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フードアナリストが実際に飲んでおいしさを徹底解明!

「第3のビール」を飲むなら今! 2020年夏の「新ジャンル」を飲み比べ

今、ビール業界をザワつかせているトピックのひとつが、2020年10月に施行される酒税改正です。

ざっくり説明すると、お酒に課せられているそれぞれの税率が変わり、たとえばビールと日本酒はやや軽減されるいっぽうで、新ジャンル(第3のビール)やワインなどの果実酒はやや加重される予定です。新ジャンルは、ビールよりも安いことが大きな魅力でしたが、10月以降はその金額差が小さくなります。その分ビールの需要が高まり、これまで新作ラッシュなどで沸いていた新ジャンル市場は落ち着いてしまうかもしれません。

となると、酒税改正直前の2020年夏は、新ジャンル市場が最高潮の盛り上がりを見せる可能性大! そこで本稿では、2020年に発売された新ジャンルのニューフェイス8本を飲み比べ。定番銘柄の夏季限定モデルをはじめ、今こそ飲みたいラインアップをそろえました。

商品ごとに、テイスティングレポートと、「キレ」「コク」「香り」「余韻」「苦み」の5つの指標を5段階評価でチェック!

サッポロビール「サッポロ GOLD STAR」

まずは大ヒット中の「サッポロ GOLD STAR」から。

特徴は、サッポロビールの2大ブランド「黒ラベル」と「ヱビス」の技術を注ぎ込んでいる点。前者のDNAとしては香味耐久性の高い「旨さ長持ち麦芽」が、後者のDNAとしては華やかな香りの「ドイツバイエルン産アロマホップ」が使われています。また、両ブランドの仕込み方法である「ダブルデコクション製法」を採用し、力強く飲み飽きないウマさを実現しています。

アルコール度数:5%、エネルギー:42kcal、糖質:2.2g(100ml当たり)。麦芽、ホップ、大麦のほか、大麦スピリッツが原料に使われています

「サッポロ GOLD STAR」試飲レビュー!

印象的なのはうまみ、苦み、シャープなキレなど、各構成要素のバランスのよさ。うまみの中には甘みに似たニュアンスも感じられ、豊かでリッチなボリューム感があります。飲み応えはありながらも飽きずにゴクゴクいける“おかわりしたくなるおいしさ”、つまりドリンカビリティが高い商品だと思いました。

売り上げは絶好調のようで、年間販売計画を2020年2月4日発売時の360万ケースから460万ケースに上方修正したとか

サッポロビール「サッポロ 麦とホップ THE HOP」

「麦とホップ」と言えば、2008年に「私には、ビールです。」のキャッチコピーでデビューした元祖“ジェネリックビール”。そして、シュバルツビール的な黒、メルツェンビール的な赤といったレギュラー商品のほか、季節に応じた限定フレーバーを発売する“ジェネリッククラフトビール”とも言えるブランドです。そして2020年の初夏は、「サッポロ 麦とホップ THE HOP」をリリースしました。

本商品は、チェコ・ザーツ産の最高級ファインアロマホップを一部使用。さらに通常の「麦とホップ」よりも、ホップの投入回数を増やすことで豊かな香りを贅沢に引き出しながらも、爽やかなテイストを実現しています。

アルコール度数:5%、エネルギー:44kcal、糖質:3.3g(100ml当たり)。麦芽、ホップ、大麦、大麦スピリッツを使っています

「サッポロ 麦とホップ THE HOP」試飲レビュー!

まず、麦の香ばしい甘みがどっしりと来て、余韻には華やかなアロマをまとった苦みがしっかり。定番の「麦とホップ」の正統派なリッチテイストを保ちつつ、香りとビター感をボリュームアップさせたという印象です。飲む前は柑橘系の苦みなのかなと思いましたが、実際はフローラル寄りの苦みで、これはこれでアリだと思いました。

2019年初夏には、ニュージーランド産の希少ホップ「パシフィックジェイド」を使った「麦とホップ 爽の香」を発売。これもウマかったですが、今回もナイスな仕上がりです

アサヒビール「アサヒ ザ・リッチ」

こちらはいわば、“ジェネリックプレミアムビール”。最大の特徴は、かつてない製法を採用し、プレミアムビールの味わいを目指して作られているところです。同社の新ジャンル史上最大級の原麦汁エキス濃度により、コク深い味わいを実現しています。

また、チェコのザーツ産の最高級ファインアロマホップを一部使って爽やかな香りを加え、醸造の仕込み工程では同社初となる「微煮沸製法」という技術を採用。力強い麦の香りを高めつつ、食事に合う好バランスな味に仕上げています。

アルコール度数:6%、エネルギー:50kcal、糖質:3.5g(100ml当たり)。原材料は、麦芽、ホップ、大麦、米、コーン、スターチで作った発泡酒に、大麦スピリッツを加えたシンプルな構成

「アサヒ ザ・リッチ」試飲レビュー!

麦の甘みに由来するどっしりとしたうまみが広がり、心地よい苦みや香りを残しながら爽快にスッと引いていきます。コク深いものの決して濃さや強さだけに特化しているのではなく、苦みをともなう爽快感もあって上品なテイスト。ゴージャスと言うよりエレガント、豪華と言うより優雅な印象を受けました。

缶のデザインも特徴的。光沢を抑えたサラッとした質感が、落ち着いた印象と上品な手触りを生み出しています

缶のデザインも特徴的。光沢を抑えたサラッとした質感が、落ち着いた印象と上品な手触りを生み出しています

アサヒビール「クリアアサヒ 夏日和」

パッケージのビジュアル的にも、夏らしさは今年いちばんな印象の「クリアアサヒ 夏日和」。希少ホップであるレモンドロップとシトラを一部に使用することで、自然な柑橘フレーバーが感じられ、夏らしい爽やかな香りに仕上がっています。

アルコール度数:5%、エネルギー:40kcal、糖質:2.4g(100ml当たり)。原料は、麦芽、ホップ、コーン、スターチ、大麦、大麦スピリッツです

「クリアアサヒ 夏日和」試飲レビュー!

明るく、きらめくようなフレッシュさが印象的。柑橘フレーバーはイメージしていたほどではありませんでしたが、キリッとしたクールな爽快感があってゴクゴクいけます。「クリアアサヒ」ブランドらしい適度なうまみと、そのあとストンと落ちる軽快さが絶妙。食事にも合わせたくなる汎用性も兼ね備えています。

どこかかわいらしくてほっこりさせてくれる、遊び心のあるデザインもすてきです

どこかかわいらしくてほっこりさせてくれる、遊び心のあるデザインもすてきです

キリンビール「キリン のどごし<超爽快>」

新ジャンルを代表するブランドのひとつであるキリン「のどごし」から、イオングループ限定で「キリン のどごし<超爽快>」という個性派フレーバーが発売されています。

最大の特徴は、クラフトビールによく用いられる、オーストラリア原産の「ギャラクシーホップ」を採用している点。これは、世界のホップ生産量のうち1%未満とされている希少なホップで、柑橘系の爽やかなフレーバーが魅力です。

アルコール度数:5%、エネルギー:40kcal、糖質:2.4g(100ml当たり)。麦芽、ホップ、大麦、コーン、糖類、大麦スピリッツで作られています

「キリン のどごし<超爽快>」試飲レビュー!

通常の「のどごし」は、麦芽を使わずに大豆たんぱくなどで仕上げているのですが、こちらは麦芽を主軸にしているからか、同社の名作「本麒麟」に通じるリッチなうまみやコクがあります。そのうえで、苦みはフルーティーでキレッキレ。「ギャラクシーホップ」のビター感はそこまで感じませんでしたが、余韻にはインパクトがあって商品名に恥じない爽やかさが楽しめます。

「のどごし」らしいゴクゴク飲める爽快感と、どっしりとした飲み応えを備えた心地よい1本です

「のどごし」らしいゴクゴク飲める爽快感と、どっしりとした飲み応えを備えた心地よい1本です

サントリー「金麦」(夏の金麦)

昨今の新ジャンル市場におけるヒット作と言えば、2018年3月にデビューしたキリンの「本麒麟」ですが、トータルの販売数量で見ると、2019年の首位はサントリーの「金麦」。そんな大ブランドは2020年もさらなる攻めの戦略を立てていて、四季それぞれに合わせた味で商品展開しています。ということで、現在は「夏の金麦」が発売中です。

アルコール度数:5%、エネルギー:43kcal、糖質:3.2g(100ml当たり)。原料は、麦芽、ホップ、糖類、小麦スピリッツです

「金麦」(夏の金麦)試飲レビュー!

「金麦」ブランド自体も進化していて、最新版は初めて国産麦芽を採用し、それを従来の「旨味麦芽」にブレンド。より研ぎ澄まされた麦のウマさを実現させています。「夏の金麦」を飲んでみると、麦の豊かなうまみと上品な苦み、清涼感のあるのどごしが印象的。夏に適したライトな爽快感がありながらも軽すぎない十分なボディで、新ジャンルのスタンダードにふさわしい味だと思いました。

2020年8月ごろには「秋の金麦」に差し替わるとのことなので、夏バージョンが飲めるのは今だけ!

2020年8月ごろには「秋の金麦」に差し替わるとのことなので、夏バージョンが飲めるのは今だけ!

サントリー「サントリーブルー」

こちらは、2020年5月12日に発売された通年商品。いちばんの特徴は、従来の新ジャンルでは珍しかったエール酵母を採用している点です。さらに、爽快感のある香りが特徴の「カスケードホップ」も使用して苦みと甘みのバランスを最適化。香りによる、ビール類を飲んだ実感と、スッキリとした飲みやすさを両立しています。

アルコール度数:5%、エネルギー:42kcal、糖質:2.9g(100ml当たり)。麦芽、ホップ、糖類に、小麦スピリッツをプラス。大麦ではなく小麦なのも珍しい特徴と言えます

「サントリーブルー」試飲レビュー!

エール酵母が効いているからか、酸味を彷彿(ほうふつ)とさせる甘やかでブライトなフレーバーが印象的です。そのいっぽう、苦みは抑え目で、爽快感はビター系ではなくフルーティーな方向性。ビールなら同社の「ザ・プレミアム・モルツ<香る>エール」、ほかの新ジャンルで言うと「ホワイトベルグ」に似たニュアンスを感じました。ベルギー系ほど振り切ってはいないですが、ホワイトビールが好きな人には特にオススメです。

エール酵母と言えば、「ザ・プレミアム・モルツ<香る>エール」ですが、これを思わせるパッケージの色使いにも注目です

サントリー「金麦<香り爽やか>」

最後は、2020年6月30日に発売されたピチピチの新商品「金麦<香り爽やか>」。上面発酵酵母を活用した、「金麦」の夏限定フレーバーです。

個人的に、この商品の発表には驚きがありました。なぜなら、先述したとおり、定番の「金麦」からは「夏の金麦」、そして上面発酵酵母には新作の「サントリーブルー」がすでにラインアップされており、「カニバリ(自社商品を食い合ってしまうこと)」が起きるかもしれないと思ったからです。しかし、チャレンジングな“やってみなはれ”精神はさすがのサントリー。

アルコール度数:5%、エネルギー:45kcal、糖質:3.2g(100ml当たり)。麦芽、ホップ、糖類、小麦スピリッツが使われています

「金麦<香り爽やか>」試飲レビュー!

「金麦」ブランドのこだわり素材である「贅沢麦芽」に、「上面発酵酵母」を組み合わせることで、麦のうまみと爽やかな香りを両立。さらに、炭酸ガス圧を高めに設定して軽やかな後味を付与したとのことですが、これは限定商品にするには惜しいほどの完成度の高さを感じました。フルーティーな爽快感に、甘くブライトな風味。軸となる味は「夏の金麦」、香りは「サントリーブルー」を思わせるなど、両者のいいとこ取りをしたようなおいしさです。

「夏の金麦」や「サントリーブルー」と飲み比べてみると面白いですよ!

「夏の金麦」や「サントリーブルー」と飲み比べてみると面白いですよ!

【まとめ】どんな人にオススメかをまとめてみた!

今回は、夏季限定を中心に紹介しましたが、それぞれにキャラクターがあるので好みの1本を見つけられるはずです。各商品がどんな人にオススメかをまとめてみたので、参考にしてみてください。

●ほどよいコク、爽快感がある王道タイプが好きな人にオススメ→「サッポロ GOLD STAR」「夏の金麦」

●濃い味やコクを求める人にオススメ→「アサヒ ザ・リッチ」

●夏にのどをうならせるフレッシュさや、爽快なビターテイストを求める人にオススメ→「サッポロ 麦とホップ THE HOP」「キリン のどごし<超爽快>」「クリアアサヒ 夏日和」

●フルーティーなフレーバーや、スッキリした軽快感を求める人にオススメ→「サントリーブルー」「金麦<香り爽やか>」

2020年7月には、「アサヒオリオン サザンスター」がリニューアルして数量限定発売されるなど、今後も新ジャンルから目が離せない状況が続きます。酒税改正で値上がりする前に、ぜひさまざまな商品を買って飲み比べしてみてください!

中山秀明

中山秀明

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とウェブメディアを中心に編集と撮影を伴う取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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