、これを買えば間違いなし
メープル味や「キットカット」コラボなど、今や商品群は多彩ですが、ベースとなっているのは日本中から愛される味として選ばれた、バナナ風味の洋菓子「東京ばな奈『見ぃつけたっ』」。コロンとしたかわいらしいルックスのスポンジ生地の中に、トロッとしたバナナクリームが入っています。
実際のバナナをデフォルメしたような、小ぶりでずんぐりむっくりとした愛らしいフォルムが印象的
バナナの断面も、上手に再現されています
改めてじっくりと食べてみると、バナナのフレーバーや甘さが濃すぎず薄すぎずの絶妙なバランスで、飽きない味だと思いました。言い換えれば、これは万人受けするおいしさ。ふんわりとやわらかいので、小さいお子さんからお年寄りまで、難なく食べられ、差し入れにはピッタリ。売れる銘菓にはワケがあることを再認識しました。
8個入りのパッケージ
そんな東京みやげの大定番が公式オンラインショップで販売を開始したのは2020年4月21日。対象期間は、同7月13日注文分まで。
なお、「日本イチバン売れてるモノ図鑑」では「東京ばな奈」が日本一だったと先述しましたが、2位は伊勢名物の「赤福餅」、3位は「博多通りもん」でした。
カルビーと言えば、日本のポテトチップス市場で約7割のシェアを誇り、国産じゃがいもの6分の1を使用しているメーカー。そして、日本のじゃがいも産地と言えば北海道です。そんなこともあって、同社は昔から北海道にちなんだ商品を発売していますが、北海道限定ものもあります。その代表が「じゃがポックル」です。
正式名称は「じゃがポックル オホーツクの塩味」。18g小袋の6個入りと10個入りがあり、写真は前者。公式サイト価格は、885円(税込)です
誕生は2002年(当初は「ぴゅあじゃが」という名称で販売され、後に「じゃがポックル」に変更)。特に初期は人気が沸騰し、入手困難だったことを記憶している人もいるのではないでしょうか。2006年には、全国販売モデル的な「じゃがビー」が発売され、「『じゃがポックル』と『じゃがビー』は何が違う?」といったトピックスもたまに見かけます。
「じゃがポックル」は、少しずつ食べやすく、また人に分けやすいよう、小袋になっているのはうれしいポイント
2商品の違いは、原材料の産地や製法にありました。「じゃがポックル」のじゃがいもは北海道産で、塩はオホーツクの焼き塩。手作りに近い製法で作られています。いっぽうの「じゃがビー」は北米産のじゃがいもで、塩の産地は明記されていません。また、一部の工程を機械化しており、より大きな釜でフライしているところも異なります。つまり、「じゃがポックル」のほうが、素材にこだわり、ていねいに作られたプレミアムな味と言えるでしょう。
開封して盛り付けると、フライドポテトと変わらないヴィジュアルです
食べてみると、香りはフレッシュで、食感はカリッとサクッと。じゃがいも本来の味に、軽やかな塩がほどよくマッチしています。ホクホク感のないフライドポテトというか、食べ応えのあるポテトスティックというか、改めてこの味は、ポテトチップスや「じゃがりこ」では味わえない独特のおいしさだと思いました。
皮付きであることも特徴
以前は公式オンラインショップで購入できましたが、しばらくは店頭や物産展などの直接販売のみとなっていました。それが今回4年ぶりにネット販売を限定解禁。期間は、2020年5月中旬までとのことなので、お早めに。
今回の通販解禁フードの中で、ユニークなニュースで話題となっているのが、大阪名物として知られる「551蓬莱(ほうらい)」の「豚まん」です。なぜユニークなのか。それは、以前から公式オンラインショップで販売されていたにもかかわらず、「通販が解禁された」という誤情報が出回ったから。結果、サイトにアクセスが集中し、2020年4月23日にはお詫びのニュースリリースが出る事態に……。
「肉まん」ではなく「豚まん」なのは、関西では一般的に「肉=牛肉」という認識だから。公式オンラインショップ価格は、2個入り380円から10個入り1,900円(税込)まで、個数別に商品化されています
今回取り寄せたのは6個入り1,140円(税込)。要冷蔵の「豚まん」と、練りからしが入っています
ちなみに、通販サイトは2009年に開設。電話による通信販売は1994年から行われています。では、なぜ誤解が生まれたのでしょうか。
筆者の推測ですと、「551蓬莱」の実店舗の展開エリアが関係しているのではないかと思います。その展開エリアを決めているのが、できたてのおいしさを担保するための“150分ルール”です。「生地の鮮度と最適発酵の状態を保てるのは、大阪にある本社のセントラルキッチンからクルマで150分までの距離である」という哲学があり、その範囲内でしか出店しないのです。
その観点から、東の限界は滋賀県の草津だということで、それ以東には「551蓬莱」は存在しません。東京はもちろん、東海地方にもないことから、通販をしていないと勘違いされていたのではないかと思います。
同社のレシピによると、電子レンジの場合は、水、割り箸、キッチンペーパー、ラップを使って、簡易的に蒸し上げます
前置きはこのぐらいにして、調理して食べてみました。電子レンジだからだと思いますが、生地はやわらかい部分と硬い部分のムラがありました。でも、ほんのりやさしい甘みがあって、とてもおいしいです。
生地をよく見るとひねり方が1つひとつ異なり、職人たちがていねいに手包みしていることがよくわかります
豚肉は、食感を出すためにミンチにせずダイス状に粗切りカットされています。そして、ともにあんとして練り込まれたタマネギは甘みが豊か。小さな黒い粒はブラックペッパーでしょうか。とはいえ、辛さはほぼなく、風味がちょうどいい塩梅で、素材のうまみが生きたジューシーなおいしさです。
肉とタマネギそれぞれの食感と配分がちょうどよく、甘みと塩みもドンピシャな配合量。全体的にバランスがよく、食べ飽きない普遍的なおいしさです
公式レシピには蒸し方も載っているので、よりおいしく食べたい人は蒸してから味わいましょう。ただそれ以上に、一番おいしいのはやはりできたて。関西圏の直売店のほか、催事で出店(生地を作るためのミキサーを現地に持参するとか)されることもあるので、見かけたらぜひ食べましょう。
自宅で寿司を楽しむとしたら、握り寿司はハードルが高いので、手巻き寿司になるのが一般的です。ただ、酢飯やのりを用意して、ネタも数種類買うとなると手間も価格もそれなりにかかるでしょう。そこで活用したいのが、スシローが2020年4月1日からお持ち帰りネット注文を展開している「スシロー手巻セット」です。
人気のネタ10種に、酢飯とのりが付く「スシロー手巻セット」。2〜3人前で2,138円(税込)です
ネタには、スシロー自慢の、赤身の中でも高級とされる「天身」(てんみ)を使ったまぐろを始め、いくら、ネギとろ、サーモン、うなぎなどの定番部位が入っています。
まぐろとキュウリによる王道の組み合わせ
ほたて貝柱に、いくらなどをアレンジ
のりは1枚のサイズがやや小さく感じましたが、パーティー感覚で少しずついろんな味を楽しむならアリです。そして、こののりは真っ黒(安価なのりは色が薄く色味も緑っぽいのです)で、風味も濃厚。素材へのこだわりを感じました。
アレンジ次第で、海鮮丼も楽しめます
2020年4月28日からは、中とろや生サーモンなど、ネタが豪華になった「スシロー特上手巻セット」(税込3,218円)も登場。どちらもデリバリーではなくテイクアウトのみとなりますが、ネット注文ができるのでぜひお試しを。
「からやま」は、2020年5月時点で、全国に95店舗を展開する唐揚げチェーン。とんかつ専門店「かつや」と同じグループと言えば、イメージがわく人もいるでしょう。そんな「からやま」が、2020年5月1日から限定発売しているのが、テイクアウト専用の「ファミリーボックス」。
「ファミリーボックス」は4人前で2,678円(税込)。ゴマとニンニクがきいた香り高い「極ダレ」も付いています
「ファミリーボックス」に入っている唐揚げは5種類。「鶏モモチューリップからあげ」「カリッともも」「ささみからあげ」「手羽先」がそれぞれ4本。そして、「なんこつあげ」が1パックセットになっています。こういったボックスセットと言えば、ケンタッキーフライドチキンの「バーレル」が王者ですが、さまざまな部位を楽しめる(KFCも数種類の部位が入っていますが、明記はされていません)という点では、からやまの「ファミリーセット」も負けてはいません。
5種類を1人前で皿に盛り付けると、このくらいの量。香り高く、ウマそうです
部位の中でも、「鶏モモチューリップからあげ」は通常は販売していませんが、特に子どもに人気ということで、「ファミリーセット」とともにテイクアウト限定販売(単品1本259円)しています。ちなみに、唐揚げのチューリップは、手羽先の一部をクルッとむいて揚げるのが一般的ですが、同社では鶏もも肉でチューリップ型にするという点にオリジナリティがあります。
「鶏モモチューリップからあげ」は、一般的な手羽先のチューリップよりジューシー。大きさ的にも食べ応えがあり、満足度はかなりのもの
「カリッともも」を付属の「極ダレ」につけて。「極ダレ」は素材感が豊かなドロッとしたテクスチャーで、サラダのドレッシングとしても活用できます
同店の唐揚げは、ニンニクや生姜を使っていないため、パンチの効いたジャンクさはありませんが、逆を言えば素材のおいしさを生かした上品な味が魅力と言えるでしょう。もしガッツリした味を楽しみたければ「極ダレ」を使えばOK。ご飯のおかずにもなり、なんこつや手羽先はつまみにもピッタリと汎用性が高く、価格も手ごろなこのセット。唐揚げ好きの人はもちろん、育ち盛りの子どもがいる家庭にもオススメです。
今回取り寄せた商品以外にも、仙台銘菓の「萩の月」や、「マルセイバターサンド」で有名な北海道の六花亭がお菓子の詰め合わせセットを限定販売するなど、今だけのお取り寄せやテイクアウトのサービスが盛り上がっています。
「萩の月」は2020年3月10日より公式オンラインショップ販売をスタート
六花亭のお菓子の詰め合わせセット「通販おやつ屋さん23個入り」(税込3,000円)。もちろん「マルセイバターサンド」も入っています
また、限定商品のほかにも、未来の食事券やライブハウスの応援企画など、今だけの限定のプロジェクトがたくさん動いています。今は外出を自粛しながら通販を活用しておき、現在の状況が終息したら、ぜひ現地のお店などを訪れたいものです!
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。