レビュー

「年越しそば」はこれで決まり! DEEN池森氏監修「二八の極み」を食べ比べ

年末の風物詩のひとつである、年越しそば。2020年はいろいろとありましたが、そば業界ではミュージシャン「DEEN」のボーカリスト、池森秀一さんがプロデュースしたそばが発売され、大きな話題となりました。

池森さんは、テレビ番組「マツコの知らない世界」の企画「マツコの知らない蕎麦の世界」で、「12年間毎年約360日、昼食に蕎麦を食べ続ける男性」として登場したり、書籍「DEEN池森秀一の365日そば三昧」を上梓したりと、そば通として知られています。

今回紹介する「二八の極み」の裏面には、池森さんのプロフィール

今回紹介する「二八の極み」の裏面には、池森さんのプロフィール

そんな同氏がプロデュースした「池森そば」は、どれぐらいおいしいのか。同価格帯で販売されている他社商品と食べ比べ、そのクオリティを明らかにしていきます。

左が「池森そば」の定番商品「二八の極み」。日清製粉グループの「滝沢更科 八割そば」(右)と食べ比べました

左が「池森そば」の定番商品「二八の極み」。日清製粉グループの「滝沢更科 八割そば」(右)と食べ比べました

凹凸が刻まれた波打ち麺から「瞳そらさないで」

「池森そば 二八の極み」は、池森さんプロデュース第1弾そば。そばの名産地である長野県・戸隠の企業「おびなた」とのコラボレーションです。ほかにも、「幸せの十割」や「爽やか更科」、星野物産とのコラボによる「小諸二八兵衛」、奈良屋とのコラボによる「二八の裁ちそば」などの商品もラインアップされていますが、本稿執筆時には「二八の極み」以外は完売、または未発売となっていました。

「二八の極み」は公式オンラインショップで1袋378円(税込)。リリース時は、15分で完売したそう

「二八の極み」は公式オンラインショップで1袋378円(税込)。リリース時は、15分で完売したそう

「二八の極み」は、製法からして個性的。麺は平打ちタイプで、なおかつ凹凸が刻まれた波打ちの断面は、かなり珍しいと思います。

なお基本情報として、「二八」や「十割」というのはそば粉の配合率のことで、「二八」は8割がそば粉、「十割」はそば粉100%という意味。一般的にはこの割合によって、香り高さやのどごしなどが変わります。

波打ち麺をクローズアップ。茹で上がりがどのようになるのかも気になります

波打ち麺をクローズアップ。茹で上がりがどのようになるのかも気になります

いっぽうの日清製粉グループの「滝沢更科 八割そば」は、そば粉の割合や食塩不使用という点は「二八の極み」と同じながら、タイプはスタンダードな細麺。

「更科」というのは、そばの実の胚乳の中心部を使った、白色で独特の風味と香りが特徴のそばの名称です(ちなみに、そば店御三家のひとつにも「更科」があります)。ただ、「滝沢更科 八割そば」の麺はそこまで白色ではないので、あくまでもブランド名として「更科」を使っているのだと思います。

「滝沢更科 八割そば」は、「成城石井」で1袋342円(税込)。「二八の極み」よりも細く、麺の強度も繊細なタッチです

「滝沢更科 八割そば」は、「成城石井」で1袋342円(税込)。「二八の極み」よりも細く、麺の強度も繊細なタッチです

両方を並べて比較してみると、その差は一目瞭然。幅の広さに関しては、「二八の極み」のほうが倍近くあるのではないでしょうか。この違いが味にどのような変化を生み出すのか、興味深いところです。

凹凸のある「二八の極み」はインパクト大。麺の長さはほぼ一緒でした

凹凸のある「二八の極み」はインパクト大。麺の長さはほぼ一緒でした

「池森そば」は生麺のようなリアル感で「奪い去りたい」ウマさ

次は期待を胸に、調理してみます。

味わい方法は、麺のおいしさをよりダイレクトに感じるため、シンプルな冷たい盛りそばで。「二八の極み」は麺が太い分、茹で時間は7分が推奨とのことで、こちらから先に茹でていきます。いっぽうの「滝沢更科 八割そば」は4分半が推奨。時間差を設け、同じタイミングで湯から上げました。

茹でている途中でも、太さの違いがはっきりとわかります

茹でている途中でも、太さの違いがはっきりとわかります

完成時間となったところで、ざるにあけ、冷水でしめて皿に盛りつけ。それぞれを並べてみると、麺の違いがよりはっきりとわかりました。

麺が太い「二八の極み」は、やや黒っぽい田舎そばのようなルックス。「滝沢更科 八割そば」は、心なしか、やや白っぽいでしょうか。細さも相まって、端正なビジュアルです

麺が太い「二八の極み」は、やや黒っぽい田舎そばのようなルックス。「滝沢更科 八割そば」は、心なしか、やや白っぽいでしょうか。細さも相まって、端正なビジュアルです

ということで、実際に食べてみることに。

まずは麺だけを吟味。「二八の極み」は、みずみずしい舌触りと噛み応えのあるダイナミズムが印象的です。生麺のようなリアル感もあり、ヘタな立ち食いそばよりウマいかもと思えるレベル。そばの醍醐味である香りはさすがにおとなしめですが、乾麺としては十分な芳醇さだと思いました。

ツルッとしていて爽やかなのどごし。生麺のような弾力もありながら、コシも乾麺としては十分な張りです

ツルッとしていて爽やかなのどごし。生麺のような弾力もありながら、コシも乾麺としては十分な張りです

いっぽうの「滝沢更科 八割そば」は、パキッとしたしなやかな噛み応え。舌触りもシュッとしていてキレがあり、洗練されている感じがします。ただ麺が細いからか、「二八の極み」よりも香りは控えめ。また、ボソッとはしていないものの、乾麺によるドライさを「二八の極み」よりも感じました。

想像していたよりもソリッドで、のどごしもシャープ。硬さが気になる人はもう30秒〜1分ほど長く茹でてもいいかもしれません

想像していたよりもソリッドで、のどごしもシャープ。硬さが気になる人はもう30秒〜1分ほど長く茹でてもいいかもしれません

次は、そばつゆとともに味わってみることに。

すると、「二八の極み」は波打ち麺製法の効果が遺憾なく発揮される結果に! と言うのも、太麺は細麺よりも箸で持ち上げる本数が少なくなるため、麺にからむつゆの量も少なくなりがちなのですが、「二八の極み」の麺は凹凸がつゆをキープしたまま持ち上がるので、口の中に広がるつゆの量も多くなるのです。そばとつゆのからみもよくなり、結果として芳醇なおいしさが楽しめます。

一般的にそばは香りを楽しむため、麺をつゆにドボンとつけるのは野暮と言われています。もちろん、「そばの食べ方は自由だ!」という声も、ごもっともだと個人的には思いますが……

一般的にそばは香りを楽しむため、麺をつゆにドボンとつけるのは野暮と言われています。もちろん、「そばの食べ方は自由だ!」という声も、ごもっともだと個人的には思いますが……

また、すすった時、鼻孔からそばの香りがしっかりと感じられ、香りが口内に広がる時にはつゆとの十分な一体感を楽しめるという見事な時間差アタック。パッケージに表記されている「究極の八割そば」といううたい文句も、言い過ぎではない気がします。

そして「滝沢更科 八割そば」も、つゆとともに味わってみました。

乾麺としては十分なおいしさながら、サプライズ感は「二八の極み」のほうが圧倒的。ただ、硬いそばや細麺が好きな人には「滝沢更科 八割そば」がオススメです

乾麺としては十分なおいしさながら、サプライズ感は「二八の極み」のほうが圧倒的。ただ、硬いそばや細麺が好きな人には「滝沢更科 八割そば」がオススメです

「滝沢更科 八割そば」は、普通においしい乾麺の二八そばという印象ですが、その分、万人受けする汎用性も感じました。また、乾麺ならではのパキッとした食感を楽しみたい人には、こちらのほうがオススメです。

のりをのせたり、温めたりと、好みの食べ方で、よいお年をお迎えください

のりをのせたり、温めたりと、好みの食べ方で、よいお年をお迎えください

今回は、麺の特徴をより感じるために冷たくして食べ比べましたが、「二八の極み」のパッケージには「『ざる』も『かけ』も美味しい」と書かれているので、冬は温めたり、年越しにはニシンをのせて「ニシンそば」にするのもオススメ。「池森そば」のほかの商品との食べ比べも面白いと思います。

しばらく乾麺のそばを食べていないという人も、ぜひこの機会にご賞味を。

中山秀明

中山秀明

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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